
ボーイング社のニュースリリース(2026年2月5日付)の内容について、全文訳、要点、および背景の解説をまとめました。そして、新シートのスペックを妄想してみました。
ボーイングのニュースリリース
ボーイングでは以下のリリースを発表しています。和約タイトル
「JAL、ボーイング787-9型機の機材の客室改修と機内接続性をアップグレードへ」
内容をまとめると以下のとおりです。
最大の注目点は、最新の「低軌道(LEO)衛星」に対応した機内Wi-Fiの導入です。従来の衛星通信に比べ、劇的な高速化と低遅延化が実現し、地上と変わらないネット環境が提供され、動画やAIもサクサクと体験できるでしょう。
また、客室内装も一新され、2024年に就航したA350-1000型機の最新デザイン(個室型シートなど)に準じた仕様へ統一されるでしょう。これにより、どの機体に乗っても「JAL最新のプレミアム体験」を享受できる「プロダクトの一貫性」が確保されることとなりそうです。
JALが789のインテリアを一新する背景
JALのB787型機は、鶴丸塗装のJAL運航機材では、国内線仕様は4機、国際線仕様は40機の合計44機となっています。調査時点により前後する可能性があります。内訳は以下のとおりです。
✈︎ JAL B787 機材構成
・国内線仕様 (DOM) : 4機
・国内線仕様 (DOM) : 0機
ANAほどではありませんが、JALもB787を多数運用するキャリアです。国内線仕様機は4機であり、ほとんどが国際線で使用されており、A350-1000のイメージが強いですが、まだまだ国際線ではお世話になる機材でもあります。
仕様別シート数は以下のとおりです。
✈︎ JAL B787 国際線仕様別座席数
| 仕様 | C席 (タイプ) | Y席 | 計 |
|---|---|---|---|
| E03 | 30 (Shell Flat Neo) | 176 | 206 |
| E12 | 30 (Sky Suite) | 156 | 186 |
| 仕様 | C席 (タイプ) | PY / Y | 計 |
|---|---|---|---|
| E91 | 52 (SS3) | 35 / 116 | 203 |
| E71 | 44 (Sky Suite) | 35 / 116 | 195 |
| E92 | 28 (SS3) | 21 / 190 | 239 |
詳しいシートマップはJALサイトから確認してみてください。
エコノミーのシートは広く定評があり、スカイトラックスにて高評価を得ています。
ビジネスクラスについては現在、ヘリンボーンやスタッガードなど色々なタイプがあり、その比較を楽しむファンも多いですが、運用的には機材変更があった場合でもロスなくシートアサインできる方が運用上望ましいでしょう。
ANAの場合はB777はTHE Room、B787は短距離は除き、ビジネススタッガード(今後はTHE Room FX)となっているので、わかりやすいのかもしれません。

以上のように今回の動きには、強力なライバルであるANAの存在があります。ANAは2026年後半より、787-9に超豪華仕様「THE Room FX」を導入予定であり、JALはこのタイミングに追随するかのように、既存機をアップグレードすることで、競争力の維持と顧客の囲い込みを狙っています。
ポストパンデミックの国際線競争が激化する中、JALはハード・ソフト両面での刷新により、ビジネス・観光両層におけるブランド優位性の確立を目指しています。
ビジネスクラスはどんなシートになるのか

では、どんなシートになるのか想像してみます。
JALがこれまでに打ち出している戦略や、フラッグシップ機であるA350-1000のトレンドを踏まえると、改修される787-9の新しいシートは以下のようなものになると想像されます。
デザインのコンセプト
これまでのJALの傾向から、赤と黒を基調とした**「和」のモダンデザイン**は継続されるはずです。しかし、今回の787改修では「より軽くて丈夫な素材」を使い、燃費性能を落とさずに豪華さを追求するでしょう。
まあ、これは妄想と言えますが、ANAのTHE Room FXと差別化を図る意味で、リクライニングあり、全席順向き(逆向き席なし)の配置になるのではと考えます。
JALなりのこだわりとして、日本の乗客の多くが「離着陸時に後ろ向きに進む違和感」を避ける傾向にあるため、JALは一貫して全席前向きのレイアウトを優先するのではないかと思います。A350-1000でそれが顕われています。メリットとしては、離着陸時の加速・減速のG(重力)を自然に受け止められるため、酔いにくく、安心感があるという声を反映しているようです。
どこの路線に就航するか

新しいシートがお披露目もされていない中、超フライングですが、就航路線を妄想してみました。
11機という数字が示唆する「ターゲット路線」
改修対象の「11機」という数は、JALの787-9国際線機材(21機)の約半分です。これは、特定の拠点を完全に最新仕様へ置き換えるのに十分な数です。
おそらく、ロンドン、パリ、サンフランシスコ、東京(成田/羽田)〜アジア主要都市といった、ビジネス需要が最も高い「ドル箱路線」へ集中的に投入されるでしょう。
A350-1000が投入されているニューヨーク線に続き、これらの路線でも「個室ガチャ」のない安定したプレミアム体験が期待できます。
まあ、順当と言えば順当でありますが、北米が多いのではないかと思います。基本的には長距離路線に割り当てられるでしょう。
また、今回の目玉である「低軌道(LEO)衛星」対応は、単なる速度アップに留まりません。従来の衛星通信(GEO)は高度36,000kmにありましたが、LEOは約500kmと圧倒的に近いため、遅延(レイテンシ)が大幅に低減されます。
これにより、機内からのWeb会議はもちろんですが、同仕様のシートに座れる頃にはAIがビジネスでは切っても切れない存在となり、そうした作業がストレスなく可能になるでしょう。
かつては、せめて飛行機の上だけはネットから切り離されてデジタルデトックスができる、仕事が忘れられるといったのも、再び封印されてしまうかもしれません。いわば、「24時間、戦えますか」と言うフレーズを耳にする日もあるでしょう。
最後に
今回のボーイング787-9の大規模改修は、単なる機内設備の更新ではなく、JALが掲げる「フラッグシップの統一」という強い意志が感じられます。同時に私たちの「空の旅」の概念を根底から変える転換点でもあります。
かつて、国際線の飛行機は「外界から切り離された特別な空間」でした。多忙を極めていた人には、その世界は聖域だったことでしょう。
しかし、扉付きの個室がもたらす圧倒的なプライバシーと、地上と変わらない高速通信が完備されたとき、機内は「移動する場所」ではなく、再び地上と地続きの「移動するエグゼクティブ個室」となり、かつてのエグゼクティブクラスの名称に近くなるかもしれません。