ANAプレミアムクラスをレンズ付きフィルムである「写ルンです」で記録してみましたので、お伝えします。
写ルンですとは
写ルンですとは1986年7月1日に富士フイルムが販売開始したレンズ付きフィルムの商品名であります。いわゆる使い捨てカメラでありますが、カメラを購入するほど余裕がないけど、旅行などでは記録に残したいというニーズにヒットした商品であります。
今の世ならレンタルと言う存在があり、高機能な製品を使う時だけ利用できます。
デジカメや写メール、そして、スマートフォンが普及してきた中でもなんとか現在でも生き残っている昭和のアンモナイトみたいな商品であります。
発売後は望遠レンズやフィルムの感度が異なるものなどバラエティに富んでいましたが、現在はフラッシュ付きのシンプルエースのみとなっています。
中学生の時によく使った覚えがあり、当時、飼いだした犬を良く撮っていた記憶があります。
そして、撮り終わるとそのまま写真屋さんに持ち込むのですが、分解してフィルムは写真屋さんに持っていき、残りは電池が残る限り、フラッシュをたいていた記憶があります。缶ジュースの蓋に嚙んだカムをつけて感電しないようにしていた記憶があります。
写ルンですのスペック
現在の写ルンですのスペックは下記のとおりです。
サイズ W 108.0×H 54.0×D 34.0mm
重さ 90g
撮影可能枚数 27枚
とコンパクトでジャケットのポケットに入っているのを忘れるぐらいのサイズと重さであります。フラッシュ機能がついており、単四電池でフラッシュは駆動しています。
そして、撮影できる枚数は27枚と今のスマホで連射したら瞬殺であります。その昔は色々と構図を考えてシャッターをきるのを惜しんだものであります。
そして、光学性能は下記のとおりです。
フィルム ISO400 135フィルム
レンズ f=32mm F値10(プラスチック)
シャッタースピード 1/140秒撮影距離範囲 1m~無限遠
いわゆるパンフォーカスという仕様であり、1m以降、無限遠にピントが合う仕掛けです。ということで、写真で致命傷となるピンボケが少ないため、誰でも簡単にみられる写真が撮影できるものであります。
当時のオートフォーカスのフィルムカメラはバ〇チ〇〇と令和な現在では、口にさえできない例えをされていました。写ルンですは厳密にはそれとは違いますが、似ていたとも言えます。
令和な時代の一眼レフやミラーレスではオートフォーカスが素晴らしすぎて、昭和なパンフォーカスは無意味とも思えますが、こうした新しいカメラにも上記のスペックを設定してフォーカスリングが動かないようにテープ止めなどすれば、超ハイスペック写ルンですを実現できます。
実際にプロカメラマンがライカなどの超高級機でそれを楽しんでいる動画があったりします。
フィルムなので現像と言うものが必要
写ルンですはをレンズ付きフィルムであり、スマホやデジカメのように撮影した瞬間にその撮影した画像が確認できないものであります。
そのため、撮影したフィルムを現像するという作業が必要であります。デジタルカメラでも現像と言う作業が記録形式によっては必要でありますが、どんな画像が撮影できたのかわからない、フィルムはある意味ワクワク感もあります。
写ルンですは27枚すべて撮影しきった後に本体ごとカメラ屋さんに持ち込めば現像してくれ、印画紙に撮影した画像をプリントして写真として提供してくれます。
そして、フィルムデータをパソコンやスマホで表示できるjpeg形式に変換できる写真屋さんであれば、ブログやSNS用に掲載できるデータとして昔風に言うと焼いてくれるかもしれません。
大手家電量販店ではビックカメラがiPhone転送サービスなるデータ変換をしてくれたりします。カメラのキタムラでも同じようなことをしてくれます。
また、ネットでもお店でも品揃え豊富と謳うヨドバシカメラ(なるほど、なるほど)でもCDに焼いてくれダリします。
実際、データ上だけで焼いてみた
今回のプレミアムクラスの降機地は新千歳空港であります。札幌に滞在であり、札幌駅に降り立てばビックカメラがあります。
27枚撮り終えたので19時前にプリント受付をします。時間は90分ほどかかるということで、写ルンです一式を渡して、荷物軽減も兼ねてホテルにチェックインします。
ホテルとビックカメラは1.2kmほど離れているため、歩くとちょっと面倒ですが、閉店30分前の出来上がり時間に再び行きます。
iPhone転送サービスはクラウドに画像データを格納し、そこからDLするようなものかと思っていました。そのため、スマホのデータ通信量を懸念していましたが、受け取りに行くと、とてもプリミティブでした。
ライトニングtoSDカード変換ケーブルでiPhoneに、現像されたデータが入っているSDカードからデータを流し込むものでした。
画像データはjpegであり、3011×1996ピクセルと言う画素数でした。
クラウドに画像データを格納すれば、完了しましたとメールでも発信すれば、いちいち店舗に赴かなくても良いですが、通信料問題やメアドの個人データの管理や廃棄など事務局側からすると面倒となる問題もあります。
