東海道新幹線と言えば、白い車体に青帯を1964年から貫いており、あまり、変わり映えがありませんが、8代目となるN700Sの進化は驚くことが多いためまとめてみました。
東海道新幹線の歴代車両
東海道新幹線は世界の高速鉄道の幕開けともいえ、1964年10月1日に開業してから、56年間経過していますが、その間に大きく進化しています。
人類の歴史遺産ともいえる0系は最長35年間も走り続け、その後、リファインされた100系はグランドひかりと言う、バブル後期に日本らしい贅沢を織り込んだ車両でした。
そして、東海道新幹線がいままでその意義を保つべき登場した「のぞみ」の300系により、今世紀まで新幹線の偉大さを示してきたとも言えます。
21世紀目前に投入された700系は色々な記録を残した300Xの面影を残しながら、山陽区間では300km/h運転をするなど地味ながら快挙も残してきました。
そして、平成から令和を代表するN700系は今では最も知られた新幹線かもしれません。見た目は変わらず、足回りと一部インテリアを変えたN700Aは平時における変化はあまり感じませんでした。しかし、東海道区間を15km/h速度アップした車両というバッジもあり、東海道区間の歴代車両のすごさも感じます。
そして、N700が誕生してから13年ぶりに搭乗したN700Sは東海道・山陽区間での最高速度のアップもなければ、N700Aと比較して加速においても変化はありませんが、実際、乗車してみると大きな変化を感じます。
そこがJR東海の奥ゆかしさなのかもしれません。
乗車してみてその違いを感じた
京都駅
京都と言えば日本の歴史を凝縮した街であり、日本らしさたる構えがあって然りですが、京都駅のインパクトは何度訪れても感じるところです。
おそらく、東京駅や新宿駅、品川駅、横浜駅では許されない空間であり、それを許した京都はある意味すごいのかもしれません。
賛否両論はあるものの、京都駅で京都の景色を楽しめるようになったのは新しい時代なのかもしれません。
N700S乗車
今回はのぞみ354号
N700Sは現時点ではJR東海のみ運用する車両であり、守備範囲の東京=新大阪間で運用される車両となります。性能的にはのぞみに運用されるのがベストと思いますがひかり、こだまでも運用されています。こだま運用の方が加減速は大変そうですが。
今回は同社のフラッグシップののぞみでの運用に乗車することができました。J1編成に乗車することとなりますが、その数分前はJ0編成が新大阪側に試運転として通過していきます。
いよいよ、J1編成の入線となります。
動画は映画チックに色濃く、コマを落としてみました。いつかは当たり前の光景になりますが、リニア開業前の最後の主役新幹線と思うと感慨であります。
外観
東京駅で線路を挟んで隣に停車していたN700Aと比較すると先頭形状は大きく異なります。N700Aはどちらかというと最近の若者のように小さな顎のようにほっそりとした印象がありますが、N700Sではがっちりした印象があります。
ポルシェ・パナメーラのフロント周りにも似た印象があります。
乗車すると
新幹線の規格は決まっており、東北でも北陸でも東海でも九州でもほぼ、同じ採寸であり、乗客としてはあまり大きな変化はありません。


編成の真ん中にある8号車のグリーン車となります。色調や構成は先代とあまり変わらず、一見するとあまり変わりませんが、じっくり見ると質感や便利さは大きく変化していることに気づきます。
洗面回りが意外と洗練されていたりします。鉄道の洗面というとあまりいい印象はありませんが、コロナ禍の現在でも気持ちよく利用できます。
グリーン車車内は2-2配列であり、コンサバな東海らしく色調も大きく変更していません。それでも窓から天井にかけての形状を変更したり、照明の範囲を変更したり、座席の素材の変更や質感の向上でかなりのグレードアップされている印象があります。
N700Aでも剛性感を感じたシートですが、それ以上にかっちりしており、信頼感と快適性を提供しています。


あきらかに静か
コロナ禍でシートを向かい合わせにしてはいけない、大声で会話をしてはいけないなどのアナウンスがされ、そもそもの乗客も少ないため、こうした要因が強いとはいえ、N700Aと比較しても明らかに静粛であり、これは明らかに大きな進歩と言えます。






14Ⅿ2Tであり、グリーン車の8号車と言っても電動車でありますが、その走行音はマニアにはたまらないものでありますが、ノイズとは別物となっています。
ポルシェの電気自動車の走行音のようにあえて官能的に仕上げているかのように感じてしまいます。
振動も少ない
音だけではなく、振動も明らかに改善しています。N700世代となって、東海道区間はかなり傾けてカーブを通過し、人によっては不快に感じる人もいましたが、その要因には揺れが加算されてそうなっていたところもあるのではないかと感じています。




N700Sではフルアクティブサスペンションが改善されているのか揺れというか振動が大幅に改善されており、静かさを台無しにしない効果を発揮しているようです。
E5/H5系と比較してもグランクラスやグリーン車の揺れはかなり違い(もっとも320km/hと285km/hの違いはありますが)、最強の快適性とも言えます。
のぞみ354号の車窓
のぞみ354号は京都を出発すると停車駅は名古屋、新横浜、品川、終点の東京となります。同車両の加速を音とGで感じられるのは京都、名古屋、新横浜出発と意外と少ないものの、285km/hでの曲線通過はたくさん感じることができます。
今回は海側の乗車であり、京都を出発し、しばらくすると関ヶ原付近を通過していきます。冬場はスプリンクラーといった感じですが、秋は独特の形をした山々が見えてきます。
名古屋に近づくと川を渡る機会が多くなり、減速をしていきます。
名古屋を出発すると駅通過か多くなりますが、緻密なダイヤの効果なのか減速感もなく、スルスルと通過していきます。
THE日本の風景ともいえる富士山と富士川と新幹線ですが、今回はご機嫌斜めなのか雲隠れしていました。
熱海を過ぎ、小田原あたりまで来ると予定調和なのかのぞみとは思えないくらいまったりした減速感満載の運転となります。
宇都宮から275km/hに減速するはやぶさ以上のゆっくり感です。しかし、新横浜からの加速感ははやぶさにはない加速感であっという間に品川到着となります。
どこかクールな品川を過ぎると、チェッカーフラッグ後のウィニングランのように東京駅まで流します。
東京駅到着後、丸の内口に降りてみると北陸・東北の新幹線を乗ってきたのとは違う感覚があります。
行幸通りにはウェディングドレス姿もあったりします。
最後に
N700Sは実際乗るまではN700Aとあまり変わらないと思っていましたが、極上であるグリーン車に乗車してみるとその進化が大きいことが分かります。
E2系とE5系では見た目も快適性も大きく、変化していますが、それに匹敵するような変化と言えます。
東海道では、リニアが登場するまでのリリーフ役ではありますが、九州や山陽では今後20年近く、その実力を示すこととなりそうです。