弾丸トラベルは怖くない!

マイル、飛行機、鉄道、海外・日本国内トラベル情報、ホテル、海外発券など

イタリア高速列車 ファーストクラス比較 フレッチャロッサ対イタロ

スポンサーリンク

イタリア

イタリアの新幹線であるフレッチャロッサとイタロに乗る機会があったため、両者のファーストクラスサービスを比較してみました。

イタリアの鉄道事情

国鉄の民営化と上下分離方式

イタリア鉄道

イタリアでは上下分離方式が採用されており、線路などのインフラを管理する会社と列車を運行する会社が別となっています。

イタリアはもともとも日本と同じく国有鉄道であったものの、民営化しています。日本のJRとは異なり、地域ごとに分割したのではなく、事業ごとに会社を分割しています。形態としては持ち株会社があり、その傘下に事業会社があるNTTに近いと言えます。

持ち株会社はフェッロヴィーエ・デッロ・スタートであり、その傘下に線路を管理する会社「レーテ・フェッロヴィアーリア・イタリアーナ/RFI」があり、イタリアの多くの線路を保有し、保安運用しています。

また、列車を運行する会社としてはフェッロヴィーエ・デッロ・スタートの100%子会社である「トレタニア」があります。NTTとNTT東日本/西日本の関係に似ています。

親方対抗軸の純民間企業

ntv

冒頭で述べたようにイタリアでは、線路と列車は別会社で運用されているため、線路使用料を支払えば、列車を運行するのは別の企業でも構いません。

イタロはNuovo Trasporto Viaggiatori(略称NTV、日本語で言うと新しい旅客郵送)と言う会社によって運営されています。

この会社は2006年12月に、フィアットの会長やTod’sの社長などの実業家が出資した企業であります。

日本での過去の事例で言うと通信の自由化の際に出来た、京セラなどが設立した第二電電に似ています。

形態としては、厳密には違いますが、イオンモバイルやLINEモバイルなどのMVNOに近いと言えます。

親方トリコローレとも言える元々国営の企業であるトレタニアが運営する高速鉄道と純民間企業の高速鉄道が同じ線路の上、競合する仕組みとなっています。

イタリアの高速鉄道網

イタリア高速鉄道網

Wikipediaより

日本で言う新幹線ネットワークは首都ローマからフィレンツェ、ボローニャ、ミラノを中心に北はトリノ、南はナポリ付近まで形成されています。

総延長はナポリからトリノまで約850km(東京=新岩国)、ローマ=ミラノ間は514km(東京=新大阪)であります。

最高速度はローマ=フィレンツェ間は250km運転、それ以外はほぼ300km運転が可能(一部区間は除く)です。

さらなる高速化を目指し、360km運転も考えた時期もあり、実際車両はそれに対応する性能を有していますが、時短効果とコストを考え、現実的な速度と言うことで300kmかそれ以下の250km運転に抑えています。

東京=札幌間のように飛行機が飛ばない可能性もある地域で時短効果が多い区間や中国のように1,000kmを超える距離を走る路線とは違い、トータルの還元を考えて現在の速度にしているのは現実的と言えます。

フレッチャロッサ

フレッチャロッサ1000

フレッチャロッサとはルーツを国鉄とするトレタニアが運航する優等列車の名称であります。日本で言うと「のぞみ」や「はやぶさ」のような列車であります。

最高速度300km(性能的には400km)で運航できる車両を使用し、大都市間を速達で結んでいます。

フレッチャと名称が付けられている列車は「フレッチャジェント」と「フレッチャビアンカ」があります。ロッソは赤、ジェントは銀、ビアンカは白となっています。赤が一番速達で、銀は次いで早く、ビアンカはその下に位置する体系となっています。

日本と最高速度や停車駅など考え方は違いますが、ジェントは「やまびこ」「はくたか」「さくら」、ビアンカは「つばさ」や在来線特急に例えることができるかもしれません。

乗車記 ローマ・テルミニ=フィレンツェSMN(エグセクティブ)

今回はイタリアの首都でメイン駅であるローマ・テルミニ駅からフィレンツェ・SMNまで乗車しました。

SMNはサンタ・マリア・ノヴェッラの略であり、覚えにくい場合はユースケ・サンタマリアと覚えるといいかもしれません(笑)。

フレッチャ・ラウンジ利用

フレッチャ・ラウンジ

ローマ・テルミニ駅にはファーストにあたるエグゼクティブクラスにて利用できるラウンジ「フレッチャ・ラウンジ」があります。

ラウンジ内

ラウンジは2階まであります。2階にはラウンジ内にある階段かエレベーターで昇る必要があるため、面倒なのか2階は誰もいませんでした。

ラウンジ会議室

会議室もあります。

ラウンジ会議室
ラウンジお菓子

ドリンクは午前中のためかソフトドリンクとグルテンたっぷりそうなお菓子のみでした。

ファーストトラック

ファーストトラック

エグセクティブクラス利用の場合、ファーストトラックが利用できます。飛行機と違い、ゲートに長蛇の列ができているわけでもなく、メリットは少ないと感じましたが、ギリギリの時間で利用するビジネスマンには有効かもしれません。

