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ANAと名古屋鉄道の不思議な関係

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ANA(ANA HD)と名古屋鉄道(Meitetsu)の関係性を考えてみましたので、お伝えします。

名古屋鉄道 名古屋駅の再開発 未定に

名古屋鉄道は2025年12月12日に名古屋駅前の再開発の未定に変更しました。

news.yahoo.co.jp

計画では名鉄線の地下ホームを4線化して、地上には高さ約170mのビル2棟を建設するという壮大な計画を発表していましたが、担当するゼネコンから人材確保が納期までにできないと言う事でにっちもさっも行かなくなり、当の方人も泣く泣く計画を未定にしたと言う顛末であります。名古屋の高輪ゲートウェイシティとも言える計画が素直に進まなくなってしまった事例であります。

昨今の土木案件では、北海道新幹線は当初計画から10年近く工期が伸び、リニアも建設費が跳ね上がり、名古屋までの開業時期も未定です。北陸新幹線は一度決めたルートでの建設費が想定外に跳ね上がり、建設反対派の勢いが強くなったりとゴールが見えない状態であります。先延ばししてもインフレで建設費が上がるので、ぎゅっと締めて作った方が良いと思うのですが、人が減ると言う萎え萎えなこともあり、未来に希望が持てない最前線であります。

このようにインフレと人手不足で土木・建築界隈は請け負う側が強気になっていると言えます。まあ、ゼネコン側も自分たちで完結することはできないので、曾孫請けぐらいまで調整が大変なのでしょうが。インドに新幹線を輸出するなら、ドバイの摩天楼建設にインドから人財を集めたように集めて欲しいところです。カレーとラーメン食べ放題で施策とかもありかもしれません。

名古屋駅前の再開発を見てみると東海旅客鉄道が20世紀中にJRセントラルタワーズを竣工し、トヨタがミッドランドスクエアを2006年に竣工し、大名古屋ビルヂングが2015年に竣工しており、ある意味、巨大な建造物をお得に建てられた時代で元を取るのも良かったのでしょう。

名鉄駅と地下街は老朽化激しいのですが、タイミングとしてはリーマンショック位の2008年か2009年くらいまでに現在想定された再開発を決断していれば、工期も安く良かったのですが、経営の健全性もあり、なかなか踏み込めず、その後のコロナでさらに先延ばして、抜き差しならぬ現在に至ったのでしょう。

今後の名古屋駅前はいつになるかわからないリニアですが、莫大な新幹線収入を持つ、東海旅客鉄道が確実に再開発はすると思いある程度は活気は生まれると思いますが、名鉄も中京圏の主要交通アクセスとして重要であるので、名駅の活気を握るところでもあり、どうなるのか気になるところです。

鉄道会社のビジネスモデルが揺らいでいる

鉄道会社と言うと線路を引いて、列車を走らせて運賃でチャリンチャリンと言うのが思いつきますが、自動車と道路が普及する以前の時代の日本においても、鉄道以外の事業には積極でした。ある意味、モータリゼーション対策に先見の明があったと言えますが、かろうじてキャッチアップした企業以外はかなり斜陽とも言えます。

以下は日本の鉄道会社の収益(売上高)のランキングであります。

順位 企業名 売上高(FY24)
1 JR東日本 2兆8875億円
2 JR東海 1兆8318億円
3 近鉄グループホールディングス 1兆7417億円
4 JR西日本 1兆7079億円
5 阪急阪神ホールディングス 1兆1068億円
6 東急 1兆549億円
7 西武ホールディングス 9,011億円
8 名古屋鉄道 6,907億円
9 東武鉄道 6,314億円
10 JR九州 4,543億円

トップは首都・東京と首都圏と東北・上越・北陸新幹線をカバーする東日本旅客鉄道がトップとなり、次いで東海道新幹線を保有する東海旅客鉄道であり、3位は私鉄で一番営業キロを持つ、近鉄グループとなっています。

これだけ見ると、やはり列車をたくさん走らせている企業が上位であり、儲かっているように感じますが、各会社の事業ポートフォリオを見ると必ずしもそうではないようです。

上位10社を事業の割合を見ると本業の鉄道と同様に不動産事業の割合が多く、営業利益以下で見てもかなりの利益貢献をしていたりします。不動産開発でも鉄道会社により、都心部の駅前・チカの再開発か沿線郊外の宅地開発と分かれているようです。

加えて、鉄道事業者では特筆すべき点として、近鉄については国際物流が収益貢献が大きかったり、阪神阪急ホールディングスでは、野球球団の阪神タイガースや宝塚といった鉄道とは一見関係ないエンターテイメント事業が大きく貢献していると言う、ポイントもあります。まあ、村上ファンドが物言いをした効果かもしれませんが。

