ANA中国発券について、不思議なルートが安いので、分析してみました。
本土発券シドニー行き
超大国となり、昔から超大国のアメリカと対峙する立場になってしまった中国は、もともとはANAの豊漁場でもあり、現況はなかかな厳しいのかもしれません。
とは言っても、携帯業界における電波免許並みに重要な羽田枠を持っているので、飛ばさないわけにはいかず、中国路線にも検疫体制の緩和とともに飛ばしています。
しかし、中国発券(便の多さから事実上、首都の北京と大都市の上海に限定されますが)の日本行きは別として、G7行きのANA便の運賃は総スカンを食っているぐらい高額でありますが、西側寄りなオーストラリアのシドニー行きだけは不思議であります。
エコノミークラスのHクラスであり、海外発券なのでビジネスクラスにもアップグレードできる運賃であります。
PP単価を見てみます。
運賃 9,681CNY(JPY約190,522円)
予約クラス Hクラス(70%)
プレミアムポイント合計 12,968PP
PP単価 14.69円/PP
ソウル発券やシドニー発券で欧州往復するよりも効率的と言えば効率的な単価でもあります。
ただ、日本から中国本土へのビザ免除はなく、ビザ申請が必要です。また、搭乗48時間以内の抗原かPCRの検査の上、陰性証明を同国税関のアプリに登録が必要です。何日も狭い宿に缶詰させられた時代から見ると去年の夏の日本と同等にはなっています。
日本発券でシドニー往復をしようとするとビジネスクラスアップグレード運賃は30万円くらいするのでそれと比較すると割安と言えます。
ただ、目に見えないリスクも有るので、ソウル発券で北米に行った方がまだ良いとも言えます。
南米行きが8万円台
以前は香港発券は結構、魅力的なところが多々ありましたが、香港も随分変わり中国本土とほぼ変わらなくなってしまい、現在の体制となるとG7国が目的地となると結構高くなっていたりします。特に日系キャリアは政府に気を遣っていると言うのがあるかもしれません。アジアの星でもあった香港と中国本土発券を比較してみます。
本土発は
そうした中で、中国ともそれなりの関係の有るブラジルの首都であるサンパウロ(空港はGRU)を調べてみました。以下のとおりです。
まずは北京発券であります。香港からは羽田乗継でヒューストンまではANA運航便であり、ヒューストンからサンパウロまではANA上級会員であればボーナスマイルが貯まるユナイテッドであります。NH便名がついてるのでスカイコインの活用もできます。
ビジネスクラスにはギリ、アップグレードできないQクラスですが、PP単価を見てみます。
運賃 167,140円
予約クラス Qクラス(70%)
プレミアムポイント合計 9,469PP
PP単価 17.65円/PP
日本からブラジルまで行くとなると燃油サーチャージが嵩み、結構高額になりますが、中国発となると意外と安くなります。過去のような10円以下の単価は実現できていませんが、結構安いとも言えます。
燃油サーチャージは距離にすると13,000マイル近くも有るのですが、2万円ほどで済むのでなかなかお得とも言えます。
香港発が!
そして、香港発であります。片道ではありますが、羽田経由(東京で1泊可能)で8万円台であります。南米に行きたい人にとっては一度香港に行った方が得かもしれません。
それでは、PP単価を見てみます。
運賃 83,990円
予約クラス Kクラス(30%)
プレミアムポイント合計 4,287PP
PP単価 17.18円/PP
予約クラスは底辺30%のKクラスであり、ライフタイムマイル修行くらいしか、修行の価値はありませんが、北京発券よりも単価は微妙に良いです。
何よりもサンパウロまで、ZIPAIRなどのLCCを乗り継いでもなかなかこの運賃で行けないだけでなく、ANA SFC会員であれば道中に乗り換えのラウンジが利用できるのは多いと言えます。
ここまで安いのはダイナミックプライシングが効いており、直前で座席埋めにAIが動いているようであります。
また、一応、ダイヤモンド会員であれば、アップグレードポイントを通常の2倍を消費すればビジネスクラスへのアップグレードも可能であるので、今年は南米に絶対行きたいけど高いのでコストは修行効率を度外視しても、実現したい場合には有効でしょう。
こうした場合、臨戦態勢に入り、海外発券妄想ツアーを電脳的(中国風に言うと)に繰り返して、いざサンパウロ!で発券して、速やかにフライトに臨むと言う方法となりそうです。ある意味、弾丸旅行の醍醐味でもあります。
香港は中国となっていますが、ビザは不要(滞在日数によっては必要)であり、接種証明書も不要なので、行くことは容易そうでも有ります。ただ、目に見えないリスクも考えるとできるだけタッチの方が良いかもしれません。プライオリティパスとかは必須かもしれませんが。
最後に
ANA運航便の中国発券は色々なしがらみがありつつも、その柵に抵触しない部分では、踏み込んで安くしているようでも有ります。需要と便益を天秤にかけて、逆視点な考え方でできるところは実施しているようにも見えます。
こうした所も世界情勢が大きく動くと海外発券の運賃が大きく変動するところでもあり、AIが今後それをどのように采配していくのか注目でもあります。それ以上にヒューマンエラーで概念を誤解していたり、頭と体の動作が一致しないことで起きるバグ運賃と言うのも面白いですが、世の中を知ると言う意味ではこうした流れは処世術として参考になるかもしれません。