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スカイマークの筆頭株主が異動、あの会社と経営統合はあるか

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日本国内では第3位のキャリアであるスカイマークの筆頭株主が替わることとなり、以降のスカイマークや取り巻く航空会社の動向を考えてみました。

スカイマークの筆頭株主が鈴与ホールディングスに

スカイマークは2023年11月7日に株式の売出し及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせとして、筆頭株主が替わること適時開示しています。方法としては、Integral Fund II(A)L.P.が保有するするスカイマークの普通株式の一部を、市場外での相対取引により鈴与ホールディングス株式会社に譲渡するというものです。受け渡しはスカイマークの第2四半期決算発表の翌日の2023年11月14日となっています。

以下、筆頭株主の変化は下記のとおりです。

これまでの筆頭株主

インテグラル2号投資事業有限責任組合 16.58%

異動後の総株主の議決権の数に対する割合は4.86%となりますが、第5位の大株主となります。

今後の筆頭株主

鈴与ホールディングス株式会社 13.01%

鈴与ホールディングスはこれまでスカイマーク株式を保有しておらず、新たに785万株を約70.3億円で取得することとなります。

鈴与という企業

鈴与は静岡市清水市に本社を置く、物流事業を中心に色々な事業を手掛ける企業であります。江戸時代後期に鈴木與平氏が創業し、明治時代に大きくなり、地方財閥とも言えるような高く経営をする企業であります。社名は同氏の氏名に由来しています。

サッカーチームの清水エスパルスを運営する法人も同社の傘下であります。今回、スカイマークの筆頭株主となる鈴与ホールディングスは名前の通り、鈴与グループの持ち株会社の位置付けとなっています。ただ、ANAホールディングスのように事業会社である全日本空輸やピーチアビエーションを連結子会社化しているのではないのですが、鈴与グループの各社はグループ内で持ち合いのような関係となっており、実質的には鈴木家の保有が色濃いグループとなっています。

事業規模はグループ全体で売上高約5,000億円と静岡県に本社が所在する企業としてはSUZUKIやYAMAHAに次ぐ、規模となっています。

グループ会社の一部は上場している法人も存在しますが、本丸の鈴与やグループ事業管理の鈴与ホールディングスは非上場となっています。

フジドリームエアラインズは鈴与の100%子会社

そんな静岡財閥の鈴与ですが、物流事業を中心に多角経営を行っており、その中でフジドリームエアラインズ(3レターコード:FDA、2レターコード:JH)という航空会社も保有しています。フジドリームエアラインズは鈴与ホールディングスの子会社ではなく、鈴与の100%子会社となっています。

スカイマークの筆頭株主となる会社とは違いますが、いずれも鈴木家の会社であり、実質的にはスカイマークにも、フジドリームエアラインズにも経営的には近い考えを持つと言えます。

フジドリームエアラインズは2009年7月23日に就航した航空会社であり、ハブ空港は静岡空港(FSZ)と名古屋空港(NKM)と神戸空港(UKB)となっています。

ドル箱の羽田には就航しておらず、上記のハブ空港から全国地方都市を中心に路線を約17都市に就航しています。ブラジル製エンブラエル175を16機を保有しています。名古屋空港は中部国際空港ではなく、小牧空港と呼ばれた名古屋県営空港となります。

第2位株主のANAホールディングスはどうする

そして、気になるのが他の大株主の動向であります。これまで筆頭であったインテグラルに次ぐ株主はANAホールディングスであります。以下は2023年3月末の大株主状況であります。

順位 株主名 持株数 持株比率(%)
1 インテグラル2号投資事業有限責任組合 11,767,900 19.50%
2 ANAホールディングス株式会社 7,802,190 12.93%
3 UDSエアライン投資事業有限責任組合 6,355,224 10.53%

先述の2023年11月断面のインテグラルの持株比率と比較すると持ち株数が減っています。3%ぐらい売却しており、これだけでもエグジット感が見えます。

また、ANAホールディングスが発行した第73期有価証券報告書の80ページに記載のある特定投資株式をみてみるとANAが保有するスカイマーク株式の2022年3月末と2023年3月末の株式数貸借対照表(BS)計上額が記載されています。特定投資株式とはいわゆる政策保有であり、ビジネス的な意味合いが強い保有であります。ANAの保有する理由としては、「増収等の相乗効果が期待できるため」とあり、さらに注釈で、

