新型コロナの影響で人間の移動が大きく制限が出ている中でも、羽田=沖縄線のフライトが多い理由を考えてみました。
新型コロナの影響
新型コロナの影響により、国際線では日本発着の8割以上が運休し、国内線でも通常の7-8割の運航となっています。
一方で、沖縄線についてはANAでは羽田=沖縄については、運休は現時点ではなく、JALでも1往復程度の運休となっており、通常運航に近いかたちとなっています。日本一の路線である羽田=新千歳便において運休が多いのと対照的です。
羽田=沖縄線の現状
下図はANAの一週間後の羽田→沖縄の土曜日の予約一覧です。プレミアムクラスは新型コロナ以前と変わらずに空席待ちや満席が目立つ一方で、普通席は全便空席がある状態となっています。飛行機乗ればわかると思いますが、この空席状態はガラガラと言えます。
機材については沖縄線では773,772,78P,76Pの順となり、同社国内線で最も大きい機材を設定していましたが、現在は772,789,78P,76Pと座席数は落ちているものの、運休便もなく、大型機が設定されています。
要因としてはプレミアムクラスの予約が満席に近い状態の予約があり、実際の搭乗時においても普通席からアップグレードへの需要もあり、ほぼ満席状態で離陸ということが想定されるからかもしれません。
国際線ではファーストクラスの利用者が一定数あるとエコノミーがガラガラでも採算が取れるという話もありますが、普通席とプレミアムクラスの値差は1万4千円~1万7千円であり、ペイはできないと思いますが、一定の効果があるのかもしれません。
実際、週末の9番台の便では722というプレミアムクラスの席数が最も多い機材(28席)も運用されることが多くなっており、有事の現状では国内で最も需要がある路線なのかもしれません。
なぜ通常運航に近いのか
以上のように全国各地で外出自粛の中で減便・運休が圧倒的に多くなっている中で、羽田=沖縄線が通常運航でワイドボディ機が用いられている理由はいくつかあります。
一つは旅客にとって代替手段が実質的にないことが考えられます。東京と札幌の行き来の場合、圧倒的に航空機利用となりますが、鉄路でも一応可能です。まだ完全な補完機能とは言えませんが、寒波で新千歳空港が麻痺した際に、不便は大きかったですが、鉄路で移動することも可能でした。
沖縄の場合、海路しかありません。また、本州からの旅客便はなく鹿児島まで行き、そこから25時間かけてフェリーで行くこととなります。
このルートは海上国道58号線とも呼ばれていますが、1日1便の運航となり、2等の客室での片道運賃は約1.5万円かかります。東京から鹿児島中央までの新幹線の運賃を考えると実質的には飛行機の方が安くなりそうです。
航空路がライフラインとなっており、空の国道バイパスと言っても過言ではありません。
もう一つは貨物輸送であり、海路でカバーできない貨物や物資(生鮮品、至急品)を運ぶ役割もあり、有事の際でも一定の需要があるほか、有事だからこそ必要となるものもあり、代替の輸送が効かないのも理由と言えます。
マイル修行僧の効果は
既報のとおり、ANAとJALではこの春から夏にかけて、各社のマイレージプログラムの上級会員になるためのステータスポイントについて、特別に通常の2倍(JALは厳密は2倍ではない場合も)を付与する対応を実施しています。
ステータスを獲得することを目的として飛行機に搭乗するマイル修行僧にとっては、逆の考え方をするとコストが半減するということもあり、外出することが危険で危害を与えかねない事態であっても、チャンスととらえている人もいるようです。
ANAとJALのマイレージ会員数合計は延べで日本の人口の半分ぐらいはいますが、そのうち、マイル修行僧は相当少なく(1%未満?)リスクをとってチャレンジする人はさらに少なくなるでしょう。ネット上ではそうした人たちは目立つので多く見えますが、実態は少ないのではないかと思います。
そうした人たちが予約を入れたと言っても効果は軽微と思われ、やはりライフラインとしての性格から運航している意味合いが強いと思われます。
最後に
ANAもJALも民間企業であり、飛行機を飛ばすことで収益が発生し、採算が取れることが基本であり、羽田=沖縄線は需要があるからこそ飛ばしていると思います。
一方で、あまりに採算性を考えて平時よりも供給を絞ると社会全体への影響が大きいライフラインでもあり、平時に戻っても需要が回復しないことも想定され、苦しいながら飛ばしているのかもしれません。そうした意味でも今は平時に早く戻るために出来ることをするのが最優先かもしれません。