日本でマイルを貯めるとするとANAマイレージクラブとJALマイレージバンクのマイレージが代表であり、プログラムは生活まで浸透しており、ポイント活動における重要なターミナルとも言えます。
そうした中で、ANAとJALのマイレージプログラムのステイタスを獲得する方法は飛行機に乗ることは共通していますが、その獲得方法に各社特徴があるためまとめてみました。
ステイタスの基準は両社とも同じ
両社の上級会員ステイタスはともに、基本的にブロンズ/クリスタル、プラチナ/サファイア、ダイヤモンド/ダイヤモンドの3段階のランクとなっています。自社クレジットカードと紐づけた各社独自のステイタスもありますが、入口はこの3ランクです。
特にステイタスとして、まず目指すのはブロンズと言えますが、ステイタスとして旨味があるのが中間のプラチナ/サファイアであり、そのステイタスに到達するための各社の基準は下記のとおりです。
ANA 50,000プレミアムポイントの獲得(うち半分(25,000プレミアムポイントはANA運航便))
JAL 50,000FLYONポイントの獲得うち半分(25,000FLYONポイントはJALグループ運航便)) または50回(うち半分の25回はJALグループ便利用)以上かつ15,000FLY ON ポイント以上
JALには回数(といっても15,000FOPの獲得は必要ですが)と言う基準があるものの、純粋な個人としてステイタスを目標とするのであれば、ステイタスポイントの獲得と言えます。
各社とも50,000ポイントとそして、半分は自社運航便で獲得しないといけないのは同じです。
ステイタスポイントは国内線と国際線どちらが有利
ANAもJALも日本全国各地に就航し、国際線はアジア、オセアニア、欧米に就航しています。ステイタスポイントは飛ぶことにより獲得でき、距離(マイル)数が長ければ長い程有利でありますが、一方で搭乗倍率と言うものが存在します。
これは飛行距離の短い国内線やアジア・オセアニアを中心に利用する会員に不利にならないように国内線を利用した場合には獲得するステイタスポイントに2倍、アジア・オセアニアでは1.5倍かけ、ステイタスポイント獲得をかさ上げしてくれる仕組みです。長距離を乗らいない利用が主体でもモチベーションを維持させていると言えます。
では、国内線と国際線が良いかと言うと、結局は距離の長い国際線が有利と言えます。しかし、ニューヨークやロンドンばかりの往復となるとチケットは高く、飛行時間も長くなり、日帰りは不可能となります。
搭乗倍率を活かし、時間のかからないルートを選択していくのが最適化していくのがベストと言えます。
ステイタスポイント単価
ステイタスポイントを個人で獲得しようとするとその財源は個人のポケットマネーとなります。
一方で、ステイタスポイントは安いエコノミークラスよりもビジネスクラスやファーストクラスの方が積算率は高くなります。
単純に考えるとお金をかけず、たくさんのフライトをこなしてコツコツ、ステイタスポイントを貯めることがベストのようですが、実は無駄をしていることもあります。
その無駄をなくすのがステイタスポイント単価です。費やした航空券代でどれだけのステイタスポイントを獲得できたかと言うものであり、式は下記のとおりです。
ステイタスポイント単価=航空券代金÷ステイタスポイント
さらに、ステイタスポイントには4つの要素があります。クラス積算率、搭乗倍率、フライト距離、運賃搭乗ボーナスポイントとなります。
運賃搭乗ボーナスポイントはANAでは搭乗ポイント、JALでは搭乗ボーナス FLY ON ポイントと呼ばれ、運賃によっては積算されるステイタスポイントです。
高い運賃ほど付与され、ANAもJALも自社便で高い運賃(ANAはスターアライアンス加盟二便にも)に付与され、国内線では400または200ポイント、国際線では一律に400ポイントとなっています。これはANAもJALも同じです。
このポイントは唯一、付け足す計算となっており、距離が短いフライトにおいては単価を良くしてくれることもあります。
以上から、ステイタスポイントを分解すると下記の式となります。
ステイタスポイント=(距離×積算クラス×搭乗倍率)+ 運賃搭乗ボーナスポイント
すなわち、
ステイタスポイント単価=航空券代金÷(距離×積算クラス×搭乗倍率)+ 運賃搭乗ボーナスポイント
となります。各要素をチェックして、どこのルートのどの搭乗クラスの何の運賃が良いか、世界地図、日本地図と睨めっこしながら見極めていくこととなります。
ANAとJALで異なるマーケティング
先述のとおり、ステイタスポイントの仕組みはANAとJALではごく一部異なりますが、ほぼ同じです。
しかし、マーケティングの違いがステイタスポイント獲得方法に大きな違いを及ぼしているようです。国内線ではあまり変わらないですが、国際線では違いが顕著にでています。
