世界一周と言うと沢木 耕太郎氏の「深夜特急」のように仕事をすべて投げ捨て、自分の思うままに世界各地を転々と色々なトピックスをもとに渡り歩くのは決められた時間で働き、生産性や効率性からフリーになりたいと考える人にはとても魅力的であり、世界一周がそれを叶えてくれるように思いますが、実際どうなのか考えてみました。
必要な情報がほとんど手元で揃う時代
深夜特急が書かれた時代は今から30年以上前であり、海外の情報をいち早く、ビジュアルで伝えられるメディアはテレビであり、日本はバブルでお金があり、マスコミは世界各地で起きている世界的変化をテレビに映すために世界中を飛び回っていたと言えます。ブラウン管を通して視聴者は海外の激変ぶりに驚く一方で、ノルマや効率性の追求に窮屈さを感じた人はそうした異色の世界に飛び込んでみたい欲求をカバーしてくれるものでした。
あれから、30年。インターネット、さらにそれと接続したスマートフォンは世界中で持つ人が増え、ソーシャルメディアなるもので、自分の身近なものから、自分の近くにあるいいもの、美しいものをいいね、ハートマークを求めて、情報を拡散し続けます。
それまで、世界一周を生業としてきた人は自分にしか発信できなかった情報が世界中に拡散していくこととなり、その価値が薄れていくこととなります。
今後は、足腰が不自由な方や時間のない人には、VRやXR技術を活用した、仮想現実により、世界各地を体感することができ、ますます世界一周をすることの価値が薄れていくことが考えられます。
実際、世界一周を体験してみて
個人的にはこれまで、物理的な世界一周は4回であり、ジャーナリストや商社マン、バイヤーなどビジネスで移動せざるをえないパーソンからすると少ないですが、すべて自分の思うままに移動しており、限られた時間で一周しているため、あまり価値はないかもしれませんが、少なくとも世界一周については深く考えたりしているので、いい経験と言えます。
単なる旅程パズルの組み合わせだけでなく、文化や言語にも触れるため、それについての重要性を短期間に考えたりすることもあり、思考回路がシャープになるメリットもあり、日常においてもメリットがあると言えます。今後はこうした経験を増やし、ビジネスにつなげていければいい終末もありかなと考えています。
世界一周を生業としないで、兼業としての世界一周の方が楽しい
よくノートパソコン一台で好きな場所に行き、稼ぐ記事を見かけますが、そうした人もいることは事実と言えますが、複数の仕事をした方がより稼ぐ感覚は研ぎ澄まされると言えます。人間にとって、比較するものがあると言うのは最大の道具であり、比較を基に何が違うのか、何が良いのか、組み合わせれば革新的になるのかが見えてくると思います。そういう意味においては、時間的な余裕は少なくなりますが、今働いている仕事と世界各地を訪問することをうまくバランスをもって、両立してみるのがベストと言えます。
何より、旅行する原資が継続的にあるほか、意識を高く持てば、いい勉強となると言えます。勉強が失敗しても、リバイバルがあり、時代の変化もつかむことができると言えます。
稼ぐ力がないと専業の世界一周は難しい
先述の通り、現在は事実もフェイクもネットで手にすることができます。特に検索してわかり易い結果が上位表示される検索エンジンよりも、そうしたからくりが取り込まれていないSNSの方が、それを悟った人には人気であり、より真実に近い情報を手にすることができます。写真だけでなく、動画、場合によっては3D映像も手にすることができます。
こうした時代においては、ありのままの情報発信に加えて、独自視点やよりディープな情報提供をすることが不可欠と言えます。一番効果的なのは稼ぐことを教えてくれることがベストと言えます。動画でのパフォーマンスや危ないレア画像の提供もそれに値しますが、世界各地で教わって汗をかいたビジネスモデルを披歴するのも良いと言えます。今の時代は情報をシェアした方が儲かると言え、何が稼げるかと同時に、何が世の中に役立つか考えていないとハッピーにはなることはできないともいえ、稼ぐ力を目的意識にして世界一周もするのも最良かと思います。
陸マイラーのみで世界一周は可能か
陸マイラーの中には、クレジットカードやポイントサイトを利用して貯めたポイントをマイルに変換して、世界一周として記事にしている人もいますが、そのコンテンツはジェットセッターのような記事であり、「ファーストクラスで世界一周」のような記事ばかりであり、企業で言うROE(資本効率)がない記事が少なくないのも事実であります。
特典航空券でファーストクラスの取りやすい、東南アジアから欧州に向け、ファーストクラスが就航している欧州主要都市の旅行記を記載し、大西洋横断後はニューヨーク、そして最後は意地なのか、日系航空会社のファーストで〆る記事が多いような気がします。南半球にはそれなりに人口が多く、日本では想像できないほど文化もあるのですが、そうしたところにはいかずに三角飛びに近いルートだったりします。
別に世界一周でなくとも、ファーストクラスで各地を往復すれば済む記事であります。現在はより効率的にポイントを貯め、より効率的にポイントを消費するかに焦点が置かれていますが、折角のポイントの創造性とパフォーマンスの高さを逸失していると言えます。さらに、それが何を読者に生み出すのか、新しい価値観を提供するかの不明であり、ただのマウンティングにしか見えない側面もあります。
また、陸マイラーのみでは、稼ぎがないと支払いは滞るため、ある程度の収入が必要と言えます。広告収入などで潤沢に稼ぐ人もいますが、与信と言う面ではそれだけではスコアが低いため、資産や他の収入源が必要であり、陸マイラーだけでは世界一周には向いているとは言えません。陸マイラーで定職があるのであれば、世界一周よりはマイルドな海外旅行を持続した方が得策と言えます。
最後に
世界一周とは日本人にとっては、この四半世紀で大きく定義が変化しています。世界一周をじっくりするよりも、昨日はニューヨーク、今日は東京、明日はロンドンと言うようなタイムマシン的な存在感の方が価値はあり、それを実現するようなことも可能です。世界中を旅行することに何を求めるが自由ですが、世の中のために役に立ちたいのであれば、過去の例を辿るよりも潮流や自分で確信したことを徹底的に掘り下げてみるのも評価される時が来ていると言えます。ステレオタイプな世界一周は終えた後、ロスが大きいと言えます。