
2026年5月、静岡県浜松市に待望の「浜松マリオットホテル」がグランドオープンしました。これまで静岡県内のマリオット系列といえば伊豆の「修善寺」といったリゾート地、あるいは愛知県の「名古屋マリオットアソシアホテル」が勢力を誇っていましたが、ついにビジネスや観光の拠点である浜松にも新たな選択肢が加わりました。さっそく開業直後の新鮮な空気を味わいに滞在してきましたので、詳細をレポートします。
- アクセス:駅からの距離と周辺環境
- エントランス:伝統の系譜と革新の展示
- フィットネス:最新設備でピカピカの空間
- ルームレビュー:10階クラブフロア・キングルーム
- クラブラウンジ「M CLUB」での至福のひととき
- 朝食:東海道新幹線を望む絶景レストラン
- 最後に:浜松エリアの新たな定番ホテルへ
アクセス:駅からの距離と周辺環境

浜松駅からのアクセスは、徒歩で約20分ほどの距離に位置しています。天候に恵まれている日は心地よい散策になりますが、雨の日や大きな荷物を持っている際には少し億劫に感じられるかもしれません。
スマートフォンのナビに従って歩を進めると、驚くことに静かな住宅街を通り抜けるルートを案内され、最初は「本当にこの先にマリオットがあるのだろうか」と不思議な気持ちにさせられます。実は、少し遠回りになっても幹線道路(大通り)を経由するルートの方が道幅も広く、視覚的にも分かりやすいため、初めて訪問される方にはそちらをおすすめします。

また、ホテルから目と鼻の先にはファミリーマートがあるため、夜中に「ちょっと喉が渇いたな」「おつまみが欲しいな」と思った時には、ホテルの冷蔵庫代わりとして非常に重宝する立地です。

うれしいポイントとして、浜松駅との間を結ぶ無料のシャトルバスも運行されています。運行頻度はそれほど高くありませんが、あらかじめ時間を合わせておけば移動が非常にスムーズになります。徒歩だと20分かかるところ、バスであれば約10分で到着します。浜松駅側の発着場所は「アクトシティ浜松」の裏手側(南側)となっています。
今回は幸運にもチェックアウトの際にタイミングがぴったり合い、なんと貸し切り状態という贅沢な環境で駅まで送っていただきました。
エントランス:伝統の系譜と革新の展示

建物は「本館」と「新館」に分かれており、かつてこの地で街のシンボルとして愛された「グランドホテル浜松」時代の圧倒的な優雅さと重厚感が随所に残されています。右手に見える情緒ある趣の館は、訪れた月曜日がちょうど休館日となっていました。
本館側は一見すると営業しているのか少し分かりづらい雰囲気もありましたが、対する新館は天井が高く開放的な吹き抜け構造になっており、建築された当時としては非常にイノベーティブで前衛的なデザインだったことが窺えます。

ロビーの一角には、静岡県の地場産業をアピールする特設展示スペースが設けられていました。浜松を代表する名物の「うなぎ」や「お茶」の紹介はもちろん、世界に誇る「SUZUKI(スズキ)」の自動車やバイクの実車までダイナミックに展示されており、乗り物好きにはたまらない空間です。ただ、浜松といえば「音楽の街」のヤマハやカワイのピアノ、あるいは技術のヤマハ発動機のルーターなども有名ですが、今回の展示ではそこまでは確認できませんでした。

全体的に昭和の良き時代の豪華な造りをそのまま活かしており、エレベーターホールへと続く動線も驚くほど広々としています。どこか「悠久の日本」を感じさせるような、独特の落ち着きと風格が漂っています。

各客室フロアのエレベーターホールも同様にゆとりある設計です。建物の軀体(骨組み)自体にはどうしても歴史を感じる部分がありますが、随所に施された丁寧なメンテナンスとモダンな装飾から、当時の贅を尽した建築へのリスペクトが伝わってきます。
フィットネス:最新設備でピカピカの空間

フィットネスジムは、クリニックなどのテナントが入居しているフロア(2階または3階)に位置しています。ホテル内にこうした医療機関などの安定したテナントが入っているのは、オーナー(家主)目線で見れば経営の大きな命綱であり、手堅い運営体制を感じさせます。

