36ぷらす3について、土曜日ルートに乗車しましたので、お伝えします
36ぷらす3について
36ぷらす3はJR九州(一部は肥薩おれんじ鉄道)が運行する特急列車であります。定期特急列車と言うよりは観光列車であり、全席座席指定となっています。
車両は787系を改造しています。と言っても外観は艶々なブラックメタリック以外はほぼ変わっておりません。後述しますが、内装にとても力を入れられております。デザインは元から水戸岡氏であります。ちなみに車体形式は786-363に統一されています。
普通席はなく、グリーン席とグリーン個室のみとなっており、コンセプトは違いますが、サフィール踊り子に似ていると言えます。
グリーン個室は食事付きのプランのみ販売、グリーン席は食事付き、または座席のみ(いわゆる切符)で販売されています。今回はネットでも気軽に予約できるグリーン席のみとしました。
運行は週5回であり、火曜と水曜以外は運行されています。同じルートの日はなく、木曜日に博多からスタートさせると九州を一周して月曜日には佐世保まで行ける形となっています。
曜日別のルートは下記のとおりです。
月 博多⇔佐世保(金の路)
木 博多⇒鹿児島中央(赤の路)
金 鹿児島⇒宮崎(黒の路)
土 宮崎空港⇒別府(緑の路)
日 大分⇒博多(青の路)
上記の中で最長距離かつ最長運行時間は木曜日の博多から鹿児島中央までであります。
今回は走行している時間が長い緑の路(土曜日)に乗車してみました。宮崎空港を11:37に出発し、別府駅には17:05に到着する5時間28分の旅であります。
ちなみに変わった名前の列車名でありますが、名前の由来は下記のとおりです。
「36ぷらす3」の「36」は、九州が世界で36番目に大きい島ということを示すとともに、5日間の行程で沿線の35のエピソードを紹介することで、利用者自身で“36番目のエピソード”を語ってほしいとの願いを込めたという。また、「3」は乗客・地域住民・JR九州を表すと共に、「驚き、感動、幸せ」の意味を込め、36+3=39で「感謝=サンキュー(39)の輪」を広げたいとしている
ウィキペディアより
36ぷらす3の設備
36ぷらす3の車内設備を始発の宮崎空港でさっと見てみました。宮崎駅からが一番乗車するため、撮影しやすかったです。
グリーン席
グリーン席は5,6号車であります。別府方では先頭方向であります。グリーン席は土足厳禁であり、座席番号に呼応したシューズボックスがあります。スーパー銭湯に来た感じであります。
グリーン席は1-2配列であります。6号車では宮崎空港から別府間は1列席側に海が見えます。5号車は座席配列が異なるので1列席は山側のようです。
そして、床は畳引きであります。もとの787からは内装の部材はまっさらにして作り上げられているようです。畳で和風なのでここでもスーパー銭湯を感じてしまいます。
シートの柄は色々なパターンがあり、九州各地をモチーフにされています。
グリーン車では1両の真ん中で仕切られており、荷物置き場かと思いましたが、そうではなく、食事つきプランのお客さんに食事を配膳する際に利用されていました。それ以外の目的も有るようですが。
手荷物棚は飛行機のようなハットラックであり、エアバスA321のような感じであります。内部もきちんと塗装されているのはさすがであります。
シートテーブルは食事ができるように広くなっています。半分だけオープンにしてカクテルテーブルにも利用できます。
そして、長時間の乗車で一番重宝するのはシート電源であります。
窓は障子が設置されており、外側には簾風のシェードが設置されています。障子は窓枠内でのみで稼働するため、窓の景色は常に半分となってしまいます。
シートバックは木とレザーでまとめられています。シートポケットにはビュッフェのメニューがありました。
ドリンクはアルコールもあり、ロゼスパークリングや九州の焼酎や日本酒なども有りました。
6号車の運転台の後ろの部分はちょっとしたギャラリー風になっていました。座布団を敷いて、花札とかできそうであります。
マルチカー
マルチカーは4号車にあり、1両まるまる多目的室として利用されています。大きなディスプレーがあり、何もない時は九州各地を取り上げた映像が流されていました。
イベントがないと基本的に自由に使えるため、ラウンジ的な感じになっていました。
車内で販売しているのか不明でしたが、結構な単価の値札が付いていました。観光列車はこうでないと儲からないのかもしれません。
グリーン個室
3号車から1号車はグリーン個室であり、3号車は1-1配列のコンパートメントタイプとなっています。元の787系では2-2配列であったので、結構なゆとりであります。3号車の個室は追加料金を払えば、おひとりさまでも利用できます。空いているかは別ですが。
3号車は個室の他にビュッフェがありますが、こちらは食レポと合わせて後述します。
1号車と2号車は本格的な個室であります。車椅子対応の個室もあります。かなりゆったりとしていました。
昔の寝台列車と言うかヨーロッパの客車のような片側に寄せた通路に本格的な個室があります。ドアから天井まで細かいところまで精緻につくられています。
空いていた6名個室を撮影してみました。オリエント急行とはまた違う豪華さを感じる雰囲気であります。
乗車記
宮崎駅から宮崎空港に移動
今回は宮崎駅付近に前泊したのですが、36ぷらす3は始発の宮崎空港から乗車してみました。運賃的にはあまり変わらないのでちょっと早くホテルを出て宮崎駅に向かいます。
47都道府県すべてに宿泊するでは達成が遅かった宮崎ですが、最近は結構来ることが多くなった気がします。駅では迷わなくなりました。
