ANAのA380であるフライングホヌは大人の事情により、3機購入しており、ホノルル路線特化で導入されていますが。それ以外の活路を考えてみました。
A380オペレーター
現在のA380オペレーター(A380を用いて、商用フライトしている航空会社)を整理してみました。下記のとおりです。
シンガポール航空
ルフトハンザドイツ航空
エミレーツ航空
カンタス航空
大韓航空
中国南方航空
マレーシア航空
タイ国際航空
ブリティッシュ エアウェイズ
アシアナ航空
カタール航空
エティハド航空
ANA
カンタス以外は北半球の航空会社であり、フライト距離が長いと言うことが命題ではないと言えます。また、アメリカ合衆国のキャリアはなく、アジアと欧州の航空会社となっています。
フライトは基本的に大陸間が多いですが、空港は限定的であり、ロサンゼルスやロンドンが多くなっています。
そのキャパゆえに沖止めでは時間がかかり過ぎ、一方で1階席のPTBでも時間がかかり過ぎ、A380に対応したPTB(2階席からのPTB接続可能)が充実していないと厳しく、ある意味、運用では羽交い絞めと言えるかもしれません。
ANAのA380
ANAのA380はリゾート路線の限定で設定されており、ハワイ諸島に生息するウミガメにちなんでフライイングホヌとしてブランディンクしており、JALの鶴丸の対抗意識が感じられます。鶴は千年、亀は万年と言うことに例えられており、我々の方が持続性があると言うことをアピールしているようにも見えます。
では、ANAのA380と同社の国際線機材のB777-300ER(77W)を比較してみます。
A380のクラス別シートは下記のとおりです。
ファーストクラス 8席
ビジネスクラス 56席
プレミアムエコノミー 73席
エコノミー 343席
であり、480席となります。公式には520席ですが、シートマップを足し算すると480席であります。
一方で同社で大陸間フライトのメインとなっているボーイング777-300ERの最新型のシートレイアウトは下記のとおりであります。
ファーストクラス 8席
ビジネスクラス 64席
プレミアムエコノミー 24席
エコノミー 116席
となっています。
いわゆる新212席であり、ビジネスクラスが最も改善しており、快適な席でもあります。
両機の差としてはファーストは同等、ビジネスはTHE Roomの77Wが優勢、シートスペックの変わらないプレミアムエコノミーとエコノミーではA380の方が座席数が多いと言えます。
そもそものコンセプトとしては大人の事情で使用しないといけない機材をどうするかと考えた時点で、持続的な需要があるホノルル路線で競合に対して圧倒的な供給数で巻き返しを想定したと言えます。
しかし、ご覧の通りの実態であり、当初の目論見に不確実性が出ていると言えます。LCCなのか、そうでないキャリアも投入されており、その対抗では低需要では不利になっているようにも見えます。
北米に飛ぶA380に見込みは
ホノルルで現在、3機がフル稼働できず、週末のみの運航となっており、稼働率としては最悪と言えます。
そうした解決策としてはA380の能力を活用した、運航設定に答えがあるかもしれません。A380の航続距離は13,330 kmあり、マイル数でいうと7,000マイルを超えており、ニューヨークにも東京からノンストップでフライト出来ます。
もちろん、同区間を満席で飛ぶとなると同じ飛行可能な機材と比べて巨体であるがゆえに燃費は悪いと言えますが、一方でより多い座席数を埋めれば、それを凌駕も可能であります。
以上から、需要があれば、北米路線での活路はありそうです。
では、アメリカはどこに就航するのか
以上のようにアメリカンドリームはありそうですが、ではどの都市がもっともプロフィッタブルか考えてみます。
世界の首都であるニューヨークが筆頭に出てきそうであります。実際に、先述したA380のオペレーターとしてはニューヨーク(JFK)に就航しているキャリアも多く、期待はできます。
しかしながら、ANAが就航しているJFK空港のターミナルは7であります。このターミナルはブリティッシュエアウェイズも利用しています。同キャリアはA380運用していますが、JFKには就航しておらず、受け入れ態勢の問題で事実上、厳しいと言えます。
沖止め最高でバスと言うこともあり得ますが、JFKでバス移動は見たこともなく、PTB接岸前提と言えます。
かつて、スカイマークがA380でニューヨークに乗り入れを策定し、実際にA380を発注した事案がありましたが、頓挫しており、ウルトラクイズ並みにニューヨークに行くのは難しかったのかもしれません。やっぱり、ニューヨークはハードルが高いのかもしれません。
西海岸はゲームチェンジャーの可能性も
一方でロサンゼルスはANAもJALも日本から最多路線であり、日本国内からも、アジアからの需要も有る路線であります。
LAXでANAが就航するトム・ブラッドレイ国際線ターミナルはA380に対応した搭乗ブリッジがあり、それを活用できれば可能性は高いと言えます。
また、JALグループはLCC相当のZIPAIRが既に稼働しており、その運賃は燃油サーチャージが込みでもかなり安いため、結構シフトしていると言えます。
そうした中で、エコノミーとプレミアムエコノミーの座席数が圧倒的に多いA380を就航させるとこうしたクラスではかなり、積極的な運賃設定ができ、LCCと同等の対応もできるかもしれません。
何よりも、A380がロサンゼルス就航と言うことでその売りがPRできるため、効果は限定的かもしれませんが、緒戦では効果は絶大かもしれません。
JALが350-1000を就航させる前に地盤確保となると総力戦で臨むのがありと言う、LCC込みで一掃作戦が必要かもしれません。
最後に
A380-800の購入はANAにとっては、ババくじだったかもしれません。そうした中でも活路を見出して、ハワイ路線としてある意味、その時代では正解だったかもしれません。
しかし、その後の世の中の激変で、購入した3機をフル稼働できない状態であります。
稼働してなんぼの機材であります。飛行距離や搭乗客など大きなキャパがあり、活路を次に考えていくと、次の次の合間の駒となりそうであり、太平洋を渡るフライングホヌと言うのも有りかもしれません。
ジョーカーはある意味不思議な魅力も有るので、活用次第かもしれません。