伊丹空港から成田空港までボーイング777-300ER(国際線4クラス機材)運航のNH2176便のプレミアムクラスに搭乗しましたので、お伝えします。
プレミアムクラス
プレミアムクラスはANAが国内線で提供している上級クラスのことを言い、飛行機前方に設置され、乗り降り(特に降りるとき)に便利であり、座席も普通席よりも広くゆったりと設置され、機内食やアルコールを含めたドリンクサービスが提供されます。新幹線でいうとグリーン車のような一等席にあたります。プレミアムクラスはそれ以前のスーパーシートプレミアムからグレードアップ(お値段も)するかたちで2008年4月から提供されています。
普通席運賃との値差
ルートや割引運賃などに差はありますが、1便あたり6,000円から9,000円程度高くなります。
チェックイン
ANAマイレージクラブの上級会員やスターアライアンスゴールド会員でなくても、プレミアムクラス専用カウンターでチェックインができます。また、手荷物は40kgまで預けられるほか、新千歳空港、羽田空港 第2ターミナル、伊丹空港、福岡空港国内線旅客ターミナルビルで出発の際に、プレミアムクラス専用の保安検査場を利用できるので繁忙期に手荷物検査で乗り遅れるとハラハラすることもなくなります。あまりにぎりぎりに空港に着くとプレミアムクラス専用の保安検査場であってもハラハラすることがあるかもしれませんので、早めに空港に着くようにした方がいいと思います。
ラウンジ利用
ANAのホームページによると、国内線のラウンジをプレミアムクラス利用の本人に加え、同行者1名まで利用可能とのことです。利用できるラウンジは以下の通りです。
ANAホームページより
羽田・成田*1・伊丹・関西・札幌(新千歳)*2・仙台・小松・名古屋(中部)*3・岡山・広島・松山・福岡・熊本・鹿児島・沖縄(那覇)
*1 成田空港では、国際線の到着ラウンジ(ANA ARRIVAL LOUNGE)を国内線出発ラウンジとしてご利用いただけます。
*2 新千歳空港ANA LOUNGEは、9月初旬までリニューアル工事のため閉鎖いたします。
*3 名古屋(中部)空港では、共有ラウンジがご利用いただけます。
優先搭乗
プレミアムクラス搭乗の場合、普通席の搭乗客よりも早く機内に乗り込むことができます。優先順位は以下の通りです。
- 事前改札サービス(小さな子供連れの方、妊娠されている方、お手伝いが必要な方)
- ANAダイヤモンドサービス会員
- ANAプラチナサービス会員、スーパーフライヤーズ会員、スターアライアンスゴールド会員、プレミアムクラス利用者
- 普通席
と3番目になります。1と2の方は路線に寄りますが、それほど多くないので、混雑する前に機内に向かうことができます。プレミアムクラス自体ゆったりとしており、機内持ち込み荷物の収納に困ることも少ないので、ラウンジを搭乗締め切り時間ぎりぎりまで堪能する人も多いようです。
プレミアムクラスのシート
現在プレミアムクラスで提供されているシートは6種類あります。
もっともメジャーなシート
(写真はANAホームページより)
プレミアムクラスに搭乗するともっとも座ることができるシートでプレミアムクラスのシートの中では新しいシートの部類に入ります。シートピッチは50インチあり、革張りのシートです。リクライニングは手動式で、ひじ掛けについているレバーで調整します。リクライニングを一気に戻すとバタンと大きな音が出たりします。電源設備はコンセントとUSBポートがついています。大型機ボーイング777-300,777-200,787-9,787-9に主に設置されています。
エアバスA321に設置されているシート
(写真はANAホームページより)
2016年から納入されたA321ceoに設置されたシートで2-2配列の2列設置され、機体あたり8席が用意されています。最新式のプレミアムクラスシートのためリクライニングは電動式で、電源設備はコンセントとUSBポートがついています。A321ceoは四国方面で運用されていることが多いですが、全国各地で運用されていますので、遭遇する機会もあると思います。
ボーイング787に設置されているレアシート
(写真はANAホームページより)
