関西空港の国際線エリアにあるANAラウンジの終了の可能性を考えてみました。
関西空港エリアのANAラウンジの現在
ANAラウンジはJALのサクララウンジと異なり、国際線での展開は消極的とも言える感じであります。A380を購入してホノルル線に就航させて初めて海外にANAラウンジを設置したぐらいであります。また、日本国内でも羽田と成田のデュアルハブと言う戦略があり、羽田と成田以外からの国際線が少ないのも特徴であります。
ANAの国際線は東京一択
そうした中で、日本国内では唯一の関西空港・国際線エリアのANAラウンジの意義としては、香港線や中国本土へのANA運航便利用客やスターアラインス便利用客と言うのが一番の大義と言えます。
ANA運航便ではインバウンドの需要が戻ればと言うのはありますが、その全盛期から関西=香港線はかなり細くなった印象があり、エチオピア航空で香港から同日に日本に乗り継げるフライトととしては意義があったようにも個人的には感じています。
スターアライアンス便はシンガポール航空やタイ国際航空、ルフトハンザグループ(LH/LX)やエアニュージーランド、エアチャイナ他の中国系のスターアライアンスキャリア等がありますが、東京のように太いわけでもなく、ANAラウンジとしてスターアライアンスの利用客を受け止めるのが妥当かと言うのもあります。
関西空港の国際線エリアのラウンジとしては、スペース的にかなり大きい所でもありますが、それ故に固定費もかかるようにも見えます。
また、航空会社にとっては指定ラウンジをサードパーティにしたり、アライアンスを超えたサクララウンジなどにしていたりすることを考えるとなくなっても影響は少ないと見ているかもしれません。
そうした中で、ANAラウンジ関西空港(国際線)は現在、2020年3月30日よりクローズとなっております。
ANAは東京一択で何が何でもハブと言うとこであります。ハブ一択となると中東のキャリアや領土が狭く空港が一つしかない、シンガポールのシンガポール航空や香港のキャセイパシフィック航空のようにもなります。
土地は狭いですが、領域は広いのでもう少し経営と考えて多様性があっても良いと言えますが。今は東京なのでしょう。
国内線は既に終了、空港運営が後継のパターンが増えていくと予想
関西空港の国内線のラウンジ体制が示す
関西空港にはもう一つのANAラウンジがありました。それは国内線のANAラウンジでありました。同ラウンジはエアサイド(手荷物検査後)で直後であり、搭乗口までも近かったので、重宝したのですが。
元ラウンジの状況はこのとおりです。
しかし、関西空港の国内線エリアのリニューアルにも伴い、閉鎖していました。そして、国内線エリアの一部がリニューアルされて、オープンになると2022年10月25日をもってANAラウンジは閉鎖となりました。
後継と言うか代替は関西空港の運営会社である関西エアポートが運営する「ラウンジKANSAI」 が指定ラウンジとなっています。
そして、ライバルでもあるJALもサクララウンジ(国内線)を10月25日で終了し、後継を「ラウンジKANSAI」としています。
バブル期であれば、それぞれの利用客をそれぞれのラウンジで裁けたと言えますが、今は設備過剰となるのか、空港運営会社にお金を出して、そこに運営させてもらうのがベストと両社が判断したのかもしれません。
熊本空港のリニューアルオープンも追随
2023年3月23日の航空の夏ダイヤとともに、リニューアルオープンする阿蘇くまもと空港でも同様にANAラウンジは終了(もともとリニューアルが始まった2020年4月から閉鎖していましたが)し、後継は新建物に新設されであろうラウンジASOがとなる見込みであります。
2023年3月23日からの熊本空港新ターミナルビルオープンに伴い、ANA LOUNGEは閉鎖となりました。
新ターミナルビルにおいては、引き続き共用ラウンジ「ラウンジASO」をご利用いただけます。ANAホームページより
以上からのように新ターミナルビルにおいては、引き続き共用ラウンジ「ラウンジASO」とあり、現在のラウンジASOはプレハブの仮初であるので、やはり新しいラウンジASOとなるようであります。
以上のように国内線では日本人の人口減に伴う需要減を見越してか、過剰な設備投資は行わず、経費として済むようなサブスク型のサービスにて利用客に便益を提供するようにも感じます。
ANAラウンジが現存する仙台、小松、岡山、広島、松山、鹿児島の各ANAラウンジについても、空港自体の改装などの状況によっては同じ道をたどることが予想されます。
地域によっては地元の名士にお願いして利用者を増やしてきたことも有るので、バッサリはできないと思いますが、そうした方向性が双方メリットあると言う展開になると国内線のANAラウンジは羽田と新千歳と成田と大阪伊丹と福岡と沖縄那覇に集約されそうです。成田は微妙ですが、羽田のアライバルラウンジと品質を合わせると言う意味で継続される可能性があります。
セントレアのスターアライアンスラウンジも廃止の可能性
ANAラウンジではないものの、ANAホームページにわさわざ掲載している中部国際空港(セントレア)のスターアライアンスラウンジについても現在はクローズ状態であります。
そして、セントレアのスターアライアンス就航を見るとシンガポール航空とタイ国際航空とルフトハンザドイツ航空と中国本土系であり、ANAも2020年前でも小型機が就航するのみで微妙であります。
その昔、セントレアよりエアチャイナのビジネスクラスに搭乗した際にはサクララウンジが利用できたりしたので、アライアンスを超えたラウンジ利用やプラザプレミアムがプライオリティパス会員以外の国際線ラウンジの計画もあり、スターアライアンスラウンジの必要性は薄れます。まあ、スターアライアンスラウンジとプラザプレミアムラウンジの入れ替わりかもしれませんが。
セントレアでは国内線のカードラウンジにあたるプレミアムラウンジとややこしいですが、日本の二大キャリアが別個にラウンジを設けてと言うのはないでしょう。
プライオリティパスがあれば、塩味が効き過ぎと言うか海水よりも濃度は有りそうな料理をたべて、離陸と言う結果になりそうです。
プライオリティパスはこれだけではちょっとちょっとであります。
最後に
日本で国際化された空港と言うと成田と羽田と関空とセントレアでありますが、ここ10年では羽田がぐっと伸びて、元祖の国際線の成田は何とかキープ、関西は開港時が人生のピーク、セントレアも底堅い需要はあるもののマイナーみたいな感じなっております。
そうした中で、日本国内と海外に路線を持つ、日本の2大キャリアはフルサービスキャリアとして拡大してきたラウンジサービスについても、変革しないと考えているのかもしれません。
東京一極集中に逆戻りしていると言えども、避けられない状態であります。新幹線については羽田との結節点でもある品川では西に向かえば、高頻度で運行され、所要時間も着実に短縮されています。
北海道・東北・北陸、信越に向かうとなると東京から圧倒的に所要が短くて選択肢が多く、自前の国内線はあると言えども東京一択でもあります。
さらに、リニアの開業や札幌までの新幹線が延伸となると東京(新横浜や橋本や大宮など)はますます重要となり、地方での空港のサービスの強化は空港運営会社と連携する形に考えを変えているようにも見えます。
自前でなんでも用意することに拘るよりも経営とサービス品質のバランスを考えるとオリジナルラウンジに拘る必要はないと言えます。