
8月15日に行われた米露首脳会談の場に選択されたアンカレッジはワシントンとモスクワではどちらの方が遠いのか調べてみましたので、お伝えします。
異例な米露首脳会談

今回の米露首脳会談は21世紀、20世紀の歴史の中ではなかなか珍しい場所で行われています。
日時 2025年8月15日
場所 米軍エルメンドルフ・リチャードソン統合基地内(アンカレジ)
アメリカとロシアはベーリング海を挟んで隣国であり、ある意味、距離的には合理的ではありますが、超核大国の米露の首脳がアメリカの米軍基地で会談と言うのはかなり聞いたことはありません。
冷戦以前はヤルタやマルタなどその後の最悪シナリオを考えても、何となく取り返しのつく地で行われていました。ソ連崩壊後にロシアになり、プーチンがほぼ舵を取るとなっても、サミット開催地か懇ろな首脳との招待地でしかないと思われます。
そんななか、ウクライナと紛争中のロシアの元首がアメリカ領土、しかも同国の軍事基地に足を下ろすのは世紀的な出来事と言っても過言ではないようです。
トランプ大統領はあまり世界に出て来ない首脳を表に出すのが得意なのか、過去にも金正恩氏をシンガポールに連れてきたり、自ら板門店に行ったりする実績もあり、なかなかのであります。
今回はトランプ氏はいわゆるエアフォースワン(VC-25A)でアンカレッジに向かっています。一方でプーチン氏は同じく大統領専用機のSTATE AERO(Il-96)でアンカレッジに到着しています。
コストはかかりますが、エアフォースワンの活躍と言うところでもあります。
アラスカの米軍基地のエリアではエアフォースワンとSTATE AEROの駐機位置がかなり距離が離れていたため、俯瞰できる映像はありませんでしたが、両機ともピカピカ機材であり、アメリカは次期エアフォースワンが出ているので整備万端という感じでしたが、ロシア側は新機材に更新しているようにも感じました。
プーチン氏にとってはトランプ氏にどれだけ担保されていると言っても、ベーリング海を丸腰で渡るのはそれなりの覚悟や引継ぎがあったのかもしれません。
到着後はお互いにレッドカーペットを歩くと言う演出があり、終盤に上空を戦闘機が通過するとプーチン氏が予想外に上空を見上げていたのはかなり驚きでした。普段、クレムリンにいるとそうした音を聞いたことがないようでもありました。トランプ氏がフォローのように歓迎だ歓迎だみたく言っていて落ち着いていたようです。
さらに、記念写真台の左右に飾られていた米軍の戦闘機も新鮮な光景でした。西側諸国への宣伝なのか、まさかのアフリカなどのロシア寄りの国へのアピールと考えると複雑です。
いずれにしても短時間でしたが、歴史的な光景でした。
恒例の遅刻
トランプ氏というか米国側は遅刻はほぼないようですが、ロシア側は30分ほど遅れて来たようです。カムチャッカ火山の影響かわかりませんが、遅れてきてじらすと言う日本で言うならば、昭和の作戦なのでしょうか。
駆け引きに強いトランプ氏も予想していたのか、エアフォースワンから降りずにベットで寝ていたのかもしれません。
ちなみに安倍晋三元首相と地元で会談をした時は山口宇部空港(UBJ)には2時間40分遅れて来ているので、それと比較すると米国となめ具合が違うのかもしれませんが。その差2時間10分です。
宇部空港とアンカレッジ空港もあまりマイル数は変わらないので不思議であります。
アンカレジはモスクワとワシントンとではどちらが遠いのか
さて、今回、両氏はおそらく首都の執務室からアンカレジに向かったとも思われます。少なくともトランプ氏側はそのようであります。ワシントンD.C.とモスクワからのアンカレッジの距離を比較してみました。
ワシントンD.C.から

トランプ氏の動静は開示されており、エアフォースワンではアンドルーズ統合基地からアンカレジのエルメンドルフ・リチャードソン統合基地まで飛んでいるようで、区間マイルで言うと3,376マイルであり、東京からクアラルンプールに行くぐらいの距離であります。時間にすると偏西風を向かい風にするので9時間ぐらいは少なくともかかりそうです。
モスクワから

色々記事を調べてみると、プーチン氏はオホーツク沿岸の街で視察をした後にアンカレジに向かっているようで、モスクワからダイレクトではないと言う事でもあり、クレムリンからどこの基地から専用機に乗ったのは定かではありません。
そもそも有事と言う事でロシア国内を転々としている可能性もあるので何とも言えませんが、モスクワからアンカレジのエルメンドルフ・リチャードソン統合基地を出してみました。
まあ、オホーツク沿岸の街の視察はカムチャッカ半島の噴火もあり、テクニカルストップがあるので内政を鑑みて、自身が顔を見せたいと言った結果かもしれませんが。
SVOからのダイレクトの区間マイル数は4,343マイルであり、アンドルーズ統合基地からは1,000マイルほど遠く、ワシントンの方が近い結果となります。
古の時代にはモスクワからはさらに遠いので、ベーリング海を挟み、さらに遠いので、当時はアメリカ合衆国に売却となったのも理解できてしまいます。
であれば、カムチャッカ半島含めて以南を日本に3兆円ぐらいで売却してくれないかと思ってしまいます。今だとウクライナ戦費に充当されてしまうので厳禁となりそうですが。
もともと、領土だったところに金を払うのはいささかですが、戻ってくるとないとでは随分迫られる判断もあり、良い結果もありそうです。
トランプ氏はそんなこともあり、遠いところから来たので、「遠いところわざわざ良くわかんない場所に来てくれてありがとう、乗ってけ」という商売人根性でビーストに同乗させたのかもしれません。そこは何となく人情的にわかりますが。
トランプ氏は関税を吹っ掛けたり、意味不明ですが、接近戦でこそ勝負しがいのある人かもしれません。まあ、ミレニアムを跨いで覇権しているプーチン氏にも良い歳なので、鈴をつけることができる唯一の年上の人かもしれません。トランプ氏も良い歳ですが。
まあ、プーチンとトランプの同じ時代の活動を見ると随分差はありますが、世界一の世論をあおってきたと言う意味ではトランプ氏は人数比ではすごいかもしれません。
最後に

淡々とした会談後はそそくさとプーチン氏はロシアに帰国しますが、その道中は米軍機の最新鋭の戦闘機にベーリング海の国境まで擁護されて帰国すると言う何とも不思議な光景でした。そのまま撃墜したら世界はどうなるのかと言うのもあります。
ただ、アメリカ側では戦略爆撃機を空中に滞在させていたと言う記事もあり、親分同士の会談では、事前に双方で砥石に水がかかり、石の屑が出で、磨きがかかっていた状態で臨んだのかもしれません。なかなか、鞘を抜けない侍のようであり、アメリカはこういう場面ではすごいですね。