航空会社であるスカイマーク㈱の株式取得(2015年9月)により、航空関連事業における受委託等の提携関係について、更なる増収等の相乗効果を目指し、より広範な業務提携の可能性を追求してまいります。なお、2022年12月にスカイマーク㈱が東証グロース市場に上場したため、当期より特定投資株式に含めております。

と記載されています。保有する理由として、増収等の相乗効果とありますが、コードシェアなどしておらず、羽田枠確保維持が増収ということだったのかも知れません。

それによるといずれの期末でも株式数7,802,190株と変化はありません。おそらく、不動株主として現在も変わらないかも知れません。しかしながら、期末での計上額は大きく変わります。2022年3月末では約7.8億円、2023年3月末では92.8億円となっています。約85億円プラっている形となります。この変化はスカイマークが再上場したことによる効果であります。

2015年断面では確か、36億円ぐらいの出資をしており、その時は投げ銭だったのかも知れませんが、株式だけ見れば、かなりプラスになっているとも言えます。

ただ、破格とは言え、A380の取得費用はまだ、元は取れていないとも言えますが。

ちなみに、ANA HDでは国内含め、海外の航空会社を含め、政策投資的な意味合いで株式保有をしていますが、22.3末と23.3末との比較ではフィリピン航空、ベトナム航空、スターフライヤーであり、アウトパフォームしているのはスカイマークとスターフライヤー(微増)となっています。

苦虫を噛む思いと新たなビジネスチャンスとして、当時出資したANAにとっては、他の国内線キャリアとは別方針で来ましたが、それが上場という形でお財布的にはいい風が吹いており、生涯ではなく、渉外的にはこのままにして欲しいと考えているかも知れません。

強いていうと、神戸から成田への午後便を開設してほしいと思っているかも知れません。A380のホノルル路線に少しでも送客してほしいと考えているかも知れません。

フジドリームエアラインズの経営統合は

そして、鈴与資本が二つの航空会社のメジャーとなると二つの事業を統合してシナジーを出すというのが見えてきます。その辺りを考えてみます。

まず、今回、インテグラルから鈴与ホールディングスに株式が譲渡されることを考えると一つは、インテグラルがファンドとしてリターンを全うして、イグジットするのが見えます。

ただ、スカイマークは上場しており、一気に大量保有する株式を売却すると市場から一気に敵対的な購入もあり、安定的な経営ができないことを考慮して、証券会社などを通じて、マッチングを探していたのかも知れません。

そうした中で、純国産の鈴与が手を挙げたと言えます。ただ、鈴与にとっては、多額の出資でもあり、自ら育ててきたFDAとはよろしくやらせて貰いたい意向があったようにも見えます。一気に経営統合をして、持っている枠の羽田は羽田として、新たに拡張する神戸空港をハブとして、羽田ルートに次ぐ、収益柱を構築していくモデルとか考えているかも知れません。

ただ、立ちはだかるのが、2位株主のANA HDであり、出資した経緯を考えるとFDAとの業務提携で回っているJAL側にシフトして、スカイマーク便にJL便名まで振ることは厳しいと言えます。正面切ってANAに対抗しても、羽田枠を大量に持つ、ANAには敵わず、シェア数%拡大しても、第三勢力として、ANAにもJALにもつかない立場が生きる道と皆さん悟ったのかも知れません。

まあ、ANAにとっても、いきなり、鞘を抜かれても、困るでしょうし、スカイマーク株式保有が政策的にも財政的にもメリットが出て来るとこのままで行くのが、比率的にも良いと感じているかも知れません。

ということで、経営統合して、明日から一気にJALというのはなさそうですが、スカイマークとFDAの関係は今度の2023年11月13日に開催される決算説明会では、何かしら現れるかも知れません。

最後に

ビジネスを見てみると、一代で巨万の事業を作り上げた人がその継承先がない場合に、大手企業に売却したりすることもあったりします。そのプロセスで再建を支援した企業に気を遣いながら、進めるということもあると言えます。

スカイマークは波乱万丈の人生を経て、今後どうなるのか不明ですが、フライトはこれまで通り、定時運航をしてほしいところであります。国内線では第3局として、外資を入れずに奮闘してほしいところであります。日本の航空行政もなかなかワンダーランドであリます。

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