JR九州(九州旅客鉄道)の最新新幹線である西九州新幹線を全線・全駅利用してみましたので、お伝えします。
西九州新幹線
西九州新幹線は武雄温泉と長崎を結び、全長66.0kmの新幹線であり、2022年9月23日に開業しています。総延長66.0kmは日本一短い新幹線であり、北海道新幹線の奥津軽いまべつと木古内の一区間74.8kmよりも短いことにもなります。
各駅間の距離は下記のとおりです。
武雄温泉-嬉野温泉 10.9km
嬉野温泉-新大村 21.3km
新大村-諫早 12.5kn
諫早-長崎 21.3km
佐賀県内が2駅、長崎県内が3駅あり、所要時間は途中、諫早のみ停車の速達タイプが23分、各駅停車タイプが30分程であり、浜松町から羽田空港までモノレールに乗っている位の時間であります。
同新幹線は長崎と博多と山陽新幹線の主要駅間の所要時間を短縮するのが目的で建設され、博多長崎間が1時間48分から約30分短縮されて1時間20分としています。しかし、武雄温泉駅で乗り換えが発生するため、その不便を解消するため、武雄温泉駅では同じホームに新幹線と在来線特急が並んで乗り換える方式がとられています。
N700S
西九州新幹線の車両は東海道・山陽新幹線で利用されているN700Sでありますが、JR九州独特のカラーリングがされているため、かなり雰囲気は違いますが、800系のような独特なフォルムにはできないためか、よく見ると形状は全く同じであります。
編成は6両でありますが、在来線よりは大きいため、キャパはかなりありそうです。
3両が指定席、のこり3両が自由席となっています。指定席は2-2配列であり、九州新幹線やD&S列車と共通したシートです。独特ですが、使いまわしでコストダウンをしているのかもしれません。
シートピッチは他の新幹線と共通のようですが、快適であります。最近の列車らしく、デッキ付近にはスーツケースを置くスペースが用意されています。
ウッディなシートバックには背面テーブルは有りません。そんなに乗っているわけではないので、ない方が妥当かも知れませんが。
その代わりにカクテルテーブルが真ん中のひじ掛けに内蔵されています。また、真ん中のひじ掛け下にはACコンセントがあります。
こちらは自由席であります。東海道・山陽のN700Sと同じで2-3配列であります。シートの色が黄色である以外の違いはほとんど感じられません。
シートが小さい分シートピッチは広く感じられます。東海道・山陽との違いは混雑度であり、6号車とかまで歩くと座っている人がほとんどおらず快適そのものでした。
デッキ付近はN700Sそのものであり、ちょっとだけ九州の手が加えられていますが、ほとんど同じでした。
N700S独自の停車前に荷物棚の照明が明るくなるのはこちらでも採用されていました。トンネルが多い西九州新幹線なので、明るくなるのが際立っていました。
全駅利用してみた
佐賀駅から
佐賀駅は西九州新幹線とは現在関係ありませんが、絶対にキーとなる駅と言えます。佐賀駅はJR九州の県庁所在地の他の駅(博多、熊本、鹿児島、長崎、宮崎、大分)と比較しても、アミュプラザもなく、すこし独特な駅であります。佐世保行き特急からはかなりの人が乗るよりも降りており、博多かそれより以東の需要はありそうです。
佐賀県は別に在来線特急で満足と言いつつも、新幹線であれば博多以東からのワンストップであり、博多からも時間はそんなに違いませんが、在来線の遅延の影響を受けずに数分は早くなるので、佐賀駅で降りる人にもメリットはあると言えます。在来線特急がガラガラでバス一択でもないようで、活路はありそうです。
長崎本線は130km/h運転できる路線であり、在来線としては国内ではかなりな路線ですが、実際に乗るとワンカップは常に持っていないと揺れが大きく、佐賀駅から武雄温泉まではそんなに山岳部を通るわけではないですが、道路以外に新しいインフラを通しておいた方が、佐賀県にとっては、逆に長崎ストローにはならないと乗って感じました。
そんなことを考える暇もなく、旧肥前山口駅(現:江北駅)に停車します。そして、数分後には西九州新幹線の接続駅である武雄温泉駅に到着します。その時間は20分ちょっとで汗が引く間も有りませんでした。
