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ナローボディ機のビジネスクラスが進化してフルフラットになる中、日系航空会社はどうするのか

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以前、航空業界における機材の役割は明確な分業がありました。長距離を飛ぶ大型機(ワイドボディ機)は、ファーストクラスに加えて、ビジネスクラスでも豪華なフルフラットシートを備えていました。

一方で、短距離を担う小型機(ナローボディ機)はリクライニングシートが標準であり、南北米やアジアでは2-2配列のリクライニングシート、ヨーロッパではエコノミーと同じ3-3列の座席の真ん中席を座らせない運用でした。

しかしながら、最近は機材の性能向上に伴い、小型機でも大型機に匹敵する設備を導入する動きが世界的に加速しています。ここでは、先行する海外航空会社の動向と、リクライニング仕様が主流である日系航空会社がリクライニングシートのままである点や今後はどう考えているのか考察します。

海外キャリアで進む「ナローボディ機のフルフラット化」

JetBlue Mint
現在、エアバスA321neoなどの最新機材を導入している海外の航空会社では、小型機であってもビジネスクラスにフルフラットシートを搭載することが珍しくなくなっています。

欧米路線の新たなスタンダード

アメリカのジェットブルーや、ヨーロッパのイベリア航空、TAPポルトガル航空、ITAエアウェイズなどは、東海岸と西海岸を横断する路線や大西洋を横断するナローボディ機にフルフラットシートを導入しています。

特に一部の航空会社では、通路に直接アクセスできる「1-1配列」や、スライドドア付きの個室タイプまで採用されており、大型機とのサービス差をほぼ解消しています。

以下は主な欧米キャリアのビジネスクラス状況です。

航空会社 主な機材 シート配列 配列形式 リクライニング
ジェットブルー A321LR 1-1配列 ヘリンボーン(個室ドア付き) フルフラット
イベリア航空 A321XLR 1-1配列 ヘリンボーン(通路側向き) フルフラット
TAPポルトガル航空 A321LR 2-2 と 1-1   の交互 スタッガード フルフラット
ITAエアウェイズ A321neo 1-1配列 リバースヘリンボーン(窓側向き) フルフラット

表が見にくい方は以下を参照ください。

アジア圏での積極的な展開

Singapore Airlines  Business class

日本に乗り入れているアジアの航空会社でも、この傾向は顕著です。国際線だけでシートが豪華で有名なシンガポール航空をはじめとして、台湾の新興キャリアであるスターラックス航空、韓国のナショナルフラッグシップキャリアの大韓航空など、日本発着の短距離路線に投入するナローボディ機(A321neoや737-8)にフルフラットシートを順次導入しています。

また、かつて、サービス品質に課題があると指摘されていたエアインディアもタタの傘下に入ってからはサービス改善中であり、その中で長距離飛行できるナローボディ機にフルフラットの導入を進めていたりします。

これにより、数時間のフライトであっても高い居住性が提供されるようになっています。

以下は主なアジアのキャリアのビジネスクラス状況です。

航空会社 主な機材 シート配列 配列形式 リクライニング
シンガポール航空 737-8 (MAX) 2-2 と 1-1   の交互 スタッガード フルフラット
スターラックス航空 A321neo 2-2配列 並列フラット フルフラット
大韓航空 A321neo 2-2配列 並列フラット(斜め配置) フルフラット
エア・インディア A321neo   (最新機材) 2-2配列 並列フラット フルフラット

個人的には他社は未体験のため比較は限定的ですが、大韓航空のA321neoのビジネスクラスにしか搭乗したことがあります。

表が見にくい方は以下を参照ください。

大韓航空 A321neo ビジネスクラス

日系航空会社(JAL・ANA)の国際線ナローボディ機の現状

一方で、一方で日本の航空会社に目を向けると、JAL(日本航空)やANA(全日本空輸)では、ビジネスクラス(国内線ではプレミアムクラス等)の多くは、現在も電動リクライニングシートが主体となっています。世界的な「フルフラット化」の流れから見ると、一見、設備更新が遅れているようにも映ります。

