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ANAが大型機を削減するとファーストクラスがなくなるのか

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ANAの半期決算目前に巨額の赤字が報道されており、大型機の削減等がストレイトニュースで流れていますが、今後どうなるのか考えてみました。

巨額の赤字報道

同社の第2四半期決算発表は10月27日であり、1週間前から通期で5,000億の赤字となることや大型機の削減という報道がされています。

ANA、大型機など30機削減検討 最終赤字5千億円に(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

<東証>ANAHDが反落 「使用機材を1割削減」、業績悪化を懸念 :日本経済新聞

ANA、今期5000億円規模の最終赤字に 国際線縮小し機材削減=関係者(ロイター) - Yahoo!ニュース

同社持ち株会社では、適時開示まで出して、当社が発表したものではないと言っています。同然、そんなことをすると法令に触れるようなことであるものの、前触れもなく、発表日にこうした情報を出すと、翌日の市場は大荒れになり、不必要に株価下落を引き起こすこともあります。

しかしながら、22日の市場は前日比4.5%の下落をしています。事実は変わらずとも、茹でガエルのようにじわりしわりと反応を見ながら、最終的に前向きに持っていく方法を探る手法かもしれません。

巨額損失の内訳は

報道では2021年3月期の親会社株主に帰属する当期純損失は5,000億円前後と言うことで、絶好調であった2019年3月期の同利益は1,108億円であり、売上高は2兆683億円からすると、家計感覚で見ると真っ青な赤字となりそうです。

足下の2021年3月期第一四半期(4-6月の3か月間)では売上高1,216億円、売上原価2,355億円、販売費及び一般管理費合計452億円で、最終損益である親会社株主に帰属する四半期純損失1,088億円となっています。

4-6月と言えば、緊急事態宣言が発出され、誰もが家にいる中で、航空会社もその事態を受容できないまま、経営していた時期でもあります。

そのため、1千億円超の赤字は出たと言えますが、7月以降は国内線の回復、コスト削減の断行により、通期までにはそこまで到達しないと想定している中での巨額赤字が見込まれそうです。

大型機の減損損失

以上のように最終赤字は売上最小-コスト最大だけではなく、特別損失が大きくなるのではないかと思います。同社の大型機の2019年度における機材導入・退役等の保有状況は下記のとおりです。 

機種 当期末機材数 保有機数 リース機数
A380-800 2(+1) 2(+1) 0
B777-300 35 (+6) 26 9 (+6)
B777-200 20 16 4

2019年度における機材導入・退役等について-統合報告書 2020より-

2019年度はボーイング777-300型機はリースで新規6機導入しています。リース累計では9機であります。国内線でボーイング777-300の新造機の導入は耳にしなく、国際線の機材であるボーイング777-300ERが対象のようです。

少なくとも2019年度に導入された同機の機内は新仕様の座席(ファーストクラスではTHE Suite、ビジネスクラスではTHE Room)と想定されます。

一方でA380-800は2機購入しており、残る一機も購入のようです。

大型機の削減をするとなると売却となりますが、世界中大型機の需要は少なく、すぐに誰かが買ってくれるものでなく、まずは事業の立て直しのために減損をかけて、今後の事業の経営を立て直すと言うことが考えられます。

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コロナ禍のため、減損をかけても、かけなくても地上にいるため売り上げが発生せずに、コストはかかる構造は変わりません。

しかし、減損により一時的に損益上は赤字になるものの、次の期からは償却費またはリース費の負担が軽くなるため、経営の再構築には有利になると言えます。

また、このまま需要が戻らなければ、既定路線で機材を売却し、予想外に急速な需要の回復となれば、そのまま使え選択肢もありそうです。

金融機関からの支援も確約されているところもあり、今期は巨額赤字として、来期以降何とか経営を安定させつつ、出血を防ぎながら、コロナ禍の状況に応じて対応していくと言う、赤字と猶予という時間を引き換えた作戦なのかもしれません。

ファーストクラスは廃止するのか

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同社の新造機では新型座席のファーストクラスを提供しており、この先もファーストクラスは提供していく見込みでしたが、その最中にコロナ禍が訪れ、その動向が気になるところです。

コロナ禍としばらく付き合わないといけない状況になると来期以降、機材を売却して、経営に充てていくことなり、大型機の数が少なくなります。

ファーストクラスの提供機会が少なくなり、一席は売り上げが入るとは入れ、収益性は低くなりそうです。そうなると、マレーシア航空のように少ない路線でビジネススイートとして名を変えてファーストクラスが消滅する可能性はあります。

一方で、需要が回復してくるとファーストクラス設定の機材の出番が増え、継続される見込みが立つかもしれません。そうして5年先ぐらいには続くと、最初の頃に導入した機材は古くなり、777-9に置換と言う機会にもたどり着けるかもしれません。

JALは一度、危機と言うか底を経験していますが、それでもファーストクラスは設定し続けており、色々な価値観はあれど継続した方がいいのではないでしょうか。

最後に

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企業が大きな利益を出すときはあまり文句を言う人はいませんが、巨額の赤字を出すと批判の的となり、これまでの因果とも言えますが、一方で赤字の出し方にもフォーカスが必要と言えます。

また、人材や設備、そして、ソフトともいえるサービスは厳しい時に一斉にカットすればそこで持ち出しはなくなりますが、いざ環境が回復した時にそれらを再び調達しようとするとコストと時間がかかります。

今回のコロナ禍は時雨なのか長い氷河期なのか、苛まれる時期が読めない中で一手なのかもしれません。厳しい中のさらに厳しい選択かもしれません。正式には27日の決算発表で説明があるのでしょう。 

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