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プライオリティパス・バブル終焉か? 国内利用の機会が大幅減となる可能性が

プライオリティパスの日本国内での利用機会が大きく減る可能性があるので考察してみました。

大手カード会社2社が同日にプライオリティパスの日本国内での利用制限を発表

JCBと三菱UFJニコスの2社は2024年9月2日にプライオリティパスの日本国内での利用について、同年10月(MUFGニコスは1日から、JCBは31日20時から)利用を制限することを発表しています。

各社の発表文は以下のとおりです。

MUFGニコス

三菱UFJニコスでは、プラチナ会員さまにフライト前のひとときを空港ラウンジでお過ごしいただくため、プライオリティ・パスを無料でご利用いただいておりますが、昨今、空港における飲食店舗やリフレッシュ施設等でのプライオリティ・パスのご利用が大変増加しております。
それに伴い、本サービスに関連するコストが増加しており、本サービス自体のご提供を続けることができなくなるおそれがございます。

そのため、三菱UFJニコスおよびフランチャイジー各社のプラチナ会員さまがお持ちのプライオリティ・パスは、2024年10月1日より、無料でのサービスのご提供を空港ラウンジのみといたします。

飲食店舗やリフレッシュ施設等でご利用された場合、ご利用料金を負担いただく場合がございますので、あらかじめご留意ください。
何卒、ご理解賜りますようお願い申しあげます。

取り扱い国際ブランド AMEX

JCB

JCBカードのザ・クラス会員、プラチナ会員、ゴールド ザ・プレミア会員の付帯サービスである、プライオリティ・パスについて、2024年10月31日(木)よりプライオリティ・パス旅行特典のご利用に関する改定を実施いたします。

2024年10月31日(木)7:59PMまで    プライオリティ・パス社が提供する国内・日本国外のすべての提携施設が利用対象
2024年10月31日(木)8:00PM以降    プライオリティ・パス社が提供する国内の「ラウンジ」施設および、日本国外のすべての提携施設が利用対象
2024年8月時点で国内の「お食事」「リフレッシュ」「休憩」等に該当する施設は利用対象となりません
利用対象とならない施設は、プライオリティ・パス社ウェブサイトのラウンジ情報にて「お食事」「リフレッシュ」「休憩」のカテゴリに表示される施設を指します。詳細はhttps://www.prioritypass.com/ja/をご覧ください。

MUFGはきちんと理由を利用者の増加によるコスト増により、サービスが維持できない可能性があると書いており、JCBは利用できる内容の変更のみに突起していますが、どちらにしてもクレジットカード(特にプレミアムカード)の採算を悪い方向に向かわせているのは必須と言えます。

今のところ、上記2社であり、SMBCカードやクレディセゾン、エポス、TRUST CLUB、UC、ジャックス、オリコ、楽天カードなどは発表していないものの、使い放題のプライオリティパスが利用できるカード会社は追随する可能性があります。

また、今回の制限は日本国内のプライオリティパスで利用できる空港ラウンジ以外の飲食店やリラクセーション施設に限られているので、海外に行けば、シドニーの空港などの飲食店はこれまで通り利用できることとなります。

日本国内で取り扱い制限を入れ始めた背景

高額な年会費を払い利用できるプレミアムカードの特典の一環としてプライオリティパスが付帯されており、年々、クレジットカードの年会費が上昇しているなかで、2社のクレジットカード会社はケチ臭いと思ってしまいますが、以下の要因があり、切実な問題なのかもしれません。

  • 近年、日本国内線空港でプライオリティパス対象店舗が急拡大
  • 国内線の航空運賃単価は数千円から3万円ぐらい
  • LCC利用でも利用可能
  • 何だかんだで人口1億人以上の日本は国内移動は大きい
  • 空港で店舗を持つ事業者にとって、プライオリティパスは経営安定につながる

以上の要因があり、それぞれ考察してみます。

日本国内線空港でプライオリティパス対象店舗が急拡大

ねぎ焼き ぼてぢゅう

まず、これが一番大きい原因と言えますが、近年、日本国内の空港特に、国内線エリアにおいてプライオリティパスが利用できる飲食店、リラクセーション施設が急に拡大したと言えます。これまでプライオリティパスと言うと海外に行った際に空港ラウンジで利用できるものと言うイメージがありましたが、2022年くらいからプライオリティパス運営のコリンソングループがアジア最後の聖地である日本への進出強化なのか急拡大しています。

これまでは羽田空港や成田空港の国際線エアサイドでのラウンジのみであり、国際線利用と言うのはそんなにないので利用料を負担するクレジットカード会社にとってはそれ程気にならなかったのかもしれません。

ところが、日本国内線エリアで利用が多い空港(羽田、成田、伊丹、関西、セントレアなど)で飲食店が利用できるとなるとここは大きな変化が出ています。日本から海外に日々行く人と国内で飛行機を利用する人では圧倒的に後者の流動が多く、利用は増えることは安易にも想像できます。しかも、定期的に仕事で利用する出張利用者が多い国内線となれば、その利用頻度かさらに拡大します。

単価の安い国内線運賃からの手数料はわずか

そして、2点目でありますが、プライオリティパスは基本的に航空機に搭乗する人が出発する空港で対象施設が利用できることとなります。国際線の場合はソウルや台北は別としても基本的には国際線の運賃は10万円以上となり、お金持ちであればビジネスクラスで単価は50万円とかなります。

