弾丸トラベルで一番致命的なのは、旅行中一番時間を費やす飛行機に関するトラブルだと思います。特に、遅延や欠航は少ない滞在時間を消滅させるほか、休暇明けの仕事に間に合わない可能性もあります。幸い、弾丸トラベルにおいては、こうしたトラブルによる致命的な失敗をしたことはありませんが、逆に旅行をきちんと堪能できる長期休暇、特に大西洋を横断(世界一周)するでは、「やられた」「やらかした」トラブルがありましたので、何回かに分けて書いてみたいと思います。
スターアライアンスで初めての特典航空券発券
私は過去、ワンワールド派でした。JALではなく、アメリカン航空のAAdvantageで貯めていました。自社の安い運賃でも100%加算で、CXやQFでも格安チケットでもマイルが貯められる一方で、特典航空券も片道から利用でき、2泊4日でシカゴやニューヨークも結構行ったこともありました。
AAdvantage elite status − AAdvantage program − American Airlines
その後、10年くらい前に生活も変わり、ANAに転向しました。当時はソウル発券や香港発券もまだ格安で、オークランド(NZ)まで往復10万円程でTGのビジネス(ICN発券)が利用できたりもしました。そんなこんなで積算したマイルは20万超となり、使うことを考え出しました。おそらくANAでの最初の特典航空券だったと思います。
9月にまとまった休暇が取れ、当時まだ訪問したことのないオーストリアとハンガリーに行ってみたい思い、欧州方面へのフライトの空きがなく、色々検討する中で、「スターアライアンス世界一周特典航空券」に辿りつきました。
世界一周特典航空券とは
文字通り、世界一周をするための特典航空券で、来た道は戻らない人向けにはたまらないチケットです。
ポイントとしては
1.距離に応じて必要マイルを算出
2.太平洋、大西洋を1回ずつ飛行機を利用して横断
3.最低利用日数が10日以上
が条件となるということです。
1については、日本は北緯40度前後に位置する国で、オーストリアとハンガリーは北緯50度弱の前後に位置する国です。極力、高緯度を飛ぶフライトであれば、距離が少なくて済むのでマイル消費もセーブできます。したがって、北米・北欧のフライトを集中的に探しました。
2については、地上での滞在時間を長くしようするとフライト時間を短くする必要があります。偏西風の力を借りることで飛行時間を短くできる東回りとしました。また、大西洋を横断したことがないので、当時はとてもワクワクしていたことを覚えています。
3については、一番のネックでした。長期休暇といっても1週間(土日を前後に挟み9日間)と発券の条件を満たせませんが、ソウルを特典航空券の起点として、最後の旅程(日本発ソウル行き)を翌月に設定することで条件をクリアしました。ソウルまでの往復はアシアナの格安エコノミーとしました。
世界一周特典航空券ルール(ANAホームページより引用)
世界一周の旅程のみ、全旅程の距離(区間基本マイレージの合計。地上交通区間は移動マイルとして計算に含めません。)に応じて必要マイル数を算出します。太平洋、大西洋を1回ずつ飛行機を利用して横断する必要があります。ルートは東回り、あるいは西回りのどちらかで逆回りはできません。出発地と最終帰着地の間で最大8回の途中降機が可能です。(ただし欧州での途中降機は3回まで、日本国内での途中降機は4回までです。)また、出発国に戻る最後の国際線搭乗は、最初の国際線搭乗から10日目以降になります。旅程は最大12フライト区間に加え、最大4区間の「地上移動・同じ都市での異なる空港間移動」が可能です。
必要マイル数(ANAホームページより引用)
発券したルート
NRT-ICN ,GMP-HND アシアナ航空・エコノミー購入(1万円台だった)
ICN-YVR-YYC-LHR-VIE(地上移動)BUD-FRA-NRT-ICNの特典ビジネスで発券しました。
総距離は17,581と14,001~18,000の距離枠いっぱいに収め、105,000マイルに収めました。ヨーロッパ単純往復だと90,000マイルですが、複数都市を混ぜ込むと結構105,000マイルとなってしまうため、まあまあかなと思います。
