
2026年5月19日、ANA国内線において非常に大きな運賃改定が実施されました。プレミアムクラスにおける「株主優待割引(運賃クラス2)」の積算率が、従来の125%から130%へと引き上げられたのです。この一見するとわずか5%の改善は、「1円でも安く、1PPでも多く」を追求する修行僧にとって、路線の選択肢を根本から変えるパラダイムシフトをもたらしています。
今回は、手元にある最新の予約画面データ(那覇・宮古・石垣・伊丹・羽田)を基に、新基準である「積算率130%」を適用した最新のPP単価一覧を大公開します。さらに、データ分析を進める中で見えてきた「大阪(伊丹)発着路線の歪みと直行便廃止の裏にあるANAの戦略」、長距離直行便の優位性を揺るがす「直行便より乗継便の方が圧倒的にPP単価が良い」という事実について、解説していきます。
- 【5/19新基準対応】プレミアム株主優待割引・最新PP単価比較一覧表
- 「乗継便」は株主優待券が「2枚」必要という絶対ルール
- 大阪路線:直行便廃止の裏にあるANAの戦略と「乗継スルー」の存在意義
- なぜ「直行便」より「乗継便」の方がPP単価が優れているのか?
- 最後に:タイパの直行便か、コスパ・PP最大化の乗継便か
【5/19新基準対応】プレミアム株主優待割引・最新PP単価比較一覧表
まずは、今回検証する路線の最新データを一挙に紹介します。すべて2026年5月19日以降の新積算率「130%」および搭乗ポイント「400PP」を適用し、運賃額が安い順に並べ替えた比較表です。スマホからご覧の方は、表を横にスクロールしてご確認ください。ファーストクラス色は直行便です。以下は一例です。
| 運賃額 (税込) / プレミアムポイント | 出発地 → 到着地 | 出発時刻 - 到着時刻 | 便名 (運航スタイル) |
|---|---|---|---|
| 46,360円 3,181 PP (単価 14.57円) |
宮古 → 大阪(伊丹) | 13:30 - 16:50 | NH1726 / NH766 (那覇乗継 / 積算率130%) |
| 49,000円 3,363 PP (単価 14.57円) |
石垣 → 大阪(伊丹) | 11:00 - 14:40 | NH1768 / NH764 (那覇乗継 / 積算率130%) |
| 49,860円 2,958 PP (単価 16.86円) |
那覇 → 羽田 | 10:20 - 12:45 | NH994 (直行便 / 2時間25分) |
| 58,860円 3,410 PP (単価 17.26円) |
宮古 → 羽田 | 11:45 - 14:25 | NH1080 (直行便 / 2時間40分) |
| 59,340円 3,818 PP (単価 15.54円) |
宮古 → 羽田 | 13:30 - 17:35 | NH1726 / NH470 (那覇乗継 / 積算率130%) |
| 62,270円 3,582 PP (単価 17.38円) |
石垣 → 羽田 | 15:45 - 18:35 | NH092 (直行便 / 2時間50分) |
| 62,750円 4,000 PP (単価 15.69円) |
石垣 → 羽田 | 14:20 - 19:15 | NH1770 / NH472 (那覇乗継 / 積算率130%) |
※2026年5月末の週末の運賃
表を一瞥して気づくのは、「乗継便」に分類される路線のPP単価が、軒並み14円台〜15円台という見事な好数値を叩き出している点です。直行便の代表格である那覇→羽田が単価16.86円、石垣→羽田が単価17.38円であることを考えると、この差は看過できません。なぜこのような逆転現象が起きているのか、その背景をロジカルに解き明かしていきましょう。
「乗継便」は株主優待券が「2枚」必要という絶対ルール

データ分析に踏み込む前に、このルートを実践する上で絶対に知っておかなければならない、そして多くのマイラー入門者が勘違いしやすい「最大の罠」について解説します。
それは、「1つの予約(スルー運賃)であっても、乗継便を利用する場合、株主優待券は【各区間につき1枚】、つまり合計【2枚】必要になる」という絶対ルールです。
まあ、PP単価に影響しそうですが、現在の株主優待券の二次流通価格は1,000円程度なので、まだ行けそうです。まあ、JALの暴落と相反して、ANAが上がっているのは気になるところですが。とは言え、過去の4,000円とかはないでしょう。
普通席スルー運賃との共通ルール
ANAの国内線ルールにおいて、株主優待割引は座席クラス(普通席・プレミアムクラス)を問わず、一律で「株主優待番号1つにつき、一人片道1区間に対して適用」という大原則があります。そのため、「宮古→那覇→羽田」のように、運賃計算上は1つのストーリー(スルー運賃)として航空券を一括決済できる場合であっても、2区間を乗り継ぐフライトであれば必ず区間分の「2枚」の優待券が必要になります。
