新型コロナウィルスが地球上に蔓延すると予想していた人が少ない中、巨大旅客機A380-800にとってもその大きさゆえに地上では肩身の狭い思いをしているようで、今後どうなっていくか想像してみました。
新型コロナウィルスに弱いA380
当初はアジアの感染症と思っていた欧米は彼らが認識する以上に中国の人が資本的にも人的に近くにいて、忙しく世界を移動することを知らなかったのか、ニュースの中の出来事が突然に自分に降りかかり、ブレーカーが落ちるかのように各国封鎖をしてしまいました。
その結果、長距離旅客便の需要減少、貨物も減少となり、大きな飛行機は収益を生まずに温室効果ガスだけを生み出す結果となり、座席に人がいないと最も効率の悪いA380-800にビットが立ち、たちまち一時運航停止となってしまいました。
ルフトハンザ、カタール、そしてエミレーツなど軒並み地上に待機させてしまっています。カンタス航空もその計画でありますが、ロンドン=シドニーのフライトにおいて、従来のシンガポールが同国のロックダウンの影響で利用できないため、ダーウィン経由という最初で最後かもしれないロングフライトがあったりします。
ロンドン=ダーウィン=シドニー間はそれぞれ、8,620マイル、1,957マイルとシンガポール航空のシンガポール=ニューアーク間(9,535マイル)には及ばないものの、オーストラリア大陸とのノンストップとは異例です。
ちなみに東京から9,000マイル弱というとコロンビアのボゴタであり、滑走路や搭乗橋のクリアはあるかもしれませんが、地上にいるのであればペルー迄レスキューに行けば、機内でも一定間隔離れて着席できて良いかもしれません。浦島フライトとかなりそうです。
日系の国際線の運休状況
日系(ANAとJAL)の国際線の夏ダイヤ最初の1か月(ANA3/29-4/24、JAL3/29-4/30)の運休状況が発表となっています。
ANAは7割、JALは6割超と近い比率ですが、国際線の飛ばしている便数からするとANAの方が絶対的には運休が多くなっています。
各路線から見る各社の特色
長距離路線別で運航している路線は下記のとおりです。特定日を運休としたり、対象期間が2社で異なるため、大まかな比較となります。
路線 | ANA | JAL |
---|---|---|
北米*1 | LAX(7便) SFO(3便) ORD(7便) JFK(3便) YVR(3便) MEX(4便) |
JFK(5.3便) BOS(3便) ORD(7便) DFW(7便) SFO(5.8便) LAX(8.8便) SAN(3便) SEA(3便) YVR(2便) |
欧州*2 | LHR(3便) FRA(3便) |
なし |
豪州 | SYD(7便) | なし |
ハワイ*3 | なし | HNL(7便) |
*1 JAL北米線は特定日に運休のため、期間中に運航する便を週あたりで換算
*2 ANAは3/29-4/24 JALは3/29-4/23の便数
*3 3/29-4/24の便数
北米はこうした時期でもそれなりに運航しています。一方で、欧州はANAが週4で2路線、JALはなし、豪州はANAが1路線、JALはなし、ハワイはANAはなしで、JALは週7便と各社が強い路線に分かれています。この他の要因としてはアライアンスとしての役割もあるかもしれません。
数週間にわたって、大陸間の運航がなくなるなど同時多発テロの時よりも凄さが伝わってきます。
重すぎるエアバスA380?
エアバスA380-800の最大離陸重量は560トン、対してボーイング777-300ERは348.8トンと文字通り重い飛行機であります。
しかし、ここでの重いは違う重さです。カタログ価格で1機約1,500億円のA380-800であり、3機購入したとすると半額にしてもらったとしても2,250億円とかなりの投資であり、コストにのしかかlり、重いと言えます。
足元の決算説明会(2020年3月期第三四半期)の質疑応答においては第四半期の見通しについて、以下のとおり説明されています。
第 4 四半期の需要動向について、方面別の見通しは以下の通りです。
北米 : 前年に比べて生産量が増加 → 三国間・訪日需要を取り込み、座席キロ以上に旅客キロが増加
欧州 : 羽田=ウィーン線の需要が定着 → レジャー・訪日需要を獲得し、座席キロ並みに旅客キロが増加
中国 : 競合が更に激化する見込みも、先行きは不透明 → 新型コロナウィルスの影響を見極めて対応
アジア : 香港・韓国線の動向を注視 → その他路線は順調に需要を獲得、座席キロ並みに旅客キロが増加
ハワイ : エアバス A380 型機投入の効果が定着 → 好調を維持、座席キロ以上に旅客キロが増加
ANAホールディングスホームページより
また、新型コロナウィルスの影響に関する質問は出ているものの、質問者でさえ、中国線に限定した影響に関して訪ねており、瞬く間に世界に感染が広がり、世界中がロックダウンしたのは想定外のことであるように思えます。
新型コロナがなければ、エアバス A380 型機投入の効果が定着し、順調に推移したことから、A380の導入は成功だったと言えます。
仮に最初の段階でうまくいかなくても、他の路線において路線拡大とインバウンド需要により、カバーし、軌道に乗せると考えていたことも想定されます。
新型コロナが発生するまでは牽引役であったものの、その影響により、歯車で逆回転しだし、需要はゼロ、逆にそのコストが重くなる結果となっています。そして、それをカバーするほかの路線もインバウンド需要がなくなり、リカバーできなくなっています。
新型コロナがなくなれば劇的に回復
コロナ疲れ、コロナ慣れというように身に迫った危機意識が薄れると外に出る人も多く、新型コロナが完全に封じ込めれば、制約されていたものが一気に放たれ、劇時に需要は回復すると思われます。
ただし、新型コロナがなくなればという前提であり、この影響が過去に振り替えれば歴史上最も恐ろしいこととなれば、さらに深刻になる可能性もあります。
今は出ていくコストを徹底的に管理し、持ち応えるしかない状況かもしれません。
最後に
ハワイ線運休でA380は終わったという意見もありますが、平時においては間違いなくうまくいっていた事業であり、平時になれば再び活躍できる飛行機ではないかと思います。
エコノミストも予想できなかった想定外のパンデミックであり、現時点では持ちこたえるしかないと言えます。
まだ、振り返りできる段階ではないですが、こうした超想定外の事態が起きうることも対策が必要となるかもしれません。早く事態が収束することを祈るところです。