JR九州の完乗を始めましたのでお伝えします。
ゆふいんの森(久大本線)
今回はみんなの九州きっぷの全九州版を購入し、九州を二度横断します。横断だけなら北部版でもいいのですが、それは後のお話として、ゆっくり目のスタートです。
ゆふいんの森3号で久大本線を乗りつぶすこととします。ゆふいんの森は全席指定のため、昨夜のうちに券売機で指定を済ませておきます。
ゆふいんの森は博多を出発すると鳥栖、久留米、日田、天ヶ瀬、豊後森、湯布院、大分に停車し、終点の別府まで3時間13分かけて進みます。別府・大分に急ぐならソニックですが、今回は目的が違うため、ゆふいんの森です。
JRに民営化された後で気合が入っていた車両であり、マークひとつ見てもとてもこだわりが見えます。
車両はキハ70で平成元年に製造された"ゆふいんの森一世"であります。32年が経過しており、古いのですが、もともとレトロチックに作られており、味が出ているという方がぴったりであります。
車両はハイデッカー車両であり、シートはシックなグリーンであります。床はフローリングであり、照明は丸形をしています。
シートピッチはそれほど広くありませんが、十分であります。テーブルも木製であり、アンティーク家具のようであります。
コンパートメント席もあります。こちらの方はテーブルがさらに高級感がある色合いをしています。
先頭車と一番後ろの車の端はパノラマ車となっているため、前面展望が楽しめます。さすがに人気なのか人はいましたが、天気の良い日はちょっと熱そうでもあります。
久大本線は筑後川と大分川沿いなどを進むので、全面展望は景色が良いことでしょう。
パブリックスペースは一面木で囲まれています。全席指定なので自席に戻っても良さそうですが、占拠する人は必ずこういう場所ではいるものです。
博多を出発して約30分すると筑後川を渡ります。渡るとすぐに久留米駅に停車となります。
久留米駅からいよいよ久大本線となります。九州新幹線と鹿児島本線が徐々に離れていきます。
うきは駅あたりまでは平野の中を進み、遠くに山が見えるような光景が続きますが、三隈川を渡ると川沿いを進みだし、カーブが続く山岳列車の様相を呈してきます。
日田彦山線の終点駅でもありますが、同線は被災復旧を一部区間でBRT方式にすることが決まっており、2023年位までは代行バス(復旧してもバスはバスですが)となっています。
久留米から約40分で九州の小京都である日田に到着です。列車はここからまだ2時間ほどかかって別府まで到達します。
日田駅を出発するとさらに険しくなり、玖珠川沿いを走ります。上の写真だと清流と言った感じがします。
しかし、暴れ川のようであり、橋梁付近は豪雨の爪痕が見られました。直しても直しても豪雨にやられるとは全通した時は誰も想像しなかったことでしょう。
杉河内駅を通過すると車内アナウンスで慈恩の滝の紹介をしてくれます。列車は橋梁通過のためかもわかりませんが、減速気味に走ります。
北山田駅を通過すると急流な川とも離れて開けてきます。開けてくると再び車内アナウンスで名所の紹介がはじまります。今度は山頂が平らな伐株山(きりかぶやま)であります。山頂は公園になっているという事でどんな景色なのか興味が惹かれるところであります。
伐株山を見ながら豊後森駅に到着です。博多駅から約90分であります。豊後森では結構降りる人が多かったのが印象的です。
出発して間もなく、旧豊後森機関庫のSLと転車台が見えてきます。全国を鉄道で旅をしているとSLと転車台は良く見かけるのですが、それでもやはり凝視してしまうものであります。
豪雨の爪痕が残っているせいなのか、豊後森までで既に4分遅れています。
そして、同特急の最大の目的地である由布院駅に到着です。本来であれば5分停車であり、駅舎ぐらいは外に出て撮影したいと思ったのですが、遅延を取り戻すため、すぐの出発となりました。
由布岳は少し雲がかかっていますが、きれいな緑色が印象的でありました。由布岳と反対側の車窓だったのであまり見られなかったのが残念ではあります。
列車は由布駅を底辺として、Uの字を描くように走っていきます。いつの間にか大分川沿いを進むこととなり、走ってきた対岸でもあります。そして、大分市に向かって下っていくのを実感できます。
市内の住宅街を抜けて、高架に上がり日豊本線と合流し、大分駅に到着となります。
ここで下車となりますが、ゆふいんの森はすぐに別府に買います。車両は古く、揺れもそれなりですが、ハイデッカーという事もあり、エンジン音は静かであり、最近の高速で走る気動車特急とは違う、とても味のある車両でありました。
一旦、大分駅で改札を出て途中下車をします。これで久大本線の乗車が完了しました。
2時間の乗り継ぎ待ち
次の列車は熊本行きの特急「あそぼーい!」であり、出発の時間は15:25と2時間の乗り継ぎ待ちであります。
九州の各県の県庁所在地の駅はどこもきれいであり、複合施設化しているのが特徴でありますが、大分駅も立派な駅舎であります。
二時間の待ち時間は駅の真横にあるCITY SPA てんくうという日帰り温泉施設で過ごすことに。駅の真横にこうした施設があるのもすごいのですが、20階と21階に位置して、天空の温泉であります。
20階までエレベータで上がると入り口があります。エレベータ横の窓からの景色だけでも絶景であります。
CITY SPA てんくうホームページより
大浴場は20階と21階に位置しており、サウナや水風呂、内湯や洗い場は20階に、露天風呂は21階にあります。浴室内に階段があり、上下します。