しかし、オートモータリゼーションが訪れる前から私鉄は郊外での宅地開発を進めており、そうした事業推進が今に至っているかもしれません。鉄道事業は明治から昭和初期に大きく伸びたと言っても利益率とかで経営者にとっては次を考ねばならぬ事業だったのかもしれませんね。

一方で、面白いことに、JR東海だけは東海道新幹線の収益・利益貢献が大きいので鉄分高い鉄道事業者とも言えます。赤字ローカル線の距離が短く、儲かる東名阪をフルフルでカバーしているので、驚異的な収益と利益があるからこそかもしれませんね。

そして、国有鉄道であったJRは不動産と言うのは民営化後に許されたところもあり、都心の土地に価値を再認識し、不動産に留まるところなく、流通にも手を伸ばした結果、かなりの成功をしています。ルミネとかはシンボルとも言えます。

このあたりは大都市(東京・大阪圏が強いのですが、九州旅客鉄道は地元の不動産会社のような粘りがあるのかもしれません。JR九州系のホテルが文字通りJR東日本の本社のお膝元に立地されているのもこうしたことを著しているでしょう。

続いては、日本の鉄道会社の時価総額ランキングです。

企業名 時価総額
JR東日本 4兆5,864.3億
JR東海 4兆5,330.3億
西武ホールディングス 1兆4,636.7億
JR西日本 1兆3,881.0億
東急 1兆1,222.7億
阪急阪神ホールディングス 9,810.9億
東京地下鉄 9,054.9億
京成電鉄 6,387.8億
JR九州 6,243.2億
小田急電鉄 6,211.0億
近鉄グループホールディングス 5,593.1億
東武鉄道 5,066.8億
京王電鉄 4,771.3億
京浜急行電鉄 4,151.6億
京阪ホールディングス 3,532.4億
南海電気鉄道 3,273.4億
名古屋鉄道 3,144.3億
相鉄ホールディングス 2,727.5億

投資家の期待の含みでもある、時価総額ランキングは収益ランキングとはかなり違います。上位はワンツーはJR東日本とJR東海ですが、時価総額は収益と違い肉薄しています。

そして3位は西武であります。堤康次郎ここにありきと言ったところですが、プリンスホテルの今後の期待も大きいのかもしれませんね。まあ、今は伊藤忠商事カラーですが、ファミリーマートの源流も西武というのも興味深いところです。

東京地下鉄が最近上場して上位にランクインするのはやはり、東京の都心を網羅と言う存在が多いのかもしれません。400年前の徳川家康のグランドデザインが大きいのかもしれませんね。徳川家康は愛知・三河の人でありますが。

さて、名古屋鉄道の時価総額を見るとランクでは20位が近くであり、収益では8位にランクインしているのと比較すると意外であります。

投資家が鉄道事業に求めるものは何かというのは複雑でありますが、儲かるビジネスモデルを創出している企業が評価されているところでもあります。地域に根差したインフラである鉄道事業と儲かるビジネスと言うのはなかなか企業自体の変革意識とか大変であますが、まだ可能性はあるのかもしれません。

ANAと名鉄の関係

ANAと名鉄の関係については、AIにまとめてもらうと以下のとおりです。

全日本空輸(ANA)の前身は日本ヘリコプター輸送と極東航空で、両社は戦後の民間航空再開を受け1952年に設立された。日本ヘリコプター輸送は朝日新聞航空部出身の美土路昌一・中野勝義らが中心となり、興民社を母体に設立され、財界の支援を受けて事業を拡大。1953年に貨物、1954年に旅客運航を開始した。極東航空は関西を拠点に西日本路線を運航し、後に両社が統合して全日本空輸となった。

戦後のどさくさな時期に事業を拡大し、全日本と言いつつも、西日本が主体であり、名鉄がその後の筆頭株主として関与していくこととなります。

まあ、今考えるとセントレアからNH運航便の就航数や国内就航数がANA HDの出資関係のあるAirDoやソラシドエアにシフトしているのは何とも不思議であります。

現時点の名古屋鉄道の心境はわかりませんが、総代理店の業務ではそれなりにチャリンチャリンがあり、本業のセントレア線の鉄道の収入、そして、持ち株主としての配当収入などもあり、イグジットするかと割り切れない心境かもしれません

さて、ANAホールディングスの主要を株主を見ると上位は以下のとおりです。

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)   15.0%
株式会社日本カストディ銀行(信託口)    3.10%
名古屋鉄道株式会社    1.54%
全日空社員持株会    1.46%

