ANA対象者限定「ダイヤモンド・プラチナサービス」招待が一部の会員向けに展開されていますが、会員全体にとって善なのか悪なのか考えてみました。
【対象者限定】「プラチナサービス」ステイタス獲得キャンペーン
まずはばらまきの布石とも見られた10月に開始されたキャンペーンを見てみます。
このキャンペーンはANAマイレージクラブ会員の中で対象者が限られており、しかも、期間も限定されています。今回は広い範囲で対象者限定となっているプラチナをフィチャーしてみます。
期間中(2021年10月1日~12月15日)に下記条件をクリアすると2022年度(2022年4月~2023年3月まで)にプラチナ会員資格が付与されるというものです。
条件
ANA国内線搭乗回数 4回
対象サービス利用金額合計 税込17万円以上
国内線搭乗はマイレージ積算率75%以上となっています。
詳細はこちらです。
キャンペーンの内容自体は対象者でなくても見ることができます。
ちなみに、同キャンペーンサイトのURLのアドレスのplt部分をdiaに変えても、ページは表示されなかったので、プラチナだけが対象のようです。
搭乗回数は4回と少ないにもかかわらず、非航空で17万円の利用はハードルが高く、いまいちだったかもしれません。
そして、招待につながっていったのかももしれません。
解脱後の正規ステイタスとの違い
サービスキットおよびステイタスカードが発行されないので、アプリでのデジタルカードのみとなっています。
また、下記のサービスは対象外となっています。
80,000プレミアムポイント限定特典
ANAスーパーフライヤーズご入会資格
ANAダイアリー・カレンダーのお申込資格
当たり前と言えば、当たり前ですが、仮にSFCカードへの入会資格が得られていたら、お祭りになっていたことも想定されます。
こうした招待やキャンペーンをなぜ行うのか
ANAでは対象者限定として、正規のハードルを下げたキャンペーンを実施したり、ステイタスの配布をしたりすることがたまにあります。なぜこうしたステイタスのハードルを下げたり、ばら撒きとも言えることをするのか考えてみました。
正規にステイタスを獲得している既存上級会員からすると普段ラウンジに来ないような人がラウンジに溢れたり、優先搭乗において行列が長くなると言った不安も抱くことでしょう。
上級会員は経済
上級会員はある意味、経済なのかもしれません。上級会員のメリットとして代表的なものは空港ラウンジであります。
そもそもは上級会員のロイヤリティのために用意していたのですが、それが開発されてから半世紀近く経過すると、本旨が変わっているのかもしれません。
上級会員とラウンジの接点は利用する航空会社でありますが、ラウンジのサービスの提供と航空会社の接点は地域経済と言いうことになるのかもしれません。
ラウンジで提供される食事・ドリンクの提供、ラウンジのメンテナンスなど地域の経済に効果を波及していることは安易に想像できます。
一義的には航空会社がラウンジのコストは負担しているのですが、ラウンジの混雑が減るとラウンジ利用者にとっては静かで良いのかもしれませんが、そもそも、航空利用が減っているという事にもつながり、ラウンジ不要論が出てくることにもつながります。
そうすると、利用者にも不便となり、これまでラウンジサービス提供に関わっていてたニーズも消滅することとなります。
ある意味、上級会員が経済を創出しているとも言え、一定数の上級会員を作り出して回していく必要があるのかもしれません。
今回の対策がそれに大きく資するかは別ですが、そういった背景も考えられます。
ばら撒いても乗らない人は乗らない
仮にプラチナを付与しても、来年以降飛行機に乗るか不明であります。特異的にはこれを契機に飛行機に乗り、ラウンジの利用を過剰に利用する人も発生するかもしれませんが、限定的と言えます。
また、JALの優良顧客を一本釣りすると言っても、JALの優良顧客がこれをいい機会として、これまで慣れ親しんだJALを軽々に乗り換える人は少ないので、影響は少ないと思います。
また、法人でばら撒きをしたとしても、慣れない航空会社利用をする人は少ないですし、スケジュールでどうして合わない時だけとなるでしょう。
そもそも、コロナで法人の航空機利用に対する考え方は変わっており、ステイタスでなびくような法人は少なくなっているのではないでしょうか。
今年の10月1日にタークカラーのスーツを着て社内会議のために飛行機で出張しているとすると???となるかもしれません。
会員は増えても、実際に空港に来る人はそんなにいないのが実情ではないでしょうか。
上級会員の属性を多様化してリスク分散
これまでの上級会員は以下に飛行機に乗り、たくさんのお金を飛行機代に使ってくれたかを指標にして優遇してきました。世界人口も増えており、地球上での人間の移動が活発化するとたくさん航空機を購入して、人口の多い都市の発着枠を押さえてイケイケドンドンで延ばせば良かったのでしょう。
特にまとまった需要と金払いの良い法人を掴めば、経営は安定し、優遇策を活用すれば、多少利益率が下がっても規模でカバーするという事ができたのかもしれません。
ところがコロナにより、産業革命とも言えるぐらい大きな変化が発生してしまい、それが過去には戻れない変化となってしまったと言えます。
確かに、家で会議ができるのであればいくら海外に行って異国を感じられることが好きであっても、仕事上のストレスが減る方が優位であり、わざわざ渡航しなくてもいいのではないかと考える人は多いのではないかと思います。
こうした中で、コロナ禍のように航空需要が蒸発してしまうような事態があっても、非航空においても一定の需要がある属性を増やそうとしているのではないかと思います。
敢えて、飛行機に乗らいないような色々な属性の人を対象者限定としてステイタス招待として付与することで一辺倒な属性を変える狙いも見えたりします。
個人需要の一人一人のエネルギーは小さいですが、気に入れば長期に利用し、多様性があるため、コロナ禍のようなショックがあった場合でも、急降下のようなリスクは避けられるという事かもしれません。
最後に
長期的に観て世界の人口は増えても、過去のように航空需要が比例して伸びるかは疑問が残るところであります。22世紀には喉元過ぎて、増えるかもしれませんが。
航空会社ではオンライントラベルや非航空事業、アバターなどにも取り組んでいるのがそれを物語っているようにも見えます。
正規に上級会員となると今回のようなバラマキが起こると裏切られた感があり、焦燥感が一気に増大してしまいますが、実際には色々と複雑な理由があるという事を察するぐらいの方が上級会員らしいかもしれません。
個人的には同キャンペーンも招待も来ていないので関係ない話であり、来年度のダイヤモンドは確定しています。ばら撒きでは得られないサービスがあるので憤りは感じないところであります。