長崎向けに接続の良い、リレーかもめではなく、佐世保方のみどりに乗車してみましたが、所要に大差は少ないと言えます。
武雄温泉駅
博多・佐賀側からの在来線と西九州新幹線との接続駅である武雄温泉駅であります。温泉と付く場所なので、和風かと思うとそうでもなく、結構ホップな雰囲気でした。
同一ホームで在来線特急と新幹線を乗り継げますが、乗り継ぎをしていない佐世保・ハウステンボス行きの特急は別ホームへの到着となります。そのため、一旦、エスカレーターで地上階に降り、在来線改札を通過して、新幹線ホームに接続します。
博多と武雄温泉が新幹線化された後は佐世保方面との接続はどうなるのですかね。
意外と遠く、乗り継ぐのであればリレー号利用鉄板と言う感じでした。
駅構内には観光案内所と一体化した武雄旅書店がオープンしていました。ネットフリックスに仕事を奪われ、図書館運営に活路を見出している会社な雰囲気でした。
駅前はカフェ風のレストランとビジネスホテルがあるくらいでした。JR九州バスのオムニバスが競輪場やゆめタウンに向けて出発していきました。
12番線は現在使用されておらず、11番線片肺営業でした。新幹線のホームとしては2面2線でした。長崎駅以外はすべてこのホームタイプであります。
リレーかもめが到着であります。4分での乗り継ぎでありました。新函館北斗の方が余程乗り継ぎ客が多い印象でした。
次はいったん、西九州新幹線の終着駅である長崎駅に行ってみます。N700Sを260km/hで運転し、線形も良いのでかなり快適な移動ですが、23分程で長崎駅に着いてしまいます。
長崎駅
次は長崎駅であります。
新大村駅の前後はあかり区間が多く、長崎に向かって右側の窓からは大村湾が見えます。時間にする明かり区間3-4分ぐらいでしょうか。
その後は諫早駅以外はほとんどトンネルであり、トンネルを抜けて、ガスタンクと稲佐山が見えると長崎駅が間もなくです。
ヒルトンが見えるともうすぐホームに到着であります。そして、ここに新幹線を通すために造られた西九州新幹線である長崎駅に到着です。以前に来た時は工事をしていて見えなかったのですが、かなり見えるようになっていました。路面電車までの動線もかなり近くなった印象です。
AMUの上に立地するマリオットも赤Mが存在感を出しており、白鷺城のような白亜の建物が存在感を出していました。
弾丸長崎駅折り返しで次は諫早駅に向かいます。一区間であり、自由席は運賃込みで1,350円であります。在来線でも近い諫早ですが、新幹線の方が圧倒的に早く、学生と椅子取りゲームをしなくて良いのが新幹線の魅力でもあります。
行先が博多と言うのは以前から見慣れているのですが、何か違和感も感じてしまいます。北陸新幹線の敦賀延伸ではサンダーバードやしらさぎの列車名は残るので、富山行とかにはせずに、敦賀行になりそうです。
諫早駅
9分程で諫早駅に到着です。本当に汗が引く間もないと時間であります。県内では3番目に大きい街であり、駅舎もガラス張りであるなどお金がかかっていそうです。
長崎本線と大村線と島原鉄道が乗り入れるため、ホームも多い駅でもあります。
基本的には橋上駅舎ですが、東口側は再開発されており、吹き抜けの空間であり、奥にはビジネスホテルも有りました。
次は嬉野温泉駅に行くのですが、西九州新幹線の中では最も停車しない駅でもあるので、90分程乗り継ぎ時間があるため、駅付近を散策してみることに。
今日は朝から何も食べていないため、夕食とすることに。途中には諫早神社がありました。
諫早で有名な楽焼うなぎのお店に。魚荘(うおそう)と言うお店であり、店内はかなり広く、待たされることなくテーブルに腰掛けることができました。座敷席も有るのですが。諫早駅からは850m程ですが、店近くになると坂があり、夏場だと、汗だくとなってしまいます。
疲労回復とバランスを考えてうなぎとサラダに。汗をかいた体に冷えたワインが染みわたります。