ボーイング787が世界で初めてANAが就航時に国内線専用のボーイング787に設置したシートです。国際線のビジネスクラスのシートであるANA BUSINESS CRADLEと同じシートです。期間限定ということですが、まだ、ホームページにも掲載されており、運用されているようです。シートピッチは57インチともっとも広く、電源設備はコンセントとUSBポートがついています。また、シートモニターも設置されており、当日のフライトの運用に寄りますが、ルートマップやシートテレビで番組プログラム(映画などはない)が視聴可能です。
ボーイング737型機に設置されているシート
(写真はANAホームページより)
このシートはプレミアムクラス開始当初に小型機向けに設置されたシートです。シートの生地はファブリックで、パーソナルライトがついているほか電源コンセントもついています。最近は先述した革張りのもっともメジャーなシートに置き換えされており、遭遇するのは珍しくなっている可能性もあります。
ボーイング767型機に設置されているシート
(写真はANAホームページより)
このシートもプレミアムクラス開始当初に設置されたシートです。シートの生地も同じくファブリックですが、電源コンセントはついていません。最近は先述した革張りのもっともメジャーなシートに置き換えされており、退役が近いボーイング767-300に設置されているようです。ちなみにボーイング767では、プレミアムクラスのシート配列は2-1-2となっており、通路側真ん中のシートは1人掛けと珍しい設定です。
ボーイング777に設置されているシート
(写真はANAホームページより)
プレミアムクラスのシートの中では最も歴史のあるシートです。シートピッチは50インチあり、シート生地はファブリックで、電源設備もありません。このシートはプレミアムクラス以前のスーパーシートプレミアムと形状は全く同じです。シート生地を以前のものから変更して、シートピッチを再調整(38インチ→50インチ)して、プレミアムクラスとして提供されたシートであり、当時、広告の仕方で色々と話題なったことを思い出すシートです。臨時便で遭遇する確率が高く、退役が近いボーイング777-200型機でよく見かけます。
機内食・ドリンク
食事
(ANAホームページより)
プレミアムクラスでは、飛行する時間帯によって提供される食事メニューが異なります。10:59までの出発便では朝食、11:00-13:00までの出発便(出発予定時刻が11:00以前の便であっても12:00-13:00の間を30分以上(予定)飛行する便も含む)では昼食、13:01-16:59までの出発便では軽食、17:00以降の出発便では夕食がそれぞれ提供されます。
スープ
きのこポタージュスープ、ANAオリジナル ビーフコンソメスープ
このほか、1時間20分以上のフライト区間では、軽いお食事(お湯を入れて出来上がるフリーズドライ製法の食べ物)をリクエストすればいただけます。また、路線によってはアイスクリームの提供もあります。
ドリンク
ドリンクはアルコールとソフトドリンクが提供され、氷の提供もあります。ドリンクに合わせて、米菓やクッキーの提供もあります。
アルコール
アルコールは時期により変更となりますが、下記のアルコールが提供されています。(ANAホームページより)
スパークリングワイン Sparkling Wine
ヴーヴ・オリヴィエ・ブリュット(フランス)
Veuve-Olivier Brut (France)
グレープフルーツのような柑橘系の香りに微かにフローラルなアロマが入り交ります。泡の刺激も心地よく、爽やかな酸味が印象的でフレッシュ&フルーティーな味わいです。
白ワイン White Wine
シャトー・デュ・パン・ブラン 2015 (ボルドー、フランス)
Château Du Pin Blanc 2015(Bordeax, France)
レモンライムやグレープフルーツジュースの爽やかな柑橘系の香り。青りんごやオレンジの皮を剥いた時のようなアフターフレーバーが残るフレッシュ&フルーティーな味わいです。
赤ワイン Red Wine
ラ・ヴィエイユ・フェルム 2015 (ローヌ、フランス)
La Vieille Ferme 2015 (Rhone, France)
摘みたてのチェリーやイチゴの香りが広がります。落ち着いたタンニンと穏やかな酸味が調和してミディアムな味わい。余韻に杉の木のようなニュアンスが漂います。
日本酒
2017年12月から2018年1月
十六代九郎右衛門 特別純米酒 湯川酒造店 長野
創業1650年、木曽路の藪原宿に位置し、古くから旅人の喉を潤してきた地酒です。山深い地にある蔵元らしく、骨太で芳醇な口当たり。 余韻は柔らかくキレがあり、飲み飽きることがない素朴で心が和む味わいです。
