JALは4月にも先日、失敗した国内線のキャンペーンを再チャレンジするとのことで、考えてみました。また、世界が取り巻くナショナルフラッグシップキャリアからJALとANAがどうなるか考えてみました。
JALは再チャレンジ
JALは6,600円を決算〆の3月にANAに喧嘩を売るような形で展開しましたが、肝心のネットワークシステムにおいてキャパオーバーとなり、受付ができないだけでなく、セール運賃か以外のプロフィッタプルな正規運賃のネット経由での購入機会を失うと言う、失態をやらかしてしまいました。
ファクトとしては、タイムセール時にこれまで予想していた20-30万アクセスを超える100万アクセスがあったのが原因であります。同社としては予想プラスで40万アクセスを想定していましたが、それを凌駕してしまい、全損となったようです。
たしかに、個人的にも同キャンペーンについての所感の記事を書いたところ、JAL様に及びませんが、異例のアクセス数だったのでそれを感じます。
JALでは経営構造をそもそも見直して、設備投資が必要なオンプレミスなシステムから経費で済むクラウド的なサービスに移行してきた結果、そのシステムを過信していたのかもしれません。まあ、ANAも先々はこうした道となるので、キャンペーン時のシステム運用とかは勉強しているかもしれませんが。
JALはこうした顛末がありつつも、利用者に大きな不満を作ってしまったためか、リベンジをするという事を赤坂社長自ら会見で行っています。
昔のJALと違って非を素直に認めて、もう一回チャンスを下さい的なコメントをするのは随分時代が変わったようにも見えます。まあ、利用者向け以外の対策だったかもしれませんが。
2022年度決算
おそらく、6,600円キャンペーンは先述のとおり、お金をかければ対策はできたのかもしれませんが、入ってくる収入は基本的に6,600円/回であり、コストは3月度の月額費用で多大にかかるとなるとトップラインで多少上乗せできても、コストが多大となると過去11か月で積み上げてきた利益を毀損する可能性があり、中止した可能性があります。
同社では第3四半期決算で純損益を200億円下方修正している一方で、未定であった期末配当を20円予想に変更しており、回復を印象付けている最中に予想外のトラブルで下方修正した最終利益さえ達成できないとなると株価に影響を与えることを懸念して中止としたのかもしれません。
いみじくもアクセス数からキャッシュフローを作り出すパワーや航空需要が着実に回復していることが証明できていたかもしれません。
ANAにキュン! 3月29日がまた先行
JALが前回失敗したため、大きなキャンセルはなかったかもしれませんが、70周年に泥をかけられたたANAではありますが、儲かったから良かったと言うことかもしれません。
そして、こちらも再チャレンジなのか国内線航空券と国内線特典航空券の減額マイルが来ています。何かきな臭くなっています。
時期的には6月搭乗分が妥当と言えますが、まさかの4月搭乗分という奇襲も有りそうであり、気にしてしまいます。
JALは4月には再チャレンジと言っているので、1回の表のANAの攻撃を見てから、1回の裏に入ると言えます。
ANAはJALのシステムに負荷がかかりそうなキャンペーンをやってくるか不明ではありますが、多区間を同時購入とかやるとどうなるか気になります。
JALとANAのイメージが変化
JAL国内線キャンペーンを再チャレンジ、日本のエアラインの命運を握るかJALとANAの2023年3月期(2022年度)の業績予想は下記のとおりです。
JAL 売上13,580億円、純利益250億円、EBIT500億円
ANA 売上17,100億円、純利益600億円、EBITDA2,405億円
JALとANAで決算の開示方法が異なり、いったん御破算になったJALの方が健康診断では優位ですが、その間に客をありとあらゆる手で増やしたANAも稼ぐ力は結構あると言えます。
何となく、印象的にはANAの方がプレスリリースは発信頻度は高く、さらっとしているイメージがあります。一方でJALはキャンペーン開始においても、その経緯なども触れたりと親身的で人が作っているという感はありますが、手作り感が大きく、悪く言うともっさりしています。
何となく、以前はJALは国策会社で官僚的で、ANAは民間企業でチャレンジャーみたいなイメージがありましたが、反転しているようにも見えます。
JALの方が現場ではフレンドリーで、ANAの方がフレンドリーではないもののサービスはキリッとしている感じも有り、スマートでスムースなのはANAにも感じます。スチュワーデス物語のJAL一択も随分変わったものであります。なんかANAも変ったものであります。
まあ、通信事業者にとっては大事な周波数に例えられる羽田空港のスロットが大きかったのかもしれませんが。長門というか富ヶ谷の育ちの人が大きな影響を与えたのかもしれません。
JALに期待
世界を見ると、国と航空会社と言うのは不思議であります。
昔は国の中に多くの航空会社は有りましたが、LCCと言うカテゴリーを除くと結構絞られています。
先進国(G7)でのフルサービスキャリアを見ると下記のとおりです。
イギリス ブリティッシュエアウェイズ
フランス エールフランス
ドイツ ルフトハンザドイツ航空
イタリア ITAエアウェイズ
カナダ エアカナダ
アメリカ アメリカン航空、ユナイテッド航空、デルタ航空
日本 日本航空、全日本空輸
アメリカと日本以外はLCCを除くとフルサービスキャリアは一国一キャリアであり、BMIやカナディアン航空など二つ以上あったのですが、ほぼ一つしかない状態にあります。人口規模の多いアメリカではTWAやUS Airwaysも有りましたが。
まあ、G20まで拡大してその国を見ると下記のとおりです。
アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ
人口規模が桁が違う、且つ、政治システムが大きく違う中国以外はほぼ、ナショナルフラッグシップキャリアは1社であり、エアラインの厳しさも感じる中、日本では2社が存在するのは稀有かもしれません。1945以降の51州的な感じかもしれませんが。
結構、先進国では珍しい状態の中、エアラインコードではJLと名門なコードを持つ日本航空であり、かんばって欲しいところであります。
ジャンボ機が良くも悪くも代名詞であった同社がフラッグシップ機にA350-1000を本格導入し、ボーイングの長距離機はディスコンする挑戦は結構期待したいところでもあります。まあ、国内線ではボーイングB737-8導入とかでありますが。
世界中でもフルサービスキャリアが1国で2キャリアあるのは最近では珍しいので、維持てして、新幹線のように類を見ない進化を続けて欲しいところです。
最後に
セールスやプロモーションではANAに押され気味でしたが、6,600円の乱とも言えるアクションでは失敗して、結果的に企業としてはANAもJALも経済的には潤ったのかもしれません。面白いものであります。
ある意味、経営者としてはほろ苦い経験ではあるものの、再チャレンジと言う道ができたのは予想していたのか、そうでないかは不明ですが、赤坂さんは強運の持ち主かも知れません。ANAの3.29のキュン次第ではありますが。両者盛り上がって欲しいところでもあります。