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ANA改悪|決済額にうんざり…なぜ飛んでもステータスに繋がらない?

航空会社のマイレージプログラムやステイタス制度を定点観測してきた人間にとって、ここ数年のANA(全日本空輸)が描いた軌跡は、まさに劇的であり、同時に冷徹なまでにロジカルなマーケティング戦略の集大成でした。

思い起こせば2020年初頭、パンデミックという未曾有の危機によって世界中の空が突如として閉ざされたあの日。旅客需要が底を打ち、航空産業全体が致命的な打撃を受ける中で、ANAが繰り出した一手は驚くほど迅速で、そしてなりふり構わぬものでした。

その象徴こそが、前代未聞の「プレミアムポイント(PP)2倍キャンペーン」であり、そしてフラッグシップであるはずの「国際線ANAラウンジのプライオリティ・パス開放」という、従来の常識では到底考えられない聖域の開放でした。

世間からは「移動の自粛が求められる時期になぜ移動を誘発する施策を打つのか」という批判の声も向けられました。しかし、結果としてこれらの非常事態対応は、航空会社にとって最も重要な資産である「熱狂的な上級会員(固定客)」の離脱を防ぎ止める命綱となり、さらには新たなダイヤモンド会員やプラチナ会員を爆発的に生み出す引き金となったのです。まあ、それだけにとどまったかは不明ですが。

あの時、閑散とした羽田空港の搭乗口で、あるいは静まり返ったANA SUITE LOUNGEで、航空会社の生き残りをかけた凄まじい執念を目の当たりにしました。そして、その恩恵を貪るように受けて修行を重ね、ステイタスを維持・拡大してきた一人として、当時のANAの決断と手厚い還元には感謝こそすれ、文句などあろうはずもありませんでした。

しかし、時が流れて2026年現在。

国際線では「左うちわ」で好調にも見えるANAの姿は、あの有事の際に見せた「甘い顔」とは一変しています。ライフソリューション事業への極端な傾斜、アップグレードポイント制度の完全終了、自由度の低下——マイレージ制度におけるヘビーマイラーへの冷遇感——。

そして、とどめを刺すかのようなSFC見直しの見直し。

かつての「狂乱の2倍時代」から、現在の「最高益と塩対応の時代」へ。今回は、コロナ禍の極限状態から現在に至るANAの施策の変遷を辿り、ライバルであるJAL(日本航空)との比較を交えながら、今なお空を飛び続けるマイラーのリアルな感情と、今後のプレミアムポイント戦略の行方について、前置きが長くなりましたが、深く考察してまいります。

有事の「なりふり構わぬ還元」が残したもの

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 「ベタ付け2倍」から「手を変え品を変え」への変遷

2020年初頭に発動されたプレミアムポイント2倍キャンペーンは、文字通り「全路線・全運賃・全一律2倍」という力技でスタートしました。1月まで遡及して適用されたこの緊急避難的措置は、需要蒸発に頭を抱えていたマイラーや修行僧にとって救世主となりました。

その後、需要の戻りや社会情勢の推移に合わせて、ANAはこの「PP2倍」のグラデーションを巧みに変形させていくこととなります。時系列で、多少異なる可能性もあるかもしれません。

  • 2020年: 前半の全路線一律2倍(遡及適用を含む全方位の緊急需要喚起)
  • 2021年: 全路線2倍に加え、特定路線への「+500PP」追加といった定額上乗せ施策の併用
  • 2022年: 創立70周年記念セール運賃との相乗効果を生んだ国内線・国際線大規模2倍
  • 2023年以降: 全員一律の「べた付け」を脱し、国際線プレミアムエコノミー・エコノミー限定や、欧米ビジネスクラス限定、地域限定(関空・伊丹発着など)へとシフト

初期の「誰でも飛べば2倍」というバブル的な全方位展開から、次第に「空席の目立つ路線・特定クラスの穴埋め」という精密なピンポイント攻撃へと変貌を果たす過程は、ANAのデータサイエンスと需要予測精度の復調を物語っていました。

全路線2倍の時期には、通常では考えられないほどの高PP単価(1PP=3円〜5円台)でダイヤモンド会員に到達できるルートが幾重にも形成され、羽田〜那覇線などの主要幹線は、1日に何往復もするマイラーや修行僧たちの熱気で溢れかえりました。まさに「プレミアムポイント狂想曲」と呼ぶにふさわしい時代でした。

