ANA国内線運賃がリニューアルすることによるマイル積算率の変更など要点を整理してみましたので、お伝えします。
国内線運賃のリニューアル
ANAの歴史の中でもこれほど国内線運賃を大きく変えるのは珍しいと思うくらいのリニューアルです。上記の表だけ見るとLCCのようなシンプル体系になっていると思われますが、マイレージと積算を見るとそうでもないと感じます。
2026年5月19日以降の国内線の運賃と積算率は以下の表のとおりです。
参考先
ANA国内線利用運賃一覧表│ANAマイレージクラブ | ANAマイレージクラブ
運賃 | 積算率 | 搭乗PP | クラス | 該当運賃 |
---|---|---|---|---|
A | 150% | 400 | ファースト | フレックス、Biz、ANAカード優待割引、国際航空券(国内区間F) F/A |
B | 130% | 400 | ファースト | スタンダード、株主優待割引 |
C | 120% | 400 | ファースト | シンプル |
D | 100% | 400 | エコノミ | フレックス、Biz、ANAカード優待割引、国際航空券(国内区間 Y) Y/B/M |
E | 100% | 0 | エコノミ | 島民割引 |
F | - | - | - | - |
G | 80% | 400 | エコノミ | 株主優待割引 |
H | 80% | 200 | エコノミ | スタンダード |
I | 70% | 100 | エコノミ | シンプル |
J | 50% | 0 | エコノミ | 個人包括旅行運賃(APIT)、ユース、シニア、包括団体旅行運賃(IITA) |
K | 30% | 0 | エコノミ | 包括旅行割引運賃(ITE) |
N | 70% | 0 | エコノミ | 国際航空券(国内区間Y) U/H/Q |
O | 50% | 0 | エコノミ | 国際航空券(国内区間 Y) V/W/S |
P | 30% | 0 | エコノミ | 国際航空券(国内区間Y) L/K |
ファーストは現行のプレミアムクラス、エコノミーは現行の普通席の改称名です。
運賃のアルファベットは予約クラスではなく、便宜的に運賃が高く、積算率が高い順に順番に振られている番号のようです。まあ、AとKとNが実際の国際線予約クラスと重なっているのは単なる偶然だと思いますが。
シンプル、スタンダード、フレックスだけでなく、Biz、ANAカード割引、シニア、ユース、株主優待、島民、包括団体、包括旅行、そして、国際線航空券に紐づく国内線があります。運賃Fだけはハイフンとなってなっており、謎ですが、現行の障がい者割引運賃を当てはめるか他の運賃に特性に合わせて適用させるか迷ているのかもしれません。
現行のフレックス、バリュー、ビジネスきっぷ、株主優待を基本線として、LCC的な扱いのシンプル運賃を新設したようにも見えます。
ただ、シンプルはプレミアムクラスにアップグレードが出来なく、エコノミーの座席指定も出発の24時間前までできないと言うLCCっぽい運賃です。これまでのANA国内線のルールとは随分乖離します。
プレミアムクラス・普通席からファースト・エコノミークラスに
また、2026年5月19日からは座席クラスをプレミアムクラスはファーストクラスに、普通席はエコノミークラスに変更しています。これはインバウンド利用者にわかりやすくrするために変えたと言えます。
さすがに、今のところ、日本語サイトではプレミアムクラスであり、徐々に変えていくのでしょう。
日本語の英語サイトでもPremium Classとなっていました。
海外のサイトでは日本国内線クラスサービスについてはページ自体がないようですが、今後は作成されるかもしれません。
まあ、現在、日本において、強引にプレミアムクラスをファーストクラスに名称変更するとプレミアムエコノミーと変わらないシートとか、ファーストクラスなのだから上級会員でなくてもスイートラウンジでカレーを食べさせろとなるのであくまで運賃種別地味にしているのかもしれません。だんだんとファースト風を吹かすのかもしれませんが。
海外の人から見ても、現行のプレミアムクラスのレベルは絶対的に品質の高くない高くないユナイテッドファースト国内線と比較しても、アッパークラスとは言い難いと感じるかもしれません。
そして、いつかのように公正取引委員会が出動するかもしれません。
個人的にはANAプレミアムクラス搭乗記とANA国内線普通席搭乗記を数多書いてきましたが、来年に向けて全ての記事のファーストクラスとエコノミークラスに書き換えないと思うと億劫になります。まあ、新規記事はファーストクラスという言葉のパワーでテイルウィンドになりそうではあり、国内線修業がもしかしたら増えるかもしれませんが。
有償でのプレミアムクラスアップグレードが不利に
そして、マイル修業僧にとっては快適でプレミアムポイント積算を加速可能であった有償でのプレミアムクラスのアップグレードが不利になります。
と言うのは、これまでのアップグレードポイントに加えて2026/5/19搭乗分からマイルでもプレミアムクラス改め国内線ファーストクラスでもアップグレードが可能になりますが、マイルとアップグレードポイントに限っては搭乗日の27日前0:00(日本時間)から搭乗便出発時刻の20分前まで申し込みが可能となっています。
さらに有償でアップグレードの場合はこれまで2日前でしたが、出発時刻24時間前~出発時刻20分前までと変更となります。
これはどう見ても、有償とマイル利用では時間差がありすぎて、プレミアムポイントをブースト積算させないと勘繰ってしまいます。