オンボロ機材と言うわけでもありませんが、2-2配列のリクライニングに留まっています。同じ国際線でも、ワイドボディ機のB787シリーズ、B777-300ER、A350-1000、A380-800のビジネスクラスのシートとは対照的です。

リクライニング主体の背景

しかし、これには日本の航空会社特有の事情と、合理的な判断が背景にあります。

それは、国際線におけるナローボディ機の運用比率であります。
日系航空会社の国際線戦略において、中・長距離路線の多くはボーイング787や777やA350-1000といった中・大型機が担っています。これらの機材には既に世界最高水準のフルフラットシートが導入されています。

一方で、ナローボディ機が投入されるのは、主に中国路線といった近距離路線です。飛行時間が2〜3時間程度と短いため、フルフラットの需要が欧米ほど高くなく、リクライニングシートでも十分な快適性が維持できるという判断があります。

また、ソウルや台北と言った近距離国際線においても、ワイドボディ機でほぼ運用されています。

国内線との機材共通化

加えて、日本のナローボディ機は、国内線と近距離国際線の両方で運用されることが一般的です。ANAでは国際線ビジネスクラスのシートを国内線ではプレミアムクラスで運用されています。(32Pなど)

国内線では1時間前後のフライトが多く、座席数を確保しながら効率的に運航することが求められます。限られた機内スペースを大きく専有するフルフラットシートの導入は、コストと供給座席数のバランスやナローボディ機用のフルフラットシート導入への設備投資を鑑みると、現時点では慎重にならざるを得ないのが実情です。

影響は限定的なものの、いつかは

このように、日系のナローボディ機がリクライニング主体であることは事実ですが、それが直ちに競争力の低下に直結しているわけではありません。利用者の多くが搭乗時間の短い路線で利用しているため、現時点での実質的な影響は限定的と言えるでしょう。

しかし、JALが2028年度から最新鋭のA321neoを導入することを決定し、ANAも中型機向けに個室感の強い新シート(THE Room FX)を発表するなど、将来的には変化するかもしれません。

新規路線において、中央アジアなどの路線が出てくると、A321LR / XLRを投入する可能性もあります。そうした場合にリクライニングでは満足できないので、フルフラットのビジネスクラスのシートが出てくる可能性も期待できます。

最後に

かつては「大型機=長距離・快適性重視」「小型機=短距離・効率重視」という明確な役割分担が存在していました。しかし機材性能の向上と路線の多様化により、その境界線は世界的に急速に曖昧になりつつあります。海外ではすでに、ナローボディ機であっても長距離便ではフルフラットシートを備えることが当たり前になってきており、新たなスタンダードになりつつあります。

一方で、JALやANAといった日系航空会社が、現時点でリクライニングシートを主体としているのは、「遅れ」ではなく、路線特性や機材運用、国内線との共通化を踏まえた判断と言えるでしょう。搭乗時間の短い国際線・近距離路線が中心である限り、その選択が大きな不満につながっていないのも事実です。

とはいえ、A321neoやLR/XLRといった航続距離の長いナローボディ機が今後本格的に活用されるようになれば、状況は変わるかもしれません。数時間を超えるフライトにおいて、海外キャリアと同等のプロダクトが求められるケースが多くなると想定されます。そうした断面で、日系航空会社がどのようなビジネスクラス像を提示してくるのかは、非常に興味深いポイントです。

国内線と共通運用するための仕様から、新しい発想のナローボディ機ビジネスクラスへと発展するのか、今後の機材更新と路線展開から、しばらく目が離せそうにありません。

用語解説

ヘリンボーン / リバースヘリンボーン

座席を斜めに配置することで、限られた通路幅でも全席から直接通路にアクセスでき、かつ足を伸ばすスペースを確保する形式です。

スタッガード

座席を互い違いに配置する形式。1-1配列の部分では、前後の座席の足元スペースを隣の座席のサイドテーブルの下に入れ込むことで、効率よくフルフラットを実現します。

A321LR / XLR:

A321neoの航続距離を大幅に伸ばしたモデル。LR(Long Range)は約7,400km、XLR(Extra Long Range)は約8,700kmの飛行が可能で、小型機による大西洋横断を可能にしました。

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