2018年2月
羽根屋 純米吟醸 煌火 富美菊酒造 富山
立山連峰の伏流水と富山県産の酒米を用い、手間を惜しまず無骨な酒造りを貫く酒蔵。近年、通年醸造に取り組み、常にフレッシュなお酒を提供しています。まろやかな口当たり、芳醇な余韻が印象的で、後味に透明感があり飲み飽きしない味わいです。
焼酎
夕 -SEKI- /芋焼酎 西酒造(鹿児島)
専用に栽培した「黄金千貫」を使用。柑橘系の香りと甘さ、心地よい味わいです。
ビール・ビールテイスト飲料
アサヒ スーパードライ、キリン 一番搾り、サントリー ザ・プレミアム・モルツ、サッポロ プレミアム ヱビス、オリオンビール、サントリー オールフリー(ノンアルコール) ハイボール 、角ハイボール
ソフトドリンク
ソフトドリンクは以下の通りです。(ANAホームページより)
ホットドリンク
ANAオリジナルコーヒー、TWG Tea ロイヤルダージリンティー、緑茶 "八女茶"(福岡)
コールドドリンク
ANA オリジナルアイスコーヒー、アップルジュース、冷緑茶、コカ・コーラ、ミネラルウォーター
このほかスペシャルジュースも時期やフライトによって搭載されていることもありますので、サービス提供時に確認してみてください。
アップグレード
アップグレード対象運賃によるアップグレード
アップグレード対象運賃では、普通席を予約・購入後事前にANAホームページ等により、プレミアムクラスにアップグレードできます。対象の運賃は以下の通りです。
片道運賃、小児運賃、往復運賃、ビジネスきっぷ、シャトル往復運賃、株主優待割引運賃、身体障がい者割引、介護割引
搭乗日当日に空港でアップグレード
上記の対象以外の運賃(特割や旅割、国際線片道運賃など)でも搭乗当日、出発空港にて搭乗便にプレミアムクラスの空席がある場合に限り、有料でプレミアムクラスへの変更が可能です。料金(一区間ごと)はプラス 9,000円です。また、ANAのプレミアムメンバーについては、アップグレードポイントにてプレミアムクラスを利用可能です。
また、チェックイン時にプレミアムクラスに空席がない場合でも出発時間までに空席ができる場合もあり、プレミアムクラス空席待ちを申請できます。
マイル加算
プレミアムクラス加算率
プレミアムクラスでは、普通席と比較してマイル積算及びANAマイレージクラスプレミアムメンバー(上級会員)になるためのプレミアムポイントがたくさん加算されます。
積算例 羽田=沖縄那覇の場合
運賃名 |
積算率 |
積算マイル |
積算PP* |
プレミアム運賃 |
150% |
1,476 |
3,352 |
プレミアム株主優待割引運賃 プレミアム特割 プレミアム旅割28など |
125% |
1,230 |
2,860 |
基本的な考え方として、普通席加算率+50%がプレミアムクラス搭乗時の積算率です。例えば、株主優待割引運賃は普通席では、積算率75%で、搭乗ポイント400ポイントが付与され、プレミアムクラス株主優待割引運賃では、75%+50%=125%と搭乗ポイント400ポイントが付与されます。
アップグレードした場合にもマイルの加算率もアップ
国際線では、別途料金を支払った場合でもマイルの加算は元々購入の運賃クラスをもとに加算されますが、ANA国内線プレミアムクラスにおいては、有料プラス5,000円から15,000円を支払ってアップグレードした場合、加算率もアップします。アップする加算率は先述した基本的な考え方と同じく+50%加算となります。そのため、マイル修行をされる方にとっては、マイル数が国内では最長の部類に入る那覇線のチケットを格安な旅割運賃や国際線乗継運賃で購入し、当日空港でアップグレードさせることによって、購入した安い運賃+5,000円から15,000円でより多くのプレミアムポイント稼ぐことにより、効率的にプレミアムポイントを稼ぐ人も言います。こうしたことをOKA修行と言ったりします。そのため、事前予約制度が開始した後でも、那覇便ではプレミアムクラスの当日アップグレード争奪戦ともいえる状態となっています。
国際線機材国内線運用
ANAでの運用
国際線機材を国内線で運用されることがあります。臨時便や急な機材変更で国際線機材が投入されることもあります。ANAの場合、国際線機材を見つけるのが結構難しいのですが、おおむね国際線機材が国内線で運用されているルートは以下の通りです。
羽田-関西 NH93/98
成田-名古屋 NH339/338