しかも、これまで特典航空券でもアップグレードが出来ていたプレミアムクラスですが、対象運賃が限定されてしまいました。以下のとおりです。こりあたりは詳報がないと詳しくわかりません。国際線みたく、ファーストとエコノミーで必要マイル数が分かれるようになるかもしれませんが。
フレックス・スタンダード・Biz・ANAカード優待割引・株主優待割引・島民割引・ユース・シニア・個人包括旅行運賃
まあ、これは株主優待運賃利用者にとっては有利かもしれません。そして、裏技的にではありますが、アップグレードキャンセルの際、取消手数料マイルは無料なので、27日前からマイルでUGしておいて、出発24時間前の人が予約しない時間帯(当日の丑三つ時等に)にキャンセルして、速攻で有料でUG申請すると言うのは有りかもしれません。
空席待ちには以下の記述があります。マイル・UGポイントの空席待ちついては
"ご搭乗日前日までの事前空席待ちはできません。"
"ご搭乗当日に空港で空席待ちをお申し込みになれます。ANAウェブサイトにてお手続きください。"
とあり、若干理解しがたいのですが、かつての当日朝の空港での争奪戦が思い出させるところです。空席ありだとネットで予約できるので裏技はできそうです。この辺りは実際に試してみないと確信は持てないところであります。まあ、それがマイル修業と言うものでありますが。
さらに有償アップグレード料金が区間別にしれっと値上げするところです。羽田⇔沖縄のUG料金が18,000円となっています。地方路線の沖縄⇔新潟は8,000円と物価の優等生と言えます。
今回のANA国内線は1年先とは言え、変化がありすぎてお腹いっぱいとなってしまいます。解析が大変です。
積算率変更
個人的に一番驚いたのは積算率が変更となった点です。ANAマイル修業を始めて18年となりますが、国内線は不文律のように150,125,100,75,50,30%がでしたが、150,130,120,100,80,70,50,30%へと変更となり、初めての経験であります。今回の変更で1桁台5のパーセントは消滅し、国際線のビジネスクラスの125%のみ1桁台5%が残ることとなります。
さらに特徴的なのが125%と75%付近で切り上げ(130%と80%)と切り捨て(120%と70%)が新設されている点であります。
運命の分かれ道みたいであり、最近は価値が薄れている株主優待は+5%の80%と130%、プレミアムクラスにアップグレードできないシンプルは70%と120%となっています。
国内線タイムセールやANAにキュン!は絶対シンプル派生型となりそうです。
5%の端数計算がコスト増になっていたのかは不明ですが、国際線発券の国内線区間の運賃は引き続き、変化なく平仄を合わせています。
もともと、ファーストとエコノミーの各クラスに平仄を合わせて、ビジネスクラスはプレミアムクラスと組み合わせがなく、エコノミー100%上限であり、プレミアムエコノミーは名前のとおり、エコノミー扱いであったこともあるのか、ここは変わりません。
こうした積算率変更はアマデウスに5%カウントは勘弁してくれと言われたのか、何かの事情はあると思いますが、世界的に見るとマイルの積算率で±25%は少なくなっているので時代の潮流なのかもしれません。
搭乗ポイントは踏襲
一方でプレミアムポイントにかかる搭乗ポイントは400,200,0がほぼ踏襲されています。唯一、70%シンプル運賃の積算に対して100ポイントが新設されているようです。このあたりも切り良く500と200にすれば思いますが、そこはプレミアムメンバー数はきっちり管理していくと言ったところでしょうか。VT職人みたいな人はどうなるのか不明です。
そして、あと1年で2,860PPや1,968PPもお別れであります。
マイルがより多く積算するのは良いが
今回一部の運賃で積算率が上昇するのはポジティブでありますが、裏は有りそうです。と言うのはやはり、インフレに伴う原価高騰となり、企業としては利益圧迫となるのが推察されます。結果的には価格転嫁(値上げ)にするのは必須ですが、利用者の不満が募るので、ガス抜き的な対症療法として、一部運賃の積算率を上げたように見えます。
特にANAHD株保有の個人株主からは値上げされても、貯まるマイル数は何十年も変わらないと株主総会で声を大きく言われそうであり、そうした対策さえにも見えてしまいます。
インフレは歴史的に仕方ないのですが、前向きに見れば失われた30年のスタグフレーションから景気を変わる可能性もあり、ANAHD株を買えば資産が増える可能性もあるので何とも言えませんが、数十年続いた国内線修行の景色は大きく変わりそうです。
最後に
ANA国際線予約サイトリニューアルに続き、国内線サイトのリニューアルを目前にして1年先の運賃体系自体を大幅に見直しを発表しました。
さらにそれに紐づく、マイレージ加算、アップグレード方法、アップグレード料金、クラス名称の変更など多くあり、先述のとおり、お腹いっぱいであります。
全体的にはインフレの中で、利益を出すために価格転嫁した印象が強いですが、アマデウスへのシステム変更でできることと出来ないことを取捨選択したところも感じてしまいます。
時代の変化とともに変化はしないといけませんが、変わりすぎであります。もしかしたら、マイル修業僧が一番の悪のターゲットとして、徹底排除に向けた布石かもしれないと勘繰ってしまいました。
今回は、ファーストインプレッションとして味薄めに書いてみましたが、詳細を調べて気が向いたら記事にしていきたいと思います。
まあ、記事を増やすネタ的にはこれほどの大変革は良いのですが、変わり方が経験のないようなレベルなので、2026年に実際にお金を払って体験しないとマスターできないレベルです。
国内線予約でも大島グルグルならぬ、飛行機クルクルが続くとそもそも来年を前にやめてしまうかもしれませんが。