購入画面で「スルー優待運賃」と表示されていても、決済時にしっかりと2枚分の優待番号の入力を求められますので、繰り返しますが、「乗継なら1枚で浮くはず」という甘い誤認は通用しません。
コスト計算に「優待券の仕入れ値×2」を算入しないと
このルールがあるため、ブログやSNSで単純に「運賃額 ÷ 獲得PP」だけでPP単価を計算して喜んでいるのは片手落ちです。リアルな修行僧の財布から出るコストには、手持ち、あるいは金券ショップ等で仕入れた「株主優待券の時価コスト」をきっちり2枚分加算しなければなりません。
仮に株主優待券の市場価格を1枚あたり1,000円と仮定してみましょう。
- 直行便(那覇→羽田:運賃49,860円): 優待券1枚(1,000円)が必要 = 実質総額 50,860円
- 乗継便(宮古→羽田:運賃59,340円): 優待券2枚(2,000円)が必要 = 実質総額 61,340円
乗継便を利用する際は、画面に表示される運賃額に加えて「もう1枚分の優待券コスト」が上乗せされることを前提に、全体のシミュレーションを組み立てる必要があります。しかし、この優待券2枚消費というコスト面の重みを考慮に入れたとしても、乗継便にはそれを完全に補って余りある圧倒的な「PP爆発力」と「好単価」が隠されているのです。
大阪路線:直行便廃止の裏にあるANAの戦略と「乗継スルー」の存在意義

今回のデータの中で、特に異彩を放っているのが「大阪(伊丹)」を発着する路線です。かつてANAは、宮古→大阪(伊丹)や石垣→大阪(伊丹)といったリゾート直行便を季節運航や定期便として運航していました。しかし現在、これらの画面を確認すると直行便の選択肢はなく、表示されるのはすべて「那覇(OKA)での乗り継ぎを伴う乗継便」のみとなっています。
宮古→伊丹(NH1726で那覇へ、NH766へ乗り継ぎ)、石垣→伊丹(NH1768で那覇へ、NH764へ乗り継ぎ)といった具合に、すべての離島トラベラーは一度、那覇空港のプレッシャーを浴びる運命にあります。一体なぜ、ANAは大阪直行便をなくし、このような乗継便へ一本化したのでしょうか?そこには非常に冷徹で合理的な、航空会社の路線統廃合戦略が見え隠れします。
B787やA321の効率運用と那覇ハブ化
リゾート路線、特に宮古や石垣といった離島路線は、季節や曜日によって需要の浮き沈みが極めて激しいという弱点を持っています。夏休みやゴールデンウィークにはプレミアムクラスを含めて一瞬で満席になりますが、平日のオフシーズンには普通席すらガラガラということが珍しくありません。このような路線に、機材(ボーイング787やエアバスA321など)を大阪からダイレクトに固定運用するのは、航空会社にとって非常にリスクが高いのです。
そこでANAが取った戦略が、「那覇(OKA)への集中投資とハブ&スポーク化」です。大阪や東京といった大都市圏からは、大型機を那覇へ高頻度でピストン運航させる。そして、那覇から宮古・石垣への離島区間は、ソラシドエアとのコードシェアを含めた中小型機(NH1700番台など)で効率よく往復させる。こうすることで、大都市発着の座席供給量を維持しつつ、無駄な直行便の間引きに伴う機材の遊休化を防いでいるのです。沖縄ですが、ここではライバルのマングースは登場しません。
直行便廃止の代替としての「戦略的乗継運賃」
まあ、絶滅ではありませんが、事実上の廃止でもあります。このせいかどうかわかりませんが、OKAのすーいとラウンジが激込みとなるのも時間帯によってはあるかもしれません。
以上から、直行便をなくして「那覇で乗り換えてください、料金は各区間の単純合算です」と言ってしまえば、利用者は他社(JALグループの直行便など)へ逃げてしまいます。そこでANAは、直行便を廃止した代替案として、この那覇経由のスルー乗継運賃を戦略的にかなり割安に設定していると考えられます。もちろん、株主優待券は羽田同様に2枚必要にはなりますが、そのコストを加味しても価格的なメリットは絶大です。
宮古→伊丹(那覇経由)の運賃額を見てください。プレミアムクラスでありながら46,360円という、全路線中最安の価格が設定されています。石垣→伊丹(那覇経由)も49,000円です。まあ、直行便の時からも結構安かった記憶はあります。
ただ、注目すべきは、乗り継ぎ化して、この調整によって宮古発も石垣発も、伊丹着のPP単価が全く同じ「14.57円」という国内ではなかなかない単価である点です。これこそまさに、ANAの機材効率化の都合とユーザーへの利便性還元が交差する、ある種の「運賃のエアポケット」として修行僧に提供されているのです。
なぜ「直行便」より「乗継便」の方がPP単価が優れているのか?