個人的にも、恩恵を受けた身としては批判はなく、純粋にありがとうございました。と言うところであります。

「聖域」の開放——プライオリティ・パス搭乗記の幻影

PP2倍キャンペーンと並んで、コロナ禍のANAが打った最も衝撃的な施策が「国際線ANAラウンジのプライオリティ・パス(Priority Pass)開放」でした。

本来、日系大手航空会社(FSC)の国際線ラウンジは、自社のファーストクラス・ビジネスクラス搭乗客、あるいはダイヤモンド・プラチナ・SFC(スーパーフライヤーズカード)といった上級会員だけに許された「聖域」でした。

海外の独立系会員カードであるプライオリティ・パスの保持者が入場するなど、平時であればあり得ない話です。

しかし、コロナ禍で国際線需要がほぼ完全に蒸発し、人影の途絶えた羽田空港第3ターミナルや成田空港のANAラウンジが、突如としてプライオリティ・パス会員に門戸を開きました。

この決定の裏にあったのは、まさに「背に腹は代えられぬ」という航空会社の切実なリアリズムでした。
旅客が誰も来なくても、ラウンジの照明をつけ、空調を回し、スタッフを配置し続けなければなりません。固定費だけが垂れ流しになる極限状態において、プライオリティ・パスの運営会社(Collinson Group)から支払われる1人あたり数千円の利用手数料すら、貴重な現金収入(キャッシュ)として回収する必要があったのです。

この結果、何が起きたでしょうか。

楽天プレミアムカードなどの年会費1万円強のクレジットカードを保有するだけで、誰もがあのANAラウンジに足を踏み入れ、名物の「ANAオリジナルチキンカレー」やとんこつラーメンを味わい、シャワーを浴びて搭乗を待つという、前代未聞の「ラウンジ確変状態」が生まれたのです。

しかし、この異例の運用は長くは続きませんでした。

水際対策の緩和とともに国際線の旅客需要が急回復を見せ始めた2023年2月1日、羽田空港のANAラウンジはプライオリティ・パスとの提携を終了しました。成田空港などのラウンジも順次提携を解除し、わずか1年〜2年余りでANAラウンジは再びプライオリティ・パスから完全に撤退することとなったのです。

需要が戻れば、本来の最優先顧客であるビジネスクラス客や上級会員マイラーでラウンジは席を探すのも苦労するほど混雑します。一般のプライオリティ・パス会員を受け入れ続ければ、本籍地である高額運賃客の満足度を著しく損ねるため、用が済んだら迅速にドアを閉ざす——。

この「有事にはプライドを捨てて形ふり構わずキャッシュを稼ぎ、回復すれば容赦なくドアを閉める」という一連の鮮やかな撤退劇は、ANAという企業の圧倒的なスピード感と、極めてドライな合理主義を象徴する出来事でした。

まあ、これが今のSFC問題と直接リンクすることは有りませんが、良くも悪くもお金を得るためにはどうとでも動くと言うのがANAのスタイルとも感じてしまいます。

つまり、困っている時は裾野を広げて、誰でも呼びますが、左団扇の時は、切り捨てると言う感じであります。ドラマ・半沢直樹の一場面で

「銀行は晴れている時に傘を貸して、雨の日に傘を取り上げる」

にも感じてしまいます。まあ、とにかく、上級会員とラウンジを現金化することに枚挙にいとまがないと言えます。

儲かるの裏で進む「飛ぶ人」への塩対応

業績は「過去最高益」で無双モードへ

翻って、現在のANAの足元はどうでしょうか。

パンデミックの暗闇は完全に過去のものとなり、インバウンド(訪日外国人観光客)の爆発的な需要増加、欧米線・アジア線を中心とする国際線単価の高止まり、さらには日本貨物航空(NCA)の連結化などが追い風となり、売上高・営業利益・純利益のすべてにおいて26.3期の当期利益においては、過去最高益を更新しています。

まあ、すでに10月であり、27.3期の見通しが見えてきますが、26.3期と比較すると、そうでもなさそうですが、過去と比較すると、高水準のようです。

国際線のビジネスクラスやプレミアムエコノミーは連日満席に近い搭乗率を記録しており、かつてのようにセールやPP2倍で強引に座席を埋める必要性は皆無となりました。経営陣からすればまさに「左うちわ」であり、航空事業単体での収益性は過去最高水準に達しています。本業が儲かっているうちに、次なる手をと考えるのは理解できるところではあり、ただ、民間の旅客機としては、かなりの急旋回をしているようでもあります。