上級会員を増やしたくないとも思えるANA
5スターエアラインでサービスは良いANAですが、ファーストクラスを除くと各クラスの運賃は意外と安いケースもあります。プレミアムエコノミーなどは同じルートにおいて、海外の航空会社と比較してもかなり安かったりします。
しかし、安い運賃のステイタスポイント積算率は徹底的に低くしており、距離が長くても、効率が悪くなります。
一方で、ステイタスポイントが多く積算される運賃はかなり高くなっており、これも効率的にステイタスポイントを貯めることができません。
また、ステイタスポイントを加速的に貯めるようなキャンペーン(路線限定ダブルポイントなど)はほぼ実施しておらず、会員を増やしたくないようです。たくさんのお金を払う会員を上級会員にしたいとさえ見えます。
搭乗の多い会員を獲得したそうなJAL
JALの場合、日本発でも結構安いプレミアムエコノミー運賃を期間限定キャンペーンで展開し、積算率が100%であったりします。
また、海外発券においてもソウル発券アジア往復と言うルートが存在し、積算率は125%であったりします。
FLYONポイント単価も意外とよく、それでいてアジア内のため、金額は高額でなく、時間も短くて済むメリットがあったりします。
また、上級会員向けには「国内線FLYONポイント1.5倍キャンペーン」を実施しており、以前の2倍からすると改悪ではあるものの、上級会員を続けて欲しいメッセージは出し続けている事なのかもしれません。
このようにJALでは比較的ステイタスポイント獲得に対してウェルカムとも考えられ、これからも多く搭乗する会員を上級会員にしたいとも見えます。
ステイタス獲得方法に違いが
以上のようにマーケティングの違いが、各社のステイタス獲得方法にも違いが生じさせています。
特に各社の最上級会員であるダイヤモンド会員のステイタスを獲得するには、プレミアムポイントを大量に獲得する必要と多くのフライトに搭乗するため、コストと体力とモチベーションが鍵となります。
ANAはエコノミーからビジネスクラスにアップグレードが真骨頂
エコノミー/プレミアムエコノミーでも、ビジネスクラスでも安い運賃は安い積算率であり、ステイタスポイント獲得には不向きです。
これを逆に考えるとステイタスポイントがもっとも貯まる運賃で安いルートを探せばよいことになります。
以前の記事でも書きましたが、海外発券を活用するのがベストと言えます。
海外発券においても、かなり安い運賃は積算率が絞られていますが、一部のルートではエコノミーで効率がよいものがあります。ただし、エコノミークラスです。
こうしたチケットには14時間を超えるフライトも含まれており、上級会員を目指す、または継続する目的を考えるとマイルを活用してビジネスクラスにアップグレードした方が体の負担も少なく、それ自体が楽しみにもなり、モチベーションは保たれます。
個人的には、毎年ステイタス維持をこなしていますが、結局、エコノミー100%加算チケットを確保し、ビジネスクラスにアップグレードすることにほぼ毎年行きついていることに気づかされます。
プレミアムエコノミーよりも調達単価が安く、結果的にビジネスクラスよりUGされると言う結果になると一番のメリットがあります。
以上より、ANAマイレージクラブでのステイタスポイント獲得の真骨頂はアップグレードできるエコノミークラスをビジネスクラスへアップグレードではないかと思います。
JALはビジネスクラスを活用するのが最適
先述のように、JALの方がビジネス/プレミアムエコノミーで安い発券地域は多く、そのルートもANAと比較すると多いようです。
ただし、JALの場合、国際線の就航地や便数がANAよりも少ないため、スケジュールを組み込むのに苦労する場合もあります。
フレキシブルなビジネスクラス運賃を活用し、一気にステイタスポイントを獲得する方が時間と回数の削減をでき、最適なのではないでしょうか。
いきなり、ビジネスクラスからFOP獲得を始めるのは贅沢かもしれませんが、効率を考えると日本発の安いエコノミーよりも正しい答えかもしれません。
ステイタスを継続となれば、こうしたビジネスクラス/プレミアムエコノミー運賃からファースト/ビジネスへのアップグレードしながら、国内線FLYONポイント1.5倍キャンペーンをミックスさせていくパターンが多いのではないかと思います。
JALのファーストクラス搭乗記をよく見かけるのはこうしたことがあるかもしれません。
最後に
上級会員ステイタスの獲得制度はそっくりでも、各社の経営方針によるマーケティングにより、その獲得方法に違いが大きく出ます。マイレージプログラムの主催は航空会社であり、ステイタス獲得は航空会社の掌の上を走るようなものです。
ルール変更となり、改悪となってもどうしようもできませんが、ステイタス獲得をしたい場合は、走り方の違いを理解するのが良い方法となるかもしれません。