ANAの新型コロナウィルス対策の特別対応としてダイヤモンド会員をはじめとする上級会員となるためのステータスポイント(ANAではプレミアムポイント)を2倍付する発表がされ、その影響が株主優待にどんな影響が出ているか調べてみました。
ANA株主優待券とは
ANAホールディングスの株式の状況
ANA(全日本空輸)は事業会社であり、親会社のANAホールディングス(証券コード9202)は東京証券取引所・市場第一部に上場しています。
同社の株式の状況(2019年9月末)は下記のとおりです。
区分 | 株主数(人) | 割合(%) | 所有株数(株) | 割合(%) |
---|---|---|---|---|
個人・その他 | 486,890 | 98.3 | 167,660,109 | 48.1 |
金融機関 | 165 | 0.0 | 89,198,523 | 25.6 |
その他国内法人 | 6,421 | 1.3 | 43,953,447 | 12.6 |
外国人 | 2,061 | 0.4 | 28,718,707 | 8.2 |
自己名義株式 | 1 | 0.0 | 13,633,929 | 3.9 |
証券会社 | 47 | 0.0 | 5,223,539 | 1.5 |
政府・地方公共団体 | 2 | 0.0 | 110,107 | 0.0 |
合計 | 495,587 | 100.0 | 348,498,361 | 100.0 |
ファーストリテイリングのようなオーナー個人が存在しない中で、個人投資家の比率が48.1%とかなり高いといえます。外国人比率が同業のJALと比較しても少ないのが、直近の株価にも顕れているのかもしれません。
とは言っても、同社の傘下企業は航空事業がほとんどとであり、今回のパンデミックによる影響は国際線路線拡大戦略が裏目にでており、そのコストに反して収入は減少が見込まれます。そして、フリーキャッシュフローがどうなるか気になるところであり、株主還元を実施するのか、そうでないのか株主は注目しているかもしれません。
個人投資家にとっては株主優待
個人投資家が対象の会社に投資(株式購入)をする要因としては機関投資家と同じように事業の成長による企業価値上昇や配当も魅力ですが、個人投資家に提供される「株主優待」も魅力の一つです。
クロス取引で株主優待を取りに行く一部の個人投資家は別として、一般的に個人投資家は株価下落では塩漬けにしても長期保有する傾向が高く、安定株主となるパターンが多いようです。そして、ファン株主も多く優良顧客として利用してくれる期待もあります。
また、個人投資家はサービスや経営方針に言いたいことはたくさんあるものの、おおむね経営陣に対してコンプライであり、個人投資家の比率が高いと事業運営もしやすくなります。
以上のように、事業運営の安定と本業貢献に期待できる個人投資家への感謝のしるしとして株主優待が存在します。
こうした目的のため、個人投資家比率を上げることを狙いとしてコストを投じて株主優待を導入する企業も多くなっています。また、最近では「桐谷さん」のようなインフルエンサーもそうしたことに貢献しています。
ANA株主優待券の詳細
ANAホールディングスでは、傘下子会社のANA(全日本空輸)の国内線の運賃を半額にする株主優待券を持ち株数に応じて、年二回提供しています。
今後、提供される株主優待の詳細は下記のとおりです。
発行基準日 | 発送日 | 国内線ご搭乗優待 |
---|---|---|
2020/3/31 (権利確定日3/27) |
5月中旬 | 株主優待番号案内書 有効期間 6/1~翌年5/31 |
2020/9/30 (権利確定日9/28) |
11月中旬 | 株主優待番号案内書 有効期間 12/1~翌年11/30 |
最短で6月1日からの搭乗で利用可能です。株主優待の最大のメリットは国内の運賃に限定されますが、優待券を適用すると普通運賃のほぼ半額で利用できるところであります。
マイルの積算率は普通運賃の3/4となりますが、予定の変更は払い戻しではフレキシブルであり、限られた時間の中でチケットを確保する場合にはコスパも強く魅力的と言えます。個人投資家で旅をする人にとっては魅力的であり、個人株主比率が高い要因の一つかもしれません。
足元で利用できる株主優待は
上記のとおり、これから自己資金をANAホールディングスに投じて、株主優待を獲得しても利用は6月1日からの適用となります。マイル修行に当てはめると今年の後半から、来年のマイル修行に役立つと言えます。
しかし、ANA特別対応の期間(プレミアムポイント2倍)は2020年6月30日までとなっており、それに活用できる株主優待券は2020年5月末と11月末がメインとなりそうです。
そうした優待券を保有していない場合は二次流通で確保することとなります。二次流通とは本来の権利で得た株主優待券を金券ショップやオークションサイトなどで転売して流通していることを言います。ANAホールディングスの株式を保有していなくても、こうした場所で一定の費用でそれが獲得できます。
実際の販売価格は
ANAの株主優待券を購入できる相場大きく分かれます。前述のとおり、権利確定の時期により、その有効期限は異なるため、期限切れが近いものはより安くなっています。
ジョギングがてら供給量と安さでは随一の新宿駅西口の金券ショップ界隈でその相場を確認してみました。
2020年5月31日まで有効(青券) 2,900円~3,300円
2020年11月30日まで有効(黄券) 3,300円~3,900円
最安値に近い価格で販売する青色がモチーフの金券ショップでは青券は売り切れていました。
2020年5月31日まで有効の青券は2020年11月30日まで有効の黄券と比較すると1,000円ほど安く魅力的ではありますが、期間が短いデメリットもあのます。
そうした中で期限の短い5月末までの優待券が売り切れが多いのは2020年3月19日午後に発表されたANAプレミアムポイント特別対応2倍の影響が大きいと言えます。
また、夜間に自動金券販売機を設置している店舗(赤坂、新橋、八重洲)も偶然かもしれませんが、自販機ではすべて売り切りていました。
ネットオークションサイトを見ても落札額が高いもの以外は結構売り切れている状態です。
もちろん、新生活を始める時期であり、その移動のために株主優待券を活用する人も多いと言えます。しかし、新型コロナウィルス感染リスクのある中でも、5月末までの株主優待券が少なくなっているのは2倍プレミアムポイントの衝撃が少なからずありそうです。
買う人が多いと売る人も多くなる
売り切れの店舗が発生しており、今後、二次流通において購入できる可能性は厳しくなるかもしれませんが、買う需要が高ければ売却額が高くなるメリットもあり、売る人の増加もありそうです。
一方で本来、優待券を持っている人が売却せずに飛行機に乗る可能性もあり、本気でステタース修行を実現したい人は国内線の活用も視野に入れるとすると、早期に確保した方がいいかもしれません。本当に枯渇してしまったり、購入価格が高くなる可能性もあります。
最後に
国は水際対策強化として、入国制限対象地域や検疫強化対象地域から帰国した日本人には、自宅等で14日間の待機と空港などから移動には公共交通機関(タクシー含む)を使用しないよう要請しています。
その要請よりも帰宅優先で、成田や羽田到着後に全国各地に飛行機で帰宅する人がいる可能性もあり、国内線搭乗においてもリスクがあるかもしれません。最早いろいろな側面で感染リスクはあり、マイル修行をする場合に何が最善かわからなくなります。