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株主優待割引魅力薄れと言えども、やはり重要

航空会社の株主優待券のチケットショップでの価格の低空飛行が続いていますが、その理由とそれでもやはり重要と言う事についてまとめてみました。

株主優待割引運賃の魅力は薄れている

最近の日経の記事に以下のようなものがありました。

www.nikkei.com

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その記事ではANA HDやJALの株主が手にした株主優待をチケットショップに売却しようにも、買値が安すぎると言う話と、買い取って二次流通で販売しても500円から1,000円台に値付けしても売れ残っていると言う現象が起きていることに触れ、その要因として以下を指摘しています。

  • 航空会社自体が国内線タイムセールを頻繁に実施
  • 株主優待運賃の提供座席数を年々狭めている
  • LCCの認知度向上と普及

タイムセール

航空券タイムセールは毎月のように行い、たしかに7,000円で大阪に行けたりするのは便利であります。ただ、数か月後の先の話であり、この裏には航空会社が早く手元に現金を手にしたいと言うところもあり、ハンデミックで大ダメージを受けたので理解できるところでもあります。

提供座席数

そして、提供座席数問題については何年か前にそれまで青天井だった座席数を制限しだして、それが年々枠を狭めているのは確かに実感できます。

繁忙期には他の運賃が残席数表示になっていなくても、満席となっており、空席待ちさえないと言うところであります。

個人的にはANAダイヤモンド会員なので空席待ちなどでは有利なのですが、それさえ受け付けないと言うのは、繁忙期に余程、絞っているように感じます。まあ、半額で売るよりも高い運賃で書き入れ時に稼ぎたいのも理解できますが。

ただ、ANA HD株主総会では個人株主が株主優待の運賃での予約の取りづらさを直訴しているくらいであり、やり過ぎ感も感じるのは否めないです。

LCC

LCCについては、黎明期には安かろう狭かろう、トラブル時には金が戻ってこないと言う先入観がありましたが、今では地方空港と首都圏を格安で結ぶライフラインと言っても過言ではなく、スマホを使いこなす人にとっては鉄道よりも使いやすい交通機関となっているとも言えます。

それでもやはり重要

同記事での締めくくりでも言及していますが、優待券の価格は現在の500-1,000円以下にの紙切れになることはないと結んでいます。その理由としてはプレミアムポイントなどのマイル修業であります。

理由は簡単で、当日でも購入することができ、便変更などの手数料がかからず、運賃はタイムセールと比較すると高めでありますが半額であり、マイル積算率が高く、全国どこの路線でも利用可能となると、マイル修業の選択肢が広くなります。

また、今のように低価格でチケットショップで購入できるとなると優待利回りなど気にしながら株式購入するよりも、チケットショップで優待券を買った方がメリットがあると言えます。もしかしたら、配当を含めても株式を購入せずに、金券ショップで優待券を購入する方がメリットはあるのではと感じてしまいます。

チケットショップで北里柴三郎1枚でふらっと購入して、そのまま空港に行き、ふらっとマイル修業が出来るのは、特にこれからの第三コーナーを廻った時期のようにマイル修業ぎりぎりとなると重宝されるので、マイル修業をする人にとっては世間一般的に株主優待割引魅力薄れる程、重要となり、マイル修業者には魅力が高まると言えます。

どれぐらいの単価なのか

マイル修業をする人にとっては単価と言うのもがあります。それは上級会員になるためのポイント(ANAではプレミアムポイント/PP、JALではFLYONポイント/FOP)を稼ぐためにいくら費用が発生するのかという単価があります。これはPP単価やFOP単価であります。

PP単価=1航空券当たりの運賃/稼げるプレミアムポイント

この単価が0円に近くなるほど、効率性が高くなり、安く上級会員になれることになれます。自動車の燃費に近いとも言えます。

さて、では株主優待を利用した場合の単価はどれぐらいか確認してみます。羽田発着の国内主要都市の単価を比較してみます。

株主優待普通運賃

まずは普通席の株主優待運賃(75%+400PP)となります。

  距離マイル 運賃+優待コスト PP PP単価
稚内 679 28,870 1,418 20.36
札幌 510 24,390 1,165 20.94
函館 424 22,520 1,036 21.74
小松 211 16,120 716 22.51
名古屋 193 14,010 689 20.33
大阪 280 16,960 820 20.68
岡山 356 21,420 934 22.93
広島 414 21,620 1,021 21.18
松山 438 22,720 1,057 21.49
福岡 567 26,380 1,250 21.10
長崎 610 27,720 1,315 21.08
鹿児島 601 27,670 1,301 21.27
沖縄 984 29,160 1,876 15.54
石垣 1,224 39,920 2,236 17.85

