ANAが冬ダイヤの国際線のスケジュールを発表し、夏スケジュール比で大増便となっているので、まとめてみました。
2022年冬スケジュールの概要
まず、2022年の冬スケジュールの概要を見てみます。
2022年10月30日から2023年3月25日
- 北米路線はコロナ前の 2020年度期初計画比で約 9 割
- ワシントン D.C.・ヒューストンの羽田線の再開、成田線と併せて両都市ともに毎日運航
羽田=シカゴ線を再開、羽田=ロサンゼルス線・サンフランシスコ線等の増便 - 羽田=クアラルンプール線を再開、羽田=シンガポール線・ジャカルタ線等を増便
- 欧州線・ホノルル線等一部路線の運航計画については調整中
- 一部は冬スケジュール前から増便対応
- 羽田・成田=シカゴ線は最新型ファーストクラス「THE Suite」・ビジネスクラス「THE Room」シート搭載機にて運航開始
羽田から北米方面の多くが路線再開となっています。再開と言うよりはお初なイメージがありますが、2020年3月末に増築した第2ターミナルから羽田北米線はスタートしたので、一応、再開と言うこととなります。
また、アジア路線では羽田=クアラルンプールは毎日ではないものの、運航再開となります。往年の金曜日夜に羽田を出発し、クアラルンプールを日曜午後に出発して羽田に戻ってくる旅程が可能となります。
欧州や豪州、ハワイ路線は調整中となっていますが、運休から調整中となっている路線が多く、毎日運航でないとしてもかなり期待できる増便と言えます。
エリア別主な増便路線
それでは、エリア別の増便路線を見てみます。
アジア
路線 | 便名 | 変更前 | 変更後 |
---|---|---|---|
羽田=台北(松山)※1 | NH851/852 | 月金土 | 調整中 |
羽田=ソウル(金浦) | NH861/864 | 毎日 | 調整中 |
NH865/868 | ― | 調整中 | |
NH867/862 | ― | 調整中 | |
羽田=デリ-※2 | NH837/838 | 月水金日 | 月水金土日 |
成田=バンコク | NH805/806 | 毎日 | 毎日 |
羽田=バンコク※3 | NH849/848 | 火金土 | 毎日 |
NH847/850 | 毎日 | 毎日 | |
成田=クアラルンプ-ル | NH815/816 | 毎日 | 毎日 |
羽田=クアラルンプ-ル | NH885/886 | ― | 月金土 |
成田=シンガポ-ル※4 | NQ 801/802 | 毎日 | 毎日 |
羽田=シンガポ-ル | NH843/842 | ― | 毎日 |
NH841/844 | 毎日 | 毎日 | |
成田=ジャカルタ | NH835/836 | 毎日 | 毎日 |
羽田=ジャカルタ | NH855/856 | 火木金日 | 毎日 |
NH871/872 | ― | 調整中 |
※1 10/5から週5便に増便予定
※2 10/1からの予定
※3 9/18からの予定
※4 NQ(エアージャパン運航)NH便名同番号
アジアについて、クアラルンプールがやはり大きいと思いますが、既に路線が太くなってきているシンガポールやバンコクでは毎日3往復体制となります。シンガポール路線は現在、夜行便か早朝便が帰国へのフライトとなっており、そこがもう少し遅くホテルを出られる便ができるのは良いかも知れません。
しかし、成田⇔シンガポール間では頑なにNQ(エアージャパン)と記載するのは何かあると言うことの示唆なのかもしれません。
近隣の台北やソウルについても増便がされる予定であります。韓国では日本からの入国について8月まで無査証としていましたが、10月末まで延長しています。(韓国版ESTAは事前取得要)ただし、入国後のPCR検査実施措置は継続されるので、ドボンする可能性もあります。
オーストラリア
路線 | 便名 | 変更前 | 変更後 |
---|---|---|---|
羽田=シドニ- | NH879/880 | 毎日 | 調整中 |
NH889/890 | ― | 調整中 |
調整中のため、まだ空席照会では出てきませんが、念願の日中便がデイリーではないにしてもできると旅程によっては日帰りタッチとかはできそうです。
増便が実現すると結構高い運賃も少し下がるかもしれません。最終目的地を日本としない場合ではありますが。
北米
路線 | 便名 | 変更前 | 変更後 |
---|---|---|---|
成田=ロサンゼルス | NH6/5 | 毎日 | 毎日 |
