ANAとJALのお盆利用実績からみる今後の感染者数傾向を考えてみました。
ANAとJALのお盆利用実績
ANAとJALの国内線全体の利用実績です。昨年度の実績も記載しています。
内訳 | 年度 | 提供座席数 | 旅客数 | 利用率 |
---|---|---|---|---|
ANA | 21年 | 1,287,698 | 645,879 | 50.2% |
20年 | 1,426,964 | 459,190 | 32.2% | |
増減 | 実数 | -139,266 | 186,689 | +18.0pt |
率 | 90.2% | 140.7% | - | |
JAL | 21年 | 942,908 | 487,442 | 51.7% |
20年 | 1,043,922 | 379,073 | 36.3% | |
増減 | 実数 | -101,014 | 108,369 | +15.4pt |
率 | 90.3% | 128.6% | - |
各社の今年度同時期の実績についてのコメントは下記のとおりです。
ANA
感染者数拡大の影響があったものの、旅客数前年比は140.7%となりました。
JAL
新型コロナウイルス感染症の影響により、低調な結果となりました。
お盆期間も含め減便対応を実施しました。
提供座席数は各社とも前代未聞の昨年度から1割減少させた一方で、利用率は50%と昨年度から上昇させており、昨年度の結果から学んだ効果とも言えます。
そして、旅客数ではANAは前年比1.41倍で実数は18.7万人増、JALは前年比1.29倍で実数は10.8万人増となっています。ANAとJALでは増えた数は約8万人の差があります。
コメントにもあるようにANAは影響があったものの増加と言い、JALは低調であり繁忙期も感染対策で減便したことも影響しているような言い方となっています。
ANAはお盆期間中もマイルを利用させるためにトクたびマイルを実施したり、マイルをバックするキャンペーンを展開したり、さらに1日限定で九州地区の8月の航空券のディスカウント販売をした効果があったと言えます。
地域別の利用実績
続いて、地域別のANAとJALの利用実績(旅客数と前年比)は下記のとおりです。
ANA | JAL | |||
---|---|---|---|---|
エリア | 旅客数 | 前年比 | 旅客数 | 前年比 |
北海道 | 153,021 | 125.3% | 124,530 | 110.90% |
東北・北陸 | 50,599 | 127.8% | 39,924 | 147.00% |
関西 | 59,482 | 159.8% | 46,524 | 132.90% |
中・四国 | 85,389 | 147.9% | 57,627 | 140.70% |
九州 | 169,725 | 164.6% | 129,363 | 145.80% |
沖縄 | 120,485 | 130.3% | 51,610 | 122.00% |
その他 | 7,148 | 102.0% | - | - |
ANAのその他は羽田=名古屋、羽田=八丈島路線となります。JALは羽田=名古屋はその他として分けていないようです。
両社も前年と比較してすべて増えており、オリンピック実施のアナウンス効果なのか、緊急事態宣言疲れなのか、移動は増えています。
その中でも特徴的なのは沖縄と北海道の増加が低調であり、一方で西日本(中国・四国・九州)の伸びが多くなっています。
沖縄の緊急事態宣言が長く続いている点は理解できますが、北海道が低調なのは関東と変わらない気温が続いた影響、オリンピックによる規制を懸念した影響なのかもしれません。
さらに、特徴的なのは、ANAの九州の利用実績が前年比164.6%であります。全体的に西日本方面への移動が多いですが、すば抜けています。
これは路線が多いため提供数の効果もありますが、6月29日1日限定で展開されたANAキュンでのセールの対象時期が8月でエリアが九州であったことが引き上げに貢献しているかもしれません。
お盆時期の搭乗日別利用実績
お盆期間中の搭乗率は下記のとおりです。単位は%となります。
ANA | JAL | |||
---|---|---|---|---|
下り | 上り | 下り | 上り | |
6(金) | 63.9 | 46.6 | 59.6 | 47.9 |
7(土) | 69.0 | 38.3 | 71.7 | 41.3 |
8(日) | 47.2 | 32.6 | 52.9 | 40.5 |
9(月) | 54.9 | 50.7 | 56.3 | 53.8 |
10(火) | 54.7 | 45.2 | 56.3 | 47.2 |
11(水) | 58.8 | 46.1 | 62.1 | 50.8 |
12(木) | 58.6 | 47.1 | 61.7 | 51.3 |
13(金) | 50.1 | 45.6 | 51.9 | 55 |
14(土) | 33.0 | 52.1 | 39.4 | 58.4 |
15(日) | 38.4 | 70.3 | 40.1 | 72.8 |
搭乗率のため、機内や空港での混雑が一番よくわかるほか、人が多く移動した日がわかります。
各社とも下りのピークは7日であり、上りのピークは15日となっています。この動きは例年に近いものであり、オリンピックが無観客となったことも影響していると言えます。有観客の場合、6日から9日の下りはさらに混雑していたと言えます。
ここ数日来、各都道府県で感染者数が過去最多を記録している点と下りのピークと相関しているのかもしれません。
帰省して親族と会い、次の日は地元の友人・知人と会い、いずれもただマスクをして会うだけでは、会話は弾まないため、食事やお酒が入るというパターンが想定されます。
加えて、前述の地域別利用実績でも西日本が多いことと西日本の各都道府県で過去最高の感染者数を記録していることを考えると利用実績と相関しているとも見えます。
国内主要空港でPCR・抗原検査が無料でできるとは言え、体調が悪くなく元気なのに、検査に引っ掛かって、旅行ドタキャンは誰もしたくないため、実効性が薄いのかもしれません。
日別の動向を見るとピークの日の後も下りは50%を超える日が続いており、全国各地で感染者・過去最多は続きそうであります。そして、移された人が地方内で感染を広げるでしょうから、地方ではしばらく多い状態が続きそうでもあります。
最後に
航空二社の利用実績を昨年と比較すると1.3~1.4倍の人が動き、特に沖縄を除く西日本への移動が多い結果となっています。
そして、日別にみるとオリンピックの閉会式前日に多くの日が大都市から地方に移動しています。
いみじくも感染してから体調不良を訴えだし、検査を受けて陽性が判明するまでの期間とリンクしており、全国各地で感染者が急増している点ともリンクしています。
ただし、いずれも10日前の過去の動きであり、今現在がどうなっているかはわかりませんが、過去の波の山から見ると少なくとも急激にウイルス量が減るとは想定しがたいので、まだまだコロナ・トンネルの出口は見えてきそうにありません。