
ANAホールディングスの中期経営戦略が発表され、その中で株主還元について興味深い制度の新設が記載されていましたので、まとめてみました。
新・中期経営戦略における株主還元
ANAホールディングスでは、2026年1月30日に2026-2028年度 ANAグループ中期経営戦略を発表しました。
サマリー、超短くは、以下のとおりです。
結局、成田枠取りに行くのかと思いつつも、証券アナリストの中には営業利益2,500億円はチャレンジングと評するとおり、挑戦的なのかもしれません。
その中で、投資家にとっては関心の高い株主還元については以下の通り、IR資料に記載があります。
簡単に言うと株価上昇と安定的かつ継続的な配当を実施していくと言うものであり、成長投資による利益成長と自己株式取得・消却とを組み合わせてEPS(1株当たり純利益)成長を年平均約10%成長させるとのことです。
実現すると株価も上がり、配当もあるので、頼もしいところであります。779が更なる納入延期で中期経営戦略の最終年度を1-2年伸ばすと言う事がないことを期待するところでもあります。
新たな株主優待
さて、ここまでは機関投資家も個人投資家もともに関心のあるところですが、ここからは個人投資家に関心のある株主優待についても、新たな制度のあらましが発表されたので、まとめてみました。
国内線のフレックス50%割引は継続されているのは良いのですが、予約枠が設けられているのも継続だとあまり良くないとも言えます。むしろ、予約枠が狭くなっていたりすると改悪ともなりかねません。
そして、気になったのは発行基準の見直しであります。長期保有優遇制度の導入と総発行枚数を削減と言うところであります。発行する枚数を削減し、長期保有者には現行かそれ以上の条件で優待券を進呈し、権利確定間際だけ保有するような輩については現行より、条件が悪くなると考えられます。
また、総発行枚数を削減することは、二次流通を減らして価値を上げると言う事なのでしょうか。なんか通貨政策みたいですね。
こうしてみると、株主優待のマイル修行と言うのも、今後は薄れていくのかもしれませんね。
そして、株主ダイヤモンド!?
今回の発表の中で気になったのは、現行の航空券割引の株主優待よりも以下であります。
当社普通株式を長期にわたり保有いただいている大口の株主様を対象に、ANA最上級ステイタスである「ダイヤモンドサービス」の一部特典をご体験いただける制度を新設します。
【対象条件】
毎年9月末基準日において、3年(7基準日)以上連続して、同一株主番号にて20,000株以上保有されている個人株主様
※対象の株主様には個別に封書にてご案内予定です。
株主にダイヤモンドステータスを体験ながらも、付与すると言うものです。
ちなみに、IRプレゼン資料とプレスリリースの資料の書き方が違っており、少し困惑しました。個人投資家向けのリワードとは言え、投資家なのでフェアディスクロージャーの観点からはどうなのでしょうと一瞬思ってしまいましたが、適時開示資料はほぼ同じでありました。紛らわしいです。
それはさておき、内容であります。
ANA最上級ステイタスである「ダイヤモンドサービス」の一部特典をご体験いただける制度を新設
ライフソリューション・ダイヤに加えて、株主ダイヤも増えると言う事になりそうです。裏メニューの一定年数正規のダイヤモンドを継続して、達成できなかった会員向けの救済ダイヤや、特定の企業にバラマキ的に2倍PPを付与してダイヤモンドを作り出す人工ダイヤなど、過去に色々と耳にしましたが、また、新たなダイヤモンドが誕生することとなりそうです。
ああ、また、ライバルが出て来たのかと思いつつも、株主ダイヤになるためには3年以上連続して、同一株主番号にて20,000株以上保有すると言う、本当に三年寝太郎であることが必要であります。
ちなみにこれから、株式購入を始めるならば、2026年1月30日の終値で換算すると60,100,000円の資金が必要となります。配当利回りは同日換算で2%程度なので、年間約120万円、税引き後で約96万円となります。96万円もあれば、かなり良いPP単価でダイヤモンド修行をこなすのと同等であり、いちいち頭を使って、体力を張って修行をしなくてもダイヤモンド会員となり、さらに配当収入が年間96万円入ってくるとなれば、株主ダイヤモンドでしょう。
さらに、同社が掲げるEPS年平均10%成長が実現し、オントラックでいけば、3年後の含み益も相当となります。まあ、実現するかは、神のみぞ知る領域でもありますが。
株主ダイヤモンドは何人になるのか妄想してみる
所有者別株式の状況(2025年9月末現在)
上の円グラフは2025年9月末の所有者別株式の状況であります。株主数では個人・その他は705,953人であり、比率は97.99%ですが、上のグラフのとおり、株式数で言うと個人・その他は239,962,582株で49.55%となります。単純に割り算で平均すると1人当たり340株となります。これは平均値であり、中央値とはかなり乖離があるのは多くの平均と似ています。
ここからは妄想域の計算でありますが、おそらく、10,000株 〜 100,000株未満保有の株主は約0.3%程度あり、3年以上の保有となると、ダイヤモンドの権利を持てる株主は2,000人程度ではないかと妄想します。この中には、ANAファンで株主でありつつも、年間に相当の搭乗をし、正規のダイヤモンド会員もいると想定すると1,000人程度が、新たな株主ダイヤモンドとなりそうであります。
そう考えるとダイヤモンド会員の数が急激に増えると言うわけではなく、まっとうなダイヤモンド会員にも脅威にはならないようです。
しかし、ANAはどうしてこのように、色々なダイヤモンド会員を増やそうとするのでしょうか。しかも、財のある個人ばかりを。経費利用のダイヤや修行ダイヤは景気やパンデミックに左右されて変動が激しいと言う事なのでしょうか。また、プラチナやブロンズと言うのは最早、何の価値もなく、ダイヤモンドの虜となっている人が多いと言う証明なのでしょうか。
飛んでこそ、報われるダイヤモンドから金と資本の力で成り上がるダイヤモンドと言うのが最近は色が強くなっていると感じます。仕方ないですね。
最後に
ANAライフタイムマイルを200万、300万LTマイル貯めたミリオンマイラーとANA HD株式を長期保有して、ダイヤモンド会員になる株主ダイヤとの違いは何かと考えると考えてしまいます。
機内で俺はミリオンマイラーでダイヤモンドだと激高するのと俺はダイヤモンド株主だと激高するのでは後者の方が強そうと言うか怖そうでもあります。まあ、そんなことなく平等に扱って欲しいところですが。
しかし、どうしてこのような大量保有の個人株主を囲い込みたいかと言うのは、他の事情があるのかもしれません。パノラマスーパー大株主の去就もあるのかなと感じてしまいました。
マイレージはもともとは本業である飛行機をたくさん利用する顧客のためでありましたが、事業の多角化により、いかにお金を落とす顧客が重宝され、さらには株主と何が何だか分からなくなってきました。事業資金のためなら、何でもと言ったところかもしれません。