羽田=ロサンゼルス※1 | NH126/125 | 火木金 | 毎日 |
NH106/105 | 毎日 | 毎日 | |
成田=サンフランシスコ | NH8/7 | 毎日 | 毎日 |
羽田=サンフランシスコ | NH108 | 火水金土日 | 毎日 |
NH107 | 月水木土日 | 毎日 | |
成田=シアトル | NH178/177 | 火木土日 | 火水木金土日 |
羽田=ワシントン D.C. | NH102 | ― | 水木日 |
NH101 | ― | 月火金土 | |
成田=ワシントン D.C.※2 | NH2 | 月火木土 | 月火金土 |
NH1 | 水金日 | 水木日 | |
成田=ニュ-ヨ-ク | NH10/9 | ― | ― |
羽田=ニュ-ヨ-ク | NH110/109 | 毎日 | 毎日 |
羽田=ヒュ-ストン | NH114 | ― | 月火金土 |
NH113 | ― | 水木日 | |
成田=ヒュ-ストン※2 | NH174 | 月火木土 | 水木日 |
NH173 | 水金日 | 月火金土 | |
成田=シカゴ | NH12/11 | 毎日 | 毎日 |
羽田=シカゴ | NH112/111 | ― | 毎日 |
羽田=バンク-バ- | NH116/115 | ― | 調整中 |
成田=バンク-バ- | NH136/135 | 月水木土日 | 調整中 |
成田=メキシコシティ | NH180/179 | 毎日 | 毎日 |
※1 9/18 から 5 往復/週
※2 羽田を成田に変更して運航
やはり、日本はアメリカとの結びつきが強いと言うか、アジアからアメリカへのゲートウェイと言うのは歴然としています。
中国本土から北米に行きにくくなっている一方で、東南アジアのキャリアでアメリカ本土に飛んでいるのはシンガポール航空やエアインディアなど限られ、そもそも輸送量としてはANAやJALは国力は衰退しても規模は大きいので、際-際需要を確実に拾うためには、今の時点で大増便が必要なのでしょう。
増便する都市を見てみるとSQが得意とするJFK,EWRでは増便はなく、アメリカど真ん中のシカゴやヒューストン、ワシントン・ダレスが特徴的と言えます。
ロサンゼルスやサンフランシスコでは大型機を毎日設定することで大量送客を用意し、乗り継ぎの方が時間はかかるけども低コストと言うことを訴求しているようにも見えます。
個人的にはシカゴ増便は嬉しいところであります。アイスランド・レイキャビックに行こうと考えると一般的には欧州経由ではありますが、今の欧州線はアラスカ、北極海、グリーンランド、アイスランドを経由してロンドンなどに着陸することを考えると、重複区間が生じるため、アメリカまで行った方がいいと考えています。
シカゴからはユナイテッドがレイキャビックまで就航しており、夜行便であります。ニューヨーク(EWR)からも就航していますが、いずれも夜行便であります。
成田発のシカゴ便は夕方に到着するので、羽田から朝にJFKに着陸するよりはアイスランドをまず目指すとすれば、マンハッタンを横切る移動もなく、日中時間をつぶすなどの負担は少ないと言えます。
また、アイスランドのLCCが北米各都市に結構飛んでいると言うオプションもあります。
ハワイ
路線 | 便名 | 変更前 | 変更後 |
---|---|---|---|
成田=ホノルル | NH184/183 | 金土 | 調整中 |
NH182/181 | ― | 調整中 | |
羽田=ホノルル | NH186/185 | 月火水木日 | 調整中 |
現在では羽田と成田を組み合わせて毎日運航としており、それから1日1便以上になるのかが注目ポイントでもあります。少なくともNH182/181について、増便となり、日によっては成田発1日2往復も出てくるかもしれません。木金土日あたりが強化されると思いますが、気になります。
ハワイ路線は際-際需要は少なく、日本人の観光需要が多いので、帰国前の検査不要となるとかなり需要は増えてきそうです。
ようやくA380もチャーターフライトで国内を飛ぶと言うようなこともなくなるかもしれません。
ヨーロッパ
路線 | 便名 | 変更前 | 変更後 |
---|---|---|---|
羽田=ロンドン | NH211/212 | 7 往復/週 | 調整中 |
羽田=パリ | NH215/216 | 水金日 | 調整中 |
羽田=フランクフルト | NH203 | 毎日 | 調整中 |
NH204 | 月金土 | 調整中 | |
