
ANAのプレミアムメンバーにとって、3月末は「アップグレードポイント」の有効期限を意識する時期です。
通常、ステータスホルダーであれば1ポイントも無駄にせず座席のアップグレードに投じるのが常道です。しかし、結果として、これらを1対1のレートでANA SKY コインへと交換するに至ってしまいました。これは20年近い「マイル修行」の歴史において、異例の事態であり、背景と今後を考えてみました。
アップグレードポイントを使い切れなかった
| ポイント残高 | 付与ポイント | |
|---|---|---|
| 2025年度 ご利用可能分 (2025/4/1~2026/3/31) |
20ポイント | 60ポイント |
| 2026年度 ご利用可能分 (2026/4/1~2027/3/31) |
44ポイント | 44ポイント |
上の表は、ANAアップグレードポイントの残高・履歴照会画面を模して作成した3月末時点の状況です。2026年度分はこのあと付与され、計60ポイントとなる予定です。しかし、2025年度分は3月末を迎えてもなお、20ポイントも残っているという異例の事態。緊急事態宣言の際にも残したことはありましたが、あの時は特例措置で繰り越しができたため、やはり今回のような失効間際の放置は異例といえます。
20年近い月日は、一人の人間を変えてしまうものです。「マイル修行」という魅力に取り憑かれ、毎年ステータスがリセットされる感覚に溺れてきました。修行のピークは12月ですが、3月は通過点ながらもポイントがフル充填されるため、例年なら少しは気分が高まるところです。
全盛期には60から100ポイントを使い果たし、3月は高揚感に包まれていました。しかし今年は、世間一般の3月と同じく、別れの季節というか、新年度への不安が混じり合う気分と重なっています。端的に言えば、敗北感です。
もちろん、このあと記すようにスカイコインに交換したわけですが、いっそ修行を辞めてしまおうかという、やるせない気持ちを抱えて焼け酒をしてしまいました。まあ、いつも似たようなものですが。
スカイコインに交換

まとめて交換してもレートが上がるわけではないので、ちびりちびりと進めても良いのですが、日も押し迫っているので、一気に20ポイントを20,000スカイコインに交換します。

個人的にはこの瞬間、史上初めてアップグレードポイントを座席のアップグレードではなく、スカイコインに替えました。先述した通り敗北感も強いのですが、世代交代とまでは言わずとも「時代が変わった」と素直に感じています。
| 内容 | 搭乗クラス | 減算ポイント | 加算ポイント |
|---|---|---|---|
| プレミアムポイント連動分アップグレードポイント | 40 | ||
| SFCカード会員アップグレードポイント | 4 | ||
| アップグレードポイントからANA SKY コインへ交換 | -20 |
早速、明細には「-20」の数字が刻まれていました。
使い切れなかった理由

ポイントを余らせてしまった理由は、決して大病を患って動けなかったわけではありません。背景には、以下のような心境の変化がありました。
「ひやひや」に見合わない対価
かつては「積算率100%のプレエコやエコノミー(予約クラスEやM、Bなど)」から、アップグレードポイントでビジネスクラスを狙うのが王道でした。しかし、今は状況が随分と変わってしまったようです。
ダイヤモンド会員同士による熾烈な枠の奪い合い。出発直前まで確定しない座席。「本当に落ちてくるだろうか」という精神的なノイズが、道中ずっと付きまといます。
約20年が経った今、その「ひやひや感」に耐えてまで手に入れるビジネスクラスのシートに、かつてのような輝きを感じなくなっている自分に気づいてしまったのです。
ビジネスという空間への「冷め」
もう一つの理由は、乗りすぎてしまったが故の「慣れ」です。贅沢病と言えるかもしれませんが、かつての新鮮味はもうありません。
もちろん機内食のコストダウンもあるのでしょうが、調理技術自体はこの20年で進化しているはず。それなのに、なぜか以前ほど美味しく感じられない。
そして何より、シートの陳腐化、あるいは老朽化です。苦労して、ひやひやして、ようやくカーテンの向こう側へ足を踏み入れても、そこに広がるのは「見飽きた景色」と「古びたスタッガードシート」でした。傷のついたテーブルや、コーティングが剥げたブラインドのボタンを見るにつけ、設備の劣化を突きつけられます。
ひやひやしながらアップグレードを待ってまで座りたいシートなのか。かと言って、15時間もプレミアムエコノミーに座り続けるのか。そう自問自答すると、どうしても腰が重くなってしまうのです。
その代わり、金浦線(羽田ー金浦)ならスイートラウンジが利用できるので重宝していましたが、その金浦線でさえ週末を中心にエコノミー・ビジネス共に満席が目立ちます。思うように利用できない不満が積み重なった結果でもありました。
4月からの戦略