しかし、ローマ・テルミニ駅は終着駅のため、エグセクティブのシートがある1号車まではホームを相当歩き、いい運動ととらえるしかありません。

車両

フレッチャロッサ1000

車両はフレッチャロッサ1000(形式名はETR400)であり、最高設計速度は400kmであり、現在の最高速度は300kmとなっています。

日本の新幹線車両と異なり、騒音やトンネルドン対策がそれ程必要ないのか車高は高く、先頭形状はおとなしい形状です。

フレッチャロッサ エグゼクティブ

カラーは赤を基調としていますが、白とグレーをラインで組み合わせて配色しており、鉄道らしいデザインであり、落ち着きます。

シート

エグセクティブシート

エグセクティブのシートは驚異の1-1配列であります。

グランクラスをはじめとして1-2配列はよくありますが、1-1配列と言うのは稀有であり、プライベートジェットのようであります。

エグゼクティブ会議室

入口付近には会議室もあります。今の時代はスカイプなどで会議をした方が拘束もなく、効率的そうですが、極秘の会議などには有効かもしれません。

指定された座席に着くと車掌らしき人が来て、「このシートは壊れているので反対側に」と言われます。親切は良いのですが、品質面でどうかと思ってしまいました。

ベッドレストカバーとレッグレストカバーは、交換式です。

レッグレストにカバーがついているのは飛行機を含めても珍しいです。

シート操作パネル
シート電源

飛行機のビジネスクラスと比較するとシンプルなシート操作ボタンがあり、あまり複雑でも面倒なため、これぐらいが良いでしょう。

シート電源は2つあります。コンセントはイタリアタイプであります。通信関係では無料のWi-Fiがあります。多くの乗客とシェアされていることが想定され、自分のスマホの電波を受け取った方が通信速度は早そうです。

車内誌

車内雑誌もあります。これくらいはJRでも普通にあるため、特別感はありません。

シートは横幅もシートピッチも列車としては世界最高峰であり、不満はありません。

車内サービス

ティブルティーナ駅

テルミニ駅から5分くらいで品川駅みたいなティブルティーナ駅に到着し、出発するとグングン加速していきます。

メニュー

車内サービスが始まり、メニューが配られます。エグセクティブの場合、ドリンクと食事が無料であり、昼食ではパスタやサラダなどが無料で提供されます。

フィレンツェまでは90分程度であり、フィレンツェに着いてから食事をしたかったため、今回はドリンクのみとしました。

プロセッコ

ドリンクはソフト・アルコールともにお代わり自由であります。イタリアのスパークリングワインの一つであるプロセッコをお願いしました。

プレミアムクラスのような小瓶での提供ではなく、ステム付きのグラスに満タンに注がれた状態でシートまで持ってきてくれます。

シートテーブルにはドリンクホルダー用の窪みがありますが、ワイングラスはフィットせず、結構揺れるため、常時持っている必要があります。

車窓に乾杯

車窓にグラスを傾けるのは旅情をそそられます。

車窓

ローマ=フィレンツェ車窓

ローマからフィレンツェまでの道中はトンネルは多いものの、景色は結構よく、山の上の高楼や葡萄畑など楽しめます。

イタリア 葡萄畑

250km運転の様子を動画で撮影してみました。のんびりした景色が広がり、旅行気分満載であります。

フレッチャロッサ ナビゲーション

フレッチャロッサには成田エクスプレスのようなナビゲーションモニターがあり、今どこを走行しているかわかります。

降車する準備などには役立ち、同時に現在の走行速度もわかります。郊外ではほとんど250km運転でした。

フィレンツェSMNには7分の早着であり、余裕時分を結構持っており、時間にルーズなイメージは過去のものなのでしょう。

フレッチャロッサ@フィレンツェ

フィレンツェ駅は最終駅タイプのため、これより先に行く場合、進行方向が変わります。

ローマ・テルミニ駅では歩かされましたが、フィレンツェでは、歩くことなく、出口に向かうことができました。

フィレンツェ

ホテルへのチェックインも予定通りであり、午後からフィレンツェの名所を回ることができました。

イタロ

イタロ

イタロは前述のとおり、創業して13年の企業であります。しかし、車両はアルストム社製の最新型のAGV車両を利用しています。アルストムの本拠国であるフランスのTGVよりも新しい車両を利用しています。

