ANAが12月4日に国際線サイトで静かに発表した運賃改定によるプレミアムエコノミークラスで70%クラスが登場したため、お伝えします。
ついに発表と思うも、昨日の今日から実施はどうなのか
オーストリア航空でのプレミアムエコノミー運賃で70%加算が出てきたころから、こうしたことはいつ起こるか警戒しており、確実性が高いと思っていました。
そして、12月4日に、同社の国際線トップページに「ANAキャリア運賃の一部改定について」と静かに掲載しているものの、2018年12月5日(水)以降にご購入の航空券からと昨日の今日からとも言える敢行はサプライズでもあると言えます。ANAにとっては、影響は軽微であり、ダイヤモンド会員でも不採算は排除であり、敢行したと言えますが、心の感じられるマイルドなシフトがあっても良かったとも言えます。
すべて70%になるわけではない
マイル修行をする場合に、念頭に出るのがクアラルンプール発券の日本行きのプレミアム往復ですが、これがすべてN運賃になるわけではなく、空席連動型でEとNに変幻するとのことで、Eクラスも存在はするようです。クアラルンプールからSQやシルクエアーを利用して、シンガポールからANA便を利用した場合には、Eクラスも存在しており、これまでのように当日でも空席があればEクラス確保は厳しくなりますが、Eクラスの確保も可能であり、八方塞がりということでもありません。
ダイヤモンド特権のアップグレード2倍ポイントは適用可能
Nクラスはビジネスクラスへのアップグレードは不可ですが、ダイヤモンド会員の特権である2倍のアップグレードポイント使用で、ビジネスへのアップグレードは可能です。とはいっても、70%加算で虎の子のアップグレードポイントを使う気にはなりません。
なによりも、クアラルンプール発券であれば、エコノミーHやMクラスの方が通常のアップグレードポイントでアップグレードができます。しかし、ANAによるとNの方が上位クラスのため、アップグレードの可能性は高いということです。ダイヤモンド会員の場合は、Nで購入して、ビジネスが落ちてきたら、Nを払い戻して、すかさず、MかHで購入すれば、アップグレードの可能性もあります。Nのキャンセル料と2倍のアップグレードポイントを考えれば、こうしたこともメリットはあると言えます。
社長が変われば会社も変わる
ANAはロビー活動が得意なのかわかりませんが、路線を増やし、利用客も増やしているようです。一方で、路線が増えると必要な支払いキャッシュも増え、営業キャッシュフローが拡大しても、経営上はなかなか厳しい局面に立たざるを得ないのかもしれません。まして、2019年はA380を3機購入(リースなのかは良く分かりませんが)、フリーキャッシュフローが出にくい構造になると言えます。負債とも言えるマイルを吐き出して、それを増えないようにするのが経営者の使命でもあり、事業会社の社長が交代してからドラスティックに社内的には改革、顧客視点(特にマイラー)では改悪しているとも言えます。
2020年東京オリパラ後は会社自体の存続はどうなのか
インバウンド需要は2020年東京オリパラがピークでもあり、現政権も変化し、携帯電話を4割下げると言った人がトップにいるかもしれません。大阪万博があると言っても、オリンピック後の景気は後退が濃厚であり、ましてや、消費税アップの猶予も切れ、インバウンドも落ち込み、内需も低迷する可能性もあります。そうした中で、路線を拡大し、機材を多く保有し、コスト体質の会社がどう成長するのか楽しみでもあります。20年前に米国で起きたことが数年後に置き、それから20年かかり復活するかもしれない見立ても考えられます。
そうしないために、現在、ドラスティックに改悪しているのかもしれませんが、競合の財務健全性とサービス精神向上がその機会を奪い、カナダやイギリス、ドイツのようにフルサービスキャリアはJAL一択となる可能性もあります。そして、ANAは子会社であったピーチがメインとなり、LCCとして生きていく形となるかもしれません。
最後に
プレミアムエコノミークラス100%全廃ではないので、予約を早めにしたり、混雑時期を回避すれば、これまでのようなメリットは得られるので、悲観だけすることはないと言えますが、昨日の今日からは驚きと言えます。
経営的には改悪は待ったなしなのかもしれませんが、世界的に見ても倒産以外でこれほど1年の間にマイレージ関連の運賃を改定するのは興味深く、むしろ、利用しない方がいいのかと思うくらいです。
JALの方が、FOPは貯めやすく、ブログにおいてもSFCの記事が少なくなっているのは、沈む船から鼠がいなくなる(現実的には近くに泳いで渡れる船がいないとだめですが、今はいる)のと同じかもしれません。 ANAカードを発行しなくてよかったです。