何と言っても21階の露天風呂からの絶景は素晴らしく、それでいて天然温泉(ナトリウム-炭酸水素塩泉)と高濃度炭酸泉のそれぞれの浴槽があると言う充実した内容です。
サウナと併せて90分ほど滞在してすっきりしたところで熊本に向かう事となりました。
あそぼーい!(豊肥本線)
今日二つ目の列車はあそぼーい!です。あそぼーい!は土日を中心に運行されている観光列車の性格の強い特急であります。平日は九州横断特急が赤いキハ185系で運転されています。
この列車に乗りたくて2時間待ったわけではありませんが、車内は色々な設備があります。
とにかく、くろちゃんが至る所にいます。のれんに、ドアに、外観に、電話ブースに、会話スペースにと兎に角います。
この列車は全席指定席でありますが、みんなの九州きっぷでは駅の指定席券が購入できる券売機で座席指定ができます。
ただし、券売機では普通のリクライニングシートのみとなっています。
ボックスシートは3名以上からとなっています。
また、プラスの費用がかかるパノラマ指定席は券売機からは指定できません。1-2配列でゆったりしていますが、人気なのか着席率が高く、個人的には普通の座席の方が空いていてよかったと感じるくらいでした。
また、ファミリー向けの白いくろちゃんシートもありますが、プラスで費用が掛かるため、これも券売機では指定できないようです。
ちなみに洗面にはライオンとのタイアップなのかキレイキレイの除菌シートが置いていました。お一人さま一つまでと書かれており、いちおうルールに則っているようで、たくさんあります。
ファミリーシートの奥には木のボールプールがあり、子供が遊べる場所となっていますまた、くろちゃんのぬいぐるみを飾っているのか、子供に貸し出すのか不明な棚がありました。
コンセプトの割には子供は遊んでおらず、スーツを着た大人が乗っていたりとビジネス利用が意外と多いのかもしれません。
KURO CAFEは結構人気があり、常に客がいるような感じでした。長時間乗る人が多いのかもしれません。また、途中駅での停車時間が短いのも影響しているかもしれません。
久大本線よりも少し南側で分岐して熊本に向かって進みます。車内の設備を色々見ているといつの間にか大野川沿いを走っていました。
列車は中判田、三重町、緒方、豊後竹田。豊後萩と停車していきます。
豊後竹田あたりから山間を進むようになり、野焼きの風景も見ることができました。
行き違いの列車と波野駅ですれ違います。同駅は九州で一番高いところにある駅という事であります。
波野駅からさらにのぼり、トンネルに入る手前のところで豊肥本線で最も高い地点の近くなのか、阿蘇市内が良く見えます。
この後、大きくカーブして下って行きます。写真は一番後ろの車両からレールの様子です。宮地駅まではカーブと下りの連続であります。
宮地駅からは平坦な高原を走り、阿蘇が良く見えます。夕日に朝と水田が照らされてとてもきれいであります。
そして、阿蘇駅に到着です。黒一色に染まった駅であり、停車するななつ星も映えるのではないでしょうか。
しばらく高原は続き、阿蘇がとてもきれいに見えます。
新阿蘇大橋が見えてくると、辺りは険しい地形となります。新阿蘇大橋の奥の橋は阿蘇長陽大橋で新阿蘇大橋が開通する前に渡った記憶がよみがえりました。
遠くに風力発電が見えつつも列車は下りだします。そろそろ、豊肥本線で一番の名所であるスイッチバックの駅である立野駅に到着します。
大分側から来ると一度目のスイッチバックの車止めが見え停車した後に、転向します。
そして、立野駅に到着となります。線路の進行方向的には赤水も瀬田も同じ方向に書かれないのかと疑問に。
立野駅では4分停車するため、ホームに降りてみる人がほとんどであります。もう少しで日没の立野駅のホームが何とも旅情を感じさせます。
立野駅の車止めです。熊本地震で作り直したためか、バラストや柵がきれいです。
進行方向を見ると大分方と熊本方の信号機があります。こうした光景は完乗の旅をしないとなかなか意識しなかった光景でもあります。
立野駅から二度目の転向をして熊本に向かいます。座席の回転がないスイッチバックでした。瀬戸駅までも結構な下りであり、快走していきます。
この後、熊本空港の最寄り駅である肥後大津に停車し、その後は熊本市内で結構停車していきます。
あそぼーい!は最後の停車駅である新水前寺を出発し、熊本に向かいます。
18:29に定刻通り、熊本駅に到着。大分から3時間4分の道中でした。長いような短いような風光明媚な景色とレアな鉄道テクニカルゾーンを体感した乗車でした。
阿蘇あたりでは夕日が眩しいくらいでしたが、熊本駅から出てみるとすっかり日が暮れていました。まだ18時半ですが、本日の道中はこれにてお終いであり、熊本に1年ぶりの滞在となります。
最後に
今回、完乗した路線は下記のとおりです。
久大本線 久留米~大分 141.5km
豊肥本線 大分~肥後大津 125.4 km
JR九州 完乗率 1400.6km 61.62%
昨年、南阿蘇鉄道の鉄印を得るために熊本から肥後大津まで乗車しているため、今回で久大本線全線と豊肥本線の一部の完乗となりました。
列車二本、一回の乗り継ぎで特急列車と快適な完乗の一日でありましたが、九州を二度横断した形となり、300km以上の移動でもありました。
また、朝から夜まで天気が良く、撮影には最高でありました。山地を貫いて九州を横断する二つの本線は過酷な地形をすり抜けながら結んでいると感じた一日でもありました。