ギリシャ・テッサロニキをあとにして、東地中海にある島国であるキプロスに行きましたので、お伝えします。
キプロス
東地中海に位置する島国で海を挟んで、北にはトルコ、南にはエジプト、東にはシリア、西にはギリシャがあります。1960年にイギリスから独立し、もともとはギリシャ系住民とトルコ系住民が混在する国であったのですが、民族紛争が起き、ギリシャやトルコがそれぞれ各民族の支援を行い、1974年に分断し、1983年には北キプロス・トルコ共和国が独立を宣言し、一つの島の中で、南北が分断している状態(キプロス紛争)が続いています。南側のキプロス共和国は2004年5月にEUに加盟しており、EUで最も東側の国です。通貨は南側がユーロ、北側はトルコリラです。
首都レフコシア(ニコシア)
キプロスへの入国はほとんどの場合、南側のキプロス共和国の空の玄関口のラルナカ国際空港からの入国となります。空港から首都ニコシアまでは約50kmの距離があり、タクシーで行けるほか、カプノス・バスという会社のシャトルバスが片道8ユーロでニコシアの入口の同社バス営業所まで行けます。そこからは路線バスに乗り換えるかタクシー(10ユーロ)でニコシア中心部やホテルまでむかいます。このほか、ラルナカ空港からラルナカ中心部(ビーチ近く)のバス停まで行き、そこからのインターシティバスに乗り換えていく方法もあります。ラルナカ市内バス運賃が1.5ユーロで、インターシティバス運賃が4ユーロのため、トータルとしてはこの乗継の方が安く済みます。
グリーンラインを超える
冒頭説明したようにキプロスは南北に国家が分断されており、首都であるニコシアはかつてのベルリンのように街が分断されています。グリーンラインと呼ばれる緩衝地帯が設けられ、ベルリンの壁のように街を分断しています。
以前は行き来もできなかったようですが、南側のキプロス共和国がEU加盟を契機に、北側を支援しているトルコもEU加盟を交渉していることから紛争解決に向けて前進し、南北を行き来できるクロスポイントが設けられています。
外国人がこのポイントを行き来する場合は、パスポートを持参し、写真のように南側の検問所でパスポートを提示し、ほぼ出国審査のような手続きをして、検問を通過、緩衝地帯を歩き、北側の検問所でまた、パスポートを提示し、入国審査のようなチェックを受けます。


現在は軍事的な緊張もなく、危険を感じることはありませんが、南側から入国した外国人は北側で宿泊は不可であり、必ず南側に戻る必要があります。ちなみにパスポートにはスタンプは押されません。
北キプロス側
トルコの影響を受けているのか、トルコや中東の街に来たような印象を受けます。欧米のファーストフードやコーヒー店などはありません。スークと呼ばれる市場もあり、カラフルな生地がたくさん陳列されています。


ニコシアを代表するモスクである「セリミエ・モスク」はモスクらしく尖塔がありますが、この建物は元々、12世紀初頭に「聖ソフィア大聖堂」として建設されており、後にモスクに転用されています。そのため、ゴシック様式を見ることができます。


キプロス共和国側
南側のキプロス共和国はギリシャのいる印象を受けます。ニコシアのメインストリートである「リドラ通り」にはスターバックスやKFC、Subwayなどの世界中どこにでもある欧米の店があります。
ライキ・ギトニア
賑やかなニコシアの街の中で、昔からのキプロスを感じることができる「ライキ・ギトニア」という一画があります。


車も入れないような石畳みの路地にレストランや土産物店などが建ち並びます。夜はこの横丁にあるレストランで名前まで覚えていませんが、地元料理とキプロスワインを堪能しました。
ラルナカ
翌日は昼にホテルをチェックアウトし、バスターミナルへ。バスターミナルは城壁の近くにあり、市内を取り囲む城壁を見ることができます。


インターシティバスでラルナカまで行き、所要時間は約1時間かかります。人気なのか満席に近い状態で始発のバスターミナルを出発し、途中のバス停からは立つ人もいる程、混雑していました。
ラルナカビーチ


ラルナカのインターシティバス停はビーチに面した市内のメインストリートにあり、空港行きの市内バスのバス停も同じ場所にあります。ラルナカは地中海に面したリゾート地であり、ビーチにはビーチパラソルが並び、平和な時が流れています。
ソルトレイク
ラルナカの見どころとしてはあまり知られていませんが、ソルトレイク(塩湖)があります。ラルナカ空港から近く(近いと言っても2kmはある)空港への市内バスで途中下車して行けます。夏場は写真のように干上がり、塩の結晶を見ることができます。また、天気が良いと塩の結晶の照り返しの影響からか相当眩しいです。遮るものが何もないので遠くまで見渡すことができ、キプロス島を強く感じることができます。


冬は水が張り、フラミンゴの大群を見ることができるそうです。ボリビアのウユニ湖のように鏡面にはならないようですが、地中海の島で塩湖を見ることができたのは驚きでした。
最後に
キプロスには昼前に到着し、翌日の夕方には次のフライトで出発してしまい、弾丸滞在でしたが、紛争で分断した街を歩いてみたり、塩湖の上を歩いてみたりと日本ではなかなか味わえない経験ができ、記憶に残る道中でした。この後は、ほぼ日本に戻るためのフライトになりますが、また別の記事で書いていきたいと思います。