ジムの受付や通路部分もやはり間取りが優雅で、日本の現代的なビジネスホテルにはない贅沢な空間の使い方が印象的です。

フィットネスエリア自体はランニングマシンなどの有酸素系マシンがメインの構成となっており、このあたりの設備ラインナップは他のマリオットやコートヤードと大きく変わりません。しかし、今回のマリオットへのリブランドに合わせて完全新設されたようで、室内はどこを見渡してもピカピカで清潔感にあふれています。

タオルやミネラルウォーターも贅沢に常備されており、ゲストがいつでも快適に利用できるよう配慮されています。この行き届いたサービス水準は、まさに世界基準のマリオットらしさをしっかりと感じられるポイントです。
フィットネス自体はランニングマシンがメインであり、このあたりは他のマリオットやコートヤードと変わりません。ただ、リブランドにあわせて、新設されたようであり、ピカピカです。
ルームレビュー:10階クラブフロア・キングルーム

いよいよ気になるお部屋のレビューです。客室階へと向かうエレベーターは、ボタンや内装の一部に昔ながらのレトロな面影を残しています。もちろん、安全性に関わるシャフトやプーリー(滑車)といった駆動系システムは最新のものにアップデートされているのでしょうが、どこか懐かしい乗り心地です。

今回アサインされたのは、10階のクラブフロアに位置する「キングルーム」でした。スイートルームへの大胆なアップグレードを少し期待していましたが、今回は渋めのアップグレードとなりました。部屋の広さやレイアウトの印象としては、非常に豪華に設えられた高級版「フェアフィールド・バイ・マリオット」といった趣です。

しかし、室内はしっかりとハイテク化されており、照明や空調のコントロールパネルを見るだけで「あ、あの運営会社だな」と分かる機能的なデザインになっています。


枕元の電源関係も完璧にアップデートされており、USB-Aポートだけでなく最新のUSB-Cポートもしっかり完備。さらに、スマートフォンの「置くだけワイヤレス充電」に対応したアラームクロックも設置されています。個人的には有線派なので無線充電は必須ではありませんが、海外からのインバウンド旅客などには意外と重宝されているスマートな設備かもしれません。

ベッドに関しては、カジュアルブランドのフェアフィールドとは一線を画しており、肌触りの良い上質なリネンが採用されています。実はこの日、夜中の1時にふと目が覚めてしまったのですが、この上質なベッドのおかげでその後は朝までぐっすりと熟睡することができました。


ミニバー周辺に目を移すと、冷蔵庫やグラス類のセッティングはいかにもマリオットらしい洗練された佇まいです。貴重品を保管するセーフティーボックスも当然のように組み込まれています。このクラスのホテルであれば当たり前の装備ですが、やはり安心感があります。

クローゼットにはナイトウェアとしてガウンが用意されていました。「M」のロゴの刻印は見当たりませんでしたが、海外のラグジュアリーホテルにあるような肉厚で重たいタオル生地ではなく、日本の気候に合った薄手のしなやかな生地でした。実際に着用してみると、このままベッドに入って寝るにはこれくらいの軽さがちょうど良く、実用性を重視したセレクトに好感が持てます。

また、お部屋のテーブルには、日本の伝統的な旅館を思わせるウェルカムお菓子(お茶請け)がちょこんと置かれていました。私は普段、甘いものを自ら進んで食べる方ではありませんが、こうした日本らしい細やかな「おもてなしの心」を感じられる演出は嬉しいものです。これがもし、いきなり缶ビールやハイボールが置いてあったらそれはそれで驚きますが、やはりお菓子が一番落ち着きますね。

バスルームについては、やはり建物の構造(躯体)が古いためか、どうしても昔ながらのユニットバス感を完全には拭いきれない配置となっています。しかし、水回りや壁面、浴槽などすべてのパーツが最新の新品に交換されているため、古臭さは一切なく、非常に清潔感があって明るい空間に仕上がっています。今回はサウナなどの大浴場施設がなかったため客室のシャワーのみで済ませましたが、水圧・水流ともに申し分なく、終始快適に利用することができました。


