ANAプレミアムエコノミーの入札アップグレードについて考察してみましたので、お伝えします。
入札のお誘いメールが
ANAからメールが届き、内容を確認するとプレミアムエコノミーへのオークションアップグレードの案内でした。
ビジネスクラスへのアップグレード対象エコノミー運賃を購入し、アップグレードポイントにてアップグレード申請しているのにわざわざメールを配信するのは、別システムで稼働しているのか、はたまた、ビジネスクラスは諦めてプレミアムエコノミーにしておきなさいと言う示唆なのか不明ですが、時間があるので覗いてみます。
二つの区間について申請が可能であります。
まずは、フランクフルト路線であります。画面を開いた断面では39,000円であります。ステータスとしては良いと言うステータスであり、ちょうど半分となっています。
最低入札金額は25,000円、最高入札金額は60,000円となっています。
続いては、シドニー路線であります。こちらは45,000円であります。ステータスとしては強いとなっています。シドニー路線は最低入札金額は33,000円、最高入札金額は60,000円となっています。
飛行時間はフランクフルト線は14時間50分、シドニー線は9時間45分と5時間以上もフランクフルト線は長いのですが、入札金額は安く設定されています。
普通に考えるとフランクフルト路線のプレミアムエコノミーは不人気であるとあります。プレミアムエコノミーとビジネスクラスの心理的な壁は新幹線の4時間の壁ならぬ10時間の壁があるようです。
ちなみにデフォルトで表示されるおすすめの金額ではなく、最低落札金額で入札した方がお得のようでもあります。以前、他キャリアでビジネスクラスへのオークションアップグレードを最低金額で入札をかけたところ、翌日には成立していたこともあります。
ただ、ANAのB787のプレミアムエコノミークラスの座席数は少ないので、その限りでもないこともありそうです。
入札アップグレードについて
オークション・アップグレードとは、航空会社が比較的席数の多い、上位クラス(ビジネスクラス)において、空席が多い時に下位のクラス(エコノミーなど)の乗客に対して、最低金額と最高金額を設定したオークションを行うシステムです。
上位のクラスの空席を減らすとともに、少しでも収益を上げようとするシステムであり、近年こうしたシステムは広がりつつあります。
以前はエコノミーが満席で、ビジネスクラスに空席がある場合には、エコノミーの乗客を一人でも多く、搭乗させるために、高い運賃でエコノミーのチケットを購入した人や自社マイレージプログラムにおいて頻繁に利用するいわゆる上級会員を無料でビジネスクラスのシートへ変更する「インボランタリーアップグレード」が主流でしたが、オークションというシステムを利用し、少しでもマネタイズしようとしています。
ANAではエコノミー利用者が対象者であり、入札できるクラスはプレミアムエコノミーとなっています。当日、空港カウンターで有償でビジネスクラスへのアップグレードを募ることもありましたが、最近はあまり見かけなくなっています。
このシステムを運営しているのはカナダに本社があるPlusgrade社であります。同社マリオット・ボンヴォイのポイント購入で知られているPoints.comもPlusgrade社となっています。
上級会員との競合
入札アップグレードにおいて、気になるのは上級会員アップグレードとの競合であります。入札アップグレード以前は上級会員向けのプレミアムエコノミーの存在はチェックイン時にプレミアムエコノミーに空席があればポイントやマイルを必要とせずにアップグレードされていました。
しかし、入札アップグレード導入後は、上級会員であってもプレミアムエコノミーはマイルやアップグレードポイントが必要となっています。改悪と言っても過言ではありませんが、必要となっています。
以下は先述の最低入札金額とアップグレードに必要なマイル数をまとめてみました。
マイル数 | 最低入札金額 | |
---|---|---|
フランクフルト | 20,000マイル | 26,000円 |
シドニー | 20,000マイル | 33,000円 |
国際線の長距離路線のエコノミーからプレミアムエコノミーへのマイル数は20,000マイル均一となっています。
一方で最低入札金額は2.6万〜3.3万円であります。入札金額をマイルで割り算するとフランクフルト路線では1.3円/マイル、シドニー路線で1.65円/マイルとなります。このあたりは設定金額はPlusgrade社の解析による味付けと思われますが、プレミアムポイントやマイル積算率が低くとも、プレミアムエコノミー運賃を購入する(あまり空席がなかったりしますが)よりは遥かにコスパは良いでしょう。
そして、プレミアムエコノミーにアップグレードできるエコノミークラスの運賃はY/B/M/U/H/Q/Vクラス
であり、プレミアムエコノミーの運賃差はかなりあるので、上級会員とも言えども低コストでプレミアムエコノミーに搭乗したい場合は入札アップグレードはありかもしれません。
ただし、入札と上級会員のどちらを優先かと言うとおそらく、後者であり、後者の中でもDIA>PLT>SFC>BRZ>平会員という構造があると言えます。
まずは上級会員の中で、アップグレードを確定させ、残りを入札に金額順で決めていると言えます。入札は純粋に金額で判断し、同一金額であった場合は元のエコノミー予約クラス、上級会員状況などを審判員が判定しているのかもしれません。
毎日のフライト数からこうしたことを判定しているとスタッフの労力が大変なので、システムが審議要の案件に対して、想定回答を出してそれに可否を出しているのかもしれません。
やはり、上級会員というのは維持しておいて良いものと言えます。
最後に
有償で購入すると異常に高額であり、手が届かなく、座席数も少なく不思議なクラスであるプレミアムエコノミーであります。
プレミアムエコノミーにエコノミーからアップグレードについては、入札アップグレードと上級会員のアップグレードが混雑しているので、ややこしさ満載であります。
以前のような上級会員向けにチェックイン時にアップグレードするタイプの方がわかりやすかったのですが、フードロスならぬ空席ロスも少なからずあることから導入しているところでもあり、うまく使って低コストで快適な旅を選択するのに資するかもしれません。
10時間超であれば、やはりビジネスクラスに乗りたいところではありますが。