そして、根本的にフィルムでありますので、現像後のネガフィルムを渡すという任務もあります。これはカメラと言うものが存在してからの伝統であります。個人的に四半世紀ぶりくらいの受け取りであります。
写ルンです版、プレミアムクラス搭乗記
写ルンですの説明で長くなりましたが、ここから搭乗記となります。
スマホやデジカメでは楽勝なところでありますが、フラッシュを焚かないとずいぶん暗くなってしまいます。始発のモノレールにこれから乗るようにも見えてしまいます。
ちなみに乗った時間はおやつ時間でありました。
一方で、太陽光が降り注ぐ屋外はそれなりにきっちり写ります。でも緩いピントの味わいがあります。
やはり屋内は暗くなってしまいます。建物の形から今世紀と見えますが、それがないと昭和時代なのか朝早いのかわからない画であります。
搭乗記では必ず撮影する行先案内であります。こちらも30年間くらい前に撮影したというかのような仕上がりであります。
性能が低いというだけでは解決できないレトロ感がとても感じてしまいます。
そして、プレミアムクラス機内であります。今回は78Mの後方のシートであります。それを伝えたかったのですが、シートピッチぐらいしか伝わりません。独特の青さは表現できないところであります。
やはり、明るいところは得意なようであり、機窓は結構明るく撮れています。今の高級デジカメの世界から言うと繊細さがなく、ボケボケと言えますが、きっちりし過ぎた東京でこれくらいの緩さは逆にほっとするかもしれません。
離陸時の動画も記録しました。写ルンですでは動画はできないため、デジカメで撮影してみました。
離陸後の都心上空です。皇居や東京ドームが見えるのは結構レアかもしれません。
シートモニターはスマホでは簡単に精細に撮影できるのでありますが、ご覧のようなノイズだらけであります。Photoshopのニューラルフィルターでノイズ処理はしたのではありますが。
フィルムは明るいところが好きなのか、787の電子シェードで眩しさを抑制した景色でもそのままのとおり、青く表現してくれます。
ちなみに令和な機器で撮影してみます。そんなに色合いは変わらないので、写ルンです善戦かなというところです。一方で令和な機器はセンサーにゴミが多くついており、その対処が大変でした。
プレミアムクラス機内食であります。撮影ポイントから1m以内だったのかその先のシートポケットに焦点が合っています。
メニューは下記のとおりです。
MENU
チキンのバターカレー風味とひよこ豆のフムス
パンプキンとベーコンのサンド
黄桃とモッツァレラ生ハムとバルサミコソース
フレンチトースト クリームチーズ シナモン風味リンゴ パイナップル グレープフルーツ
さくらムース
でも、昭和な人がとてもレアな経験を撮影したような感じになっており、個人的には好きであります。
写ルンですとは真逆の方法で撮影した画像であります。モッツァレラチーズに焦点を負わせたものであります。パンフォーカスの魅力はすごいと感じます。
白ワインを撮影してみました。フラッシュをたかなかったため、ノイズがすごくいつの時代の新聞記事かと言う感じでもあります。
いよいよ北の大地であります。明るい屋外は得意なのか曇天でも大地をそれなりに表現しています。
光あるところはあらゆる場所できれいに映ります。それでも数十年前のような色合いとなってしまいました。
地下駅の新千歳空港で快速エアポートをフラッシュを焚いて撮影します。三橋達也さんが十津川警部バリバリだった頃の西村京太郎ミステリーのオープニングに出てきそうな感じであります。このままタイフォンが鳴り、タイトルが出てきそうです。
日没になる前に車窓をとりました。恵庭手前の某ビールメーカーのあたりです。良くも悪くも失敗がないかもしれません。
この後、27枚目のショットを札幌駅を撮影したのですが、日没となってしまい何も映っていませんでした。
写ルンですの使用感
写ルンですの使用感と仕上がりを見てみると、操作性は軽くコンパクトであり、簡単であります。その簡単さを裏でパンフォーカスにしているのもすごいでありますが。
一方で仕上がりを見ると屋外は問題ないですが、屋内は明るいと思う場所もかなり暗くなってしまいます。やはり、CMOSセンサーに慣れてしまうと暗さと言うのが別世界のようであります。
しかし、逆に言うと不必要なものが暗くて映らなかったりするため、消去法な写真の世界では意外と世界観を現すにはいいかもしれません。
また、水平に撮影するのが意外と難しく、デジカメに慣れきってしまっている自分を感じてしまいました。
ブツ自体1,600円ぐらい、現像で最低1,100円かかるので高価な楽しみでありますが、写真の幅広さを感じ、今後のショットに影響があるかもしれません。
最後に
写ルンですはデジカメのように瞬時に撮影した画像が判明するものではなく、何が良いのかと思っていましたが、ピントの合わせ方やフイルムの制約がありつつも、そのハードルをクリアした時の快活さが旅行で気に入った光景をパシャとすることに遭っているかもしれません。
ジンバルカメラやドローンと見たことのない世界を体現するマシーンも増えていますが、見たことがあり、どこか懐かしい、でも今のスマホやデジカメとは違う世界もいい世界であります。