となっています。比率的には個人株主が半数近くと多いのですが、持ち株比率で言うと普段あまり聞かない銀行がワンツーであります。こうした銀行はカストディと言われ、機関投資家などの投資家に代わってその業務を行う専門の金融機関(資産管理機関)を指し、意図をもって投資回収やその企業を支配的にコントルールする存在ではありません。事務代行秘書みたいな存在です。

言い換えるとこうしたカストディが多いのは、海外の機関投資家の株主が多いとも言えます。もちろん、クジラと言われるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や野村アセットマネジメント等の国内の機関投資家も保有はしていると思いますが。

しかしながら、ANA HD上位株主として、特定名で名古屋鉄道が出てくるのは創業以来の文字通り、腐れ縁と言うか血縁とも言える引き裂けない関係があるのかもしれません。

そして、この持ち株比率ですが、名鉄の持っているANA HDの株式の時価総額では217億円程となります。同じ愛知の会社であるトヨタ自動車はKDDI株式について、それまで筆頭株主級に保有していましたが、トヨタと言えども電動自動車開発への設備投資が嵩むことから段階的に株式を手放しており、持ち株比率として10%前後水準まで落としておいます。

名古屋駅再開発において経営観点からANA HD株の売却と言うのも選択肢となりえるかもしれません。仮に地下工事だけで費用が嵩んで1兆円かかるとしたら、200億円は砂漠に水を撒く事かもしれませんが、選択肢としてはあり得るかもしれませんね。

ANAとしては株式保有比率は1.5%程度なので、資本政策に対してどう考えるかはありますが、結構大きい事かもしれません。

NHという不思議な組み合わせ

余談になるかもしれませんが、NHという文字の不思議な組み合わせについて書いてみました。

先述のとおり、全日本空輸(ぜんにっぽんくうゆ)はもともとは日本ヘリコプター輸送(にっぽんへりこぷたーゆそう)が起源であり、2レターエアラインコードは(Nippon Helicopter)の頭文字からが起源となっています。

しかし、その後の資本変遷もあり、ANAと名鉄の関係からANAの起源であったヘリコプター事業である会社はオールニッポンヘリコプター株式会社として事業運営をされることとなります。略称はANHであります。そのままニッペリではなく、オールニッポンと命名するあたりは、竹千代の運命のようにも感じます。

加えて、ヘリコプターのペイントは濃い青の「トリトンブルー」、 薄い青の「モヒカンブルー」とANAと同じのようです。出資関係では名古屋鉄道の連結子会社と言うのもなんとも因果であります。

ただ、ANAのような強力な羽田ベースではなく、江東区新木場のヘリポートがベースとなっているようです。

そして興味深いのは事業内容が航空機使用事業のメインが報道取材のための飛行であります。請け負う報道メディアがNHKというのが特筆でもあります。最近は受信料にフォーカスが当たっていますが、我が国の公共放送でもあります。

NHKは日本放送協会の略称であり、英語ではNippon Hoso Kyokaiであり、ここでもNipponと言うワードがあり、略はNippon Helicopterの略であるNHと重なると言うのは何とも不思議であります。ANAと名古屋鉄道とNHKの不思議な関係であります。JAL何かは全然登場しないところでもあります。まあ、日本ハムはさらに関係なさそうですが。

最後に

今回はアナと雪の女王ではなく、ANA(エーエヌエー)と名古屋鉄道(メイテツ)の関係を考えてみました。ANAの起源が日本ヘリコプター輸送であるのは比較的知られていますが、その出資に大きくかかわった中京の雄である名鉄の変遷は近年大きく変わりつつあります。

創立まもなく、関東では東急が鉄の次は空とも言うべく、TDA(東亜国内航空)、後の日本エアシステムとなり、ANAへの支配権獲得を臭わせながらも、最終的には日本の経済事情も弱り、最終的にはJALと統合となり、その後は今に至ります。

インフラ事業の本質は何なんでしょうかね。人口が増えて大量輸送を賄うものだったのか、地方格差を是正するものだったのか、利権だったのか、大型機購入で貿易摩擦の慰めだったのか不明です。

ただ、2020年代では、インフレで建設費高騰で税金を投入しても成り立たないというか、そもそも人がいなくて事業が成立しないと言うのは国家破滅のプロローグかもしれません。

金輪際、成長できないと烙印を押された国はどんな政策を打てば得策なのかと考えてしまいました。墓じまいのようなことしかできないのでしょうか。

まあ、日本は歴史が深く、年越しそばはそんなシンボルかもしれません。細く長く生きて、年が越せると言うのが日本の美徳だった時代もあったのでしょう。ラーメン店よりもそば店の方が経営的には良いと聞いたことがあります。

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