先日、期間限定でビジネスクラス特別運賃がリリースされ、発売されていますが、同じ旅程でそのビジネスクラスとプレミアムエコノミーを運賃・貯まるマイル、上級会員に必要なプレミアムポイントを比較してみましたので、お伝えします。
- ワンワールド牙城
- シンガポール航空とのカニバリは?
- ANAビジネスクラス特別運賃
- プレミアムエコノミーとビジネスクラス特別運賃を比較
- ビジネスとプレエコの間でどうして捻じれ現象が起きるのか
- スターアライアンスとして東南アジアのシェア奪還
- プレミアムエコノミーとビジネスクラス特別運賃どちらを選択すべきか
- 最後に
ワンワールド牙城
クアラルンプールは、ワンワールドに加盟するマレーシア航空の本拠地であるほか、JALも長らくクアラルンプール線を就航させています。ANAでは、2011年末までバンコク経由でクアラルンプール線を運航していたものの、同時期に起きた世界情勢の不安定などを理由に撤退。2015年9月から成田=クアラルンプールを再開し、その後、羽田=クアラルンプール線を追加し、東京とクアラルンプール線を1日2便体制にしています。そして、当初の計画からは遅れたものの2018年3月末からはプレミアムエコノミー&フラットシートとなる「ビジネススタッガード」を装備したボーイング787-9型機を投入。さらに、2018年6月からは成田線にも同機を投入。これは、東南アジア最大のワンワールドの牙城であるクアラルンプールをマレーシア航空とJALからシェアを奪還する意義があり、自社のみならず、成田で接続するユナイテッド航空のプレッシャーもある事が考えられます。
シンガポール航空とのカニバリは?
クアラルンプールとシンガポール間は東京と名古屋程度の距離であるものの、両国間には地上移動を高速かつ頻繁に移動する手段がないため、航路がメインとなっていますが、マレーシアにはエアアジアという世界最強クラスのLCCが存在し、シンガポール航空もこの路線での競争は避け、米国や欧州から豪州・アジア諸国への路線に傾注しており、同盟航空会社であるシンガポール航空にあまり気を遣わずに、ANAでは日本発・クアラルンプール発でアトラクティブな運賃を提供していると思います。
ANAビジネスクラス特別運賃
日本発では特価ともいえるビジネスクラス運賃を特別運賃として提供しています。ロングステイ向きの運賃として提供していますが、今回はトータル旅程3日でも割安な運賃を提供しており、競合がJALだけでなく、マレーシア航空もターゲットにあると思います。
内容としては、日本発往復のトータル12万円台で利用でき、およそ1か月前までの購入が必要であるものの業界最安クラスの運賃です。ただし、マイレージ加算クラスは70%であり、マイル加算や上級会員資格ポイントに敏感な人には悩ましい特別運賃です。ちなみに、ミャンマーの最大都市ヤンゴン向けの運賃も特別運賃が同様に提供されており、ミャンマー行ってみたい人にとってはこちらの方が魅力的であると思います。
プレミアムエコノミーとビジネスクラス特別運賃を比較
ANAマイレージクラブにおいて、ダイヤモンド会員を2年以上継続していて、ANAカードで支払いをする前提として計算しています。
東京発のプレミアムエコノミーとビジネスクラス特別運賃を夏休み需要が開始する手前の7月初旬の週末で比較してみました。どちらも同じフライトです。
プレミアムエコノミー
プレミアムエコノミーでは、運賃は121,940円であり、積算マイルは15,334マイル、プレミアムポイントは10,814PPであり、PP単価は11.28円となります。日本発としてはマイルが加算され、プレミアムポイントも積算される貴重な路線です。
フライト | 区間マイル | 積算マイル | PP | ||
---|---|---|---|---|---|
7月7日 | HND | KUL | 3,338 | 7,667 | 5,407 |
7月9日 | KUL | HND | 3,338 | 7,667 | 5,407 |
合計 | 6,676 | 15,334 | 10,814 |
ビジネスクラス
ビジネスクラス特別運賃では、運賃は121,940円であり、積算マイルは10,746マイル、プレミアムポイントは7,808PPであり、PP単価は16.51円となります。
フライト | 区間マイル | 積算マイル | PP | ||
---|---|---|---|---|---|
7月7日 | HND | KUL | 3,338 | 5,373 | 3,904 |
7月9日 | KUL | HND | 3,338 | 5,373 | 3,904 |
合計 | 6,676 | 10,746 | 7,808 |
日本発のビジネスクラスとしては運賃が安く、魅力的ですが、マイル加算などの点から物足りないクラスです。いずれも、日本国内線をアドオンできるため、羽田=沖縄往復を追加すれば、どちらとも更に効率的になりますが、国内区間の差分はなく、単価の良いプレミアムエコノミーの方に分配があります。
プレミアムエコノミーとビジネスクラスの差分
プレミアムエコノミーとビジネスクラスの差分は以下の通りです。
マイルでは4,588マイル、プレミアムエコノミーの方が多く加算されます。プレミアムポイントにおいては3,006PPプレミアムポイントが多く加算されます。
ビジネスとプレエコの間でどうして捻じれ現象が起きるのか
ほぼ同額の運賃で、ビジネスクラスよりもプレミアムエコノミーの方がマイル積算やプレミアムポイントが加算される理由については、以下の理由が考えられます。
スターアライアンスとして東南アジアのシェア奪還
東南アジアと言えば、シンガポール、バンコク、クアラルンプールが代表的な都市ですが、シンガポールはSQがうまくコントロールし、US方面はSQをUAがサポートしており、バンコクでは、TGがUS方面のフライトはないものの、東アジアでの接続をうまくしており、クアラルンプールだけがワンワールドの牙城となっており、日本との需要も多いANAが東京の空港をうまく活用して、シェア奪還の重責を担っていると思われます。そのため、1日2便体制のほか、フレキシブルなクラスを提供する体制を整えており、ANAにとっても、スターアライアンスにとっても、アグレッシブになっていると思われます。
プレミアムエコノミーとビジネスクラス特別運賃どちらを選択すべきか
どちらも金額は類似しています。プレミアムエコノミーの方が積算されるマイルやプレミアムポイントは多く、色々な手段でマイルを沢山保有する人やプレミアムメンバーでアップグレードポイントを保有している人にとっては、プレミアムエコノミーを選択した方が良いと言えます。ただし、アップグレードの確約はないため、プレミアムエコノミーでの搭乗もある程度、覚悟していた方が良いと思います。ANAへ支払う金額とマイルまたはアップグレードポイントの提供数から考えるとアップグレードされる可能性は高く、プレミアムエコノミーの方が良いと思います。
最後に
ANAでの上級会員を最初から目指し、快適な空の旅を利用したい人にとっては、それ以後の計画は必要ですが、ビジネスクラス特別運賃は魅力的と言えます。すでに上級会員であり、次年度以降もスーパーフライヤーズ会員以上の特別さを受けたい人はプレミアムエコノミーを購入し、プレミアムエコノミー搭乗か、マイルまたはアップグレードポイントを執行し、快適な空の旅を利用するのがベストと言えます。ビジネスクラス特別運賃がリリースされると魅力的に感じますが、他のクラスと冷静に比較し、自分が執行できる権利と合わせて検討した方が良いと思います。毎年、ダイヤモンド修行していると面白いと思います。