国内線で存在した76Eですが、幹線からはいつの間にか消えてしまいましたので、考察してみました。
国内幹線の機材状況
上は羽田⇔新千歳と羽田⇔大阪伊丹の週末の機材状況です。78P、78M、772、722、76Pなど大きめの飛行機がラインアップされています。世界的にもトラフィックの多い新千歳や二大都市を結ぶ伊丹線ならではあります。
続いては羽田⇔福岡、羽田⇔沖縄であります。こちらも722、78G、78M、78Pがラインアップされています。新幹線は通っているものの、時間がかかり過ぎる福岡では、空港が博多駅から近いことも有り、飛行機需要は高いのに加えて、プレミアムクラスの需要が多いのかプレミアムクラスの座席が多い機材が投入されているようにも見えます。
鉄道ではいけない沖縄についても需要100%確保できるので大型機で運用されているようです。
しかし、よく見ると76E(B767-300ERの国際線機材)の姿はありません。数か月前は結構見かけたのですが、いつの間にか消えてしまいました。
76Eとは
76Eとはボーイング767-300ERの国際線機材を国内線で利用する場合に割り当てられているものであります。
座席数はプレミアムクラスが35席、普通席が167席あります。プレミアムクラスの座席数では78Mの42席(普通席は198席)にはかなわないものの、かなりの多さであります。
そのシート配列は2-1-2配列であり、シートピッチはであり、シートモニターが搭載されています。サイズは12.1インチタッチパネル式の大型液晶ワイドスクリーン(最前列は10.6インチ)となっています。また、シート電源を装備しており、USBポートも装備されています。
ただし、国際線では利用できる機内Wi-Fiやワイヤレスエンタメは現在のところできないようであります。
消えた76Eはどこに
国際線の予約検索ではほとんどが788か789であり、東南アジア路線でも台湾でも見かけないので、Flight Awareで検索してみました。B767-300ERの国際線仕様は現在、9機あります。機材番号と最後に飛行した日と便名で一覧にしてみました。
水色塗りが国内線、気色塗りが国際線、無色はその他となります。
機体 | 日付 | 便名 |
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JA619A | 11月15日 | NH9434便 |
JA620A | 11月19日 | NH76便 |
JA621A | 11月19日 | NH993便 |
JA622A | 12月1日 | NH630便 |
JA623A | 12月1日 | NH930便 |
JA624A | 12月1日 | NH682便 |
JA625A | 11月30日 | NH812便 |
JA626A | 12月2日 | NH644便 |
JA627A | 11月30日 | NH928便 |
こうしてみると一番古い機材のJA619AはホノルルからWilmington Air Park(イリノイ)に到着してから2週間以上動いていません。
他の機材については鹿児島や熊本、広島などの幹線ほどではないものの利用者の多い空港に運用されています。
国際線では杭州と青島であり、旅客便ではあるものの、貨物需要があるので登板されて異様にも見えます。機齢の新しい機材は頻繁に活躍しているものの、古い機材はあまり運用されていないようです。
消えた理由
国内線では幹線を中心に需要が拡大し、大型機(773,772,722)や中型機(789,78G,78P)出ないと賄いきれなくなっていると言えます。
また、76Pは270席(プレミアムクラス10席)であるにもかかわらず、76Eは202席であり、普通席は167席と76Pと比較して普通席は100席近く差があります。プレミアムクラスを満席にすれば利益は出そうですが、普通席の需要損失も大きいので、準幹線のようなところでプレミアムクラスは空席があっても飛ばしているというように見えます。
とは言え、機体は大きく飛行距離は長いので、旅客フロアは空席でも貨物室を満載にすれば、人がいない分燃費が良く、貨物機としての活路が見出されていることでしょうか。
最後に
国際線機材のB767は中距離国際線では燃費コストがかかり、利用者のサービスの質も787の方が良いので出番が少ない、国内線ではプレミアムクラスの座席数が多い割に、普通席が少ないため、需要が拡大している国内線で機会損失が多いと言うことかもしれません。
宿命と言えば仕方ないですが、ベテランが若手に仕事を交代させられるような断面なのかもしれません。旅客機としてのB767は早期引退になってしまうかもしれません。