2024年8月20日より、ANA国際線機内Wi-Fiがビジネスクラス利用の場合には無料となりましたので、使い方や利用できるエリアをまとめてみました。
ANAビジネスクラスで機内Wi-Fiが無料に
ANA Wi-Fiサービス(国際線)は基本的には有料であり、特定の機材で利用できるサービスとなります。ただ、路線的には非搭載の機材がある以外や通信できないエリア以外は全世界の路線で提供されています。
そうした有料のサービスがビジネスクラス利用者を対象に2024年8月20日搭乗分より無料となりました。無料にする方法としては飛行機に乗り込みCAさんに無料Wi-Fiのバウチャーカードをもらい、そこに記載されたコードをアクセス時に入力してアクセスすると言うものです。
しくみ
Panasonic Avionicsホームページより
飛行機は高度1万メートル(約10km)の上空を飛行しており、地上の無線LANや携帯電話の電波はその高さでは届きません。そのため、通信用の人工衛星と航空機が通信を行い、機内設置された無線LAN規格のアンテナとスマートフォンやパソコンを通信して機内Wi-Fiが実現しています。
衛星は高度3.5万キロの位置にある静止赤道軌道衛星と高度1.2千キロの上空で地球を周回する低軌道衛星が通信を行い、それぞれを使い分けて通信を実現しています。静止赤道軌道衛星は3基でほぼ地球全域をカバーできる代わりに距離が遠いため、通信速度(帯域)が遅くなっています。一方で、低軌道衛星は地表からの距離が近いため、通信速度(帯域)が速い一方で、地球のカバーするエリアは狭く、たくさんの衛星が必要となります。近年は人工衛星を打ち上げるコストが下がり、ビジネス化されており、低軌道衛星において、インターネット通信サービスを提供する事業者が増えています。
このほか、衛星以外にも地上の携帯電話の基地局のようなアンテナを空に向けて航空機と通信を行うATG方式がありますが、洋上や電源確保の厳しい僻地ではこの方式は難しく、衛星が世界的には主流と言えます。
機内Wi-Fiサービスを提供する通信使業者としてはPanasonic AviationやInmarsatやViasatなとが多く利用されています。そして、スペースX社が提供するインターネット接続サービスのスターリンクでも航空機向けのサービスを始めており、今後の勢力図がどうなるか注目でもあります。
ANA機内Wi-Fiサービスの料金
さて、冒頭で無料となると言いましたが、元の有料の料金はいくらかかり、タダになることでどれくらいのお得感があるか整理してみました。料金体系は下記のとおりです。
プラン名 | 料金(USドル) |
---|---|
30分プラン | $6.95 |
3時間プラン | $16.95 |
フルフライトプラン (最大24時間) | $21.95 |
3段階の料金プランであります。フルライトプランは約22USDであり、日本円では約3,200円と楽天モバイルの月額最大料金と変わらないくらい費用が1フライトでかかります。ソウルや台北松山などの短距離区間では使いにくく、我慢をしていた人もビジネスクラスでは気兼ねなく利用できますし、ロンドンやニューヨークなどの長時間利用の人にとっては、睡眠時間を確保しつつも、いつでもインターネットを利用したい人には朗報と言えます。
利用できる機材
ただし、搭乗する飛行機に機内Wi-Fiサービスが搭載されていないと利用できないところであります。利用できる機材は以下のとおりです。
B787-9,10,8の一部
B777-300ER(THE Room機)
A380
B777-300ER(THE Room非搭載機)
ANA国際線の機材は上記の機材が大半を占めているので比較的利用できると言えます。ちなみに77WのTHE Room機と非搭載機はともに機内Wi-Fiは利用できますが、前者はPanasonicの回線、後者はInmarsatの回線であり、後者の方が通信速度は遅くなっていますが、最近の77WはTHE Room機が多くなり、不自由を感じる機会は少なくなっていると言えます。
国際線機材で利用できないのはB787-8(240席)の一部、B767-300ER(202席)およびA320(146席)となっています。国内線で運用される78Mや76Eや32Pがダメなようです。
実際に利用してみると
これまでに利用してみた実感です。意外と落とし穴もあるので注意してください。
アクセスはデバイス毎に課金
