ANAマイレージクラブの最上級会員である「ダイヤモンド会員」はファーストクラス利用者しかアクセスできない「ANA SUITE LOUNGE」にアクセス可能であり、成田空港にはダイヤモンド会員専用のチェックインルームもあり、飛行機には真っ先(乳児連れや手伝いが必要な搭乗者の後)に搭乗可能など、サービスの面での優遇が目立ちますが、実際のフライトマイルの加算では、どの程度差があるのか調べてみました。
ANAダイヤモンド会員だけが受けられる特典
ANAダイヤモンド会員だけが受けられる主な特典は以下の通りです。
マイルの有効期限の延長
ダイヤモンド期間中は、未使用マイルの有効期限が延長され、マイルが失効はありません。ただし、ダイヤモンドサービスメンバーでなくなった場合は、すべての未使用マイルの有効期限がその時点から36カ月後の月末までになります。また、3年の間にダイヤモンドサービスメンバーになれば、有効期限が延長されます。特典航空券にどんどん変えてしまう人はあまり気にしないようですが、陸マイルで貯めた大量のマイルを保有する人は有効期限のために、ダイヤモンド会員を目指そうとする人もいるようです。
国内線の座席指定
ANAグループ運航便の日本国内線予約時に、ダイヤモンドメンバーは最も自由に座席の指定ができ、普通席最前列などの座席が指定できます。
アップグレードポイントを2倍でどんなクラスでもアップグレード申請可能
国際線において、アップグレードポイントにてアップグレードをする場合、通常はある程度料金の高い予約クラス以上と決まっていますが、ダイヤモンド会員の場合のみ、どんなクラスでも通常の2倍のアップグレードポイントを利用のうえ、空席が有れば、エコノミーからビジネス、ビジネスからファーストへアップグレードが可能です。30%加算の格安エコノミーでもビジネスクラスを利用できる可能性があり、最近海外発のビジネスクラスにおいて多い割安クラスPにおいても、ファーストクラスへのアップグレードが可能です。
当日空港での空港待ちの優先
当日、空港で空席待ちをする場合に、ダイヤモンド会員の場合、先行してダイヤモンド会員以外の種別の予約待ちの人がいても、空席待ちに優先としてスタンバイできます。
スイートチェックイン
成田空港において、国際線搭乗時にANA便であれば、どのクラスでもスイートチェックインが可能です。
ファーストクラスラウンジ利用
日本国内では、国内線においては、新千歳、羽田、伊丹、那覇の4空港においてダイヤモンド会員専用の「SUITE LOUNGE」が利用できるほか、国際線においては、成田と羽田の「SUITE LOUNGE」がエコノミークラス利用時でも利用できます。また、海外では、シンガポール・チャンギ空港のターミナル2のシンガポール航空のシルバークリスラウンジのファーストクラス利用者用ラウンジが利用できます。
ダイヤモンド会員限定 選択式特典
年に一度ダイヤモンド会員向けに、選択式の特典があります。特典には、
1.「ANAスカイコイン60,000円分」
2.「アップグレードポイント12ポイント」
3.「ミシュラン星レストランへペアで招待」
4.「IHG・ANA・ホテルズグループで宿泊や食事に利用できる40,000円分のクーポン」
5.「カタログギフト」
6.「沖縄・恩納村の海にサンゴを植え付け」
7.「入会金20万円/年会費18万円相当かかるコンシェルジュサービスを1年間無料で受けられる権利」
のいずれかの選択となります。1~5を選択した場合には、1~5に加えて「国内線・国際線共通機内販売用クーポン20,000円分」または、「ANA SUITE LOUNGE」利用券 6枚」も提供されます。一番飛行機の搭乗に関連する特典としては、「ANAスカイコイン60,000円分」と「「ANA SUITE LOUNGE」利用券 6枚」の組み合わせが考えられ、選択する人も多いようです。
ダイヤモンド会員のフライトマイルはどれぐらい貯まる
ダイヤモンド会員は上記のように、マイルの有効期限の延長やラウンジ利用や予約においての優先、選択式特典などが目立ちますが、マイレージとは基本的にフライト搭乗により貯めるものであり、ダイヤモンド会員のフライトにおける優遇度を確認してみました。