さて、ここからが肝ですが、なぜ、直行便よりもわざわざ那覇を経由する乗継便の方が、プレミアムポイントの効率(PP単価)が劇的に良くなるのでしょうか?
その理由は、ANAのプレミアムポイント計算規則における「ある強力なボーナス仕様」にあります。
理由①:搭乗ポイント「400PP」が区間ごとに“重複”して降ってくる
ANA国内線のプレミアムポイント計算において、プレミアム株主優待割引(運賃クラス2)には、1回の搭乗につき一律で400PPの搭乗ポイントが付与されます。ここが最大のポイントです。マイルの積算や座席クラスの適用が「区間ごと」に判定されるため、乗継便を利用すると、第1区間と第2区間のそれぞれで400PP、つまり1回の移動で合計800PPの搭乗ボーナスが手に入ります。
直行便の場合、どれだけ長い距離を飛んでも搭乗ポイントは400PPのままです。乗継便を選ぶだけで、純粋な飛行マイルとは別に、無条件で400PPが余分に上乗せされるわけですから、分母(運賃)に対して分子(獲得PP)が急激に膨らむことになります。
まあ、これは海外発券で4区間ビジネスの場合に4区間すべてに400PPが付与されるのと同じ現状であります。
理由②:離島区間の「超高効率マイル積算」の恩恵
さらに、経由便の第1区間となる「宮古→那覇(177マイル)」や「石垣→那覇(247マイル)」といった沖縄地域内路線が、驚くほどのPP製造マシンとして機能します。新基準(130%)を適用して計算してみましょう。
- 石垣→那覇: 247マイル × 1.30 × 路線倍率2.0倍 + 400 = 1,042 PP
- 宮古→那覇: 177マイル × 1.30 × 路線倍率2.0倍 + 400 = 860 PP
わずか30〜50分程度の短いフライトであるにもかかわらず、国内線2倍ルールと400PPボーナスの掛け算により、1本飛ぶだけで1,000PP前後のポイントが荒稼ぎできてしまうのです。この超高効率な離島区間を、大都市幹線(那覇→羽田、那覇→伊丹)とセットにして1枚の航空券で消化できるため、全体のPP単価が強烈に押し下げられる(改善する)仕組みになっています。
東京大阪往復がついてくることとなります。OKA-SINの国内線区間がTYO-OKAであったかのようにOKA-ISG,MMYがHND-OKAの国内線区間のような役割を果たすこととなります。
具体的なPP単価の破壊力を検証する
実際のデータで直行便と乗継便を比較してみると、その差は一目瞭然です。
【石垣→羽田で比較】
- 直行便(NH092): 運賃 62,270円 = 獲得 3,582 PP(単価 17.38円)
- 乗継便(NH1770/472): 運賃 62,750円 = 獲得 4,000 PP(単価 15.69円)
運賃の差額はわずか480円(株優コストを含めると1,480円)。にもかかわらず、那覇を経由するだけで獲得できるPPは418PPも増加し、なんと綺麗に「ジャスト 4,000 PP」の大台に乗るのです!このキリの良さはスケジュールを組み立てる上でこれ以上ない美しさです。PP単価は17.38円から15.69円へと劇的に改善。優待券がもう1枚必要になるコスト(約1,000円〜2,000円)を考慮に入れたとしても、直行便をストレートに買うよりも遥かに効率的です。
まあ、年間でキャッシュフローを回しながら予約が取れやすいところを考えるとMMYも魅力的かもしれませんが。ジャスト4,000は美しいですね。でもMMYも便数が多いので魅力的ですね。
