国内線・最後のフロンティアとも言える、南国の離島フライトについて、最近、新たな動きがあったため、整理してみました。
- 島国の日本は離島が多い
- 離島間を結ぶのは飛行機か船
- 地域航空サービスアライアンス有限責任事業組合の設立
- 目的のための結果はコードシェア
- 今回対象のリージョナルエアラインとは
- ANA・JAL共同運航は大きい
- 最後に
島国の日本は離島が多い
島国の日本は北海道から本州、四国、九州、沖縄全てが世界的に見れば、島でありますが、その島国の中にはさらに多くの島が多く存在します。
北は北方領土、奥尻島、新潟の粟島、東京都の小笠原、瀬戸内海の島々、隠岐、対馬、壱岐、五島列島、奄美群島、そして、Dr.コトー診療所のロケ地でも有名な与那国島までと数多の島があります。
人が住んでいないものの経済的利権から重要な沖ノ鳥島や南鳥島まで含めると島が多い国でもあります。
離島間を結ぶのは飛行機か船
離島との間にあるものは海であり、橋やトンネルがなければ車輪の乗り物はいけない場所であります。タイヤのついた乗り物であるバス旅では唯一行ったのは宮島くらいではないでしょうか。
そうした中で、離島間を結ぶ飛行機は短時間で行き来できることから重宝されている一方で、基本的に大きな荷物が運べず、人の輸送が主となっており、その人も限られた需要しかないため、収支が厳しい路線でもあります。
しかしながら、人間にとっては貴重なライフラインと化しているため、不採算=廃止というわけにも行かないようであります。
地域航空サービスアライアンス有限責任事業組合の設立
離島との間の交通は重要になる一方で、人口減少、都市一極集中、飛行機を飛ばす燃費高騰などの理由から離島の間のフライトはどんどん厳しい状況にあります。
このままいくと、独自経営で離島に特化したリージョナルエアラインの経営は厳しくなる一途です。
反面、日本国土の強靭化という観点ではリージョナルエアラインは必要不可欠であり、持続可能な日本国を続けていくためには必要な存在でもあります。
以上から、南国のリージョナルエアラインと日本国内のメジャーキャリアであるJALとANAが組合という形で令和元年に地域航空サービスアライアンス有限責任事業組合を設立しています。この組合の目的は持続可能な地域航空の実現に向けた取組みであり、4年間という期限の中で、その回答を作り、目的に対しての結果を期限内に生み出すというものであります。
目的のための結果はコードシェア
以上のように大きな使命の担い、4年間が経過しているところで、一定の結論が出たようです。
非公式ながら、結論としては国内線大手のJALとANAがそれぞれ離島路線においてコードシェアをするという事となりそうです。
これまで南国のリージョナルエアラインはJALかANAの一方との提携をしていましたが、今後は両社とコードシェアを行うことで、経営基盤の安定化をはかり、離島路線の存続を継続していくようであります。
これにより、離島間で今までにはなかった需要喚起が促進されるほか、これまで接続フライトの選択肢が増えるため、利便性も向上することとなりそうです。
今回対象のリージョナルエアラインとは
今回対象となるリージョナルエアラインは下記の3社となります。
日本エアコミューター(JAC)
オリエンタルエアブリッジ(ORC)
天草エアライン(AMX)
となります。
日本エアコミューター(JAC)
日本エアコミューターは鹿児島県霧島市を本拠地とする会社であります。JALとの連携が強く、JALグループとしての存在感強いリージョナルエアラインであります。
機材はATR42-600型機 7機、ATR72-600型機 2機であり、就航路線は下記のとおり、結構広いです。
鹿児島⇔種子島・屋久島・喜界島・奄美大島・徳之島・沖永良部・与論・福岡・松山屋久島⇔大阪(伊丹)・福岡
奄美大島⇔喜界島・徳之島・与論
徳之島⇔沖永良部
沖永良部⇔沖縄(那覇)
但馬⇔大阪(伊丹)
隠岐⇔出雲
福岡⇔出雲
基本的には鹿児島県内の路線がメインでありますが、島根県の隠岐と出雲間、関西ローカル但馬と伊丹間なども運行するJALはとしては結構大きなパートナーであります。
オリエンタルエアブリッジ(ORC)
オリエンタルエアブリッジは五島列島とのアクセスを担うリージョナルエアラインであり、五島列島と対馬が属する長崎県と九州最大の経済圏である福岡との間の接続をメインとしています。
一方で、高速バスとの競合の宮崎やニッチな金沢・福井方面の小松路線を保有しているのは経営的な判断とも感じます。
アライアンス的にはANAであり、ANAとは全便コードシェアとしています。
長崎 ↔︎ 壱岐、五島福江、対馬
福岡 ↔︎ 五島福江、宮崎、小松、対馬
天草エアライン(AMX)
天草エアラインは熊本県が親会社であり、天草飛行場をハブとして県内のフライトや福岡をメインとしています。
同地域は有明海があるため、陸路では県内間移動は時間がかかります。そうしたニーズもあり、有明海を跨ぐ存在としては貴重であります。
天草↔︎福岡、熊本
熊本↔︎大阪/伊丹
熊本⇔大阪はキャッシュカウ的な意義があるかもしれません。同路線で稼いだ原資を天草路線維持に繋げているのかもしれません。
ANA・JAL共同運航は大きい
今回、JALとANAに分かれていたリージョナルエアラインがいずれともコードシェアをする事は大きいと言えます。
額面通りに捉えるとコウノトリ但馬空港の路線もANAでプレミアムポイントが積算されそうですが、全ての路線がコードシェアとなるかは不明であります。
一方で、JACの離島路線は多く、こうした路線でNH便名が付くと、ANA派にとっては大きいかもしれません。需要を促進する観点からするとJALとANAで大きく運賃に差をつけるのは厳しく、ANA派にとってはメリットが大きいかもしれません。
ANAの方が恩恵を受けそうですが、座席指定や優先搭乗などはまだ煮詰まっていないと想像されるため、ANAダイヤモンド会員がオレオレな搭乗をするのは難しいのが想像されます。JALダイヤモンドもそうかもしれませんが。。
最後に
コロナ禍もあり、47都道府県を結構、巡ってきましたが、離島路線において、JAL派でないとなかなかアクセスしづらいと感じています。
しかし、この構想がスムースに進めば、隠岐や壱岐は行ってみたいと思います。
共通コストで運賃については、島内民以外は高くなるかもしれませんが、価値はあると言えます。飛行機で行ける国内が多いのは国家強靭化とも言え、こうした取り組みは色々な方面で続けて欲しい所であります。