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定時運航上位の日系キャリアはどうしたのか

定時運航ではこれまで上位であった日本の航空会社の10位以下となる時期もあり、どうしたものか考察してみました。

定時到着率とは

冒頭に定時運航と言いましたが、実際に定時運航の世界的な指標として用いられているのはCirium(シリウム)社の定時到着率であります。シリウム社は航空業界を中心としたデータ分析ソリューションの会社であり、イギリスに本拠地を置いています。

シリウム社の定時到着率の定義は各フライトが到着予定時刻から15分以内に到着したかどうかを示しています。アディショナルタイム15分以内に到着すれば、定時運航と言う事になります。新千歳空港で15分遅れとなると快速エアポートを1本ずらす程なので、遅延と感じてしまいますが。

ちなみに定時出発率と言うのもあり、出発予定時刻から14分59秒以内に出発するフライトを示しています。

シリウム社では世界ランキングとしてグローバル、それ以外としては各地域ごと(北米、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジア太平洋、中東およびアフリカ、主要な格安キャリア)に航空会社を分けてランキングを出しています。

2024年ランキング

2025年1月2日にシリウム社は2024年のランキングを公表しています。

グローバル

世界ランキングとも言えるグローバールリーダーのトップ5とその定時到着率は以下のとおりです。

1位 Aeromexico (AM)    86.70%    
2位 Saudia (SV)    86.35%
3位 Delta Air Lines (DL)  83.46%
4位 LATAM Airlines (LA) 82.89%
5位 Qatar Airways (QR) 82.83%

メキシコの航空会社が1位とは思いませんでしたが、アエロメヒコがトップとなっています。比較的、国土が広く、人口密度が低い国のエアラインが多いのが特徴的であります。因果関係はわかりません。

アジア太平洋

今度はアジア太平洋となります。トップ4は以下のとおりです。

1位 JAL (JL)             80.90%
2位 ANA (NH)              80.62%
3位 Singapore Airlines (SQ)   78.67%
4位 Air New Zealand (NZ)   77.58%

1位がJALとなっています。2位はANAであり、2023年まで5年連続トップ1でしたが、連続が途絶えて、JALが1位となっています。3位はシンガポール航空であり、サービス面でも上位の顔ぶれが続いています。

ANAでは以下のような特設サイトも作り、アピールしていましたがそれが出来なくなるのかもしれません。

www.ana.co.jp

ちなみに、LCC部門ではピーチが4位で定時到着率は82.32%と姉妹会社のANAよりも高い結果となっています。

地域の比較をするとヨーロッパは80%前半台でトップ5、その他の地域は80%後半台でトップにあるにもかかわらず、アジア太平洋はトップで80%であり、3位以下は70%台となっています。アジア太平洋地域は相対的に定時到着率が低いようでもあります。

しかし、足下では

以上のように日系の航空会社(JALとANA)は定時到着率についてはアジア太平洋地域ではワンツーであり、定時運航は高いのでありますが、足下の2024年11月単月の世界ランキングについて以下のような記事がありました。

www.aviationwire.jp

JALは2か月連続で10位より下となり、ANAは2か月ぶりに10位より下となったと言うものであります。アジア太平洋と世界を比較すると先述のとおり、定時到着率は相対的に低いので、そんなものかと言うのもありますが、それでも、10位以内に入ることもあった中で、10位より下になったことはどんな原因があるのでしょうか。

定時運航とならない理由とは

定時運航とならない理由にはい着くかの要因が考えられます。考えられるものを以下の通り思うままに列挙してみました。

  • 機材整備トラブル
  • 折り返し機材の到着遅延
  • 荷物搬入に時間を要する
  • 搭乗客待ち
  • 滑走路混雑
  • 乗務員手配
  • 除雪・凍結防止対策
  • 悪天候待ち
  • 搭乗キャンセルした客の預け荷物取り出し

などが挙げられます。

機材整備トラブルや除雪・凍結防止対策、悪天候待ちについては、安全あっての飛行のため、致し方ないところであります。

折り返し機材の到着遅延はハブ空港などで起きるケースが多く、滑走路混雑や悪天候などに起因するケースが多いです。そして、機材到着遅延は荷物搬入に時間を要することにつながったり、ハブ空港だけに遅延した飛行機からの搭乗客待ちにつながったりします。

良く最後に搭乗してきた乗客に対して、白い目を向ける方もいるかと思いますが、本人の非で遅れると言うよりは乗り継ぎのフライトが遅れて、本人もハブ空港で買い物や休むことが出来ずに、乗り込んでいることがあり、みんなが悲劇となっているケースもあります。次のフライトに振り替えるような路線であれば良いのですが、そうでないケースもあるので何とも言えないところであります。

乗務員手配については、良くあるのが、酔い覚ましに時間を要すると言うものであります。これは問答無用でアウトと言いたいところであります。かと言って、定時運航のため、組織ぐるみで事実を曲げるようなことをするのは最も良くないですが。

肌感覚での遅延

丁度、今回の記事に取り上げられた2024年11月に国内線(ほぼANA)に搭乗することが多く、備忘代わりにほぼ記事にしていたので、それを読み返して遅延を肌感覚で思い出してみました。

記事は以下のとおりです。

www.dangan-lucky.com

www.dangan-lucky.com

すると、以下のような遅延の特徴が見えてきました。

  • 羽田出発の遅延が多い
  • 遅延理由は使用する機材繰りの問題
  • 遅延時間は15分から60分
  • 機内搭乗前の遅延が多い
  • 国内線の機材整備遅延は本当?
  • 国際線での機材整備遅延は1時間超も

