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ANA HD 3Q決算で見える航空券の運賃動向

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ANA

2023年2月2日にANAホールディングスは2023年3月期の第3四半期決算を発表しましたが、そのなかで気になった個所をフィーチャーしてみました。

ANAホールディングス2023年3月期決算

2023年2月2日(ツインテールの日)に2023年3月期(和風に言うと2022年度、ANAではFY2022と言うらしい)の第3四半期決算が開示されました。

プレスリリースとか見ると第3四半期累計は(4月から12月までの累計か、9月~12月までの四半期単体なのか)わかりにくいですが、4-12月累計で営業損益(利益)は989億円と前年比で+2,147億円の増益となっています。

また、EPSが見える当期利益(親会社株主に帰属する四半期純益(累計))は626億円であり、前年比+1,654億円となっています。

増益は良いじゃありませんかと言うところですが、前年は赤字であり、マイナスからのジャンプであり、増益幅が大きくなるのは当然とも言えます。

そして、ANAホールディングスでは通期決算の利益を上方修正しています。

通期利益(12か月間)では営業利益を650億円から950億円、親会社株主に帰属する利益では400億円から600億円に上方修正しており、こちらも株主にとっては悪いことはないと言えます。不動産売却益や保有株式のイグジットによる一時的な利益が最終利益に貢献したとも言えず、本業のオペレーションが回復していることが反映されているので、回復は今のところ、順調と言えます。

国際線で飛行機に乗る人がたくさんいて万歳ではありますが、この3年近いある意味、ロストワールドでの損失はどうするかという事に対しては、貯まった赤字である有利子負債について、次期中期経営戦略として、2月15日に財務基盤の復元を発表するようです。

まあ、なかなか諸手を上げて万歳はできないようでありますが、道筋は有るので、発表するのでしょう。

路線別に見た際のコメントから見る良い路線とは

イールド

第3四半期単体で見た場合に売上高で伸び率が大きいのは国際線であり、約7.2倍の+1,111億円となっています。これでも2019年以前には到達しておらず、ある意味増益幅はまだあるかもしれません。

国内線の伸び幅は+546億円であり、国際線の方が多いと言えます。一概に国際線が大健闘とは言えず、昨年くらいからアクティブになった国内線が本来に戻り、国際線では、高額な費用でも乗る需要があるとも言えます。

イールド(単価)を上げることにより、採算を上げていくという事でありますが、これは利用者から見ると国際線の運賃は高いという事でもあり、151%は1.5倍という事でもあります。マヨネーズよりも値上げ幅は高いと言えます。

過去のような需要がないので、運賃を上げて売上幅を確保しようとする事かもしれません。コロナ禍以前はそんなに乱売していたのかという事も想像できてしまいます。

地域別実績 ANA

続いてはQ3までの方面別の実績であります。構成比と比率と言うのはいやらしいところであります。ここからの単価がどれくらいあるのかは非開示のようであり、頭数で計算であります。

結果的には日本と北米を結ぶ路線と日本とアジアを結ぶ路線がコロナ禍前と同水準に近いと言えます。

一方で欧州や往来の制限はないものの、そもそも太くない行き来であったのか不明ですが、FY2019以前よりも厳しい結果であります。もしかしたら、コロナがなくて欧州路線を開設していたら、赤字垂れ流しという事もあり得たかもしれません。

中国については政治的なところも有り、その沙汰は当局や政権与党、次第と言えます。これが結構大きく、同社にとって渉外活動が重要な所以と言えそうです。

実際にANA HDの決算プレゼンでは以下のような記載があります。

1)北米線、アジア線を中心に旅客数が大幅増加
2)運賃コントロールを徹底→高イールドが継続

投資家目線からすると人口の多い間の旅客数をつかんでいる、単価の高い運賃を続けることで収益確保でポジティブでありますが、利用者からすると北米アジア路線は混雑の割に運賃が高いという事にもなります。

北米路線やアジア路線は便数を増やし、利用しやすいすることに加えて、サービスで他社を圧倒することで需要を確保することに加えて、運賃が高くても時間的なメリットやサービスでのメリット(特に上級クラス)ではきちんと課金しましょうと言うのが見えます。実際に燃油サーチャージで損はしないようなレートであり、非日本人のアジア人はお得、日本人は燃油サーチャージはフルで課金と言う感じであります。

電気代の補助だけでなく、日系航空会社利用の納税者の場合は燃油サーチャージの減額など欲しいところであります。

最後に

決算発表を見るとヨーロッパ線がなぜ、増便や機材の大型化が難しいのが見えてきます。フランクフルトにTHE Roomがなぜ設定できないと揶揄する人もいますが、元来6,000マイル弱のフライトが7,000マイル前後となり、追い風効果は有っても、10%以上のコスト増、さらに従業員の労働時間増加などあり、原価は増す一方で、そもそもの需要が少なく、単価を上げると他社に流れるという事を考えると匍匐前進が続くのが見えてくると言えます。

ただ、本業のオペレーションが増えるとフリーキャッシュフローも増え、株主への還元はしつつも、成長投資のために低調な路線へのテコ入れ、新規路線開設と言うのはカードとしてはあるので、これからはそうした利用者にとってもポジティブな案件は出てきそうであります。

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