フライトボーナスマイル
ダイヤモンド会員をはじめとしたプレミアム会員はANAグループ運航便およびユナイテッド航空運航便の搭乗時に、通常のフライトマイルに加え、フライトの度にボーナスマイルが加算されます。
フライトボーナスマイルの計算方法
フライトボーナスマイルは、通常加算されるマイルにプレミアムメンバーのランクやランク継続年数に応じた加算率を乗じて計算され、加算されます。
例えば、羽田からニューヨークまでファーストクラスで搭乗した場合、加算されるマイルは区間マイル6,723マイル×ファーストクラス運賃倍率150%=10,084であり、
これを基に、プレミアムステイタスまたは利用カード別積算率を乗じて加算されます。
ダイヤモンド会員(ANAカード保有でステイタス2年目以降)の場合
ダイヤモンド会員(ANAカード保有でステイタス2年目以降)の場合はフライトボーナスマイルが130%となり、ANAマイレージクラブ最大の積算率です。
スーパーフライヤーズ会員の場合(一般カードの場合)
35%となります。ただし、1暦年において、プレミアムポイントが積算されていくとブロンズ会員、プラチナ会員基準に到達し、到達した数日後から事前ブロンズ、事前プラチナとしてフライトボーナス加算率が上昇します。
試算をしてみた
上記の最高の積算率のダイヤモンド会員とスーパーフライヤーズ会員が翌年度のダイヤモンド会員到達基準である10万プレミアムポイントを積算していく場合の試算をしてみました。ルートは10万プレミアムポイントを積算するために効率が良く、マイルが良く貯まる(運賃倍率が高いクラス)を最優先として、以下のルートで計算しました。
クアラルンプール発券プレミアムエコノミー単純往復
クアラルンプール発券のプレミアムエコノミー往復(予約クラスE:運賃倍率100%)を10万ポイントに到達するまで繰り返し往復するパターンです。1往復あたりの運賃は78,670円(現時点の諸税・燃油サーチャージ)で、プレミアムポイントは10,814PPであり、PP単価は7.27円とANAの中で単価の良いチケットの一つと言えます。日本発は特典航空券でスタートし、最後はクアラルンプール発の片道のプレミアムエコノミー(46,190円)としています。最初の特典航空券の復路はソウルから東京として、マイル数を抑え、10万ポイント到達後にLCCなどのチケットを利用してソウルに行き、帰りは金浦空港から特典航空券で帰国する旅程としています。
ダイヤモンド会員の場合
試算結果は下記の通りです。
10万ポイント到達にまでに20回搭乗(国際線10往復)し、プレミアムポイント102,733ポイント、ライフタイムマイルは67,518LTマイル積算されます。
積算マイル
加算マイルは63,422マイルであり、フライトボースマイルは82,441マイルで合計145,863マイルとなります。
スーパーフライヤーズ会員の場合
試算結果は下記の通りです。
プレミアムポイントとライフタイムマイルはダイヤモンド会員と同じですが、積算マイルが異なります。
積算マイル
途中から、事前ブロンズ(40%)、事前プラチナ(90%)が効き、加算マイルは63,422マイルであり、フライトボースマイルは38,651マイルで合計102,073 マイルとなります。ダイヤモンド会員と比較すると43,790マイルの差が発生します。
最後に
ダイヤモンド会員に到達するために、マイルがより加算される運賃倍率のプレミアムエコノミーをもとに、10万プレミアムポイントに到達するのに近道のルートである海外発券にて算出してみましたが、ダイヤモンド会員を継続することにより、フライトマイルが多く加算される恩恵は44,000マイル前後であり、香港やマニラへのビジネスクラス往復1回分です。あまり差がないように感じてしまいます。ANAに搭乗しているにも関わらず、フライトマイルの加算においてはあまり恩恵がないようです。その他サービスにおける優遇は素晴らしいですが、マイレージの基本である飛んでマイルを貯める点について、もっと優遇をしてもいいのではないかと感じてしまいました。