アメニティに関しては、国際標準のマリオットクオリティといった印象で、嬉しいことにマウスウォッシュまで標準装備されていました。市販のリステリンのようなツンとした強い刺激はなく、非常にマイルドで使いやすいフレーバーです。例えるなら、誰もが安心感を抱く「高島政信さん」のような、当たり障りのない誠実でマイルドなキャラクター性を感じました。

その他のアメニティも非常に充実しており、最近のホテルのようにフロント横のアメニティバーから自分でピックアップしてくる必要はありません。あらかじめお部屋にボディスポンジまでしっかりと用意されていたため、自宅からわざわざ持参したマイボディスポンジはただの無駄な荷物になってしまいました。
クラブラウンジ「M CLUB」での至福のひととき

マリオット系列のホテルに滞在する際の醍醐味といえば、「早めにチェックインして、ジムで心地よく汗を流し、その後にクラブラウンジへ繰り出す」という王道のルーティンです。一部のホテルにはラウンジがない場合もありますが、ここ浜松にはしっかりとマリオットの象徴である「M CLUB(エムクラブ)」が設置されていました。その響きに、航空ファンとしては何となくボーイングの「78M(ANAの787-8国内線仕様機)」を思い出してしまい、一人で勝手にノスタルジーに浸っていました。

ラウンジの構造は、もともとホテルの最上階にあった展望レストランを改装したような造りになっており、窓からの見晴らしは抜群です。室内は床から天井まで全面的にリノベーションされているため、新築ホテルのようにピカピカで、足を踏入れた瞬間に海外の高級ラウンジに迷い込んだかのような錯覚を覚えます。

ラウンジの奥エリアには、複数人のグループでもゆったりと囲める大人数用のスペースも確保されており、かなり本格的な設計です。いつか気の置けない仲間たちとここで優雅に酒盛りをしてみたいものです。


17時からのフードプレゼンテーション(オードブルタイム)に関しては、良くも悪くも「日本の一般的なマリオットラウンジ」といった標準的なラインナップではありますが、安価な個別包装の柿の種などが雑に置かれているわけではないので、クオリティとしては十分に合格点、まあまあ満足できるレベルでしょう。個人的には、某森トラスト系のマリオットラウンジよりもフードの質やプレゼンテーションの面で頭一つ抜けている良い印象を受けました。

みずみずしい「野菜スティック」も用意されていました。普段セブンイレブンで見かけるとついつい買ってしまいがちな定番メニューですが、ホテルのラウンジで綺麗に盛られているとより一層美味しく感じられます。


アルコール類(ワイン)のラインナップは、スパークリングワイン(泡)が1種類、白ワインが2種類、そして常温の赤ワインが2種類用意されていました。最近の私のマイブームは、1杯目にストロングゼロを流し込み、そこからムンバイ・サファイアのソーダ割りに移行するスタイルなのですが、せっかくなので今回は趣向を変えて、ワインを泡→白の順で上品にテイスティングしてみました。
しかし、赤のビーフィーターがあったので、ソーダ割にしました。ソーダは能勢のソーダでした。鉄道伝説で知ったくらいの素人ですが、こうした銘柄を静岡で用意しているのはなかなかと感じてしまいます。

バーカウンターを眺めていると、なんと赤色のボトルが目を引くジン「BEEFEATER(ビーフィーター)」を発見。急遽予定を変更して、ジンのソーダ割りを作ることにしました。そこで割り材として用意されていたのが、なんと「能勢(のせ)ソーダ」でした。
私自身、BSフジの番組『鉄道伝説』の能勢電鉄の回でその名を知った程度の素人なのですが、そんなこだわり派に愛される関西の名銘柄のソーダを、わざわざここ静岡の地で厳選して用意しているあたりに、ホテルの並々ならぬこだわりとセンスの良さを感じてしまいます。
夕暮れの素晴らしい景色を眺め、リノベーションされたばかりの美しいラウンジで味わう最初の一杯のショットは格別です。この贅沢な雰囲気であれば、翌日からの仕事を忘れてのんびり過ごせる「日曜泊」などで、ぜひまたリピートしてしまいそうです。
朝食:東海道新幹線を望む絶景レストラン