成田-伊丹 NH2179/2176
国際線機材でのプレミアムクラスは基本的に設定されておらず、ビジネスクラスにあたるシートも普通席として用意されるため、座席指定で前方のビジネスクラス席が開いていたらラッキーと言えます。例外としては成田-伊丹 NH2179/2176については、ボーイング777-300ER運航時、ファーストクラスの8席のみプレミアムクラスとして設定されています。
NH2176/NH2179便のB777-300ERでの運航
NH2176/NH2179便のスケジュールは以下の通りです。B777-300ERで運航の場合は、ファーストクラスの座席8席がプレミアムクラスとなります。国内唯一、食事やドリンクの提供を受けながら、ファーストクラスのシートを堪能できます。
NH2176 |
伊丹→成田 7:50→9:10 |
NH2179 |
成田→伊丹 18:05→19:25 |
※上記路線がほぼ固定で、B77Wで運航されていますが、投入される日とそうでない日があったり、シーズンによっては投入されない場合もまさにレアなスーパープレミアムクラスと言えます。
プレミアムクラス搭乗記
ゲート
搭乗口は11番ゲートです。ラウンジ出口の目前にある10番ゲートは羽田行きのNH14便です。搭乗時間となりますが、伊丹名物のダイヤモンド行列もなく搭乗。いつものプレミアムクラスとは違う空間が待ち構えています。
パーティションで区切られた空間です。ファーストクラスは1-2-1配列の2列で合計8席のみです。
本日座るシートは1Aです。ファーストクラスではきっとすごい人たちが座ったりしているのでしょう。
シート
シートは堂々としたファーストクラスらしいシートです。シートのコントロールは液晶タッチパネルで操作します。
シートピッチは文句の言いようがありません。
これだけシートピッチがあるので、23インチのモニターが小さく見えます。
モニターに手が届かないので、カバー付きのコントローラーで操作します。
映画は視聴不可ですが、ショートプログラムは見ることができました。
小物入れやコンセントも左右にありますが、スペースがゆったりしているため、それぞれ利用する際に窮屈な思いをすることはありません。
アメニティは普通のプレミアムクラスです。伊丹空港の手荷物検査場が混雑のため、搭乗客を待って出発ということで、出発が15分程遅れて出発となりました。個人的にはファーストクラスのシートに長く座っていられるのでラッキーでした。
トーイングトラクターに押され、ボーイング777-300ERのエンジン「GE90」が始動するといつものように機内全体に振動が伝わるかと思うと1Aの席では思いのほか静かです。
物理的にエンジンから離れているということもありますが、窓からシートまでの位置にずいぶん余裕があることや仕切りによる防音効果によるものと思いますが、いつものプレミアムクラスと全く違った印象です。
機内食
離陸して、安定飛行に入るとすぐに食事です。巨大なテーブルはモニターしたから引き出します。テーブルはブルーの鏡面仕上げでモニターがきれいに映りこんでいます。
食事はいつものプレミアムクラスです。朝食ということもあり、軽めです。
スープとすぐに食べ終えてしまえそうなちらし寿司と唐揚げなどです。
食傷気味だったので、丁度よいボリュームでした。
早朝ではありますが、スパークリングワインと白ワインをいただきました。
成田までの時間は限られるため、かなりハイペースで飲む結果となりました。食事はいつもと同じプレミアムクラスの食事ですが、シートや音の静かさの影響からか別なクラスに搭乗している感じをものすごく受けました。
到着
三宅島付近を通過し、成田空港に。出発が遅れたため成田空港には15分遅れて到着。
成田空港では国内線は沖止めが多いのですが、55番ゲートに到着しました。
近くにはSTAR WARSJETのB777-300ERも駐機していました。到着後は昇降繰り返し、到着ロビーに。本日は国内線での到着であり、あとは帰宅のみなので、アライバルラウンジは利用しません(できません)でした。
最後に
遅延もあり、座っていた時間は100分程度でしたが、日本一豪華なプレミアムクラス搭乗を経験できました。普通席で予約して、ビジネススタッガードシートのビジネスクラスもよいですが、食事付きでファーストクラスのシートは国際線に搭乗したような雰囲気を味わえた良いフライトでした。いつかはこのシートにファーストクラスとして搭乗してみたいと感じるフライトでした。