宮崎空港までは787系の普通列車で向かいます。国際線機材に国内で当たったみたいな感じてあります。同車両は折り返しのひゅうがとなっていました。36ぷらす3の10分前に同駅を出発していきました。
ひゅうがに乗る方が多く、36ぷらす3の宮崎空港からの乗車は3割程度でした。
36ぷらす3の旅スタート
南宮崎はスルーし、再び大淀川を渡り、宮崎駅に到着します。ここで、7割近い乗車となり、出発です。あとは下車しかないので、これ以上混雑しないという事でもあります。
利用者は60代以上が多く、女性同士のおばちゃん旅が多い印象でした。鉄分たっぷりな人はグリーン席の1列シートでは見るものの、全体的にはあまり見かけませんでした。
某ホテルが見えてくると海岸線が見えてきます。なかなか安い日とスケジュールが合わなく、行けていないホテルであります。
一ツ瀬川を渡ると海岸線を走り、景色の堪能が始まります。前回、日豊本線を利用した時は真夜中であり、何も見えなかったので、今回はじっくりと楽しみました。
旧リニア実験線が見えてきます。現在は太陽光パネルが設置されています。同線が設置されてから半世紀近く経過していますが、未だに開業していないのは経済力と政治家の影響が大きいのかもしれません。
美々津駅では行き違いで停車となります。停止時間はそれほど長くなく、やはり、観光列車としてはタイトなスケジュールなのかもしれません。
延岡が近くなり、入り組んだ海岸線が見えます。やはり、海がある景色はいいですね。
延岡駅10分停車
延岡駅ではおもてなし停車が10分程あります。延岡駅を撮影してみます。実物は初めてであり、モダンな建物であります。
乗客の方々はおもてなし販売で結構購入されていました。やはり、観光は別財布なのか爆買いとは言わないまでかなり購入していました。
個人的には延岡駅内のコンビニで冷たいものを調達しました。道中はまだ半分以上あります。
宗太郎駅10分停車
延岡駅を出発してから小一時間で宗太郎駅に特別停車です。大分県最南端の駅であり、宗太郎越えの秘境駅であります。
秘境駅での36ぷらす3であります。チューリッヒからミラノにで行くような感じにも見えます。
跨線橋から撮影してみます。山間の秘境駅と言うのがとてもわかります。同列車に乗らないと絶対に来ることはなかったかもしれません。
運賃箱の姿があまりに味が出ており、印象的でした。こういう景色もなかなか普段は味わえない世界であります。
重岡駅25分停車
宗太郎駅を出発して10分程で隣駅の重岡駅におもてなし停車します。今度は25分の停車時間があり、色々と撮影してみます。
重岡駅舎を撮影する人は多く、跨線橋を渡ってくる人が多い感じでした。出雲坂根駅でスイッチバックを前に停車時間がある際に駅舎を撮影する感覚でした。
ホームではおもてなし停車であり、佐伯市の地元の方々がお迎えと地のものを販売していました。
祖母・傾・大崩ユネスコエコパークのマウスパッドが販売されていたので購入してみました。ホテルによってはデスクがガラスでマウスが反応しないこともあり、軽くて荷物にならないので旅の道具になりそうです。
ブュッフェでカレーを実食
重岡駅を15時ごろに出発し、別府に向けて走ります。と言ってもまだ、2時間ほどかかります。日豊本線の大分以南は時間がかかります。おまけにスマホの電波具合も良くなく、持て余してしまいます。
と言うことでビュッフェに行きます。朝から飲んでいましたが、食事は何も食べていないので何か食べることにします。
ビュッフェの天井はかつての787系を彷彿とさせます。敢えてここだけは昔の意匠を生かしたと言えます。
この景色いいですね。冷蔵庫にお酒が沢山あります。乗っている間、まさに冷蔵庫のようにアクセスしてしまいそうです。
ラウンジでカレーではありませんですが、カレーを頂いてみます。鹿児島・たか森カフェ「36ぷらす3オリジナル 黒いチキンカレーであります。750円。基本的にレトルトでありますが、黒カレーと言うだけあり、割と濃厚なカレーでした。
お酒は宮崎・都農ワイン「スパークリングワイン・キャンベルアーリー」(ロゼワイン/200㎖)850円でした。リニア実験線近くあたりではないでしょうか。
この後は朝から酒漬けと言ってもいい位であり、さすがにウトウトしてしまいました。
目が覚めて、大野川を渡り造船所が見えるともうすぐ大分駅でありました。川を結構渡る日豊本線でもあります。
大分駅から別府駅
大分駅は6分停車であり、外に出ても良いのですが、疲れてしまいこのまま乗車していました。大分まで来るとソニックを頻繁に見ます。
ここから終点別府までは10分であります。
今度は白いソニック(ラッピング仕様)とすれ違います。その奥には別府湾が見えます。
夕方になって雲が多いですが、静かに別府湾が最後の最後できれいでした。これで旅も終わりであります。
定刻通りに別府駅に到着であります。黒光りした車体が黄昏の時間に何ともきれいであります。JR九州は新幹線とななつ星以外の特急は新造していないにも関わらず、ピカピカした車両があるイメージは鉄分の人ではなく、あまねく多く、普通の人に対する戦略を感じてしまいます。
前回は乗り継ぎだった別府駅ですが、今回は滞在してみたいと思います。椅子に座っているだけでも疲れてきており、そろそろ温泉に浸かりたい時間帯でもあります。
最後に
ななつ星は高すぎでありますが、その他の観光列車は元種列車の印象が有り過ぎ、豪華でないと思う人には36ぷらす3は良いかも知れません。787系は787系ですが、別物な印象であります。
長時間、車内でまったりするのが個人的には大好きなので、今回の緑の路や、赤の路、門司港まで入って行って1時間の余裕がある青の路は楽しそうであります。