楽焼うなぎは焼き方ではなく、うなぎを蒸し焼きにする陶器のことを言い、器の下に水を入れる箇所があり、そこから発生する蒸気でうなぎがホクホクとなるとのことです。6切れをお願いしましたが、結構なお値段でした。たれは少なめで山椒を時折、かけて食べるのがいい感じでした。
うなぎが食べ終わるまで入店してから1時間ぐらいかかり、再び遊歩道と線路沿いを歩いて諫早駅に戻るとちょうど90分弱であり、ホーム直行となりました。
諫早駅の鉄道利用者数は県内では2番目という事も有り、休日の夜でも乗り降りする人がいました。東海道・山陽新幹線の各駅と比較するとかなり少ないですが。
嬉野温泉駅
写真は昼に撮ったのですが、夜8時前に嬉野温泉駅に到着します。嬉野温泉に合わせた和風な外観であります。新幹線を降りたのが自分を含めて2人であり、駅前はシーンとしていました。
新八代駅のコンコースに似ており、階段が不思議な向きで設置されていました。
西九州新幹線の駅では在来線と接続をしない新幹線単独駅であり、改札は一か所のみです。温泉口(東口)が表玄関口で西口は駐車場しかありません。
折り紙で作った電車の最展示数と言うギネス記録を持っているようです。奥津軽いまべつ駅も世界一乗降客数が少ない高速鉄道駅とかでギネス申請したらとか思ってしまいました。
嬉野温泉街は駅から2kmぐらい離れたところにあり、駅前には道の駅と外資系ホテルと国立病院機構嬉野医療センターぐらいしかありませんが、国道34号線が目の前を走り、ロードサイド店が結構ありました。
そして、道の駅には足湯があり、温泉の香りがしていました。
新大村駅
翌日は新大村駅に行ってみます。嬉野温泉駅からは一駅であり、片道1,350円であります。嬉野温泉駅の券売機はクレジットカードに対応していないため、窓口で対面で購入することに。10分足らずで新大村駅に到着であります。
先述のとおり、新大村駅付近は西九州新幹線では唯一明かり区間が多く、大村湾が見えたりします。そして、停車の直前には新幹線の車両基地が見えたりします。
新大村駅の新幹線ホーム11番線(武雄温泉方)からは長崎空港が見えます。福岡空港(博多)や花巻空港(新花巻)とならび、空港が近い駅であります。このあとは小松駅が追加されることになりますが。
そして、在来線との接続駅でもあります。在来線は改札は無人であり、一気にローカル感が出ます。
新大村駅の周辺は再開発される予定であり、エスコンフィールドのエスコンのマンションが建設されるようです。
新大村駅と長崎空港間はおおむらかもめライナーという乗り合いタクシーが実証運行されています。運行の30分前までにネットで予約すると駅前で待っていてくれます。予約時定員は6人でしたが、自分しか予約していなかったのか普通のタクシーが待っていました。多い時はジャンボタクシーとかで乗り合いになりそうです。
運賃は新大村駅から長崎空港まで500円なので、タクシーは2,000円以上はかかりそうなので、かなり安いと言えます。決済は現金のみでした。
ただ、物理的にはタクシーなので早く、空港まで8分程で到着でした。嬉野温泉から新大村までが8分で乗り換え時間が5分くらいでライナーが空港まで8分なので21分で嬉野温泉から空港まで行けるのは結構早いと感じました。
最後に
日本一短い新幹線である西九州新幹線を全線、全駅利用してみました。どの区間も全体的に自由席を含めてガラガラな感じでした。在来線から座席供給数は増えており、在来線でさえ、満席ではなかったのでそうなるのは当たり前かもしれません。
博多と長崎を利用する場合は、大きな時短がない割に乗り換えが発生するという事で好評ではないようでありますが、新幹線自体は揺れがなく、快適であります。何よりも都市間の移動時間があっという間であり、各駅のある街は観光できるところが何かしらあり、新大村については長崎空港が近く、地元の脚としてだけでなく、短時間に観光地を周る脚としても有効と感じました。
また、新鳥栖から武雄温泉まで新幹線を建設しても、あまり効果がなく費用負担だけが嵩むというのもありますが、災害に強く、座席供給数も多いので、確実な通勤の脚やイベント開催による波動需要対応、佐賀空港に到着したインバウンド利用者の九州各地への送客としては、有効かなと乗ってみて感じました。