【究極の効率:宮古・石垣→大阪(伊丹)】 さらに凄まじいのが、先ほどANAの戦略の産物として紹介した伊丹着の乗継便です。
- 宮古→伊丹(那覇経由): 運賃 46,360円 = 獲得 3,181 PP(単価 14.57円)
- 石垣→伊丹(那覇経由): 運賃 49,000円 = 獲得 3,363 PP(単価 14.57円)
現在のANA国内線プレミアムクラスにおいて、株主優待割引を使って単価14円台を叩き出せる路線は極めて稀です。これぞまさに、直行便を廃止された関西圏のユーザーを繋ぎ止めるためにANAが用意した「最強の修行ルート」と言えるでしょう。
また、宮古・石垣発着の路線は、那覇空港における東京(羽田)便や大阪(伊丹)便とのダイヤ上の繋がり(乗り継ぎ)が比較的良く、無駄な待ち時間を最小限に抑えた効率的なルートを非常に立てやすいという隠れたメリットもあります。短時間でスマートに高効率なフライトを構築できる点も、修行層にとって見逃せないポイントです。
その昔、ISGからKIX直行便に乗ったときにCAさんから、何かの拍子に「この便は人気がないのですかね」と問われたことがあります。たしかに、長年、プレミアムクラスは空席が多く、安かったのも印象的でした。
ただし、乗継便ゆえに「もし1本目が遅延したら…」とハラハラしたり、那覇空港での乗り継ぎ時間がタイトすぎて、せっかくプレミアムクラスに乗っているのにANAラウンジでまったりする余裕が持てない可能性がある、という点はリアルなデメリットとして頭に入れておく必要があります。
最後に:タイパの直行便か、コスパ・PP最大化の乗継便か

2026年5月19日の運賃改定(積算率130%化)は、結果として「乗継便のレバレッジ効果」をさらに拡大させる結果となりました。これからのANA修行、およびプレミアムクラスを絡めた弾丸トラベルにおいて、ルート選びの基準は明確です。
💡 本フライトデータの結論まとめ
- とにかく時間を節約し、スマートに移動したい(タイパ重視): 那覇→羽田(単価16.86円/2,958PP)などの直行便一択。優待券も1枚で済み、体力的にもスケジュール的にも非常に楽です。
- 1回のフライト発券で極限までPPを稼ぎ、単価を抑えたい(コスパ重視): 宮古・石垣からの那覇乗継ルートを最優先で検索すべき。特に伊丹着、および羽田着の乗継便は、優待券を2枚消費するコストや乗り継ぎの手間・リスクを考慮してもなお、それを完全に凌駕する抜群のPP単価(14.57円〜15.69円)と、1撃4,000PP(石垣→羽田乗継)という圧倒的な爆発力を秘めています。
特に、大阪(伊丹)発着のリゾート直行便がなくなった今、ANAが用意した「那覇乗継スルーの優待運賃」は、我々マイラーにとって最大の攻略スポット(聖地)となっています。那覇空港での短い乗り継ぎ時間をハラハラしながらクリアし、プレミアムクラスの贅沢なシートと機内食を1日に2回楽しむ――そんな、少しのデメリットさえもスパイスに変えてしまうような、贅沢で超過酷な「乗継修行」もありかもしれません。
最近、那覇空港に行ってみましたが、明らかに軽装な修行層やミリオンマイラータグを小さなリュックにつけた人がいたりと、何か活性化しているようにも感じます。
そして、何よりもANAラウンジも、スイートラウンジも座れないくらい激混みしているようであり、どういうロジック化まだ解読できていませんが、新運賃が関係してそうです。