関西空港からホノルルに就航しているLCC2社のビジネスクラスを比較してみましたので、お伝えします。なお、スクートは2019年5月で運休をする発表をしており、事実上撤退であります。それまでにスクートを利用される方、エアアジアを利用される方は参考にしていただければと思います。
エアアジアとスクートの概要
エアアジア
マレーシアの首都・クアラルンプールを本拠地とするアジアの元祖LCCともいえる存在であり、アジア路線は充実しています。日本国内線は当初はANAと提携し、エアアジア・ジャパンとして設立されたものの提携を解消し、路線のほとんどをバニラエアが引き継ぎ、その後エアアジア側で再度、日本国内にチャレンジし、エアアジアが半分出資し、残りを楽天などの日本企業が主に出資、名古屋(中部)と新千歳間で運行をしています。
エアアジアの特徴は赤と白の派手な機体であるほか、客室乗務員の制服も真っ赤でタイトであり、化粧もパッチリメイクが多く、従来の航空会社とは一線を画す、ブランディングとなっています。
スクート
スクートはシンガポールを本拠地として2012年に運航を開始したLCCであり、2017年7月からシンガポールのLCCであるタイガーエアーと統合され、すべてのブランドを「スクート」としています。統合前のスクートもタイガーエアーもフルサービスキャリアのシンガポール航空が出資先となっており、シンガポール航空グループとして位置づけられており、シンガポール航空とのネットワークとの相互接続も実現しています。もう一つの特徴としては、欧州への就航もしており、アテネやベルリンにも就航しているのが特徴です。
両社のビジネスクラスのシートスペック
両社とも関西空港からホノルルに就航しており、機材はエアアジアがエアバスA330-300であり、スクートは-ボーイング787型機でともにLCCとしては、豪華な機材で運用されています。機材の面ではボーイング787型機の方が最新鋭機材のため、騒音や機内での湿度や空気清浄度ではメリットが有ると言えます。では各社のシートスペックを比較してみます。
スクート
スクートのビジネスクラスは「スクートビズ」と言う名称であり、シート配列は2-3-2配列でシートピッチは38インチ、シート幅は22インチ、リクライニング角度は6~8インチで、シートの生地はレザーとなっています。座席数は2パターンあり、ボーイング787-8型機で21席、787-9型機で35席あり、座席提供数としては多いと言えます。シートモニターはないものの自分のスマホやタブレット、PCなどで動画配信サービスを提供しており、考え方によっては、シートモニターよりも大きく映画を観ることも可能と言えます。シートスペックだけ見るとフルサービスキャリアのプレミアムエコノミーと同等ですが、LCCのプレミアムシートは隣席が空いている可能性もあり、想像以上に快適かもしれません。
エアアジア
エアアジア(厳密にはエアアジアX)のA330-300のビジネスクラスは「プレミアムフラットベット」と言う名称であり、シート配列は2-2-2列でシートピッチは60インチ、シート幅は20インチであり、リクライニングは水平にならないもののシートは一直線となるライフラットタイプであり、フルサービスキャリアのレガシー機材と遜色のないシートと言えます。一機材あたりのビジネスクラスのシートは12席であり、まさにプレミアムと言えます。こちらもシートモニターはなく、エンターテイメントは地上にいるうちに自分の端末にダウンロードなどの設定しておく必要がありますが、このシートに座る最大のメリットは眠ることで、機内ですぐ寝つけるようにして搭乗するのがいいと思います。
ビジネスクラスとしてのサービスの比較
ビジネスクラスにおいての機内でのシートのスペックは大きいですが、それ以外にもメリットが有るため、両社比較してみました。
エアアジア | スクート | |
---|---|---|
受託手荷物 | 40Kg | 30kg |
機内食 | 無料 | 無料 |
座席指定 | 無料 | 無料 |
優先チッッエクイン | 有り | 有り |
優先搭乗 | 有り | 有り |
優先降機 | 有り | 有り |
優先受託荷物受取 | 有り | - |
荷物においてはエアアジアの方が優位ですが、ハワイでの観光に数カ月も過ごすことは稀であり、預ける荷物で30kgというのは珍しいため、同等と言えます。また、両社も機内食は無料ですが、フルサービスキャリアほどの機内食ではないこととドリンクについての選択肢も限定であるため、両社とも夜行便ということもあり、機内では眠る前提で搭乗した方が良いと思います。
ビジネスクラスの運賃
各社のホームページで日本発の片道運賃を比較してみると以下の通りです。
エアアジアは片道最高値18.8万円、最安値で7万円となっています。座席数が少ないため、変動幅が大きく、最安値のタイミングが合えばラッキーと言えます。
スクートについては、最高値が12.5万円で、最安値が6.5万円ですが、6.5万円と8.5万円の価格帯が多く、座席数が多いのが功を奏していると言えます。
LCC2社を凌駕する敵は存在するか
LCCと言えばなんといっても運賃ですが、サービスを求めるとフルサービスキャリアの存在が見えてきます。ホノルル路線においては、今のところLCCの方がメリットはあり、首都圏から関西空港に乗り継いでもメリットがある場合もあります。しかし、2019年春以降は従来のLCCにとっては、ゲームチェンジが訪れるかもしれません。言わずと知れたANAのA380のホノルル就航であり、座席配分がそれを物語っていると言えます。
スクートのスクートビズに値するプレミアムエコノミーを73席とスクートの最大座席数よりも倍も設けているほか、ビジネスクラスも56席と日本(世界的にみてもホノルルに発着するフライトとして最大)の座席数を設定しており、フルサービスキャリアとして競合するJALやハワイアン航空にほかならず、LCCにとっても驚異的な存在と言えます。
最後に
LCCのメリットは片道から予約でき、シーズンによっては搭乗直前でも安い点があり、気軽に利用できる点であります。フルサービスキャリアの場合は、マイルの加算率や購入期限など気にしてしまい、前もっての予約が必要となりますが、それがなくても比較的安く購入できる面がメリットと言えます。
その中で、ビジネスクラスとなるとサービス的にはエアアジアの方がスペックは良いと言えますが、座席提供数では、スクートの方が多く、悩ましいところであります。
しかし、来年になるとANAがハワイへの大量の供給マシーンが出現するため、LCCのビジネスクラスが良いかどうか不明でありますが、各社オリジナリティを出せば、ともに生き残る路線となり、米国から見ると日本人のハワイ需要は好感されることとなるかもしれません。そして、日本人にとっては、ハワイがますます近くなるかもしれません。