そのようなことから、この「企業としての絶好調」と「一般のヘビーマイラーの満足度」の間には、かつてないほどの巨大な断層が生じています。

「ライフソリューション依存」と上級会員制度の空洞化

現在のANAが掲げる成長戦略の核は、航空事業そのものよりも「ANA経済圏(ライフソリューション事業)」の拡大にあります。

かつての上級会員制度(ダイヤモンド・プラチナ)は、純粋に「どれだけANAの飛行機に乗ったか(=搭乗で稼いだプレミアムポイント)」のみによって評価される硬派な仕組みでした。しかし、近年導入された「ライフソリューションサービス利用によるステイタス獲得ルート」により、その前提は大きく崩れました。これは本来の飛ぶマイラーだけでなく、現金を動かさない陸マイラーの未来図も変えてしまっているようです。

  • ANAカードやANA Payでの年間決済額
  • ANA MallやANA保険、ANA住宅ローンなどの指定サービス利用数

これらを組み合わせることで、本来必要とされるフライトPPの半分(例: ダイヤモンドであれば100,000PPではなく50,000PP)で最上位ステイタスを獲得できる道が作られたのです。

企業が非航空系の収益基盤を固め、ボラティリティ(変動幅)の大きい航空事業のリスクを分散させるのは、経営戦略として100%正しいと言えます。しかし、年間に何十回、何百回と実際に機体へ乗り込み、深夜便のキャビンで夜を明かし、泥臭くフライトを重ねてステイタスを勝ち取ってきた「リアルな搭乗派マイラー」からすれば、複雑な感情を抱かざるを得ません。

新たな制度が出るたびに「ANAカード決済額」ばかりであり、まあ、それぐらいは使うと言えども、リリースが出る度にそればかりであります。

かなり、うんざりであります。飛行機旅が好きなのに何だよとなります。決済ばかりの話であり、コロナ禍はあるとは言え、露骨すぎる気がします。

さらに、追い打ちをかけるように、2026年度をもって「アップグレードポイント」制度の完全終了が発表されました。フライト実績に応じて翌年度に付与され、座席のアップグレードやSUITE LOUNGE利用、ANA SKY コインへの交換(1ポイント=1,000コイン)などに活用されてきたこの伝統的な還元施策の廃止は、「飛べば飛ぶほど得をする」という古典的なマイレージプログラムの終焉を明確に告げる出来事となりました。

以上のように、SFC(スーパーフライヤーズカード)の新規獲得要件の見直しも含め、今のANAからひしひしと感じられるのは、「純粋な修行僧やヘビーマイラーに対する冷ややかな視線(塩対応)」です。本業は航空事業だろと言いたくなります。

ライバルJALの「JMBプレミア」刷新と、ANAの現在地

ここで視点をライバルであるJAL(日本航空)へ向けてみましょう。JALもまた、2024年以降に「JAL Life Status プログラム」を本格始動させ、非航空系の実績をステイタスへ反映させる舵切りを行いましたが、その制度設計とターゲット層へのアプローチにはANAとの大きな違いが存在します。

JALの制度改定と「JMBプレミア」の明暗

JALの上級会員制度において、長年にわたり「最もコスパが高い最高峰ステイタス」として崇められてきたのがJGCプレミアでした。

サファイア(50,000FOP)の少し上である80,000FOP(または80回搭乗)で獲得できるこのステイタスは、最上位のJGCダイヤモンドと同等の特典——ワンワールド・エメラルド資格の付与、ファーストクラスラウンジへのアクセス権、専用カウンターの利用——を享受できるだけでなく、「保有マイルの有効期限が無期限になる」という絶大なメリットを誇っていました。

しかし、最新の制度見直しに伴い、JALもまたステイタス体系の再編を進めています。新プログラムへの移行に伴い、従来の搭乗実績のみで目指せる分かりやすさが維持される一方で、一部のコア特典の剥奪や無制限優遇の見直しなど、実質的な調整が入ることとなりました。

ワンワールド・エメラルドという強力なグローバルステイタスを背景に、ファーストクラスラウンジ利用権を武器としてきたJALの強みは依然として大きいものの、JALもまた「純粋なフライト派マイラー」と「ライフスタイル統合派」の間で制度の着地点を模索している最中と言えます。飛ぶことを重要視しているJALを感じるところでもあります。

JGC既存会員からすると毎年8万FOPを着地点として、その特典を得ていた人からすると改悪であり、それより上位の会員からするとファーストクラスラウンジの混雑と懸念点もあります。

まあ、ただ、ANA会員からすると何も変わらないダイヤモンド会員以上からすると魅力的とも言えます。+Moreは決済額をかましてきて、結局は手に触るような特典もないと言うところです。