実際の体験談
カナダ0泊入国
成田から仁川国際空港に移動し、以遠フライトのSQ便を利用。現在では化石となってしまったリクライニング型シートのラッフルズクラスでバンクーバーに到着。
カナダ入国の際、「なんでソウルから来て、ロンドンに行くのにカルガリー経由なのか?」と聞かれ、「マイレージ・ラン」と拙く答えるとすんなり入国でき、国内線でカルガリーに。
ロンドンからブダペストへ
カルガリーからロンドン・ヒースローまではエアカナダのB767-300ERと機材としては当時でも新しくはありませんが、ビジネスクラスのシートは当時としては最新式のヘリンボーン型のフルフラットシートでした。
真夜中の大西洋で何も見えませんでしたが、ルートマップにタイタニック沈没箇所が表示されていたのが印象的でした。ロンドンで一泊ののち、ウィーンへ。
オーストリア航空のリージョナル便に搭乗。エコノミーと同じ2-2配列でした。
ウィーンに滞在後、鉄路、ハンガリーの首都ブタペストに。
トラブル発生
街も人もきれいなブダペストに名残を感じながら東京へと戻るべく、フェリヘジ国際空港(当時)に。ルフトハンザのカウンターは満席に近いのか、ごった返していましたが、ビジネスクラスのためすぐに手続きが済み、空港運営のこじんまりしたラウンジに。
ラウンジの受付嬢はちょっと気弱な不思議ちゃんの東欧美人でした。ラウンジにはハンガリーワインが種類豊富にあり、飲み比べていると搭乗時間に。ゲートに行き、搭乗時間となっても搭乗は開始されず、しばらくすると生真面目そうなルフトハンザのパイロットが出てきて、「エンジンの不良のため、搭乗時間が3時間以上遅れます。詳細は追ってお伝えします」と申し訳なさそうに伝えられ、カウンターに行くものの、ラウンジで待機するよう指示され、再びラウンジにむかいました。不思議ちゃんに「また、来たの」みたいな感じで入室し、一時間ぐらいたっても様子に変化はなく、フランクフルトでの接続時間が気になったため、不思議ちゃんに「東京に明日中に戻れなくなる」と拙く伝えたところ、拙い英語同士でやり取り後に、ハンガリー語らしき電話でのやり取りの後、手をとってチェックインカウンターに連れて行ってくれました。「ラウンジの受付は誰もいなくなるのにどうするのだろう」と余計な心配をしながら、カウンターに到着。代替のルートを2つ提示してくれました。
代替ルート提示
一つは、パリまでマレブハンガリー(現在は消滅したエアライン)で行き、ANA便で東京に行くルート、もう一つは、アリタリアでミラノまで行き、JAL便で東京に行くルートでした。条件反射的にANAを選択し、搭乗券をいただき、手荷物検査を再び受け、再々度ラウンジに。何もなかったかのようにパソコンでネットサーフィンをしていた不思議ちゃんに、礼を言うと満面の笑みで受付をしてくれました。
当時、ワンワールドに加盟していた、今はなきマレブハンガリーのビジネスクラスにてパリまで行き、CDGのドーナッツのようなターミナル1にてNH便の搭乗券を受け取り搭乗。当時はまだ就航していたボーイング747-400(744)にて、日曜日中に帰国でき、問題なく次の日から仕事モードに。
最後に
トラブルはあったもののたくさんの人に助けられて、旅行を全うできました。もともと特典航空券として、素直にヨーロッパ往復で予約しようと思っていたにもかかわらず、空席がなく、苦肉の策として世界一周航空券で予約したら、最後はトラブルで結局ANA便になってしまい最初から予約できればいいのにと思いました。しかしながら、大西洋横断や不思議ちゃんに助けられたりして、いい旅の思い出となったのは良かったです。さらに、後日ホームページを確認すると特典航空券にもかかわらず予約クラスCでマイルが加算(プレミアムポイントも)されていました(驚)。機材不良を起こしたルフトハンザが被ったのかもしれませんが、DIA修行の起点となる出来事でした。この後も大西洋を渡る旅行を計画しますが、大西洋横断時に限ってなぜかトラブルが発生します。それはまた別のお話で。