とは言え、もう4月です。大みそかまで9か月です。このまま、アップグレードポイントをスカイコインに交換して引退というのも何とも寂しい引き際であります。さらに、アップグレードポイント制度最終年度であり、成仏してもらうためにどうするか考えてみます。
手元にあるのは、砂漠に水を撒くような20,000スカイコインと、新たにそして、最後に付与された60ポイントであります。このリソースを、「二つの相反する」発券にしようかなと思います。
サイバー空間で「Zクラス」を旅し、リアルはゆとり
まず、ダイヤモンド維持の「メインストリーム」となるのは、やはりビジネス125%積算・予約クラスZの開拓かなと思います。
座る価値のなくなったビジネススタッガードとは言え、プレミアムポイント積算率はZであれば、125%+400PPであり、アジア・オーストラリアであれば路線倍率も効きます。
世界中のANA就航地をサイバーな空間で巡り、Zクラスを引き当てるという一種の「サイバーな発券旅」出発前の「確実な勝利(ビジネスクラス確定)」と「一撃大量ななPP」です。ここで「ひやひや感」を排除し、ゆとり世代のように行きたいものです。
UGPに「成仏」してもらう
以上のように、Zクラスでプレミアムポイントを積み上げていくとなると、アップグレードポイントは使わないという「ある種の矛盾」に直面します。アップグレードポイント制度最終年度にこれでは先述のような成仏とならないところです。
ZクラスはPP単価ではEやMに勝る路線はありますが、キャッシュフローの考慮が必要となります。また、Zの繰り返しでダイヤモンド達成となると、10万PPを超過してしまう事となり、吹かし過ぎてオーバーランとなってしまいます。
すると、10万PP以上積算されたPPを考慮せずに、総額を計算するとPP単価は落ちてしまいます。
そうしたロスを埋める役として、EやMを使うのが最適であります。そこでこそアップグレードポイントを行使して、成仏してもらうのが良さそうです。
「THE Room FX」獲得とキャッシュフロー
今年後半からは、これまで劣化を払しょくさせる「THE Room FX」もデビューするでしょう。ただ、その路線はヨーロッパか北米であるのは確実視されています。
ヨーロッパや北米にてアップグレードできる予約クラスで単価が良いのはEとMとなります。EやMは比較的片道運賃でもPP単価は良いので、片道特典航空券と組み合わせてキャッシュフローとPP吹かし過ぎに注意をしながら、「THE Room FX」を獲得していくと言うのも最終年度のアップグレードポイントの成仏につながるでしょう。
リーサルウェポン:ダイヤモンド特権の行使
| 搭乗区間(基本マイル) | Y → PY | PY → C / Y → C |
C → F |
|---|---|---|---|
| 0 〜 2,000 (ソウル、台北、香港など) |
- | 6 | - |
| 2,001 〜 4,500 (東南アジア、インド、ホノルルなど) |
4 | 8 | 16 |
| 4,501 〜 6,000 (シドニー、北米西海岸など) |
5 | 10 | 20 |
| 6,001 〜 (北米東海岸、ヨーロッパなど) |
5 | 10 | 20 |
2026年度、アップグレードポイント制度の最終章を飾る真の「リーサルウェポン」は、ダイヤモンド会員にのみ許された禁断の果実、すなわち「2倍のポイント行使による強制アップグレード」にあります。通常、アップグレード対象外とされる安価な予約クラスであっても、倍のポイントを差し出すことで上位クラスへの扉をこじ開けるこの特権は、まさにステイタスの極みと言えるでしょう。
たとえば、日本発券の予約クラスの積算率30%という、わずか十数万円程度の運賃であっても、欧米路線なら片道20ポイントを投じることで、最新のビジネスクラス「THE Room FX」へと滑り込める可能性が生まれます。
1回のフライトで10×2=20ポイントという「爆消費」は、かつての私なら躊躇したかもしれません。しかし、ポイントを成仏させることが目的の今、これほど贅沢で、これほど理にかなった散り際はありません。ただ、プレミアムポイント積算は極めて低いので、10万PPまでの道のりの計算は必要と思います。
ファーストクラスへの昇華でのフィナーレ

さらに、ボーイング777-300ERが運航される路線に限定されますが、至極の使い方もあります。それは、アップグレード対象外のビジネスクラス運賃(予約クラスP、個人的には「70P」と呼んでいます)から、天空の頂点であるファーストクラスへと駆け上がる道です。
通常は20ポイントを要するファーストクラスへの昇格も、この特権を使えば片道で40ポイント。手元にあるリソースの半分以上を一瞬で使い果たすことになりますが、これこそが最後にある意味ふさわしいエンディングとなります。
まず、先述の「Zクラス」の海外発券で一気にPPを「吹かし」、土台を固めます。その上で、残りのPPの帳尻を合わせる役として、この最終兵器を使い、5万PPをANA便でクリア。あとは単価の安いスターアライアンス他社のビジネスクラス海外発券を組み合わせて、5万PPを積み上げ、ダイヤモンド達成というのも豪華な選択でしょう。
最後に
結局のところ、まだこの空の世界から卒業できずにいるようです。スカイコインへの交換で感じた敗北感を、来年の3月には「使い切った」という大団円と清々しい達成感に繋げられればと感じます。
たとえそれが、2倍のポイントを投じるというリサールウェポンを行使しても、快感となるかもしれません。