とにかく、羽田空港の遅延は多く、多くは到着する機材の遅れによる理由が多く、ケースによっては機材の目途が立たないとアナウンスされるケースもあります。昔はそんなに多かったなあと言うくらいとにかく昨今は多い気がします。

一方で、地方空港は多少の遅延があっても、大幅な遅延があっても、空中で取り返すケースが多く、比較的予定通りが多いです。

そして、羽田発の遅延時間は15分以上となると定時運航を諦めるのか、ズルズルと遅れが拡大していきます。機材繰りで遅れて、その後に他で機材で遅れて到着した搭乗客を少しでも拾おうとしてさらに遅延、朝夕は滑走路混雑とトリプルパンチとなるケースもあります。

大半の人は羽田発だと帰宅と言うケースが多いので遅れても問題はないケースもありますが、空港から乗り継いでさらなる交通に乗り継ごうとするとかなり余裕を持っていてもそれが危うくなります。

また、搭乗前の遅延が多いのも問題であります。搭乗ゲートに行き、最初は定刻と表示されているのが、ズルズルと遅延していき、結果的に30分も立ちっぱなしと言うケースもあります。30分あれば、色々と他に出来ることがあるのですが、人生の無駄遣いとさえ言えます。時間をお金で返して欲しいところであります。

整備に時間を要してと言うのは本当に整備していることもあれば、遅れてくる搭乗客を白い目で見られないようにするようなことも国内線では雰囲気を感じます。

一方で国際線では整備に要しているとなると長距離を飛ぶこととなり、何もない空港に緊急着陸をしないように入念にチェックしているのかと思うと納得ではありますが、酔い覚ましとなると憤りでもあります。国際線の場合はラウンジに行ってお休みくださいと言われるので遅れの見通しが、各スポットのスタッフで共有されていることが想起されます。

11月と言うのが特異なのか

JALとANAがトップ10にも入れなかった2024年11月は特異的な季節要因があるのか考えてみます。

季節

11月と言うと冬型の天候となり、偏西風(西から吹く風)が強くなり、西に向かう飛行機は向かい風で飛ぶことになります。西側には大阪、広島、福岡、熊本、沖縄と大都市も多く、大型機が遅延を起こすと折り返しのフライトも遅れて、羽田に戻ってくるフライトがさらなる遅延となり、連鎖します。こうした特異的な要因はあり得るでしょう。

利用実績

これは11月に限らないかもしれませんが、インバウンドの需要が拡大していることも影響しているかもしれません。

ANAの2024年11月の国内線の実績を見てみると、2024年11月の利用客数は3,469,615人(前年比109.4%)であり、利用率は79.4%となっています。
一方で、2023年11月の利用実績は3,170,646人(前年比107.7%)であり、利用率は74.8%となっています。いずれの年も前年比8%前後ずつ利用者は増えています。

ちなみに2023年の8月が3,485,226人と2024年11月の実績に近くなっており、トップシーズンの8月並みとなっています。2023年は既にアフターコロナなので国内需要の拡大とインバウンドの拡大がその要因と伺えます。

供給機材

また、保有機機材を比較してみると2024年9月末では貨物機含めて240機となっています。2023年9月末との増減を見るとB787-10が4機増、B787-9が4機増、B787-8が2機減となっています。このほか、貨物機のB767Fが2機減っています。
ちなみに2020年9月末現在では265機を保有しており、2024年9月末と比較するとB777-300ERと200ERが大きく減り、B787-9とB787-10が増え、A321neoが倍増していますが、結果的には、国際線・国内線もとに座席数は減っているようです。

結論

以上からすると需要は増えているにもかかわらず、機材が少ないため、機材繰りをするために運用をかなり過密にしていると言えます。とは言え、整備や点検の時間をカットするのを疎かにはできないため、結果として遅延が発生するのが依然と比較しても増えているのがベースに存在しているように見えます。

また、ANA特異かもしれませんが、羽田を国内線ではほぼ完全なハブとしているため、羽田空港での処理量が相当多くなっているのも要因とも言えます。羽田での混雑が羽田発アウトバンドへの影響が多く、遅延の連鎖と長時間化が招いているようにも肌感覚で感じます。

そして、季節要因で目的地までの飛行時間が伸びているのが回復をさせないことに寄与してしまっているとも言えます。

機材運用にに余裕を持たせて、定刻通りにオペレーションをすれば、サービス面での負の連鎖は回避できますが、少ない機材で利用率を上げると利益につながり、タイムセール等で利益還元とさらなる利用者増をできると言う事なのかもしれません。なんかLCCみたくなっているようにも感じます。

最後に

少ない座席数でダイヤをやりくりして、タイムセール等で安く移動できるのは利用者にとっても事業者にとっても、メリットがある側面ではあり、良いかもしれません。ただ、その代償として遅延が多くなり、JALやANAを利用する場合は遅れるので、ある程度余裕を持つと言うような考え方になり、利用者の見えないところで不便益となったり、新幹線にシフトする人も長期的に出てくるかもしれません。

なかなか、飛行機を増やすのは一時的にも長期的にもお金がかかるので、厳しいところは理解できます。

ただ、安全面だけは時間をかけてもきっちりして欲しいところであります。

  

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