ANAダイヤモンド会員におけるプレミアムエコノミーへの自然アップグレードはどうなったか調べてみました。
そもそものダイヤモンド会員におけるプレミアムエコノミーとは
ダイヤモンド会員向けに永らく、プレミアムエコノミーは搭乗24時間前にプレミアムエコノミーの座席に空きがあれば、オンラインチェックイン時にプレミアムエコノミー席が解放され、24時間前に正座してポチっとすれば、プレミアムエコノミーに無償でアップグレードされていました。
実際にプレミアムエコノミーの最前列席はブロックされていたりするので、一番良い席を選べることができたと言えます。
当ブログ創成期の搭乗記でのプレミアムエコノミーのものを確認していただくとわかると思いますが、ほとんどバルクヘッド席でした。大概は最前列の真ん中席の通路側でありましたが。現実的にはほとんどビジネスに上げてしまうので記事は少ないですが、すべてプレミアムエコノミーのバルクヘッドでした。
ちなみに、プレミアムエコノミー運賃を購入の場合、どうなるのだろうと思い、10年くらい前に日本発欧州行きのEクラスを購入し、通常のアップグレードポイントでUG申請してみました。当時は20万円そこそこだったので、時間もない年末年始では効率的でした。
結果的には往復ともに搭乗前夜と言うか当日未明にアップグレードが落ちてきて、Eクラス強しと言ったところでありました。
今はそうしたことは幻想となり、ダイヤモンド会員であっても、プレミアムエコノミーにUGするのはアップグレードポイントが必要のようです。
まあ、当時のプレミアムエコノミーの食事はエコノミーまんまで、食後と到着前に到着前に提供されるラッピングされたパンまでの間にビジネスクラスのワインが飲めると言うものでした。一応当時もプラカップでしたが、ビジネスクラス風にボトルを持って来て注いでくれましたが、今はどうなのでしょう。
今は食事などレベルが上がっていると商品価値としてマネタイズしないといけないので事情は違うかもしれません。
アップグレードポイントレートの不思議
上図は現在の欧米路線におけるアップグレードポイントのレートであります。以前はエコノミー→ビジネス、ビジネス→ファーストしかありませんでしたが、現在はその間にプレミアムエコノミーが割って入り、既成事実化しています。
搭乗券なんかはプレミアムエコノミーでも堂々とEと印字されています。また、アップグレードポイントに必要なポイント数をみても、エコノミーHクラスとプレミアムエコノミーEクラスからビジネスクラスへのアップグレードは運賃も積算率もかなり違いますが、同じ10ポイントとなっています。
さらに、プレミアムエコノミーは全クラスがビジネスクラスに通常のアップグレードポイントでUGできるわけではなく、Nクラスは対象外です。
ダイヤモンド会員に与えられた特権である2倍のアップグレードでビジネスクラスにUGすることは可能ですが、20ポイントも必要とします。
一方でエコノミーHクラス以上(海外発券前提)では通常でアップグレードが可能なので10ポイントで済んでしまいます。
逆に言うと底辺なエコノミーLクラスからプレミアムエコノミーにUGしようとすると10ポイント消費してしまうこととなり、以前はどんなクラスでもオンラインチェックイン時(出発24時間前)にプレミアムエコノミーに空席があれば、座席指定できたのですが、それができないと言うのは今更ながら改悪と言ってよいでしょう。
オークションアップグレードを優先か
ANAではエコノミーからプレミアムエコノミーについてはAMC会員向けのプログラムのアップグレードだけではなく、空席があれば万人からキャッシュ(実際はクレカ払いですが)を集められるようにオークションアップグレードをしています。
これ以上の上層のクラスでは実施していませんが、何となく、ダイヤモンド会員<現金なオークションアップグレード申請者と言うのを感じます。
言い換えるとダイヤモンド会員になるためには相当な支出(ANAにとっては収入)を費やしているのですが、それよりもワンチャンな収入最大化の方が望みと言えます。ダイヤモンド会員=カスまたはケチと思っているのかもしれません。
もちろん、目先の現金を得るのは大事であり、設備投資や維持費に莫大なコストを費やしている業界ではそうかもしれません。銀行に借りを作りたくないとも言えます。
簡単に言うと掲げた利益成長目標に対して、余裕がなくなっているという事であり、長いお付き合いよりは、今の現金と言うことかもしれません。
終身雇用からジョブ型に変革とも見えますが、特需なのか、今後20年くらいに渡ってそうなるのか見誤ると大変に事になるかもしれません。
プレミアムエコノミーへのインボラで喜ぶ時代に
今はあらゆるデータを解析して、利益最大化をする時代であり、遅延や天候の急変、パンデミックなどなかなか読みにくい中でも利益を出していくためには、とにかくデータ解析が羅針盤になっていると言えます。
それが良いのかわかりませんが、最小コストで最大メリットを獲得しようとする利用者は排除されるかもしれません。一方で、ファーストやビジネスを利用する腐葉土な人はそうした志向が強いと言えます。もちろん、桁が違うかもしれませんが、あまりやり過ぎるとそっぽを向かれるかもしれません。
以前はプレミアムエコノミーが当たり前と思っていたのが、いつの間にかプレミアムエコノミーにインボラされて乱舞するダイヤモンド会員が増えてくるかもしれません。
インフルエンサーマーケティングは聞こえは良いですが、ブラッドダイヤモンドとあまり変わらないくらいと思い、人の有り様を前向きに捉えない活動かも知れません。インフルエンサーとそうでない人に安易に差を与えているかもしれません。
最後に
プレミアムエコノミーのサービスが質実剛健で年々、グレードアップしていると良いと言えますが、シートピッチが20年以上、38インチから変わらないのは不思議であります。
以前、ターキッシュエアラインズがコンフォートクラスと言うプレミアムエコノミーに近いクラスを立ち上げ38インチ以上の間隔があり、良かったのですが、ディスコンしており、同社では現在プレミアムエコノミーはありません。
プレミアムエコノミーは攪乱・覚醒要素のネタであり、マーケティングの餌食とも言えます。ダイヤモンド会員はそうした罠にはまらず、利用して来れましたが、今はそれもなく、100Eや70Hでビジネスクラスに昇華するほうがましと言えます。残念。