スターアライアンスゴールドの限界と、ANAの使い勝手

一方、ANAのダイヤモンド会員のポジションを他社と比較した際、以前から指摘されているのが「アライアンス内でのステイタスの頭打ち」問題です。

ANAでどれほどフライトを重ね、100,000PPや150,000PPを達成してダイヤモンド会員になったとしても、一歩ANAグループの翼を離れてスターアライアンス加盟他社(ユナイテッド航空、ルフトハンザ、シンガポール航空など)に乗れば、提供されるステイタスは一律「スターアライアンスゴールド(SFCと同等)」にしかなりません。

ワンワールド陣営が「ワンワールド・サファイア」の上に「ワンワールド・エメラルド」という明確な最上位ランクを設け、他社便搭乗時であってもファーストクラスラウンジへの入場や最優先搭乗を保証しているのに対し、スターアライアンスには「アライアンス・ダイヤモンド」のような上位規格が存在しないのです。

で~~も~~

制度変更への不満や不便さを感じつつも、毎年一定以上の搭乗を重ねていると、結果的に「利便性や運用の慣れからANAを使い続ける」という選択に落ち着くケースが多いのも客観的な事実です。過剰な評価ではなく、日常的な使い勝手の面で以下のような実用的なメリットが機能しているためです。

  • 主要幹線における高頻度なダイヤとネットワーク
  • 羽田・成田・那覇等のSUITE LOUNGEにおける一貫した運用基準と施設環境
  • 予約変更や欠航・遅延時の振替操作がスムーズに行えるアプリの操作性
  • 運賃倍率や予約クラスの組み合わせによる積算計算の合理性と予測可能性

どれほど制度の見直しが進み、非航空系サービスの利用が推奨される時代になっても、長年使い慣れたオペレーションやスケジュールの組みやすさは無視するのは厳しいかもしれません。

「手放しで満足しているわけではないものの、総合的な利便性を考慮すると他社へ完全に移行する決め手にも欠ける」という、ヘビーマイラーならではの現実的かつ冷めた選択がそこにはあります。

ただ、変化を求めることも新鮮であり、何とかの手習いでもリターンは多いかもしれません。

これからのプレミアムポイント戦略とターゲット施策

では、かつてのような「全路線一律のプレミアムポイント2倍キャンペーン」は、今後再び開催されるのでしょうか。

結論から申し上げますと、全利用客を一括対象とするオープンな「一律PP2倍」が以前のような頻度で開催される可能性は低いと考えられます。

高い搭乗率と高単価が維持されている現在の環境下において、全体向けの大規模還元を打つことは、収益面での必然性が薄いだけでなく、ピーク時のラウンジや機内混雑を加速させ、サービス品質の均一性を損なうリスクを伴うためです。

しかし、航空会社が販促施策そのものを中止したわけではありません。

一律型のプロモーションに代わり、現在は需要動向や顧客属性に合わせて対象を限定する「個別のターゲット施策」へと移行しています。

ターゲット限定施策の構造とマーケティングの狙い

こうした限定施策は、年度後半(10月〜12月頃)を中心に、特定の条件を満たした会員のマイページ内「マイキャンペーン」欄へ個別に提示される形式が一般的です。

主な対象となる顧客層には、以下のような特徴が見られます。

  • 高頻度で幹線を利用する出張層
    平日に羽田〜伊丹、福岡、札幌などの主要路線を定期的に往復し、年間を通じて一定の収益に貢献しているビジネス利用層。
  • ステイタス達成ラインに近い到達層
    秋口の時点で35,000PPや80,000PP付近に達しており、少量のインセンティブ付与によって追加搭乗を促進できると予測される層。
  • 特定路線や国際線の上位クラス利用層
    特定の海外発券ルートや、欧米・アジア線のビジネスクラスなど、空席状況に応じた局所的な需要喚起が求められる路線。

進呈されるインセンティブも、全路線一律ではなく「指定区間の複数回搭乗によるボーナスPP進呈」や「特定路線・特定予約クラスに絞った1.5倍〜2倍設定」など、極めて限定的かつ実用的な内容に細分化されています。

データ分析に基づき、必要な路線・顧客層に絞ってインセンティブを付与する手法は、好業績下の航空会社における合理的な需要調整ツールとして機能しています。

まあ、いくらデータを使っても、心理的には満足感はなく、今はただただイラっとする子かもしれません。

ハードウェアの極致「THE Room FX」への執着と、アップグレードを巡る客層の攻防

マイレージ制度の改悪や各種還元の縮小が叫ばれるなかでも、ANAというキャリアが強力な求心力を保ち続けている最大の理由は、長距離国際線における最高峰プロダクト——とりわけ「THE Room」や、最新機材(787-10等)へ水平展開される「THE Room FX」に代表される圧倒的なビジネスクラスの居住性(ハードウェア)にあります。