イタロのチケットはネット販売が中心でありますが、イタリアの主要駅には自動券売機が沢山あります。英語対応しているおり、割と簡単に購入できます。

ただし、当社の売りである安さは乗車直前では少なく、お得に購入したい場合はやはり事前購入がよいでしょう。

車内では検札があり、ネット購入の場合は購入確認のメールをプリントするかスマホで表示できるようにしておけば問題ありません。

乗車記 ボローニャ=ミラノ中央(クラブ)

ボローニャ駅

今回はイタロ最上級のクラブシートの乗車をしました。ボローニャでは、高速新線のプラットフォームは地下にあります。

ローカル線のプラットフォームは地上にあり、そこから乗り換えるためには、上野駅で新幹線のホームに行くのと同じくらいエスカレーターや歩く必要があります。

地上駅舎も上野駅に似ています。

ボローニャ中央駅
ボローニャ地下プラットフォーム

地下ホームは地上からの採光もあり、明るい場所もあります。フレッチャロッサやイタロの入線や通過が頻繁にあり、鉄道好きにはたまらない駅でもあります。

残念ながら、ボローニャにはイタロのラウンジはなく、チケットオフィスの裏に待合室があるのみです。

待合室からプラットフォームまでは地下に潜り時間がかかるため、早くプラットフォームに行った方が得策であります。

車両

イタロの車両はアルストム社製の最高性能(最高速度360km/h)を誇るAGV車両であるETR575とそれより後に誕生した最高速度を250kmに抑えた現実的なETR675の2タイプとなります。

今回はETR575の乗車となりました。カラーはフェラーリレッド一色であります。イタロのマスコットキャラクターはウサギであり、金色でペイントされています。

パッと見はカンタス航空のカンガルーと間違えてしまいます。

フェラーリと色は同一ですが、AGVの形状はどことなく、イモムシのようであります。イモムシが地面に這いつくように安定しており、発車後の安定感はそのイメージが重なります。

ボローニャ=ミラノ間は高速新線であり、アドバンテージもありますが、走り始めの第一印象はフレッチャロッサよりも静かで揺れないという感じか強かいです。AGVが連接台車構造であるのも効果があるのかもしれません。

最上級クラス「Club」

クラブは1号車

イタロの最上級クラスは「Club」であり、1号車がすべてそのシートであります。シート構成としては2-1配列のオープン席とコンパートメント席が面積を半分ずつシェアしています。

コンパートメント席

オープン席の半分は進行方向と逆の席で固定されています。シートピッチは日本の新幹線の普通車と同等かそれ以下であります。シート幅はグリーン車並みであります。

オープン席

設備としては、電源はイタリアタイプのコンセントが装備されております。

シートコンセント
シートモニター

また、シートモニターがあり、オンデマンドで映画やドキュメンタリーが見ることができます。ただし、日本語はありません。

豪華な天井

車内サービス

車内サービス

車内サービスはスナックとドリンクであります。スナックはナッツやお菓子の提供となります。スナック菓子は複数選択でき、欲張ればいっぱい食べれます。他の乗客を見ても、実際はひとつしか選択していませんでした。

ドリンクはアルコールも選択可能であり、スパークリングワインを選択しました。カップは紙コップであります。この辺はフレッチャロッサの方が優位と言えます。

車窓

時速300km

ボローニャ=ミラノ間は大人の事情もあり、イタリアの高速道路「アウトストラーダ A1」沿いに建設されています。

そのため、車窓からは高速道路を走る車をあっという間に追い抜いていく景色が続きます。A1アウトストラーダは結構混雑しており、イタロに対抗するフェラーリやランボルニはいませんでした。

アウトストラーダとの並走の様子を動画にまとめてみました。

途中、速達タイプのイタロの通過待ちをして、ミラノに向かいます。その後、しばらく停車駅もなく、残りはミラノですが、ミラノは終着の中央駅の前にMilano Rogoredo駅への停車があります。

地元の人かわかりませんが結構、降車するため、終着かと迷いますが、迷ったら聞くか、グーグルマップで現在地を確かめるのが良いでしょう。

ミラノ中央駅は終着駅でドームが特徴的であり、旅情がそそられます。

イタロ@ミラノ中央駅

定刻通り、ミラノに到着となり、予定通り、ホテルにチェックインできました。マイルは貯まりませんが、飛行機よりも楽で優雅な移動となりました。

最後に

イタリアの高速鉄道は日本とはまったく違う競争環境があり、サービスや料金の差はあり、日本では味わえない体験ができます。

また、日本ではクリーン車やグランクラスはあまり割引がされていませんが、事前購入で返金不可ではありますが、結構割引がされ、お得な移動もできます。

旅程が決まっているようであれば、割安な上級クラスを利用して、優雅な旅行を楽しむのも良いかもしれません。 

Copyright ©Dangan-Lucky All rights reserved.