現在の北海道新幹線の区間でJR北海道が所有する新幹線車両H5系に乗車しましたので、お伝えします。
H5系とは
H5系とは北海道新幹線開業(新青森⇔新規函館北斗、2016年3月26日)に合わせて新造した車両であります。JR北海道としては初の新幹線車両であります。編成は4編成ありましたが、H2編成は2022年3月に発生した福島県沖地震で営業走行中に脱線し、大事故にはならなかったものの、車両は損傷し、廃車となります。
そのため、JR北海道で現在保有している新幹線はH5系3編成となります。広大な大地で季節により、過酷な耐久性が要求される中でトラブルが続く、同社にとってはまさかの本州で車両を失うこととなったのは痛手と言えます。
そうした、H5系はJR東日本が開発したE5系とほぼ変わらない完コピ車両ではありますが、E5系よりも新しく製造されたこともあり、違う部分もあります。
編成は10両編成であり、クラスはグランクラス、グリーン車、普通車の構成の変化はなく、ここは運用を統一した方が良いので、近年の高速鉄道では鉄板ともいえる感じであります。
一方で、E5系との外観の違いではE5系でははやてピンクを帯カラーにしていますが、H5系では北海道の特急にあわせたのかパープルの帯カラーとなっています。
また、インテリアにおいてもシート形状は同一であるものの、カーペットのデザインを変えたりしています。N700AとN700Sとの違い程ではありませんが、気づく人は気づく違いでもあります。
普通車においてもシートは変わらず2-3配列であり、シートピッチも変わりません。
一方で床は北海道らしく雪の結晶、雪印(あまり使わない方が良いかもしれませんが)となっています。また、窓の日よけのシェードも北東北と道南で多く出土されている縄文遺跡(世界遺産)をモチーフにしています。
と言うようにデザイン面の違いが多いですが、実利的には2016年からの運用と言うこともあり、2010年に初代モデルが出たE5系よりもパーションアップされており、普通席の各シートにもコンセントが装備されています。
乗客のライフスタイルが電源を求めることに大きく変化したのは実はこの10年では大きいことかもしれません。
H5系乗車記
函館から
現状、北海道新幹線に乗車する場合は新函館北斗、木古内、奥津軽いまべつ、新青森からとなりますが、北海道側からの場合、各駅にはほぼ何かしらの形で乗り継ぐこととなります。
今回は函館から乗り継いで新函館北斗からの乗車となりました。函館と言うと多くのマイラーが訪れて記事にしていますが、大概はグルメばかりなので、昭和な時代に旅にとって重要であったものを見に行ってみました。
青函連絡船の摩周丸であります。今も海に浮かんでいますが、自力で航行することはできません。ちなみに青森側にも同様に展示船として八甲田丸があります。
途中の駐車場にはホタテ外のモチーフとしたオブジェがありました。武田久美子氏を思い出してしまいました。
ようこそ、函館へとJR北海道シングルのポスターがでかでかと有りました。函館駅自体には新幹線は乗り入れておらず、印象が薄く、ポスターのカラーも薄く、何となくカラーリングがシルバーに見えます。
もしかしたら、札幌延伸時の次期車両をイメージしているのかもしれません。加えて、新函館北斗と函館間をミニ新幹線化することもなんか想像してしまいました。
近くて遠い新函館北斗まで特急券不要の快速はこだてライナーがありますが、どう設定を見ても札幌行きの特急北斗の方が時間的には接続が良く、乗り継ぎ割引も効くので後発の北斗に乗ります。
札幌行きとか書いていると新函館北斗で下車するのがもったいないと感じてしまいますが、今日は新幹線の旅であり、18分間の旅となります。
最近は当たり前になったキハ261系です。エンジンサウンドとともに北海道感を強く感じます。
ホームから見える場所にはキハ281系がいます。3両編成で真ん中1両がグリーン車という編成です。この編成でもいいから残してほしいと思いつつも、無理なのでしょう。
このあと、北斗に乗り込み停車駅と停止や時間を耳にするとやはり栄光の時代は過ぎたと感じてしまいます。
五稜郭駅に停車します。観光客向けにはがっかりする駅ではありますが、貨物列車的には重要な駅であります。
函館新幹線総合車両所が見えるとまもなく、新函館北斗であります。新函館以北の運用がスタートするとどのような扱いになるか気になるところであります。
いよいよH5系
えきねっとでとくだね運賃と函館から新函館北斗までの乗車券・特急券を組み合わせてオンライン申込し、新幹線分はモバイルSuicaに読み込めるということでしたが、エラーが出て処理できず、結局、新函館北斗の指定席券売機で紙の発行となりました。
えきねっとはログインは面倒くさいですし、JR北海道が絡むと北海道現地での発券トラブルが多く、システムやUXについて航空会社から指導してもらった方が良いかもしれません。セキュリティのジグソーパズルとかゴミです。
相変わらず天狗みたいな5系であります。パープル帯にレア感を感じてしまいます。
新函館駅新幹線ホームの北側を見てみます。既にトンネルはできていますが、線路は敷設されていません。中央リニアよりは先行するのは確実ではありますが、長万部先行開業とかできるとまた、北海道に行くモチベーションとなりそうです。