以上の平均PP単価は20.64円/PPであり、国内の株主優待では20円ぐらいのマイル修業となります。そんな中で偏差値が高いのは沖縄那覇が15.54円/PPであり、国内はマイル修業はここにありと言うのが良くわかります。ISGも単価は良いのですが、供給数に限りがあると言えます。

また、沖縄の場合は、ロンドン発券とブダペスト発券ぐらいの差があるとも言え、そうした事情もあるのかもしれません。

株主優待プレミアムクラス運賃

続いてはプレミアムクラスの株主優待運賃となります。こちらの積算率は125%+400PPとなります。

  距離マイル 運賃+優待コスト PP PP単価
稚内 679 35,870 2,097 17.11
札幌 510 38,390 1,675 22.92
函館 424 29,520 1,460 20.22
小松 211 21,120 927 22.78
名古屋 193 21,010 882 23.82
大阪 280 26,960 1,100 24.51
岡山 356 28,420 1,290 22.03
広島 414 31,620 1,435 22.03
松山 438 32,720 1,495 21.89
福岡 567 40,380 1,817 22.22
長崎 610 37,720 1,925 19.59
鹿児島 601 37,670 1,902 19.81
沖縄 984 43,160 2,860 15.09
石垣 1,224 53,920 3,460 15.58

こちらの全体平均は20.96円/PPであり、1フライトの持ち出しはあるものの、5万、10万PPまでの目標点としてはプレミアムクラスも普通席も大差はないと言う結果になります。それであれば、シートが大きく、シートピッチも広く、食事付きのお酒飲み放題のプレミアムクラスの方が朝昼晩の食事代を考えると全国路線を選択としても良いと言えます。

そして、ここでも極立つのが沖縄と石垣であります。普通席と同じロジックですが、単価は普通席よりも良いと言う結果となります。沖縄那覇路線は座席数が多いので、困ったときのマイル修業僧+株主優待+プレミアムクラスという構図が明らかになります。

稚内も単価は良いので、のんびりしたいところではありますが、供給数やラウンジがないなど現実的なところに引き戻されますが、まあ、どうなんでしょうね。

最後に

株主優待の魅力は薄れても、薄れれば薄れるほど、その逆張りでメリットを享受しようとする人がいます。ANAにとっては株価急落の局面で塩漬けにしたり、バリューとしてエントリーする個人株主が増えるのは株価安定としては基本的には良いと言えますが、株主優待コストは個人株主が増えるとそれだけコストとして経営にのしかかると言えます。そのため、株主向け座席提供数を少なくすればコストは減るものの、株主にとっては総還元性向みたいな値は低くなってしまい、重要なステークスホルダーとの関係性もあります。

そうした中で、ハイエナと言うか便所虫と言うか、残り物のメリットを目ざとく食い尽くすマイル修業僧が存在するので、企業側にとっては増収増益が出来ているのかもしれません。まあ、増収増益となれば、株主にとっては配当やバイバックされる機会が多いのでそのメリットはあるとも言えます。株主優待ありきで株を購入して優待券の売却益が出ないと嘆くのもありますが、そんな紙くずに近い優待券を買って、沖縄往復をするマイル修業僧がいるからこそ、業績に貢献して、株主には還元があるとも言え、ある意味、リアルな生態系とも言えます。

株主優待運賃は海外発券の航空券と比較するとPP単価と20円台とわざわざ海外に行くよりは、コスパとタイパを組み合わせたパフォーマンスは良いと言え、何かあったら、そうだ沖縄に行こうと言うのが王道であり、永遠に不滅(やめないでくれよと掛け声がありそうですが)なのかもしれません。この構造は意外と不思議な組み合わせで成り立っていることの象徴かもしれません。

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