そうすると、クレジットカード会社としては決済してもらうと手数料がそれなりに入ってきますが、国内線の場合は安い時期は数千円であり、出張で経費で乗れたとしても3万円くらいであることが大きく、入ってくる手数料収入が低い中、プライオリティパス利用では3,500円/店舗ぐらいは持ち出していくとなると、本来は儲かるはずのプレミアムカードの収益力がプライオリティパスで脚を引っ張ることとなってしまうと見えます。

LCCは国際線でも大赤字

また、国際線については運賃の高いフルサービスキャリアよりは隣国ではLCCを利用するケースの方が合理的であり、LCC集積の成田空港などでLCC利用者の方が多いと言えます。そうした中で、プライオリティパスにて飲食店利用の後にラウンジ利用となるとダブルスコアで利用料を負担することとなります。LCC運賃が7,000円でその数パーセントがカード会社の収入であるのに対して、プライオリティパスに支払う負担は7,000円ぐらいとなると大変な逆ザヤとなってしまいます。

人口の多い日本は国内移動が多い

3点目は何だかんだ行っても日本はまだ1億2,000万人以上の人口があり、高齢化している点であります。1人当たりのGDPはカナダやオーストラリアよりも低く、平均年収では韓国よりも低くなっていますが、人口は1億人越えであり、高齢者が多いとなるとある程度お金が使える人が多いのも事実であります。

ただ、高齢者になるにつれて移動の範囲は限られ、国内線の移動がメインとなってくるところであります。クレジットカード会社にとっては国際線をビジネスクラスで利用して海外の高級ホテルを円安の時期に滞在して欲しいところでありますが、それと反して国内で低単価の航空券でプライオリティパスを利用されるやはり大打撃と言えます。

店舗にとっては経営の安定

風の湯

そして、4つ目は視点が異なるのですが、飲食店やリラクセーション施設側にとっての視点であります。空港内で飲食店やリラクセーション施設を運営する事業者にとっては、空港へのテナント料のほか、リラクセーション施設(たとえば、セントレアの風の湯)であれば、水道光熱費が莫大にかかると言えます。今日はお客さんが少ないので浴槽の水位を半分に、サウナの温度はいつもの半分の40℃にすると言うわけにはいきません。

そうした中で、プライオリティパスの来客は神様に近いのかもしれません。基本的に飛行機利用であり、時間が限られているので回転は早そうであります。何ならサウナに入らずに原価1,000円もかからない食事だけして、お好み焼きやハンバーガーに急いでもらう方が3,500円ぐらいの収入に対して、願ったりかなったりとも言えます。

プライオリティパス以外の来客の方がもしかしたら、単価は良い可能性もありますが、逆に低くなる可能性もあります。プライオリティパス利用者であれば、リミットぎりぎりまで使うでしょうし、それ以上となる可能性もあり、事業者側にとってもそれが繁盛店につながり、企業の成長に大きく寄与するかは不明かもしれませんが、経営の安定性としては抜群なので頼ってしまう事となります。プライオリティパス利用者は食い逃げをするようなこともまずないですし。

以上のことから、コリンソングループが日本においてプライオリティパスの利用機会を拡大する時点である程度、予想はできていたのかもしれません。ANAトクたびマイルで3,000マイルと数百円の空港施設利用料などで、3店舗梯子を無料でできてしまうと言うのが異常だったので、クレジットカード会社にとってはすぐにでも止血したいと言うのはわかる気もしますが、高いクレジットカード年会費ではデグレとなるので、もう少しやり方はなかったのかと思います。

1フライト1空港1店舗制限

MUFGニコスとJCBの発表は実質的にプライオリティパスでの国内線利用に伴う特典が閉鎖されてしまうこととなり、大出血サービスは終了となり、採算改善につながると言えますが、利用者にとっては大きな不満が募ることでしょう。

各カード会社でプライオリティパスの影響の多寡があり、完全定額を維持しても利益影響は軽微として継続する会社もあるかもしれません。ただ、それを狙って、カード会社をホッピングしてくる利用者が増えるとその限りではなくなるとも言え、年会費がアップしたりと昔から利用している人にとってはいい迷惑かもしれませんが、市場とはそんなものかもしれません。

プライオリティパス側のシステムもありますが、1フライト1空港1店舗制限とかという仕組みが出来れば、もう少し、国内線でもプライオリティパスは良いものと言う印象があるかもしれません。フライトの前に2から3店舗も巡って粉ものや脂っこいものを食べまくるのは健康的で文化的にはどうかと思うので、こうした方策もできれば良いのかもしれません。

最後に

プライオリティパス 味噌カツ

日本国内線におけるプライオリティパス・バブルが遂に弾け始めています。プライオリティパスの世界戦略、クレジットカード会社のビジネスモデル、日本という特異な市場環境、LCCの台頭、パンデミックを経験しての空港での店舗経営の難しさなど考えるとこうしたことは起きるべくして起こったと言えそうです。こうしたネジレの狭間で文字通り、二度も三度もお腹いっぱいになった利用者もいるかと思います。

今回の件は、クレジットカード会社にはポジティブですが、プライオリティパスにとってはネガティブ、空港店舗についてもプライオリティパスに頼らない集客が必要になり、緒戦はネガティブと言え、集客と単価戦略の再考が迫られます。プレミアムカード保有者にとってはメリットは減るので保有カードの見直しが進むかもしれません。カード争奪戦争がプレミアムで進みそうで、web、動画サイトで活況の契機となるかもしれません。

プライオリティパスの利用レポートは以下にまとめています。

プライオリティパス

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