日本の空港でも最近は愛称がネーミングされる空港が増えていますが、人名をネーミングされるのが少ないのについて考えてみました。
空港名に愛称が付与される理由
世界では空港名に歴史上の為政者や国家元首、自治体の首長、政治家などの名前を空港名(愛称名も含む)があります。そうしたカテゴリーだけでも300近くあります。代表的なところでいうと、以下のとおりです。
政治家の愛称名がある空港は地域に偏りがある
ニューヨーク・ジョン・エフ・ケネディ国際空港(JFK):アメリカ
シャルル・ド・ゴール空港(CDG):フランス
チンギスハーン国際空港(UBN):モンゴル
オリバー・タンボ国際空港(JNB):南アフリカ
スカルノ・ハッタ国際空港(CGK):インドネシア
ダニエル・K・イノウエ国際空港(HNL):アメリカ
ニノイ・アキノ国際空港(MNL):フィリピン
ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港(IAH):アメリカ
ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港(DCA):アメリカ
ムハンマド5世国際空港(CMN):モロッコ
マッカラン国際空港(LAS):アメリカ
プリンセス・ジュリアナ国際空港(SXM):セントマーチン
このほかにも多くありますが、為政者や政治家などの名前が空港正式名または愛称名でついているのかUSAやアフリカ、アジアの一部で多いようです。
こうした人名を空港名につけるのはその都市や国を代表する人物であり、世界中で世界史や政治経済を学ぶと必ず聞いたことがある人名であり、空港名にその名前があるとどこの国かわかると言うのもあります。
また、同一都市に空港が多すぎて、空港が同一都市圏に複数ある場合に区別しやすいようにつけられているようです。
筆頭に記載したニューヨーク・ジョン・エフ・ケネディ国際空港はその名のとおり、現職中、多くの面前(テレビ含む)の前で暗殺された第35代アメリカ大統領の名前が付けられており、それまで空港コードもNYIであったものをJFKに変えています。
暗殺された日から空港名変更:決定まで1か月ほどであり、どこかの国の国葬決定並みに早かったと言えます。
フランス首都パリの国際空港であるシャルル・ド・コール空港は個人的には初めは違和感を感じましたが、今ではCDG=パリと刷り込まれています。
ホノルルも同市の市長名に変えたり、ロンヤスのレーガン氏やパパブッシュなど共和党の元大統領が多いようにも感じます。TRPと言う空港はアラスカにあるのでもしかしたらかもしれません。
アジアでは漢字の空港はほぼなく、インドネシアではデヴィ夫人の故夫のスカルノ氏が愛称とされていたりします。
フィリピンでは最近話題となっている報道特集の前身のJNN報道特集が世界的なスクープとなったアキノ氏暗殺事件の現場である空港に同氏の名前が付けられているのが特徴的であります。この番組はあまり笑わない武骨なアナウンサー時代とその直後辺りは良かったですが、ロン毛の東大卒がキャスターになってから面白くなくなりました。
昔はレンズはテレビしかなかったのが、いまそうでなくなり、ネットとテレビの趨勢もあり、テレビはより過激に演出があったと思いますが、それにしても味付け濃すぎて、割スープが必要なくらいです。
一方で都市名が以前、政治家名であったロシアのサンクトペテルブルクのプルコヴォ空港は名前は地名ですが、空港コードはLEDとレニングラードの名残であります。
台湾桃園空港も15年くらいまでは中正国際空港と言う記憶がありましたが桃園空港となっています。
政治家名が空港名愛称につかない地域も多い
アメリカやアフリカなど政治家名を空港名とする空港が多い中で、人名はつけられつつもアーティストや学者だったりするところも多くあります。
ベオグラード・ニコラ・テスラ空港(BEG):セルビア
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト空港(SZG):オーストリア
リバプール・ジョン・レノン空港(LPL)イギリス
リスト・フェレンツ国際空港(BUD):ハンガリー
レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港(FCO):イタリア
ヨーロッパの空港はパリ・シャルル・ドゴール空港を除いても、政治家名の名称もありすが、世界から多くの人がアクセスする空港では、アーティストや学者の空港名が多いところが多いかもしれません。