翌朝の朝食は、M CLUBラウンジと同じ12階にあるメインレストランでいただきました。エレベーターの扉が開くと、まず一際景色が開けた開放的なロビー空間が迎えてくれます。このあたりの広々とした空間の使い方も、昭和のラグジュアリーホテルの贅沢な設計思想(エッセンス)を強く感じさせます。
窓際からは、浜松駅方面の街並みを一望することができます。眼下には、その築年数を感じさせないほど今なおスタイリッシュで、投資物件としても非常に優秀であろう「アクトタワー」がそびえ立っています。

さらに、このレストランは鉄道ファンにはたまらない「東海道新幹線ビュー」の特等席でもあります。東北新幹線や北陸新幹線だと、運行本数やタイミングの関係でベストショットを撮影するまでにかなり粘って待つ必要がありますが、日本の大動脈である東海道新幹線は次から次へと頻繁にやってくるため、カメラを構えてすぐに美しい走行風景を撮影することができました。

朝食会場自体のキャパシティはかなり広く、写真に写っているエリアの背後や横手側にも、さらに多くのテーブルスペースが確保されていました。これもやはり、もともとの建物の基本設計が優れていたからこそ実現できる広さでしょう。

ブッフェの品揃えはまさに「海外の大型マリオット級」と言っても過言ではなく、バラエティに富んだ選択肢の多さに圧倒されます。私はホテルの朝食ブッフェにスモークサーモンがあると、ついついお皿にたくさんピックアップしてしまう習性があるのですが、今回も例に漏れずたっぷり堪能しました。


お味噌汁のコーナーでは、ネギのトッピングは見当たらず、代わりに乾燥ホウレンソウが用意されていました。具材の定番である「渦巻麩(うずまきふ)」を浮かべていただきます。味付けのベースとなるお味噌ですが、地理的には名古屋(赤味噌文化)に近いものの、意外にも関東風のすっきりとした馴染み深いお味噌が使われていました。

ライブキッチン形式のオムレツバーもあり、シェフが目の前で好みの具材を入れて焼き上げてくれます。トッピングの中に地元オリジナルの「黒納豆」という珍しい具材を見つけたので、試しに入れてもらうことに。
実際に食べてみると、納豆特有の強い主張がオムレツの味そのものを大きく左右するわけではありませんでしたが、カットした断面の見た目は少しインパクトがあり、旅の面白い思い出になりました。

そんなわけで、今回は色とり読りの和食を中心に綺麗にまとめた朝食プレートが完成しました。マリオットの豪華な朝食を朝からお腹いっぱい食べると、大抵の場合は満腹感が持続して、その日の夜まで何も食べずに済んでしまうことが多いのが「マリオット宿泊あるある」ですね。
最後に:浜松エリアの新たな定番ホテルへ

というわけで、これまでマリオットボンヴォイのポートフォリオにおいて完全な「空白地帯」であった浜松の地に新しく誕生した、浜松マリオットホテルの滞在記をお届けしました。
これまでは静岡でマリオット系列に泊まるとなると、伊豆の「修善寺」まで足を伸ばすか、あるいはのぞみで一駅隣の「名古屋駅(名駅)」まで行くしかありませんでしたが、今後はこの浜松がビジネスにも観光にも非常に魅力的な新しい選択肢となりそうです。
歴史あるグランドホテルからのリブランドであるため、建物全体の構造自体は完全な新品(新築)ではありませんが、外観を一歩入ればその古さを微塵も感じさせないほど、どこもかしこもリノベーションでピカピカに磨き上げられています。
浜松は「さわやかのハンバーグ」をはじめ、「うなぎ」「浜松餃子」など、一泊二日では胃袋が足りないほどグルメも大いに楽しめる街です。東京や大阪からも東海道新幹線を使えばあっという間の距離ですので、この快適なラウンジと朝食を求めて、近いうちにまたリピートする可能性は非常に高そうです。