
ANAマイレージクラブの国際線特典航空券(ANA便と提携航空航空会社)のねじれ現象をポジティブに考えてみました。
スタアラ特典の方がなぜお得なのか

まずは、修行僧だと誰もが目指すクアラルンプールまでの特典片道です。しかも今回はヒジネスクラスです。
羽田からクアラルンプールまで乗り換えなしの直行便です。機材は788であり、ビジネスクレードル(リクライニングシート)と往年の763修行を彷彿とさせます。乗り換え不要であり、深夜に機内で過ごすので現地での時間は有効活用できます。弾丸旅でも朝から晩までフルに現地観光が出来そうです。
ただ、ビジネスクラスの深夜便は離陸後の食事は簡素であり、朝は朝食なのでシンプルです。ほぼ同額の深夜便と昼便の運賃を考えるとTime is money 以外はメリットは少なさそうです。
そして、マイル数はハイシーズンと言う事もありますが、47,500マイル。手数料その他の持ち出しは21,050円です。うーん、なかなかハイシーズンのビジネスクラスはマイルがかかりますね。

一方で、スターアライアンス特典を調べてみるとシンガポールを経由してクアラルンプールに至るルートです。こちらは日中便であり、羽田を11時前に出発し、クアラルンプールには20時前に到着と日中をほぼ機内で過ごすルートです。
羽田からシンガポールまではANAのB787-9であり、シートはビジネススタッガードです。このシートはフルフラットで横になれます。また、機内食については日中便と言う事で、フルコースも堪能できます。
そして、シンガポール・チャンギ空港では75分の乗継とスピーディーにクアラルンプールに向かうこともできます。早いのは良いのですが、折角のビジネスクラスなのでチャンギ空港のシルバークリスラウンジを堪能したいところではありますが。痛し痒しです。
クライマックスはチャンギ空港からクアラルンプール国際空港まではシンガポール航空のビジネスクラスで新しい方の機材であるA350-900であります。乗り継ぎもあり、トータルでは時間はかかるものの、こちらの方が優雅さがある旅となりそうです。
何よりも、マイル数はスターアライアンス特典であり、シーズナリティがないため、31,500マイルとなっています。手数料その他の持ち出しは22,440円とクアラルンプール直行ルートよりは1,390円の差に留まっています。同じ日でマイル数が少ないと絶対にこちらの方が時間に縛られなければ、絶対にお得というねじれが発生しています。
急がば回れ
この2つのルートを比較すると、直行便で手間なく、時短できるにもかかわらずマイル数は高いルートと、遠回りではあるもののマイル数が少なく、フライトの8割がANA便と言うルートであります。
機材を見てもシンガポール便の方が良いですし、機内食も昼便の方が良く、おまけでシンガポール航空のビジネスクラスもついてくると言うメリットがあります。まあ。これはマイル修業をする人限定の視点かもしれませんが。
まさに、急がば回れであり、マイル数を節約でき、豪華なラインナップとなっています。ANA国際特典航空券のマイル数引き上げばかりに目が行きますが、シーズナリティのないスターアライアンス特典航空券にANA便を多分に含むルートだとお得と言えます。
まあ、空いているかという問題は有りますが、日本を離れれば、シーズナリティと言うのはあまり関係なくなるので、調べてみるのが一番かもしれません。
検索結果で同時に出てくるのが妙であり、直行便に捕らわれずに冷静に判断すると良いかもしれません。
長距離ビジネスクスルートもマイル数を低く

続いては海外のルートでの特典航空券の片道ルートの例です。南アフリカのケープタウンからドバイまでのルートです。
喜望峰にも車で2時間ぐらいで行けるケープタウンからインドのムンバイも近いドバイまでのルートであります。世界地図で見るとかなりの距離がありそうですが、ケープタウンからアディスアベバまでが3,237マイルであり、アディスアベバからドバイまでは1,563マイルであり、トータルでは東京からシアトルやシドニーに行くぐらいのフライトです。
まあ、個人的には嫌な思いをしたので、アディスアベバを経由するのは避けたいところでありますが、スターアライアンス特典では以下のルートが出ています。アディスアベバと言う事で、スターアライアンスのどのキャリアは察しがつくと思います。

と言う事で、エチオピア航空同士の乗継のビジネスクラスであります。ただ、機材はケープタウンからアディスアベバまでがB787-9であり、アディスアベバからドバイまではB777-300ERという豪華機材であります。同社ではB737MAXが多い中、ワイドボディ機材同士のつなぎであります。
乗継時間は半日以上あり、アディスアベバ空港でエチオピア航空同士の乗継なので無料でホテルを用意してくれます。ビジネスクラスなのでエチオピア航空自前で運営の空港から近い、大きなホテルが用意されそうです。個人的にはそんな良い思いをしたことはないですが。
今回、特筆すべきはマイル数がフライトマイルで4,800マイルあるにもかかわらず、必要なマイル数はビジネスクラスで30,000マイルであります。先述の東京からクアラルンプールまではフライトマイル3,300マイルくらいで必要な31,500マイルかかりますが、それよりも低くなっています。
これは同一ゾーンないと言うのが大きいと言えます。ANAスターアライアンス特典ではアフリカと中東は同一ゾーン内であり、大きなアフリカと南北に長いアラビア半島が同一エリアとなっています。また、ゾーン内で最大限活用できる位置関係に大きな都市があり、スターアライアンス便が就航しているのも活用しやすい点かもしれません。
また、キャリアの違いがキャッシュアウト抑制にも貢献します。ケープタウン発だと地元のキャリアである南アフリカ航空が選択肢の筆頭になりそうでありますが、ドバイまで乗り継ぎでルートが出てくるのは稀有であります。カイロまで行くのであれば出てくるのですが、もうひとつ問題があります。燃油サーチャージなどの手数料が南アフリカ航空は高い点です。

御覧の通り、エチオピア航空同士の乗継旅程ではキャッシュアウト総額は8,580円であり、マイル数も30,000マイルなので利用しない手はないと言うところです。
まあ、安かろう悪かろうはありますが、ビジネスクラス同士の乗継をアディスアベバできちんと調べて観光できれば、コストセーブはこの上ないところです。
アフリカのルートはフルサービスキャリアが大半であり、有償では結構お高く留まっています。有償でプレミアムポイント修行をするのがバカバカしくなるくらいです。まあ、昔は台北発券の香港乗り継ぎの南アフリカ航空とか結構、PP単価は良かったのですが。
今は特典航空券をアフリカ大陸内を活用する時期かもしれません。
最後に

今回はANA国際線特典航空券改定に伴う、悪い点と言うか改定の中で発生した良いネジレを考察してみました。ANA便オンリーではシーズンによっては、アッパークラスのマイル数高騰がフィーチャーされていますが、ハイシーズンかつ、スターアライアンス便でANA便が旅程の大半を占めるような旅程を選択すると逆にマイル数が少なくお得な路線もあります。
また、今回から片道となったことで来た道は戻らないような旅をする人にとっては片道特典は魅力的でありますが、その片道の発券の仕方も同一ゾーン内のマイル数の低さを活用して、同一ゾーン内の際と際を接続するようなフライトが多い大陸を利用すると言うのも新たなメリットかもしれません。
「暗いと不平を言うよりも・・・」、と言うか「駄目だと言うな、それよりもいい案を出しなさい」みたいな貪欲な探求心が必要なのかもしれません。
今後、塞がれてしまうかもしれないので、今のうちに醍醐味を味わうのが良いと言えます。