ANAマイレージクラブにおけるシンガポール航空運航便の積算率が2025年5月21日により変更となったため、まとめてみました。
共同事業のスタート開始から積算率変更
2025年5月21日、ANAとシンガポール航空は共同事業のスタートとして、共同運賃の販売を開始しています。これはSQ便でもANA便でもどちらでも共通した運賃となり、仕事で使う人にとっては選択肢が増えたと言えます。また、SQのみが就航する国や都市についても新たに共同運賃でアクセスできることとなり、今までマイル積算が出来なかったa地域・都市も拡大することとなります。
新積算率
新積算率と旧積算率を搭乗クラス別に比較してみました。同情報は2025年5月21日時点の情報であり、記載のない予約クラスはANAマイレージクラブでは積算されません。
ファーストクラス
旧クラス F,A 150%
ファーストクラスについて新積算率の予約クラスでもF,Aであり、変更はありません。ここは聖域であり、変に125%積算とかはブランド棄損にもつながるのか、単純にANAとクラスが揃っていたので、変更しなかったのでしょう。
ビジネスクラス
旧クラス Z, C, J, U, D 125%
新積算率ではZが150%と改善し、Dクラスが70%と改悪しています。クラスは違いますが、ANAの積算率にあわせた形となります。ワンダーラスト運賃などビジネスクラスでセール運賃によく使われるDクラスが55%とまともに改悪となっているので、名古屋発東南アジアビジネスクラス往復運賃が比較的、PP単価が良かったのが崩壊となる模様です。
プレミアムエコノミー
旧クラス S, T, P, L, R 100%
プレミアムエコノミーについては新たに70%積算率が設定され、P,L,Rが改悪となっています。こちらもセール運賃でRクラスのPP単価がよく、チャンギ空港からニューヨーク(JFK、EWR)の超長距離路線でのプレミアムポイント修行が崩壊となります。
エコノミークラス
旧クラス
Y,B 100%
E, M, H, W 70%
Q,N,V 50%
K 30%
エコノミーでは大改編はなく、Eクラスが70%から100%に改善しているのみです。エコノミーは積算されないクラスなどはあまり変わらず、変更が難しいクラスでもあるのかもしれません。
ビジネスとプレエコの積算率は痛い
今回の共同事業の開始ではSQ便でしかアクセスできない都市でも運賃がエコノミーなどでは比較的安く利用できるようになり、マイレージ積算としては一見すると拡大しているように見えますが、旧クラスの積算率とエコノミークラスはほとんど変化は有りません。安くなるとすればPP単価は増えるので、ANAが就航していないモルジブやネパール、スリランカなどに安く行くことができ、マイレージ積算が出来ることとなります。
しかし、ビジネスクラスでは新たに70%、プレミアムエコノミーでも新たに70%積算が追加されたたため、安いそうしたクラスでの運賃は軒並みプレミアムポイントが貯まらなくなります。
これは大きな痛手であり、マイル修業にシンガポール航空が実質的に使えなくなります。スターアライアンス加盟と言うかワンワールド加盟キャリアもそうですが、個人が趣味の範囲で手が届くビジネスクラスやプレミアムエコノミー運賃はマイル修業対策が取られてしまい、適さなくなっており、ラストサンクチュアリであったシンガポール航空でもそうなってしまいました。
ANAでダイヤモンドになろうとするANA便に現状よりもさらに専ら搭乗することとなります。来月には主力機のB787の新しいビジネスクラスが発表となるとは言え、機内が陳腐化している中で、モチベーションが低くなります。
タダてさえ、予約システムの変更で、予約発券する時間が長くなっており、トータルでのモチベーションは低くなっていますが。
加えて、ユナイテッドやルフトハンザグループでは実施されているプレミアムメンバー向けのフライトボーナスマイルが積算対象外というのもモチベーションが上がりません。今回の改定は大きな痛手となります。
最後に
以前、ANAとシンガポール航空の共同事業はマイル修業にダメージかという記事を書きましたが、予約クラスの整理はありませんでしたが、予測通り、ビジネスクラスとプレミアムエコノミーで大きな改悪となりました。マイル修業は既に過去の時代の趣味となっていますが、今回の変更でさらにマイル修業を楽しみにする人にとっては楽しさが薄れそうです。
ただ、今回の共同事業にて、唯一のプラスポイントもあります。シンガポール航空のプレミアラウンジであるシルバークリスラウンジについて、ANAグループ運航便(新生エアージャパン(NQ)便名を除く)または他スター アライアンス加盟航空会社運航便を利用のANA「ダイヤモンドサービス」会員については、シンガポールのシルバークリスラウンジを利用できるというところです。
注釈の書き方がモヤモヤしてしまい、本当かと感じていますが、エアインディアやエアチャイナの安エコノミーでもチャンギ空港ではダイヤモンド会員であれば、シルバークリスラウンジが利用できることとなります。
もともと、SQの本拠地のチャンギ・ターミナルでないターミナルに就航していたANA便は搭乗のダイヤモンド会員はシルバークラスラウンジ(しかもファースト)が利用できるではありますが。
* 3 スイート、ファーストクラス、ビジネスクラスのお客様がご利用いただけます。
ANAグループ運航便*4または他スター アライアンス加盟航空会社運航便をご利用のANA「ダイヤモンドサービス」メンバーもシンガポールのシルバークリスラウンジをご利用いただけます。
* 4 エアージャパン(NQ)便名を除く
最後にダイヤモンドメンバーと書いてあり、敢えて搭乗クラスは書いていないのでエコノミー利用でも大丈夫だと思います。
また、シルバークリスラウンジの種別には言及されていないのでシルバークリスラウンジの下位の方かもしれません。そして、シンガポール航空ではなく、シンガポールと記載されているので、チャンギ空港限定と言う事なのでしょう。
マイラーとしては微妙な共同事業のスタートです。