ホテルの客室で無料Wi-Fiが利用できる場合によくあるパターンが部屋番号と自分のファミリーネームを入力するパソコンに加えてスマートフォンでも簡単にアクセスできます。機内Wi-Fiも同じように1搭乗者複数デバイスが1回の課金で利用できるかのように思い込んでしまいますが、以下のように注意事項が記載されています。
インターネットには、Wi-Fiプランを購入いただいたデバイスからのみアクセスいただけます。
つまり、パソコンで課金してもパソコンは通信はできても、スマホは別で新たに課金しないと通信ができないと言う事になります。パソコンは個人で楽しみたく、業務用のスマートフォンではTeamsのチャットやメールを確認したい場合には別課金になるので注意したいところです。ビジネスクラス無料でバウチャーカードの配布数は一枚のみなのか青天井なのか気になるところでもあります。俺はダイヤモンドなんだぞ! と言えば何枚ももらえるのかは不明です。ちなみにバウチャーはフライトのみ有効なので、メルカリとかではマネタイズはできなさそうです。
配信動画はダメ
Wi-Fi無料となると今の時代、すぐに見るのは無料動画サイトでしょう。しかし、ビデオストリーミングはサポートされていない場合があります。と注意事項に記載されていますが、これまでの経験からは見れた試しがありません。
おそらく、URLか通信ポートで事前にブロックされている模様です。
普通のブラウザ閲覧は場所によっては遅いものの閲覧はできます。Xやインスタもアクセスでき、Xは文字データメインなので問題ないと言えます。
通話に関しては携帯電話番号での通話はできませんが、050 plusなどのIP電話というかアプリ電話は意外かもしれませんが利用できます。
VPNで自宅にあるパソコンにリモート接続する際に2段階認証が必要であり、SNSで届く認証コード入力かスマホに着信して#ボタンを押して認証する方式がある場合に、前者は携帯電話ネットワークなので機上では不可ですが、後者は離陸前にスマホから050アプリ電話に転送設定しておくと、機内でパソコンとスマホともにネット接続できていれば、パソコンから2段階認証でスマホ着信を指定して、転送された通話にスマホで着信して、#を押せば認証されたりします。
最近はゼロトラストセキュリティの端末も多いのでこうしたことをしなくても機内Wi-Fiでもアクセスできると思いますが。
ということで、これまでは意外にコンテンツアクセスの制限があり、YTが視られないのであれば、我慢するかと思っていた人も気軽にネット接続して、YT以外のSNSの確認やwebサイト閲覧はできたりします。
また、仕事で利用する際のコストも削減できそうであります。
個人的にはアイスランド航空で大西洋を横断した際にViasatを有料で利用しましたが、動画ストリーミングサイトも普通に見れ、当然ではありますが、YTライブとかも視られるのでとても重宝しました。通信が快適と言うのも航空キャリアの選択肢としては重要と感じました。
アイスランド航空 大西洋横断搭乗記 快適で楽しかった - 弾丸トラベルは怖くない!
通信エリアは結構制限がある
Panasonic Avionicsホームページより
ANA機内WiFiの場合、ほとんどの機材がPanasonic Avionicsw製のWiFiシステムを搭載しており、エリアはほとんどのフライトエリアでは通信可能となります。
ただし、現在では欧米に行く場合は北太平洋を通過し、アラスカ・カナダ上空を通過した後に北極圏を通過し、そして、グリーンランド北部を通過して欧州に至りますが、北太平洋を通過以降はほとんど通信が出来なくなり感じです。地図的にはエリアでありますが、なぜかつながりは良くない状態です。
復路についてはほぼ、シルクロードを行くルートであり、一部はダメですが、つながるのが対照的であります。
オーストラリアへのルートではほ接続したりするので安定していると言えます。
以上のように大幅に使えないエリアがある路線もある中で、フルライトプランが無料になると言ううのは心理的にもお得と言えます。
最後に
これまで有料でしたが、長距離国内線の時には、はてなブログを数十記事は空中で公開した記憶があります。軽くした画像は意外とアップロードは快適であり、記事の下書き保存も問題ありませんでした。パソコンの時計が日本時間のままであれば良いのですが、変わってしまうと公開時間が狂ってしまうと言う事もありました。
空の上までネットをするのかという議論もありますが、そんなに広くない機内では絶好の生産性タイムであり、ネット接続はあった方が良いと言えます。今回の無料はサービスの一環なので、品質向上は期待できませんが、数年後のアップグレードに期待したいところです。