今回は8号車とグリーン車の隣の車両でした。平日は新幹線オフィス車両として利用され、リモート会議とかも利用できるようです。
ただし、青函トンネル内の携帯の電波はレガシーキャリア(ドコモ、au、ソフトバンク(サブブランド含む))はOKでしたが、楽天はダメでした。そうした協会へ楽天は青函トンネル分はチャージしていないということかもしれません。
新函館北斗から出発してしばらくは明かり区間の走行が続きます。函館市街や函館山も5分くらいは見えたりします。その後は整備新幹線区間らしくトンネルだらけとなります。
サッポロクラシックファイターズ缶で一服します。H5系ですが、ファイターズはFです。
一服しているとあっという間に木古内駅です。津軽海峡線から大きな変化が一番大きい駅かもしれません。もっとも、函館中心部へのアクセスは別でありますが。
防音壁なのか海岸から風対策なのか不明ですが、コンクリート遮壁がしばらく続き、一瞬のみ津軽海峡側が見えます。津軽海峡線のようにはなかなか車窓は楽しめません。
青函トンネルに
新函館北斗から木古内まで時速260km/hで走り、減速して160km/hで元津軽海峡線区間に入ります。在来線時代は駅があった知内駅付近を通過するといよいよ青函トンネルに入ります。
旧知内駅あたりには新幹線を見る展望台が設置されています。はるばる来たぜ函館のサブちゃんですが、知内町の生まれみたいですね。
青函トンネルは160km/h運転で約22分通過にかかります。在来線時代のはつかりや白鳥は140km/h運転していたこともあり、新幹線となっても所要はあまり変わらないイメージであります。
ただし、営業運転で320km/h走行する新幹線車両がカーブもほぼない線形の良い新幹線規格の線路を能力半分で走ると快適性はかなり良いです。ポルシェが高速道路を法定速度で走るような快適性があります。
青函トンネルは2016年6月にスイスのゴッタルドベーストンネルが開通するまでは世界最長のトンネルとしておよそ28年間その座を守ってきたトンネルでもあります。
シールド工法ができる前から掘られたトンネルであり、完成までに時間がかかり多くのトラブルもあり、トンネルの効果よりもそうした点がフィーチャーされたりしています。
しかし、鉄道(旅客・貨物)以外にも電力の送電や通信(光ファイバー)にも活用されており、海底ケーブルのようなリスクがないため、別な価値もあるようです。
そうこうしていると青函トンネルの青森側の出口となります。トンネルの出口にはトンネル神社があり、それがかすかに見えます。
ちなみに青函トンネルの北海道と青森側の各入り口にはトンネル名を記した扁額がつけられており、青森側は中曽根康弘氏が、北海道側は橋本龍太郎氏が揮毫しています。
日本一利用者が少ないと揶揄される奥津軽いまべつに停車します。青森県ですが、JR北海道の管轄であります。そのため、本州では見慣れない駅名標となっています。北海道の在来線でも見られませんが。
同駅は地域の足と言うよりは長大トンネルである青函トンネルに関わる保守とトラブルの際のレスキュー拠点と言う意味合いが大きく、札幌まで延伸するとさらに重要性が増しそうです。
このあと、貨物列車と分岐をする大平トンネルを通過して、新幹線専用線に再び入るも津軽蓬田トンネルあたりまで200km/h以上は出さずという感じした。その後も余裕があるのか新青森に向けて減速と言う感じでした。360km/h運転になったらどうなるのでしょうか。
新青森駅到着
トンネルを抜けると青森市内に入り、東北・北海道新幹線では現在最も海岸線が見える場所を4分程走行します。陸奥湾と田園風景が見えます。海が最も近いのは青森市西田沢あたりで、国道280号線バイパスと並走します。
札幌まで開通すると長万部あたりが最も海に近くなりそうですが。
盛岡新幹線車両センター青森派出所への線路が見えてくるとほぼ新青森駅到着となります。これにて北海道新幹線の旅は終わりであります。
新青森駅はE5系専門の駅でもあり、繁忙期もあってか2面4線の駅にはたくさん入線しています。
北海道新幹線方を見てみます。東北新幹線は674.9kmであり、写真には675が写っており、北海道新幹線の始まりでもあります。札幌までの開通が待ち遠しいところであります。
ホームから降りると夏祭り時期なのか土偶や金魚のねぶたが展示されていました。青森の夏らしい景色であります。
駅自体は立派ですが、空港のように周囲にはあまり商業施設はありませんが、東横インがあり、大きな病院があったりします。ちょっと歩くと国道7号線バイパスがあり、ロードサイドのレストランや家電店があったり、24時間営業しているスーパー銭湯もあり、鉄旅では使えるかもしれません。
東北新幹線全線開業(2010年)の際に来た時には駅の前の大木はそれほど意識しませんでしたが、2022年では結構な存在感がありました。木は青森ヒバと言うらしく県の木と言うことです。
最後に
今回、初めてH5系に乗車し、純粋な北海道新幹線区間の新函館北斗から新青森まで乗車してみました。山陽新幹線や東北新幹線の仙台=盛岡間の爆速感はなく、トンネル区間も多い路線でした。
それでも世紀のトンネルの通過や少しではありますが、海を感じられる景色など本州と北海道を結ぶ線路は感じられます。
2030年の北海道新幹線の札幌開通で再び、通しで乗ってみたいと思いました。