ヨーロッパは地続きで1900年以前は紛争が多く、領土の争奪が多く、市民が多く犠牲になったとこもあり、為政者や政治家は頼りつつも、プラスマイナスゼロで尊敬することが少ないのかもしれません。
それに比べてアーティストは私生活はどうあれ、音色や視覚を通した作品にはバイアスはなく、感動できることからアーティストを評価し、誇れる存在と言えるかもしれません。
日本の空港名の愛称の現状
続いて、本題となる日本の空港で愛称がつけられていたり、正式名が地名以外の空港を見てみます。36空港と意外と多くありますが、地名に由来したものが多く、下記のとおりです。
愛称がついている空港
出雲縁結び空港(IZO)
岩国錦帯橋空港(IWK)
えらぶゆりの島空港(OKE)
おいしい庄内空港(SYO)
おいしい山形空港(GAJ)
岡山桃太郎空港(OKJ)
隠岐世界ジオパーク空港(OKI)
オホーツク紋別空港(MBE)
かりゆす多良間空港(TRA)
高知龍馬空港(KCZ)
コウノトリ但馬空港(TJH)
コスモポート種子島(TNE)
五島つばき空港(FUJ)
セントレア(NGO)
たんちょう釧路空港(KUH)
対馬やまねこ空港(TSA)
徳島阿波おどり空港(TKS)
徳之島子宝空港(TKN)
鳥取砂丘コナン空港(TTJ)
富山きときと空港(TOY)
のと里山空港(NTQ)
南ぬ島 石垣空港(ISG)
富士山静岡空港(FSZ)
北海道のまん中・旭川空港(AKJ)
マリンエア(UKB)
宮崎ブーゲンビリア空港(KMI)
米子鬼太郎空港(YGJ)
2022年となると空港名に愛称がついている空港は日本でもかなりあります。大きく分類すると、文化・歴史、動・植物、形容的表現、架空の人物、造語に分かれます。
文化・歴史
文化・歴史はでは
出雲縁結び、岩国錦帯橋、岡山桃太郎、隠岐世界ジオパーク、徳島阿波おどり空港、徳之島子宝、のと里山、南ぬ島 石垣
ご当地の昔に由来する有名な建造物やキャラクター、伝統文化などがあります。
動物・植物
五島つばき、たんちょう釧路、対馬やまねこ、鳥取砂丘コナン空港(TTJ)、宮崎ブーゲンビリア空港、北海道のまん中・旭川
動植物が個人的には印象にあり、日本人には一番、親和性が高いかもしれません。釧路はタンチョウであり、JALの象徴でありますが、ANA便も多く、なかなか不思議であります。
形容詞的表現
えらぶゆりの島空港、おいしい庄内空港、おいしい山形空港、かりゆす多良間空港
沖縄と山形が形容的な表現を空港に用いています。山形のおいしいは味覚だけでなく、美しい的な意味もあるようです。東北弁では食べ物等のおいしさを表現するには「め」が妥当ですが、敢えて標準語にしたのはどんな意味があるでしょう。
そして、南国の離島も形容表現があれます。ひらがなの表示が柔らかく、南国いいなと思ってしまいます。
人物および架空の人物
岡山桃太郎、高知龍馬、鳥取砂丘コナン、米子鬼太郎
日本の空港の愛称に人名を付けるのは物議をかもすのか意外と少ないと言えます。アニメのキャラクターまでが許容範囲なのかもしれません。
唯一、実在した人間としては坂本龍馬のみと言えます。坂本龍馬は江戸時代から明治自体に変わるときに大きな役割を果たしたと言えますが、自身は政治家や閣僚であったわけではないので、その点が愛称となるのにも良かったのかもしれません。
日本も欧州と同様に狭い領土で武力行使が多々あり、為政者や殿様はその度に戦で疲弊したことが多く、為政者や殿様は未来に続く場所や建物に対しての愛称としては肯定的ではなかったのかもしれません。
造語
造語は1945年の終戦後にアメリカがなされて、その慣習が40年以上続き、カタカナでの表記が多くなった中で生まれた二編ごとも英語とも言えない造語でありつつも、日本人にとっては何となく覚えやすい造語であります。
セントレア(NGO)
マリンエア(UKB)
セントレアは日本における国際空港としては本格的な第三の巨大空港として誕生し、関西空港みたいな無駄遣いな批判も少なく、某自動車会社が安定的な利用もあり、セントレアと言う名前はうまく着陸したと言えます。
一方で、マリンエアと言うのは、地元でもないと新しい格安航空会社にも感じてしまいます。
最後に
空港に愛称名をつけるのは空港のある土地にゆかりのある偉人が多く、多くの人から認知されたり、支持され、愛称を聞くとその土地をすぐに覚えてもらうのが大きな理由と言えます。
一方で、欧州や日本では偉人の中でも政治家や王様など為政者の人名が愛称につけられることは少なく、人名に抵抗感があるのかもしれません。
愛称のつけ方でも国や地域が違いが感じられるかもしれません。