NH223 | 月金土 | 調整中 | |
NH224 | 毎日 | 調整中 | |
羽田=ミュンヘン | NH217/218 | ― | 調整中 |
成田=ブリュッセル | NH231/232 | 水土 | 調整中 |
羽田=ウィ-ン | NH205/206 | ― | 調整中 |
ヨーロッパ便は全路線調整中のため、増便となるのか不明であります。ただし、ミュンヘンやウィーンは運休から調整中となっているので、ここは確実に増便となりそうです。ウィーンは以前と同じく深夜発なのか気になるところでもあります。オーストリア航空のハブでもあるので、欧州各地域との接続も良く、海外発券の旨味が味わえるかもしれません。
現在、欧州線の航空券の高額さや特典航空券がいつも空席待ちとなっていることを考えると需要はありそうですが、一部感がるルートはあるものの、QFや欧州キャリアのBKKなどの乗り継ぎを考えると、東南アジアとの乗り継ぎ需要があるわけでもなく、飛行距離が長く原価が高くつく割に市場開拓とならないこともあるのか、判断が難しいのかもしれません。
ブリュッセル便とかは増やしてほしいところであります。ブリュッセル航空はノルウェーやスペインからの接続が良く、ブリュッセル市内のホテルが安いので帰国の際に時間の調整に結構便利であります。現地で検査が不要となるのでそこまで気にしなくなるかもしれませんが。
新しいワクチン運び需要はありそうなので、消えることはなさそうですが。
便は増えるが・・・
便が増える=海外に行きやすく、帰国しやすくなりますが、時間的には便利となっても、大きな問題があります。それは費用であります。
以下は日本発の航空券で片道あたりに徴収される燃油サーチャージの一覧です。スマホの場合、表の横を長くすると見にくいため、国名は漢字表記しています。
路線 | 10/1~ | ~9/30 | 増減率 |
---|---|---|---|
欧州・米・豪 | 58,000 | 49,000 | 18.4% |
ハワイ・印・尼 | 36,700 | 31,100 | 18.0% |
泰・新・馬・緬・柬 | 30,000 | 25,800 | 16.3% |
越・グアム・比 | 18,700 | 16,000 | 16.9% |
中・台 | 18,000 | 15,100 | 19.2% |
韓・露(VVO) | 6,700 | 5,600 | 19.6% |
欧米は往復で11万円超となり、空港使用料等含めると15万円くらいは超過する勢いです。10月からその前月までと比較しても2割近く値上がりするので、これを考えると、海外に行くのは本当に良いかなと感じてしまいます。
安い時期であれば燃油サーチャージと手数料込みで往復5万円くらいでしたので、10万円も差があり、古くなったテレビの買い替えとかできてしまいます。
この辺りがボトルネックでもあります。ただ、ベルリンの壁が崩壊する以前は欧米に行くには今以上お金がかかっていた時代もあり、そう考えると人流が少ない今は価値はあるかもしれません。
と言っても、水不足の欧州でホテルでシャワーができないとかあると面倒であり、なるべく緯度の高い国でこうした制限がない都市を選択するしかないかもしれません。
最後に
色々と渡航制限が緩和され、実行段階になり、実行してみると、事前の手続きで困ったりして、それをクリアすると達成感があります。事前に済ませているため、現地空港で困ることはなく、機内ですることも少なくて済みます。
最初は不安なことが多いですが、一度体感すると次からはそんなストレスも軽くなります。
そういう意味では今が良い経験なのかもしれませんが、勉強代が高いと言うことでもあります。マイルを利用しても日本発の場合は、以前のエコノミー航空券を有償で買う以上にコストがかかったりします。
この辺りをどう捉えるかであり、物理的拘束リスクや多額の治療費を恐れる必要がなくなった代わりに移動費用は依然として高額となります。国内で安泰として、各ポイント交換率を追跡して、こたつトラベラーの方が良いかも知れません。
また、日系航空会社の特典では掴むことがレアであり、外資系だと搭乗記とかにするとつまらないかもしれません。
入国制限数の緩和は結構大きいのでありますが、もともと、隣国の似た顔をした人が多く訪問していたことを考えると、そうした国ではまだまだ日本に訪問せず、いきなり海外からどっと押し寄せる感覚はなかなか持てません。
そう言う意味では、弾丸トラベルにはいい時期かもしれません。コストとレアな経験の天秤であります。