多くのヘビーマイラーや上級会員にとって、これらの個室型ビジネスクラスに対する評価はもはや合理的計算を超えた「絶対的な憧れ」であり、盲目的とも言える支持を集めています。

そして、このフラッグシッププロダクトの存在こそが、ユーザーを「ステイタス獲得」へと駆り立てる最大の動機構造を作り出しています。

「いかにTHE Roomに辿り着くか」というアップグレードの攻防

高額なビジネスクラスを正攻法の有償航空券で毎回購入できる層はごく一部に限られます。そのため、多くのマイラーやビジネス客の関心は「いかにしてエコノミーやプレミアムエコノミーから、アップグレードでTHE Room / THE Room FXの座席を勝ち取るか」という点に集中します。

  • アップグレード対象運賃(PYや高価格帯エコノミー)での確実な発券
  • ダイヤモンド・プラチナ会員の「優先キャンセル待ち枠」の活用
  • アップグレードポイントやマイルを効率的に投入する枠の奪い合い

ユーザーが過酷な「PP修行」に励み、上級会員ステイタスを喉から手が出るほど欲する根本的な理由は、まさにこの「ビジネスクラスへのアップグレード引き下げ枠(確定・キャンセル待ち)における圧倒的優位性」を確保するためです。

どれほどライフソリューション枠が拡充されようとも、実際に機内で「あの個室空間で横になって渡洋できるか否か」という実利と体験価値こそが、上級会員であり続けることの最大の価値として機能しています。

そう言う意味でも、決済額と言うのは面倒くさいハードルであります。あまりにそれを求めるなら、他のキャリアの方が良いのでは考えてしまいます。日本人だからANAを使うと言うのは崩れるかもしれません。アマゾンで品を定め、ヨドバシエクストリームで注文すると言う事と同義かもしれません。

ハードウェアの威光と、高まり続ける「狭き門」の現実

ANA側もまた、この「THE Room」ブランドが持つ絶大な集客力を十分に理解しています。

最新シート「THE Room FX」をはじめとするアッパープロダクトの投下は、単に最上位顧客を満足させるだけでなく、「ステイタスを保持してでもこの席に乗りたい」という強力なアンカー(繋ぎ止め)として機能しています。

しかしその一方で、有償ビジネスクラスの需要高止まりやインバウンド客の急増により、「マイルやポイントによるアップグレード枠そのものが著しく逼迫している」というシビアな現実も存在します。

プレミアムエコノミーのシートスペック向上(RECARO製等の導入)は、そうした「アップグレードが落ちてこなかった(落ちなかった)際のリスクヘッジ」としての側面も持ち合わせており、客席全体としての完成度を高めつつも、ビジネスクラスという「聖域」の希少価値は高まり続けています。

ただ、個室と38インチのリクライニングでは長時間では雲泥の差でもあり、どうなのでしょう。

結局、ハードウェア(THE Room)という強烈な磁力と、そこに辿り着くための「アップグレード格闘」——。この強固なインセンティブ設計が存在する限り、どれほど制度が変わろうとも、ユーザーは自らのステイタスを維持し、搭乗口へと向かう選択をし続けることになります。

最後に:変化するサービス構造との付き合い方

コロナ禍の特殊な環境下で実施された「一律PP2倍キャンペーン」や「プライオリティ・パスへの国際線ラウンジ開放」。

それらは旅客需要が極度に蒸発した時期における緊急避難的な需要喚起策であり、極めて限られたフェーズでのみ成立した特例的な運用でした。

需要の回復に伴い、航空会社は過去最高の業績を記録し、ラウンジの混雑対策や非航空系事業(ライフソリューション)の強化へと舵を切りました。有事の際に見られた手厚い還元策が縮小したことに対し、物足りなさを感じるのは自然な感情です。

しかし、航空会社が収益基盤を安定させ、設備投資や安全運航を継続していく観点から見れば、現在の強固なビジネスモデルやターゲットを絞った施策展開は健全な平時運用への回帰と言えます。

一律型のバブル的な還元を期待するフェーズは過ぎ去りました。

これからはPP2倍キャンペーンはないとして、ANAの利用価値は何かと考えて、ANA側がケチってくるようにこちら側も原資をケチって最大限の効果を出すことを常に考えていくことが必要と言えます。

カードの年会費の削減、利用運賃の見直し、儲からなそうなキャンペーンは絶対利用などマイラーならでは原動力を最大限発揮する時かもしれません。

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